2011年4月アーカイブ

前のコラムには、工場などの生産拠点が国内に回帰してきている動向などを取り上げたと思います。
その際にネックになるものは、意外や資金調達の問題ではなく、むしろ「2007年問題」によって退職してしまうベテランの問題点でしたり、人材不足の問題なように思えますが、どうなのでしょうか?


回答


生産拠点を再び国内に移すために、設備投資をしている企業の多くは、カネ余りの環境からか設備投資のコストや資金調達といった課題よりも、むしろ設備の操業後のコストの問題や、人材の確保・加えてベテラン技術者の技術の継承、といった点のほうが関心が高い傾向が挙げられます。
製造業の国内回帰の背景は、このままでは海外で労働の定着率が悪い環境下では、ノウハウが残らなくなってしまうおそれが強いので、団塊の世代が、一斉に定年退職となります「2007年問題」を意識した行動とも言えるでしょう。

バブル崩壊以降の90年代には、日本の雇用調整は、中高年を社内に残して人員の自然減を図り、新規採用を絞っていく方法でしたことから、仮に2007年問題で団塊の世代が大量に退職したとしましても、社内に人材は残っているのではないか、と思われるかもしれません。

しかし、実際に国内の生産現場では、団塊の世代が企業に入社した時には、いざなぎ景気の好況下にありましたことから、比較的層が厚いのですが、その後は1973年のオイルショックの際に、各社が一斉に採用を手控えたことから、40歳から50歳代前半の現場の責任者や技術・業務などの中核を担う層が薄くなっていることが、大きな危機感の背景になっているといえるでしょう。

加えて、正社員にしますと固定費が大幅に膨れ上がりますことから、労働力の調整につきましては繁閑の差異によって、機動的に調整のしやすい派遣社員や外注を増やすといった行動が増えていることも、大きな要素として挙げられるでしょう。

2007年問題のように、ベテランの退職に備えて、熟練工の作業工程などをビデオに録画したり、様々な工程を実際にマニュアルにして、技術継承を図っているところも多いような印象がありますが、こうしたマニュアル作りは実際に上手くいっているかは千差万別でしょう。

例えば日立では、工場現場などの作業手順をビデオに録画して、社員教育に活用しているするeーマイスター制度を導入しておりますほかにも、松下やシャープなどにおきましても、技能を継承していくための制度を作っています。
また官の世界においても、例えば独立行政法人である産業技術総合研究所が、技術者の技を電子データに記録することに取り組むなどしております。
ただ実際には、こうした取組みはまだ始まったばかりで、実際に社内のメンバーだけで進めようとしますと、

◎マニュアルの制作を命じられても、日常業務があることから、なかなか制作にまで手が回らない。
◎実際にはマニュアルを作ること自体が目的となってしまい、膨大なデータの中で埋もれてしまう。

といったことも、珍しくはありません。


こうしたマニュアル制作の巧拙の差が生じる最も大きな要因は、例えばフィールドエンジニアの教育やフランチャイズの教育の場合、統一したサービスを維持・発展させるためには、多くの業務を標準化したうえで、各担当者が方針を理解し、方針やノウハウにしたがって活動する原理原則と、そのよ人材を育成していくことが欠かせません。
往々にして、あまり上手くいっていない企業の多くは、得てしてマニュアル作り自体が目的となっていることも少なくありません。

なかなか上手く行かない要因としては、以下のように

1)目的や誰が利用するか、といった視点を抜きにして、単純に「会社から言われたから。」といった受身の観点で作られた場合には、使われない可能性が強くなると言えるでしょう。

2)教育研修や業務の標準化といった視点が欠落した、マニュアル作りは、同じく実態とかけ離れてしまいやすくなるため、注意が必要でしょう。

今年になってから、急激に工場などの生産拠点を国内に新たに増やす・回帰する、といった傾向が顕著になっています。90年代の半ばには、1ドル80円の時代になりましたことから、国内で生産していては、コスト高で成り立っていかないとまで言われていましたが、当時はコスト削減に躍起になっていた頃を思いますと隔世の感を受けます。果たして本当なのでしょうか?
また、特定の業種業態などに限られているのではないでしょうか?


回答


昨今では製造業の企業で、新規の工場など生産設備の建設を決定もしくは検討している企業がおよそ6割に達し、また既にある工場で国内生産分を増産する企業も多いことが、大きな特徴として挙げられます。

業種は基幹産業の自動車や電機業界に限らず、機械や鉄鋼業など幅広い業界に及び、その狙いと致しましては、以下のものが挙げられます。

1)海外生産分を国内にシフトする
携帯電話や消費者向けのデジタル家電など、高い利益の見込めますものは、モデルチェンジのサイクルが数ヶ月と極めて短いことから、受発注の基幹を極力短くして短期間に対応できる生産体制にしないと、在庫による損失が増えてしまうことから、市場ニーズによる面も大きいものと思います。

2)戦略的な要因
企業にとって、他社との競争優位を保つために社内にノウハウを獲得・蓄積していくためには、人材の流動化の激しい海外よりも国内のほうが、技術やノウハウを蓄積するのに望ましい環境にあると言えるでしょう。
特に自動車メーカーにとっては、加工のしやすいようにボディの鋼板作りが欠かせませんが、後でプレス加工しやすいよう、鉄を生産してから下がる温度を計算して、納入する時間を指定するなど、細かな管理の必要な場合には、国内のほうが望ましい環境にあるものと考えます。

生産拠点が国内に回帰し始めている理由や背景は、具体的には以下のようにいくつかの背景があるものと考えられます。

1)国内生産拠点の位置づけを見直し
90年代の円高の時には、始めにコストダウンありきで海外に移転するケースがほとんどでしたが、それから時間を経て最先端の技術やデジタル家電のように市場の関心の移り変わりの激しい製品は、国内で生産し輸出もするスタンスで、それ以外は海外の工場を主軸とする、といった戦略的な見地によるものが大きくなってきました。

2)国内生産によるコスト低下
90年代と事情が大きく異なり、年俸制度などの人事制度の導入によって、正社員を雇った場合でも、国内での人件費は前ほどは高くないことにも加えまして、派遣やアルバイトといった非正規雇用の増加も、コスト削減として大きく、以前ほどコストが高くない、といったことも大きな要因として挙げられます。

3)長期的なコストの検証
90年代の円高により、海外の工場を移してから概ね10年程度経ちます。実際に損益として分析してみますと、結果を分析してみると、仮に10年居たとしましても、品質の問題や定着率などから、実際にはそのうち3年くらいしか、コスト面で享受していない、といった動向が目立つようになってきました。


また新卒採用が活発なようですが、間もなくやって来る「2007年問題」で50代のベテランが退職してしまうことを機に、国内にいる人材を育成していく、といった狙いも大きな問題としてあるでしょう。ただし正社員を数多く抱え込んでしまいますと不況時や在庫調整の際に固定費が大きく膨れ上がり、身動きが取れなくなってしまうことを懸念してか、より調整のしやすい派遣社員やアルバイトなどで戦力を確保する方針が、景況が良くなっても傾向が強いことが挙げられます。
そのため、2007年問題で補充できる人員は限られながらも、なおかつコストはあまりかけられない、といった難しい経営環境が見えて来るものといえるでしょう。

90年代の半ば頃から、よく報道やコンピュータベンダーなどの講演会などを主体として言われていたことで、現在でもそうなのですが、

「アメリカの企業や国内での先進企業は、積極的にIT(情報技術)を活用したことから、生産性が格段に向上して、業績を大きく伸ばした。それに対して、バブル経済の痛手を受けた金融業界などは、システム投資を行えなくなったことから、企業競争力に差がついてしまった。」

「また、日米の生産性向上の格差は、90年代日本は先進国の中で最も伸びが少なく、国際競争力に少なからず影響したのも、ITの活用に積極的でなかったためだ。」

といったように言われています。当社でも当時は報道や統計などでこうした内容を度々見ましたものから、当時の厳しい予算の中でやりくりをつけながら、トップダウンで情報化を進めてましたが、最近になってからは、「当時喧伝された、ITによる生産性革命には疑問がある」といった論調が出始めてておりますことから、大いに驚いております。
いったいどういうことなのでしょうか?


回答


端的に申しますと、90年代に起こりました生産性の向上は、コンピュータのダウンサイジング(汎用機やオフコンなどのシステムから、クライアントサーバシステムに変わったことなど)に始まり、パソコンやインターネットの普及などといった、IT
関連商品の生産や販売の急増に過ぎず、必ずしも実体経済を反映したわけではない、という見方です。
そのためITによる技術の革新が、必ずしも労働生産性を飛躍的に高めたわけではない、という見方が出始めるようになりましたが、その最大の契機はアメリカの当局が評価をにわかに変えてきており、その大きな要素として、現在におけるアメリカでの労働生産性の伸びの低下による、懸念が挙げられます。

生産性の上昇とITの投資や普及と全く関係がない、というのは、当時を知るものとして大変ショックな面もあるのですが、根拠としましてはアメリカの労働生産性は、特に景気の良かった2000年頃から、2002年にかけて高まりましたが、生産設備の稼働率の指標が雇用に先んじて上がりましたことから、計算上の生産性が大きく跳ね上がりました。

加えて雇用は、アメリカ国内ではなく、中国やインドなどといった人件費の安い国外(特にアジア)が中心でしたことから、ITによる技術革新だったと過信されていた、というのが大きな要因と言えるでしょう。


こうした説が仮に本当だとしますと、当時はなぜ、多くの人たちが錯覚をしたり過大評価をしたりしていったか、その理由につきましては一面ではIT化によって、コンピュータのコストを大幅に引き下げたり、インターネットなどを中心にして、通信コストが大幅に低下しましたことから、一定の生産性の向上があったのは確かです。
その一方で昭和30年代の日本の高度成長の時代にありましたように、ある商品やサービスが本格的に市場に普及する際に、高い設備投資と商品の生産・それに加えて販売が飛躍的に増えて、また生産していく、といったサイクルが働き、生産性が上昇する仕組みが、技術革新やエネルギー革命の時に働きやすい傾向があります。

他にもこうしたサイクルは、19世紀の産業革命の時などと含めて、ありましたことから、IT技術の普及は、大きなステップの1つになったものと言えるでしょう。


日本では特に欧米と比較して、ITを活用した生産性向上の度合いが低い、といわれてきました。特に日本では、パッケージソフトよりもオーダーメイドのシステム開発が好まれるために、投資額が膨れ上がる割には効果が薄かったり、業務をあるべき形に最適化してからシステム化するのではなく、個人や部門のやり方をそのままにシステム化していったことから、効果が薄いと言われてきました。こうしたことも当てはまる面もあるでしょう。

アメリカの90年代の景気回復は、ITによる技術革新による生産性の大幅な向上が要因として挙げられましたが、要因の1つといったほうが良いのかもしれません。
当時の生産性向上の日米比較についてですが、海外のほうがパッケージソフトによる導入が多く、国内では昨今ではパッケージによるカスタマイズが増えてきましたが、往時は未だオーダーメイドによる情報システムの多いことから、投資額に比して効果が低い、期待値ほどではない、という見方も成り立っていたように思います。

他に効果の差異については、企業における労働力の構成要員によるところも大きいと思います。海外では直ぐに人員削減などを行い、業績が比較的速やかに回復する傾向がありますが、当時の日本では若年層の採用を絞り込み、中高年の社員はそのまま社内に残して自然減を促す要素が強かったことから、こうした労働構成なども、個人や部門のやり方をそのままシステム化していく、といったものと関係していたものと考えられます。

現在では、メディアも普及してテレビや新聞・雑誌などからいつも情報が氾濫していますし、またインターネットでも最新のニュース以外にも、知りたいキーワードについては、全文検索の検索エンジンで、大体のことは何でも知りうることのできるような環境になっていると思います。
ところが昨今では、こうした情報化の進んだ時代にもかかわらず、科学的に何ら必然性のないような形で、例えば健康食品でがんが治る、といった以外にも、インターネットやメディアの時代になってから、逆に、催眠商法やパーティー商法などによって高額な品物を買わされた、といった被害が増えているように思います。なぜなのでしょうか?


回答


もともとからビジネスや恋愛などで、相手への駆け引きや時としては方便をつく、というのはいつの世でもあることなのですが、近年、特にこの1-2年にかけては、一見しますと荒唐無稽で全然ロジカルでないな話までもが、まことしやかに信じられるような時代になってきました。

80年代までの、例えば架空の投資話や特効薬といったものは、当時もあるにはあったのですが、今ほど被害は出ていないように思います。インターネットなどの影響で、情報の量が氾濫しているのと関係しているように思います。

例えば健康食品で末期がんが治る、といった患者さんの切羽詰った心境を利用して、高額の治療費をだまし取ったり、本を出版した出版社が家宅捜査を受けたりしましたが、実際に被害者の多くは新聞・雑誌の広告よりも、インターネットの検索エンジンなどで上位に表示された結果や、インターネット広告などによって影響されたケースが圧倒的に多いのも、昨今の特徴といえるでしょう。

インターネットの情報は、一面では個人やクチコミに近いような感じで、有益な情報が入ってくることが多いことから、受ける側にとっても警戒心が薄く、割と容易に信じ込んでしまう傾向があることが否めませんことから、怪しくても魅力のある情報には信じてしまうことが多いものと思われます。

加えて、インターネット通販サイトの普及により、例えばホームページ上でどのように商品・サービスを告知していけば、売れるか、といった研究が進み、例えば「ユーザー・体験者などのナマの声」といった内容を載せると、非常に大きな影響があることから、内容の如何を問わずに、こうした手法などに振り回されるようになった面も少なくはないでしょう。

人間の特性として、
「周りが皆こういったから。」
「組織としての総意から、本来の考えとは違うものの、自分のところで稟議を止めるわけには行かなかった。」というように、個人では冷静な判断が出来ても、集団になったり組織になると判断がおかしくなってくるのは、心理学で何か言われているように思います。

もともと人間の持つ心理的なメカニズムとして、ごくわずかな事例から、たくさんの結論を得ようとする傾向があると言われています。と言いますのも、大量のデータを比較・検討していくことが大変ですので、それよりも、断片的なことを聞いて、全てを知った、と思い込んだ方がラクなことから、こうした行動を取ると言われています。

そのため前述致しました、がんが治った事例でも、ほんの数例でも治った事例を示されると、効果を信じてしまうことになってしまいます。しかし治ったという言葉だけを聞いても、それは手術をして治ったのか、抗がん剤で治ったか、といった経緯や証明といったものがありませんことから、直接の因果関係は無いですので、本来でしたら冷静に考え直すべきものでしょう。

ところが追い詰められて、藁をもつかむような心境ですと、こうした断片的な情報を拾って判断したほうがラクだ、といった心境となってしまいますので、注意が必要でしょう。


認知心理学の影響は、よく群集心理とか色々といわれているようなのですが、具体的には以下のような傾向が挙げられます。簡単に申しますと、情報源に対する自分の好悪の感情が、信憑性や評価に大きく左右される傾向です。

○「あの人の言うことなら」:信用するパターン
×「どうせあいつが言うことだから」:何を言っても信用されないパターン

こうした受け手の側による、情報の感度や受け方に対するバイアスが、大きく影響していくのが、具体的な現象です。
こうした現象は個人の場合よりも、組織や集団の中でのほうが、より顕著に働く傾向があると言えるでしょう。

例えば、「3つの線の中でどれが一番長いですか?」と決まれて、他の"さくら"が違うものを一斉に答えると、間違いと分かっていても多くの場合は同様の回答をしてしまう、といったことが挙げられます。
こうしたように、集団で判断を求めると、周りの目を意識したり仲間はずれになりたくない心境が影響して、判断が似てくる傾向が大きいと言えるでしょう。

またかつてのナチスの用いた大衆の煽動方法ですが、人間は小さな判断ですと価値基準が分かっていますことから、慎重に判断しますが、今まで経験していないような大きな判断になっていきますと、途端に著しく大胆となってしまいますが、これを集団による意思決定と結びつけて、よりリスキーな選択を陶酔のうちに行う現象なども、こうした傾向として挙げられます。

最近では商品が売れるために、こうした認知心理学の傾向や動向などを入れるようにしている面もあるようです。具体的には主婦や老人などを何時間も閉じ込めた環境において、無料でパンや鍋を配りながら、最終的には何十万円もする布団や浄水器を買わせるなどの、違法性の高い催眠商法に限らず、こうした心理学を突いた商活動は日常的に行われております。

例えば、車の値引き交渉などの際に、

<店>
「モデルチェンジも近いですので、カーナビとサンルーフ付の車を特別に10万円引いて、今なら160万円にします。」
○客
「それなら決めますよ。」
<店>
「それでは今、在庫の有無を会社に電話で確認してきます。」

その後、
「お客様。申し訳ありませんが、サンルーフは在庫の関係からオプションとなってしまいますので、あと10万円かかってしまいます。また色の関係からオプションでプラス3万円ほどかかってしまいますが・・・」

「いいよ。それくらいなら買いますよ。」

といった交渉は日常茶飯事ですが、こうした顧客の行動を決めさせるために、特定の方向に誘導させるような取り組みやコミュニケーションが、インターネット時代になってから、より顕著になってきた面は否定できないでしょう。
他にも、誰もが受け入れるような小さな選択肢や要求を出しておいて、1度は受け入れさせて、次に目的の大きな要求を出すなど、心理的な手法に訴えかけて決めさせる、といった方法も、目立つようになってきました。

また最近の社会現象と致しまして、インターネットなどの影響も関係しているでしょうか、「AかB」「イエスかノーか」といったように、思考回路や行動様式が単純化・デジタル化してきている面も否定できません。
一面では、インターネットやメディアの中で、常に氾濫する情報を、素早く判断するには、こうして単純に仕分けていかないと判断できない、といった事情もあるでしょうし、また無意識のうちにそうした行動を取っている面もあるでしょう。

少なくとも、こうしたインターネットやメディアを多様に駆使した社会では、人間の心理の微妙な綾を突いた、意思決定やビジネスが、より意外な角度からやって来ることは、自覚していくと望ましいでしょう。

従業員150名ほどの製造業の会社で、部長をしております。
1-2年ほど前に、主要取引先から部品代などのコスト削減のあおりを受け、20%に及ぶ単価引き下げ要求を呑まされてから会社側より、全社員の給与を20%カットするか、社員を2割削減するか言われました。

最終的には昨今の景気回復の影響により、新規の取引先や販路が増えたおかげで、一時的に10%の給与カットと1割の社員の一時帰宅で済んだのですが、現在でも困っておりますのは、その折に創業者の2代目の専務が、危機の際に代表権を持ち、社内改革にいそしんだのですが、業務フローを全面的に見直した上で、生産管理システムの再構築を図ったことが、現場業務の混乱を招いてしまい、その収拾も付かないままに自ら一線を引いてしまって、再び高齢の創業者が経営をしている状況です。

現在は創業者自身の幅広い人脈によって、取引先を維持拡大して持っている状況ですが、もう高齢ですし、後の続く社内幹部も居ない、といった状況ですので、最終的な内部の整備が待ったなしで求められていますが、どうしたら良いのでしょうか?


回答


個人や家業の問題としましては、高齢の創業者のやりがいや働き場所という面では望ましいかもしれませんが、全体的に考えますと、集団指導体制に移行できるよう、指示待ちの多い内部の育成を図っていきながら、組織としての体制を整備していくことが望ましいでしょう。

また現場が混乱してしまった、とされる生産管理システムに関しましては、こうした経緯もありますと、ほとんどが機能していないものと思われますが、現場の中から使える昨日から段階的にステップアップしていくよう、部分改修をしながら力を蓄えていくことが肝要と考えます。


現場が、新規の生産システムの移行によって大混乱した、といった経緯については、人員削減の際に、コスト削減から管理部門を中心に解雇致しましたところ、人員を減らしても仕事のやり方は今まで通り、ということでしたら現場の戦力ダウンが避けられないということと、一時的なリストラ効果で縮小均衡となってしまうおそれから、情報システムを有効活用して、競争力を築いていくことが望ましいと判断するようになりました。

当時の専務は大手企業で海外勤務が長かったことから、自社の経営課題をあるべき姿を分析し、重複業務やムダな業務を1つ1つ洗い出して、業務フロー図を作りながら、コスト削減と生産性の向上に取り組みました。

結局は生産管理システムに合わせた形での、業務分析と改革案は出来たのですが、現場の部課長などの幹部は反応が鈍く、自分たちのやり方に固執しており、実際にほとんどすり合わせのないまま、見切り発車として新規システムに移行し、社内が大混乱となりました。

その結果、専務は自ら責任を取って相談役に退き、再び高齢の創業者が経営を行っていますが、生産管理システムは、古いままのシステムをそのまま動かしており、先々を考えるとそのままではいけない、という危機感は誰もが持っていますが、失敗や経緯もありましたことから、社内でタブーになっている面も否定できません。

一面では「これが理想の業務フローだ!」と押し付けても、うまく行く場合も中にはあると思います。しかし中小企業の場合ですと、業務が標準化されておらず、各個人のスキルや技に大きく依存していることから、必ずしも押し付けることが良い結果を生まない面も否定できません。

最新のビジネスモデルや、同業他社などで生産方法や仕組みなどを視察して、「これは素晴らしい。早速持ち帰って当社でも行おう。」と思っても、実際に出来るようになる企業は多くても1ー2割程度であり、ほとんどが実際に実行に移してもあまりうまく行かなかったり、中には途中であきらめるなどする企業がほとんど、というのが実情といえるでしょう。

実際にうまく行った企業でも、早くても数ヶ月・遅ければ1-2年ほどかけてようやく定着するような次第ですので、実際に他社や他のビジネスモデルなどを取り入れていくためには、内部の社員にとって、自分のやり方を急には変えられないことを前提に置きながら、企業風土や文化を徐々に変えていく、といったことを織り込んで行動していく必要があるでしょう。

こうした場合ポイントとなるのは、今後の会社の将来を背負っていく、中堅幹部たちを、今までのような指示待ちや受身にしていくのではなく、ある程度主体的に判断して動けるように、幹部研修を行ったり、実際に経営課題を与えてから、解決策などを自らに策定させ、解決の実践を図るといった色々な仕組みを設けることも、欠かせないことでしょう。
「始めに情報システムありき」といった考え方ですと、実際の業務から大きく乖離してしまう必要がありますことから、注意が必要です。

一般的に春と秋といえば、自動車でも家電でもパソコンでも、いろいろな高額商品の新製品の発売や案内される時期です。10年くらい前までは、新製品を発売するとその効果が結構長く続いていたように思いますが、最近では、そうした効果が大幅に薄れているように思います。
消費者の側にとって、完全に慣れられてしまったからなのでしょうか?


回答


最近では自動車や家電、食料品や清涼飲料水などといった製品の寿命(ライフサイクル)が大幅に短くなっている傾向が挙げられます。新商品を投入したとしても、好調な売行きは長続きせず、早ければ数ヶ月から最近では大いに持続しても1年も経たないうちに、店頭から姿を見せなくなったり、ごくごく普通の売れ行きにしかならない場合も少なくありません。

最近になってから、こうした新製品効果が薄れてしまった理由と致しましては、高度成長の時代から、日用品から自動車といった高額商品まで、常に新製品の発売やプロモーションを企業側で行ってきましたが、こうした消費生活も1世代以上過ぎましたことから、常に身近な日常生活でモノが余っており、自然と消費行動に慎重に見極めるようになる傾向が大きいものと思われます。

昨今において新製品の効果として大きいのは、今年は東京モーターショーもありますことから、自動車・カーナビ・パソコン・デジカメ、その他薄型テレビなどのデジタル家電と思いますが、こうした動向も変化してきました。

自動車は、特に90年代半ばまでは極めて新車効果が大きかったものと思われます。現在では、トヨタのマークXが投入されてからは、やや販売台数が上回っていましたが、デビュー当初で8-9千台、昨今ではまだ半年強しか経っていませんが月販5千台弱と、いわゆる新車効果の短縮化が顕著になっていると言えるでしょう。

一般的な新車効果は、国産車では概ね4-5年でモデルチェンジをすることが一般的ですが、かつては2年、10年前で概ね1年強、というような状況が、最近では半年から3ヶ月といった状況になっています。

またパソコンは、春夏秋冬と季節ごとにモデルチェンジを行うことが一般的ですので、そもそも本当に効果が見込めるのは、発売直後の1ヶ月程度が大きいといえるでしょう。


こうした急激な商品寿命の低下と、変動の激しさが生まれてきました要因は、以下のように幾つかの要因が挙げられます。

1)消費者側に飽きられてしまう
一般的な傾向として、日本の消費者は求めている要求が極めて厳しい上に移り気で、新しいものにもすぐ飛びつくが、離れてしまうのも早い、といった傾向も挙げられます。

2)慎重な商品選択が増えている
最近は家電でも自動車でも、インターネットなどを通じて情報収集する顧客は、およそ半分を占めるようになり、衝動買いで後悔のないよう、情報武装して慎重に選択していく傾向が強くなってきたことが挙げられます。

3)型落ちや中古品への抵抗が薄まっている
高度経済成長の時代には、大量生産・大量消費でしたが、日常生活における最大の変化は、質流れ品などの中古品相場が壊滅的になったことと、消費者側も中古品への抵抗感が強まったことでしょう。
それがインターネットオークションなどの普及によって、若年層を中心に中古品への抵抗感が薄まり、安く買って使う習慣の広まりも、大きな要因でしょう。

製造業で人事を行っております。
前にこちらで、社員の副業と転職に際する守秘義務の内容を見ましたが、社員の転職に際して、社内のノウハウがライバルの同業他社に流出することを懸念しています。
ところが、"営業秘密"の概念自体がどうもあいまいなようで、一般的な業界知識などまで秘密にしてしまいますと、かえって不利なようですし、緩くし過ぎますと今度はノウハウが流れてしまう、といった課題を抱え、社内でも結論が出ないままでいます。
今度は法改正によって、社員に課する転職などの際の営業秘密は、期間や対象を絞るようですが、具体的にはどのようなものになるのでしょうか?


回答


11月に施行されます、改正不正競争防止法では、退職者による営業秘密の漏洩が新たに刑事罰の対象になりますが、あいまいな契約を結んでいました場合には、営業秘密と認定されにくい場合もありますし、転職が制約されるなど、職業選択の自由に抵触する可能性のあることから、配慮されるようになりました。


具体的には簡単に申しますと、企業が従業員と営業秘密の保持契約を締結する際には、対象となる営業秘密を具体的に特定し、加えて守秘期間も限定することが求められるようになります。

営業秘密につきましても、例えば高度のノウハウなどは認められる場合もありますが、中には「業務上知りえたすべての情報」などとあいまいな表現ですと、「一般的な情報や新聞や業界紙に出ているものまで、全て秘密になるのか」といった神経質な争いとなってしまい、裁判など紛争が生じやすい環境となっていました。

そのために、不正競争防止法の改正によって、例えばハイテク製品の中核技術などといった社内の営業秘密を、漏らすことを前提に他社に転職し、実際に情報を漏らした場合には刑事罰の対象としていますが、営業秘密の認定にあたって、企業と従業員の秘密保持契約の内容や、営業秘密の管理のあり方を「営業秘密管理指針」といったガイドラインによって、内容などを規定するようになりました。

しかしながら、そのように致しますと、社員と雇用の際に契約する、営業秘密の概念があいまいだと、せっかく締結しても全く意味がなくなってしまいます。

会社と社員側で締結する秘密保持契約の内容が、単純に「退職後も営業秘密を漏らしてはならない。」とあいまいに記載してしまいますと、秘密として認められなくなる確率が高くなり、機密漏洩を防止する効果が薄れてしまいます。
また必要以上に厳しくして、「当社で知ったことは、すべて秘密」といった秘密保持契約ですと、こうした事例ですと、誰しもが知っている情報や一般的な業界情報なども触れてしまうことから、民法の公序良俗違反で無効になる判例が実際に生じているため、そもそも契約の効果がなくなってしまいます。

そのため、「営業秘密」を具体的に定義していくことや、管理についてですが、転職などを通じて競合している他社に漏洩することを禁止する情報や秘密を、具体的に従業員に示すようになりました。

例えば、通信販売の企業の場合には、一部ではありますが、
1)通信販売の顧客の個人情報そのもの。
2)通信販売で実際に購入した、顧客の購入傾向の分析結果。

などが、"営業秘密"に当てはまります。

こうした形で具体的に内容などを示したり、保存しているファイルやメディアなどの媒体で、示すことなどが必要となってきました。

今年は、つい最近にもありましたように、宮城や東京に加えて再び新潟と、大きな地震や洪水による水害などの災害が相次いでいます。
地震によってサーバルームにあるラックが転倒して、サーバーのデータが物理的に破壊されてしまったり、洪水で水が被ったりした場合には、すぐに業務が復旧できなくなり、被害が果てしなく大きくなってしまうことを危惧しております。
一般的に企業の災害における、データの保護への対策は、具体的にどのような感じなのでしょうか?


回答


災害時における、情報システムやデータなどの対策についてですが、現時点では大企業と中小企業で、大きく二分されている状況といえるでしょう。
大企業の場合は、専門のデータセンターを備えている場合が多く、大地震が生じても耐震設計されており、加えて電力が止まっても自家発電が可能となっているうえに、東日本・西日本と2ヶ所のデータセンターを備えている場合も見られますので、複数の対策を持っているといえるでしょう。
10年前の阪神大震災の際には、借金をしている方の中で、「地震と戦災は、データが無くなってしまえば免責になる。」ということで、中には喜ぶ方もいたと聞いていますが、実際には複数のバックアップの対策を取っていたことから、こうしたことは出来ずに「ぬか喜び」になったケースもありました。

それに対して、中小企業の場合ですと、自社の企業内にマシンルームなどを備えている場合には、サーバのラックの転倒や、マシン自体が転がって壊れてしまう可能性もありますし、建物の倒壊することによる損壊や、停電によってデータが損失してしまうことなど、色々なリスクがあるものといえるでしょう。


中小企業においても、大企業と同様にサーバーごとデータセンターに設置している場合には、少なくとも、自社に設置しておくことよりも、設置場所や電源の関係から、はるかに安全だといえるでしょう。
最近では大手のベンダーなどでは、サーバーのハウジングなどを通じて、システムの災害対策のサービスを提供する事例が出始めるようになりました。

より具体的には、地震や洪水などによって企業の情報システムが停止した場合に、自社のデータセンターにおいて、情報処理を代替し、損失を最小限に食い止める、といったことです。具体的には契約している企業から、日次・週次でデータセンターにデータを吸い上げ、災害が発生して情報システムが止まってしまった場合、最新時点のデータを、復旧の際には同じ環境とするものです。

こうしたデータの復元に際する費用についてですが、占有方式が月額で数百万となるのに際し、共有ですと70万円からでそれでも高めといえるのですが、インターネットによる通信販売などを行っている場合には、検討の余地のあるレベルにまでなっているものと思われます。

中小企業においても、サーバールームを設置したり、色々と管理している状況で、災害などによるデータの物理的な破壊は、業務への影響が極めて甚大にもかかわらず、充分な対策がとられているとことは、未だに少ないと言えるでしょう。

既に大企業では、危機管理に具体的な対策を行っていますが、中小企業は属人的な業務の多い上に、費用・人的な余裕の少ないことから、手が回りにくいことも少なくありません。
ただ比較的行いやすい、災害対策に備えたデータの管理・バックアップなどにつきましては、以下の方策が挙げられるでしょう。

1)重要なデータを複数拠点でバックアップ
重要なデータで、1度失ってしまうとその復旧が困難な場合には、復旧に甚大な影響を及ぼしますことから、同じデータを場所を変えて複数の拠点でバックアップする方法が挙げられます。
ただし、同じデータが複数あることから、修正や変更などによって1つのデータを変更した場合には、その管理で混乱しやすくなりますので、注意が必要でしょう。


2)重要なデータをディスクに記録し、他の地域に移動
例えば東海地震が懸念されている、神奈川や静岡の企業では、重要なデータを、DVDやDATなどの媒体に保存し、県外に保管する企業もありますが、媒体経由の場合には、データが古くなってしまいますと再度作り直す業務量が増えてしまいますので、極力定期的(遅くても月に1度など)に保存していくことが望ましいでしょう。

温度センサーや位置センサーなどのセンサーを複数に活用し、無線LANでデータを転送する、センサーネットワークの活用と普及が本格化し始めているように思えます。
具体的にどのような分野で、どう活用されているのでしょうか?


回答


大きく分けると、以下のような分野で活用される、もしくはされると言われるように思います。

1)セキュリティ
→入退室管理や不審者の侵入などに備えるものが挙げられます。
2)物流の追跡
→宅急便など、荷物の配達状況などをリアルタイムで把握することが挙げられます。


まだ実用化には至っていない、もしくは間もなく実現されると思いますが、具体的な原理としましては、位置センサーや温度センサーを活用して測定したデータを、無線ネットワークを通じてデータを集めていく流れとなります。
センサーは、建物や設備、さらには商品やヒトに取り付けて、温度や湿度、位置、圧力、加速度などのデータを収集し、無線によって遠隔からデータの変化を監視・分析することとなります。こうした組合せを「センサーネットワーク」と呼ばれます。

よく山道や地方の国道を走行していると、温度を表示する電光掲示板が出ており、低温だと注意を促していますが、今までは、データを収集する際に測定器などを設置し、冬季に定期的にデータを収集する必要がありました。

センサーネットワークの活用によって、遠隔地にいながらにして、より細かな観測地点のデータ収集が可能となってきました。観測地点の状況を精緻に把握・分析することにより、標高などで環境が急激に変化することによる、路面の凍結などを未然に予測することができるようになってきました。


他の分野にも、センサーネットワークは活用される可能性は高いでしょう。分野としましては、現時点では検針員の方が毎月巡回して見て回り、光熱料請求していく、電気・ガス・水道などの利用料金を、センサーネットワークによって自動検針するほか、メーターや機器などの異常や点検なども併せて行うことにも期待されています。


センサーネットワークの普及は、ビジネス面だけではなく、日常生活においても、大きく変わるであろうと思いますが、普及に際してネックになるものは、以下の点が挙げられます。

1)電源の供給
特に山間部や遠隔地に、温度センサーなどの環境センサーを設置する場合、ソーラー電池などが理想ですが、日なたや日陰の問題や、バッテリーの持ちなどがありますことから、メンテナンスがより容易となるよう、使用する電気がより少量であることが望まれています。

2)IPv6の普及
センサーネットワークの普及は、1つ1つのセンサーがIPアドレスを有して、データ転送できるよう、IPv6の本格普及が欠かせないでしょう。

かつてこちらのコラムで、「経営リスク情報の開示と、自社のリスク対策」という記事を読んだ記憶がありますが、その後は上場企業などでは業績に影響を及ぼすおそれの強い、リスク 情報の開示が、より進んだのでしょうか?


回答


今年はニッポン放送の買収騒動が起こってから、株主総会の時期には、ポイズンピル条項(毒薬条項)を定款に織り込む議決が多発したり、企業買収に対する防衛などにシビアになった時期と言えるでしょう。

本来は、一連のリスク情報の開示についても、低金利などから個人投資家が増加していることに対して保護する目的や、経営実態をより把握しやすくすることが挙げられますが、最大の意図としては、有価証券報告書などで、虚偽記載や重要な事実が記載されなかった場合、一定の損害賠償請求ができるようになったことから、訴訟を未然防ぐために、こうした一連のリスク情報の開示が、本格的に進むようになりました。

こうしたリスク情報の内容については、今までの傾向と比べて本来の事業リスクというよりは、個人情報保護法の施行に伴う、情報漏えいのリスク開示や、自然災害や気象などの記載が大幅に増えていうことが特徴として挙げられ、それに付随して特定顧客へ依存する比率が高いことや会計制度のリスクなどを織り込んでいる事例が挙げられます。

(1)個人情報流出のリスク要因
顧客の個人情報やクレジットカードの会員情報が、関係者や業務委託先などを通じて、外部に漏えいしたり、データの置き忘れの他にも不正アクセスによって入手され、信頼性が低下し業績に悪影響を及ぼすことが挙げられます。

(2)自然災害などのリスク要因
都内でも先日大きな地震がありましたが、相次ぐ地震や天災などのリスクが挙げられます。例えば神奈川や静岡に路線の多い鉄道会社の場合ですと、東海地震への影響がありますし、天災による消費へのダメージや、菓子メーカーなどでは冷夏の場合に売れ行きに影響を及ぼすことなどが懸念されます。

(3)カントリーリスク
最近では反日運動や人民元の引き上げがありましたが、カントリーリスクを挙げる企業も出てきました。例えば食品メーカーでは中国からの輸入が多いですが、経済情勢などよっては業績に影響されることが懸念されます。

(4)リストラの実施
経営再建を行っている場合にも、リスク情報を開示している場合が見られます。例えば三菱自動車では、仮にグループの支援が打ち切られた場合に、再建計画の実施に困難を来たすことが記載されています。

(5)新規事業及び大型投資
例えばソフトバングのように、総務省から携帯電話への参入に際して、スムースに行かない現象が起こっていますが、免許を取ったり需要の動向などから期待通りに展開されない、といった案件リスクを挙げている場合も見られます。

(6)会計制度
例えば減損会計の制度が導入されてから、今まで所有している資産の状況などが未だに確定していないこととの他にも、欠損金の繰り入れなどが税務当局に認められず、修正申告に応じたりするなど、会計制度関連の要素も、決して少なくありません。

ただ、こうした自然災害や個人情報の流出・加えてカントリーリスクなどは、会社を営んでいれば、ある意味当たり前に起こりうるものであり、情報の漏えいはともかく、天災などの自然条件やカントリーリスクは常に起こりうるものですので、一般的には「当たり前」と言ってもよいでしょう。
ただ現実的な問題として、リスクが現実のものとなって、株価が大きく低下し、投資家が損害を被った場合に、株主代表訴訟などの訴えを起こされる可能性がありますことから、未然に防止する意味もあって、あらかじめ「当たり前」と思われる項目でも掲載されるようになっているようです。

本来ですと、「こうしたリスクがある・ない」といった観点よりは、「様々に想定される事業リスクに対して、いかにコントロールしていくか。」といった観点で見て行く必要がありますし、またそうしたリスクヘッジのためのマネジメントの手法が、大きく問われるでしょう。

靖国問題など、最近においてもいろいろと生じましたが、今年は戦後60年の年でもあります。
10年前の95年はちょうど戦後50年でしたが、阪神大震災があったり金融不安など、時代の転換期からか、逆に色々と議論が豊富でしたが、今年になりますと、靖国神社の一件以外は、割とあっさり過ぎ去ってしまうような印象を受けてしまいますが、どうなのでしょうか?


回答


確かにアジア諸国の反対などが中心となって、靖国神社の参拝問題ばかりにウエイトが置かれている面はあるでしょう。
今年は企業のM&Aの問題や、海外でのテロなど、事件が多発していますが、本来であれば「戦後60年」ということで、静かに振りかえる年ではあるのですが、なかなかそのようには行かない傾向はあるように思えます。

バブルの時代など一時期では、ビジネス書などにおいて、太平洋戦争の戦略や対応、さらには武器や戦闘様式などに至るまで、失敗の現象を研究した本が、多数出ていたように思います。
これは戦後の社会になってから、改められたものと、未だに国民性といいますか、あまり良くない傾向とは思うのですが、未だにだに続いている面とに二分されているようです。

さらには最も大きなことは、これは過去にも現在にも共通していると思われますが、意思決定に関して、情緒やあの人がそう言うなら、といった空気や付和雷同な面によるところが大きいことは否めません。

すなわち、一定の原理原則に基づく面よりも、情緒や空気が多分に影響する面が強いことがあるでしょう。例えばいくつか場面がありましたが、多数の犠牲を強いたインパール作戦の際にも、当時の師団長は過度に精神力に依存して必勝の信念に固執し、本来ならば補佐すべき幕僚は、もはや何を言っても無理だ、というムードにつつまれてしまい自動的に決まってしまう、ということは、かつても今日も決して少なくありません。

こうした「空気」は、戦時中には様々な場面で随所に顔を出している面は否定できません。空気が支配する場面では、議論は最終的にムードや空気によって決定されてしまうため、戦略的な判断にかかわる議論が行われないまま終わることも珍しくありません。
ムードや空気とは言いましても、情報に基づいて合理的な判断をしていく、という議論が全くなされないわけではありません。むしろ議論を進めるなかで、ある種の空気が支配されるというほうが近いでしょう。

現在の世の中から見ますと、前述したインパール作戦においても、戦艦大和が沖縄沖で沈没した作戦においても、補給の困難さや航空機からの攻撃などを冷静に考えるととても無謀・無理だと思えるのですが、本来ならば変更もしくは中止させなければいけない、大本営や参謀本部・軍令部などの上級司令部では、むしろ先輩後輩などの人間関係やネットワークなどを重視させてしまい、
「あいつがここまで言うなら、本来は反対だがしょうがない。」
といった、組織内での人的な融和を優先させてしまい、合理的な判断が後回しになったことも、こうした傾向を倍加させているものと思います。

特にインパール作戦の場合には、参謀本部では「下がそこまでやるのなら、良いのではないか。」さらには当時の陸軍省や政府では、戦局が守勢に回り、国民を鼓舞するような事態が必要になっているため、「逆に現場のほうで、何かないか。」といった政治的な判断で承認されてしまった面が強く、合理性云々以前に、組織内の判断など別の意味で一人歩きしてしまった面が強いと言えるでしょう。

こうした面は、90年代の「失われた10年」の中で、経営破綻していった企業の行動の中においても、社風や体質の中でも、度々見られたことでもあります。


また一面では、当時のソ連が終戦直前の8月8日に参戦する際に、敵方が国境線に軍勢を集中させていることを知りながら、希望的観測にのっとって、何もしてこなかった、また終戦の際にも無条件降伏ではなくて、ソ連に和平を斡旋してもらおうとするなど、今から見れば情勢判断の甘さといった面が否定できません。

このような事態がどうして生まれたのか、当時も今もあまり変わりませんが、初めにグランド・デザインがあるというよりも、むしろ現実から出発して状況に応じて場当たり的に対応し、結果を積み上げる方式が多いように思われます。
どちらが良い悪いという問題ではなく、ともに客観的な事実がきちんと把握されていることと、結果が常にのフィードバックされている場合には、不確実な状況でも有効なのですが、問題なのはこうした情報を軽視して、個人的な主観や思い込みが大きく作用していたことが挙げられます。

例えば上記の対ソ参戦についてですが、当時は、日ソ中立条約が締結されて5年間の有効期限がありましたが、昭和19年に切れそうになった場合、ソ連側ではそれ以上延長しないという通告を出していましたし、当時から日本を非難する声明を発していたりしました。

ところが、日本側では当時のソ連大使館などからの、こうした注意を要する電報や情報などを無視して、
「ソ連は攻めてこないので、満州に駐留している虎の子の関東軍を南方に転属させよう。」

さらには、昭和20年を過ぎて戦況が不利になり、ヤルタ会談によってソ連が極秘裏に参戦することが決まっている状況となっても、
「国内に残存している海軍の艦艇と、ソ連の飛行機と燃料を交換してもらおう。」
「終戦の講和交渉に際しても、ソ連を仲介にしよう。」

と、主観的かつ都合の良い解釈に振り回されており、断片的な事実を客観的に直視せず、軌道修正を行わなかった結果といえるでしょう。

最終的に戦況が悪化して都合が悪くなりますと、当時の戦闘詳報などに眼を通しますと、「戦機まさに熟せり」・「天佑神助」(天や神々の助けを願う:という意味です)「能否を超越し国運を賭して断行すべし」といった、抽象的で結果が良く分からない「作文」が目立つようになり、全滅や失敗したという事実をカムフラージュする傾向が多発するようになりました。

さらに悪いのは、客観的な事実に対して、冷静に分析する習慣が無かったことから、自分に酔ってフィクションの世界に身を置いたり、こうした環境から避けるために本質とは関わり無い、細かな事務作業に没頭する事態がしばしば起こるようになりました。

前述いたしましたように、90年代の「失われた10年」の間に破綻した企業や、今日でも粉飾決算や産業再生機構の支援を申し出た企業の中にも、現場で起きた情報を客観的に分析・判断せずに、色々な課題を無視して、フィルターにかけられた都合の良い情報に基づいて、観念的な「フィクションの中の経営戦略」の中で、何ら疑念に思わずに実行する、企業の行動と似ている面は否定できません。


さらに、よく問題になりますのは、こうした極めて観念的で空想的なことが行われたのは、当時の高学歴で事務能力に優れたエリートであると言われています。戦時中、戦略・戦術に際してしばしば問題点として挙げられるのは、特に陸軍でありますように、小学生のうちから一般社会と隔絶して、陸軍幼年学校としてエリートを育成していく流れが大きかったと言えるでしょう。

より具体的に申しますと、戦前の日本の社会が、上記に見られるようにおかしくなったのは、俗にエリートと呼ばれる層が社会に台頭してきたことと関係が深いといわれています。その典型は、当時の帝国大学や陸軍士官学校・海軍兵学校などを恩賜組といわれる、優秀な成績で卒業した人々を指しています。

当時のエリートの大きな特徴は、一般社会から隔絶された環境で教育され、考え方が観念的なことでしょう。特に陸軍の場合は、小学生の年齢である幼年学校から隔離され、考え方や目線が一般社会から大きくかけ離れてしまったことが挙げられます。(今日、中央省庁のキャリア官僚が、一般企業や飲食店で研修するのも、こうした反省があるものと思われます。)

太平洋戦争の勃発に際して、アメリカなどから経済封鎖を受けた際には、引き下がることよりも、メンツのために打って出ることを選択し、さらには戦局が悪化しても、敗戦後の自らの立場しかみていないなどの、問題がありました。

全体的な傾向として、エリートは順調に行っている時は良いのですが、思い通りにならないと脆い傾向があるため、注意を要するものといえるでしょう。


また最近では、世論調査の結果がしばしば注目されていますが、当時の国民の世論では(当時では輿論と言われましたが)、開戦の際には「相手を懲らしめてしまえ。」と軍部などにも熱狂的な支持があったように思えます。
まさに当時はこうした動向や軍部などに、国民から熱烈な支持を受けていたことは大きなことと言えるでしょう。太平洋戦争の開戦以前の、満州事変や日中戦争の開戦においても、必ずしも軍部が一方的に独走してきた、というよりも、「もっとやれ!」というような国民感情が、逆に軍部を動かした面も否定できません。
そうした熱狂的な声から、逆に軍部も引くに引けなくなった面がありますので、実際に真珠湾攻撃を行った12月8日の開戦の日は、多くの国民は喜んだ面もあります。

また当時のマスコミも、戦意高揚のために国民を煽った面もあります。当初のうちは、軍部や政府がマスコミを使って、高揚を図った面もあるかもしれませんが、1度は利用したマスコミが走り出したら、誰も止められなくなってしまいました。

こうした意味で、組織の内部での異常な行動の面といい、常に空気や雰囲気で意思決定の流れが大きく決まってしまう点、さらには常に高揚しやすい国民世論などを含めまして、現在の社会においてもあまり変わらない面があり、今後においても注意を要する面があるといえるでしょう。

電気機器を設置する業務を行っています。冬場にはテレビや家電などの設置が多く、あまり問題になりませんが、夏場になりますと、エアコンの設置や工事・さらには撤去など、手間のかかる作業が増えますので、色々とトラブルが生じがちになってきます。
特にエアコンの工事は、お客様から「早くしてほしい。」「設置してもらったが、エアコンが効かない。」「設置した室外機の羽根が壊れており、回らずにどうしようもない。」などといったクレームが、比較的生じやすいですし、また夏の暑い時期にエアコンが効かないことから、どうしてもお客様がいら立たれる、お叱りを受ける、といったことも少なくありません。
そのため、クレーム情報に対するデータベースを整備して、同じようなミスが生じないよう、情報を共有したり、トラブルの際に電話を受けた担当者が異なって、言った言わないのトラブルが生じないよう、配慮していく必要があると思うのですが、どうでしょうか?


回答


もともと日本企業では、クレーム処理などの後向きな業務に投資することは消極的でしたが、一部の企業の成功事例として、クレーム情報をシステム化し、販売促進の大切なヒントとして認識し、無駄にしない姿勢を見習おうとするところも出てくるようになりました。

クレーム情報のデータベースは、おぼろげながらにはイメージすることは出来ると思われますが、具体的には以下のような機能を備えていることが多いようです。
1)クレームを受け付けてからお客様が納得するまで、全て時系列に登録する。
2)社内でデータベースとして共有する。
3)顧客名や製品名・クレーム内容などから履歴を調べられ、検索・閲覧が可能となる。

以上が基本としての機能で、企業によってはより情報を活用したり、サービス向上を図るため、加えて

4)個々のやりとりを記録して、「言った」「言わない」などの混乱しやすい押し問答をあらかじめ予防し、対応力の向上を図る。
5)商品別に検索することで、商品開発に関する改善や顧客ニーズの分析・発見などが行いやすくなり、商品開発のヒントにも大きく結びついたり、サービスの向上にもつながる、など副次的な効果が期待できる。

などの機能・効果が見込まれるでしょう。


こうしたクレーム管理のデータベースに関して、運用の際に注意すべき点は、まずは単純に入力項目を増やすだけでは、使われない場合も出てくるなどの事態が出てくることが挙げられます。

いくらクレーム情報を共有するためとはいえども、システムの機能や内容によっては使われない場合がありますので、注意が必要でしょう。主なポイントとしましては、必須項目の内容についてです。

あまりに入力を促す項目が多すぎると、逆に情報として時間がかかり、使ってもらえなくなるおそれの強いことから、入力必須とする項目や長さなどについては、事前によく検討しておくことが必要でしょう。
必ずしも分量を多くする必要はありませんが、必須とされる項目や内容は入力していく習慣を確立し、情報としての価値を持たせることが肝要です。

「2007年問題」では、団塊の世代のベテランが大量に退職してしまうことから、各企業では工程の自動化や、セル生産方式でも自動工程が増えている、といった内容だったように思えます。

確かにこうした方法も一策ではありますが、当社では手作業の内容が多いことから人手に頼らなくてはならないことが多く、具体的な対策を直ちに行っていかなくてはならないと思います。
また情報システムも人手が減って、前より選り好みも出来にくくなり、より高度な情報化によって、高い生産性を保っていかなくてはならないのも、重要な課題の1つです。

ベテランを再雇用し、若手を教えていく、といっても体力的な限界や労災なども、考慮しなくてはいけませんので、具体的に何か良い方法はありますでしょうか?


回答


多くの企業では、近々に生じるであろう団塊のベテランの定年退職に備えまして、人材の確保など色々な戦略を打っております。
しかし、人材の確保では固定費が嵩むことを危惧する場合や、外注で振り分けることの多い企業では、ベテランの各作業・工程そのものを、文字・画像・動画などでデータベースとして構築することが進んでいます。

例えば、技術情報のデータベースとして、写真や文字情報などでナレッジマネジメントとして、データベースを構築する例は結構見られますが、熟練したベテランの職人芸を蓄積・保存するため、実際に工程をビデオ撮影しておき、動画データベースを活用する場合も見られるようになりました。
経験に基づくカンやテクニックなどを蓄積し、継承する取り組みが広がってい傾向が見られており、今まで個人のノウハウに依存していたものが、会社として技能を確保する動きとなっています。

また技能を伝承するために、非常に困難といわれながらもあえて過去のヒット製品を復刻した例もあります。
数年前にはトヨタでは、1950年代の初代クラウンのデザインを復刻した「オリジン」の例があり、内容は現代の車なのですが、ボディの工程やプレスなどの伝承を行った例もありますし、工場の片隅で実際に初代カローラなどの過去の車をレストアするなど、技能の伝承に努めている例も見られるようになりました。

こうした工程そのものをデータベースにしたとしても、文字や画像などで適当に記載されているだけでは、単なる情報の羅列やマニュアルであって、ノウハウや知識として伝承していくことは難しい面が課題と言えるでしょう。
確かに文字や画像だけでは、単純に「作業手順」や「業務マニュアル」としての性格が強まってしまい、ノウハウの伝承といった面まで表現できない面が大きくなってしまうことは否めません。そうした対策の1つとして、ビデオカメラなどで動画として工程を記録するなどの試みが行われるようになりました。
動画で記録するメリットは、やはり限界はありますが文書では表現できないベテランのノウハウやコツを実演で示せることでしょう。工程を実際に見ることで、ある程度は実際の動きを参考にしている例も見られるようになりました。

また工程のノウハウ以外にも、失敗しやすい事例や品質基準などが設けられ、ベテランが制作して若手に継承していくこと以外にも、実際の現場における手順書となったり、社内に人手の足りなく外注する場合には、外注先への作業マニュアルとなるなど、副次的な効果が挙げられるようになっていることも挙げられます。

また、実際にデータベース化する際、社内における活用度が低かったり、会社から言われたから受身でこうしたナレッジマネジメントの内容を制作した、という場合には、内容の整理が不十分となりやすく、野ざらしになりやすい面も否定できません。

重要なポイントは、実際の工程で何がノウハウなのかを分析することが挙げられます。コツやカンは極めて直感的となることから、実際にベテランに聞いても、無意
識にやっている場合が多いことから、十分に説明し切れるものでもありません。そのため最も効率的なのは、ベテランの各工程を細かく各要素ごとに分解して、どの部分がベテランにしか出来ないノウハウなのか、またそれ以外の部分は若手や誰にでも出来る工程なのかを細かく検討することが挙げられます。

ポイントとなるのは、ベテランの業務を分析していきながら、個別に細分化したり、動きがあるものや数値化が難しいものでも、再現性のあるものでしたら、ロジックに置き換えていく努力が欠かせないでしょう。

そうしていきますと、熟練工がいわゆる職人技と呼ばれている工程において、どのような判断をしているのか、といったしくみが分かってきますので、ロジックに導き出していく努力は、技能の継承と機械化を推し進めていく際には欠かせないでしょう。

この2-3年・コンプライアンス(法令の遵守)だけでなく、列車事故や相次ぐ不祥事など、企業内部の組織風土の改革、ということが言われています。
もともと日本では、雇用の流動性が少なく、そのことが組織の体質が硬直化しやすい、と言われているのですが、どうなのでしょうか?


回答


仮にかなり自由な企業であっても、日本企業の多くは雇用の流動性が比較的少ないこと、また部門間のヨコのつながり、上司と部下のタテのつながり・前任者と後任者の「時間」のつながりが不十分なケースというのは、多くの企業の中でトラブルが起こりやすいもので、組織や経営の面で断層が生じやすいものといえるでしょう。

組織の健全度を図るものとして、以下の項目が挙げられますが、あてはまる項目が多い場合は注意を要しますし、こうした差が良い企業とそうでない企業の差を分けるものといえるでしょう。

1)経営スピードが遅い。
2)会社に求心力がなく、組織として過度に分権主義で、部門ごとにめいめい勝手に展開する場合が多い。
3)部門同士や子会社などで、カベ意識が強い。
4)社員自らの業務と、業績向上に因果関係が見えにくい。


例えばソニーやホンダのように、外部からは自由闊達に見える企業でも、ホンダでは90年代に、ソニーでは比較的最近から、大企業病にさいなまれているようです。
どんなに闊達な組織でも、規模が大きくなって管理組織が必要になると、社員の働きと業績がシンクロしなくなることから、当事者意識が薄れてしまい、「自分がやらなくても何とかなる。」といった待ちや受身の姿勢が、必然的に出やすくなる傾向が挙げられると思います。

こうした問題は日本では、学生から社会人となって、しばらく勤めてから阿吽の呼吸で分かってきますが、海外ではビジネススクールや経済学の中で、「エージェンシー・コスト」として概念を身につけることから、問題意識の差も出てくると言えるでしょう。

エージェンシーコストとは、株主や経営者が実際に現場の業務に関してモニタリングを行っても、外部と内部のギャップがありますし、また当事者かそうでないかで情報量に大きな差異が生まれますので、内部の従業員が実際に会社や投資家にとって本当に利益をもたらす行動をしているか、判断が取れない、といった概念を指しています。
そのため、会社全体よりも社員自らの幸福の追求(会社生活の場合、一般的には身分や立場の安定ですし、さらにはポストや役職・給与といったことが当てはまります。)をあまりに求めすぎてしまいますと、利害が一致しなくなっていくことが挙げられるでしょう。


確かに組織の内部に居ましても、大きくなっていくと、中にいる者にとっては明らかに風通しが悪くなるのを感じる場合、その多くは外部からの情報が入りにくくなることが、大きな要因の1つでしょう。これは大きな要因として、内部調整が業務の軸として比重が大きくなることと、大きな組織に属している安心感から、情報感覚が鈍磨しやすい面があるなど、外よりも内向きになりやすいためといえるでしょう。

情報感度の鈍りは他にも、部門内や会社として、情報を共有しようとする意欲や、意思決定のスピードの遅さにつながるようになり、組織全体に悪影響を及ぼすことにつながりかねません。

情報伝達の効率が悪くなると、知識やスキルなどの共有や伝承ができなくなることから、同じ会社でも部門や担当者が異なることによって、同じ失敗を何度もするようになるなど、たこつぼにこもって闘うような形となりやすいため、注意が必要でしょう。

こうした場合、社内のイントラネットの整備や情報の共有化によって、外部の情報としては、市場全体の売上動向や営業状況など、最新情報を共有していくプロセスが有効でしょうし、企業内部で情報が滞留してしまう場合には、社内の方針を提示することや、事例集などを整備していくことなども有効でしょう。

すでに団塊の世代が大量に退職する、「2007年問題」は以前は大きな話題になっていましたが、最近はそれすらが当たり前のような状況となってしまいました。
それ以前に大騒ぎになっているのは、急速なペースで進んでいる少子高齢化と、間もなく実際に来るであろう、人口そのものが減少していく社会です。
他国では、例えばアメリカやヨーロッパなどでは、労働力を補うために移民政策を取っていますが、日本では治安の悪化や失業など雇用情勢を恐れて、他国ほどの動きはないように思えます。
かつては高齢化社会は、だいぶ先のものとして見られてみましたが、直近の課題として、人事戦略や採用などは、とらえていく必要があるように思えます。
一般的な状況として、どのように認識されているのでしょうか?


回答


ほんの2-3年前では、「あまりに先の話で、現時点で想定することではない。」「荒唐無稽だ。」といわれていましたが、団塊の世代が大量退職する2007年問題が現実化しており、スキルの継承や人材確保に追われていることなどから、にわかに現実味を帯びるようになってきました。

また人口が増加するのが今年までで、来年からは人口が減少してしまいますが、逆に市場のパイそのものが縮小してしまう、ということで、危機感を急に持つようになってきました。

また国内ではいろいろな産業がありますが、国際競争力を強く持っているのは製造業でしょう。最近では、団塊世代の引退が予想されることから、工場勤務の方の求人募集が増えていますが、ノウハウの伝承は一連の「2007年問題」などの対策ですが、工場などの生産設備ですが、90年代にバブル崩壊以降の過剰設備や、円高によるコスト高により海外に移転するなど、大きな激変がありましたが、再び団塊世代の退職による人材不足や、少子化による市場のパイの縮小により、大きな変化が生じてくるようになりました。
製造工程の自動化は、かつては中国や東南アジアの安価な労働力と競争するためのコスト削減や、また人手をかけずに品質を高めようとするのが、大きな目的でしたが、今回のように近未来の社会を想定して、自動化することは、初めてといえるでしょう。


特に自動車の場合、特に日本人は品質へのこだわりが極めて強いですので、海外のメーカーではざらにある、塗装の色むらや、ボディとドアの"ちり"と呼ばれる隙間の精度が合っているか、といったことを強く気にする傾向が見られます。特に国産の高級車は、ボディとドアの継ぎ目にできる、すき間やゆがみがあると、品質感が大きく損なわれて、不評でした。
(海外メーカーの場合、欧州の1000万円強の高級車を購入したユーザーでも、向こうではこうしたニーズが求められないことから、ボディのちりは比較的大まかなため、不評の場合もあるようです。)

今までは仕上げの段階で、熟練工が目視ないしは実際に手の触感で確認し、仕上げが不十分な場合には、ラインを止めて元となる設備を直していくことが行われていました。

ところが昨今では、こうした熟練工が高齢化し退職することを想定したり、工場全体において、人手不足になることをふまえて、ボディの形状や塗装の色むらなど、精密に計測するための自動化設備の導入が大幅に進み、全ての完成品を自動で検査するようになりました。

組立てや検査の工程は機械化が難しく、熟練工のスキルに依存する要素が強かったですが、その分野を自動化してコストを削減し、人手に依存する要素を減らして将来に備えるかが、大きなポイントとなってきています。

また少子高齢化によって、人口そのものが減少することが間近になっています。最近では製造業のブルーカラーの求人が増えていますが、労働条件が厳しい・夜間のシフトがあるなど、雇用情勢が厳しくても、そもそもなかなか集まりが悪い面も否定できません。

そのため、熟練工のスキルのギャップを埋めるために、製造工程の自動化や情報技術のさらなる活用といったことも欠かせなくなってきております。
今までは単純に自動化する、といった次元で済んでいましたが、在庫管理やサプライチェーンといった、かなり高次元の情報化ツールを使いこなして行かないと、従前と同じような生産性や競争力を保てなくなる可能性が強くなってきました。

また労働力自体が不足すると、システムトラブルなどの際に、人手で対処すること自体も難しくなるでしょう。
今まではまだ、情報システムに関して選り好みをする余力があったのですが、生産性を補って国際競争力を保つためにも、高次元の情報化スキルやリテラシーといったものが求められるといえるでしょう。

効果がある・ないと、色々見解が分かれているようですが、情報化投資の費用対効果は、確かに判断しづらい面があるように思えます。
経営判断として、効果が見えない・見えづらいIT投資には、どうしても慎重にならざるを得ません。また間接部門での効果や業務効率が上がる、といった後ろ向きのものよりは、何か即効性のあるもので、と思っております。
何か具体的なポイントは存在するのでしょうか?


回答


確かに情報化投資は、その効果が見えにくい、もしくは見えない傾向があることは否定できませんので、IT投資が増えているとはいっても、慎重にならざるを得ない企業は少なくないといえるでしょう。
しかし、このような状況でも、ITを上手く活用して成長している中堅・中小企業も存在しておりますが、その最大の特徴は、目的や使途を1点に絞って、短期間で効果を発揮できるようにしていることが、大きな特徴といえるでしょう。


大企業では、人材・資金の面で恵まれている部分は少なくありません。中小企業も同じ土俵に立ってはいけないと認識しておりますが、方法としましては、

本来であれば、コンピュータ雑誌や専門書にありますような、
「あらゆる業務・部署にあわせたIT化を進める。」
「現場でのトラブルを防止し、品質を高めるため、十分にテストを行い機能を揃えてから現場の一部の部署から段階的に導入する。」
などといった、定石通りに進めていくと、費用や手間がかかるだけではなく、なによりもスピードや時間が大きく損なわれ、ライバル企業などに機先を制することが難しくなってしまいます。

そのため、
(1)まずは短期間で、実際に現場で使えるレベルにまで持っていけるシステムの開発を行う。
(2)即効性を溌揮する分野を選択し、深く特化した情報化を行う。

ことが肝要といえるでしょう。


確かに目的や用途を絞った一点集中を行っていく必要性についてですが、単純な話ですが、資金や人材が大企業と中小企業でまともに勝負しても敵いませんので、目的や用途を絞って集中して経営資源に力を入れていくことによって、土俵を限定した上で、大企業と互角・もしくはそれ以上となるために、欠かせない戦略といえるためです。
中小企業の経営では、顧客からの幅広いニーズに対応するため、右肩上がりの経済環境だったことから、ニーズの取りこぼしを最小化して成長していくことが重要な戦略でした。そのため、事業範囲を絞ることは、リスクや不安を倍加させるものと、危惧する向きも少なくありません。
ところが、昨今のように経済が低成長となりますと、市場のパイが限られて競争が激化するため、多角化したままですと、経営資源が大きく分散されてしまい、大企業や他の中小企業などとの競争に敗れてしまう可能性が、大幅に高まってしまいます。
したがって、経営においても競争力のある分野に特化していく必要が生じてきますし、システム投資もそれに合わせて行う必要も生じてくるといえるでしょう。


中小企業の中で、先進的な企業の取り組みの中で、特徴的なものは、例えば、顧客管理用のデータベースを構築する場合、一般的には既存顧客のアフターサービスなどの目的に使われることが多いですが、その際に営業やマーケティングの部門にも活用してもらう、となりますと、システム自体がより大規模になることも珍しくありません。
こうなりますと、サーバ上にデータベースを構築するなど、ハード・ソフト共にかなり高額になることが予想されます。全社的に利用者が増え、必ず活用されるのでしたら投資も回収できて良いのですが、必ずしも成功する場合とは限らず、現場が散々要望していても、実際には使われずにほったらかし、ということも珍しくありません。
そのため、従業員が数十名から百名前後の企業規模・もしくはアフターサービスなどの部門内だけで顧客管理のシステムを活用する場合に限定されますが、パソコン上や携帯情報端末で動作し、携帯電話から参照できるような、より簡略化されたデータベースや、ソフトウエアなどを活用して、機能や利用人数などを限定することによって、情報化に成功するパターンも見られています。


確かに用途が限定されてしまいますと、すぐにシステムの規模を大きくするなど、またすぐに変更になるという懸念もあるのですが、企業規模が急激に大きくなったり、現場で活用していることから、キャパシティが足りなくなる、ということがありますが、それだけ活用されて投資が回収されている状況でもあります。また具体的なニーズや、必要とされる機能がはっきりしていることから、あまりムダはないと言えるでしょう。
このように、間接費用を必要最小限としたり、利益を向上させるため、まずは必要最小限の機能を突きつめて、その範囲内に特化した情報化を深めていくことが挙げられます。


中小企業の場合、いくら経営者のリーダーシップが届きやすい環境にあるといっても、一気に導入を定着していくのは、現場の混乱や反発も予想されますし、なかなか容易ではないような印象があります。
成功している企業では、以下のように、いくつかの取り組みが挙げられます。

1)信賞必罰を明確にする。
例えば、活用度の低い社員や非協力的な社員については、評価を厳しくしたり、なかには実際に給与などに影響するなど、評価項目の1つとして設けておき、信賞必罰を行っている場合も見られます。

2)経営者(特に社長自身)が、実際に生データを見たり、日常に活用するなど、現場が活用せざるを得ない環境を作っていく。
経営者が、日常的に新しく導入したシステムのデータを見たり、活用していますと、会社の訓示や指示など、使っていないと全く分からない、話にもついて行けない、といった状況となってしまいます。
活用せざるを得ない状況・環境を醸成していく、ということも1つの要因といえるでしょう。

以前は、「新・三種の神器」と言われ、デジタル景気に大きく貢献したとされる、デジタルカメラが、最近早々に価格の低下にさいなまれ、デジタルに大きくシフトしたメーカーによっては、収益が大幅に悪化して、工場が閉鎖することになったようですが、なぜでしょうか?


回答


単純な理由としては、製品単価の下落と新商品を発売するのが遅れたことが大きく影響したといえるでしょう。
特にデジタルカメラに大きくシフトし、一時は"勝ち組"の代表格とされたオリンパスでは、生産拠点を統廃合することになりましたが、その背景には、大ヒットする機種が少なく、他のメーカーと比較して販売単価が大きく下落したことが挙げられます。

最近では、携帯電話のカメラ機能も高画質化されて、持ち運びの際には携帯電話だけ、ということも増えていますし、またデジタルビデオカメラで代用する、ということも増えています。今までのデジタルカメラの成長神話そのものに、かげりが生じているの面もあるようです。
パソコンやホームページ上の利用や、家族などの記念写真の用途では、200~300万画素あれば十分に足りるのですが、全体的に画素数が増えていることもあり、かつては機能を補完できなかった、携帯電話やデジタルビデオカメラとの垣根が少なくなり、取って代わられることも出てくるようになってきました。

デジタルカメラで大きな利益を得たビジネスモデルは、以下のように

1)他社に先んじて、新製品を発売する。
2)目新しさから値引き幅も減少するため、先行利益を確保する。
3)製品寿命が見えてくるようになってから、価格競争によって販売台数と量産効果を見出す。
4)頻繁にモデルチェンジとスペックアップを行い、新規及び代替を促す流れを確立する。

ことでしたが、新機種の発売が遅れてしまったり、成長神話にかげりが出始めてしまうと、こうしたビジネスモデル自体が通用しにくくなっていることが、かげりの兆候ともいえますし、在庫を過剰に抱えてしまう、リスク要因になってしまうといえるでしょう。


実際にデジタルカメラのCCDを作っているところは、世界的にもサンヨーやソニー・海外ではフィリップスなど、数社といわれています。
キヤノンではCCDの市況に振り回されないため、また量産効果でコスト削減と性能向上図るため、CCDではなく、WEBカメラなどに使われている、安価なCMOSを使っていますが、高い画素数で競争していると、CCDの元のサイズが小さいためか、画素が上がっても、実際に使ってみればあまり画質が向上したという実感があまりないように思えます。
そうしたことも、デジタルカメラ不調の原因になっているものと思われます。


デジタルカメラ全体のかげりは、第一には上記のようなビジネスモデルが通りにくくなっているということ、第二に他の携帯電話などとの垣根が低くなっていることもありますが、もう1つの大きな要因としましては、小さなサイズのCCDのまま、安易に高画素の競争をしていったことが挙げられます。

デジタルカメラは、元々CCDの価格が極めて高額だったこともあり、CCDの大きさを小さくし、光学レンズもそれに合わせて、口径の小さなレンズが用いられてきました。
レンズの口径を小さくすると、解像度が上がりやすくなる・コストも下がる・小型化できる、ということもあり、大きく普及に貢献してきましたが、600万画素や800万画素と、小さなCCDのままで画素数のみを安易に拡大してきた結果、CCDそのものの物理的な隙間が逆に出るようになり、画質などの面で限界を迎えるようになってしまいました。

また、価格が数年前には数十万円で、現在では実売価格が10万前後となりましたが、依然として価格の高めな1眼レフのデジタルカメラは、ほとんどはCCDの大きさが35ミリフィルムの2/3の大きさである、かつてのAPSのフィルムとほぼ同じ大きさですが、例えば同じ600万画素でも、画質や解像度に大きな違いが、一般の消費者にも認識され始めたことも大きいと思います。

しかし、CCDのサイズを大きくすることは、大幅なコストアップもありますし、なによりもカメラ本体の大きさが大きく重くなりますので、それだけで一部のマニア以外から見放されてしまい、市場が大きく狭まっていく、といったリスクを無視できなくなり、なかなか難しいといっても良いでしょう。


日本では、カメラやデジタル腕時計・電卓などのように、1度普及していくと、果てしない量産と価格の低下が起こった後には、そのものが空気のような水のような存在になる、何事も"消費"してしまう文化が、モノを飽きさせる土壌になっている面も、1つの傾向としてあるでしょう。


日本の市場の大きな特徴として、電卓のように、当初は高額であこがれの的になっている商品が、多くの企業があい次いで参入・競争していくうちに、消費者に飽きられてしまい、ごくごく普通な、空気のような存在になってしまうことも少なくありません。

こうしたような、商品が普及していくプロセスは、国によって異なり、最も差が出てくるのは、バックオーダーを抱えて嬉しい悲鳴を上げているときに、以下のように方針の差がはっきりと出る傾向にあるようです。

(1)バックオーダーに対して、大量に増産して安く対応する場合
これはかつての松下の"水道哲学"に近いですが、どんどん増産して、価格を下げ市場のニーズに素早く対応し、先にシェアと売上高を増やしていく手法。--日本やアメリカの企業の戦略に顕著といえます。

(2)人気が出るほど、逆に生産量を減らして時にはプレミアを付ける場合
逆に商品の人気が出ても、生産量の増大は図らず、逆に数を絞ったり価格は不変・もしくは高付加価値化し、ブランドイメージを高めて先に利益を確実に確保する手法。--ヨーロッパ企業の戦略に顕著です。

日本の市場のように、今回のデジタルカメラを含めて、商品の魅力そのものをかつての電卓のように"消費"して飽きられてしまうことも、企業の体質強化にはあまり好ましくない面も否定できません。
しかし、過度にブランドイメージを高め、モノから受ける便益よりも明らかに高い対価を支払う、というのは、そもそも商慣習として適切か、という疑問はついて回ることも確かでしょう。
昨今のように変化の激しい時代にあっても、商品としてのライフサイクル、ということを中長期的な観点から想定しておくことも、重要なポイントといえるでしょう。

ユーザーの側も、情報システムやベンダーの進んでいる方向など、ある意味目の肥えてきた面も生じてきましたことから、一般的に言われている"定説"などが本当 にそうなのか、または"ユーザー企業側が常日頃感じる素朴な疑問"といったこと を検証してみたいと思います。


回答


◎質問1
そもそも、IT(情報技術)の時代だといわれてから、何年か経っているのですが、中小企業のIT化は進んでいるのでしょうか?


▼回答1
全体的には進んでいるといえるでしょう。
ただし、先進的な中小企業では昨年度に実施されました、経済産業省の「IT経営応援隊」の"IT経営百選"に選ばれるような企業ですと、活用の度合いや経営革新への結びつきが、一部の大企業よりも進んでいる感を受けます。
しかし中には、数年前からまったく情報化の状況が変わらない、といった企業も見られますので、結論は平均としては進んでいても二極分化になっていると言えるでしょう。


◎質問2
IT投資と労働生産性の向上には関わりがないと言われています。そのためよく、「IT投資は効果がない」といわれていますが、どうなのでしょうか?


▼回答2
単純に情報化だけ進めても、効果は限られるといったほうが良いでしょう。逆に目的が明確でそのためにITが不可欠、という場合に、大きな効果を生み出す傾向が強いといえるでしょう。
またサプライチェーンの導入も、在庫の削減や、製販情報を共有していくといった大きな目的があり、その実現のためにITを積極的に活用していく、といった形で"はじめに新しいビジネスモデルありき"といった考え方が徹底していると、成功する確率が飛躍的に高まりますが、逆に"他社もやっているから"、"上に言われたから"といった動機ですと、はじめの動機が低いことから、効果を生み出すのは難しいでしょう。


◎質問3
やはり中小企業にも、大企業と同様に専任の担当者が必要だと、色々と雑誌や講演なのでいわれています。しかし本業のやらなくてはいけない業務や、人件費などから、そうもいきません。


▼回答3
中小企業の場合、情報化を担当する社員が1人から数名のことが多く、中には社長管理業務の責任者が掛け持ちで行っている場合も少なくありません。
専任兼任の必要性は必ずしもありませんし、必ずしもコンピュータに詳しくなる必要はありませんが、会社の今後の戦略や方針に合わせて、今後情報化をどのように進めていくか、といった観点で仕事を進めていくことが重要といえるでしょう。
最も注意しなければならないのは、単純にパソコンの詳しい若い社員に、わからないからとすべてを丸投げしてしまうケースです。この場合、会社全体の観点というよりも、個人的な趣味や嗜好といったものに大きく左右されますので、注意が必要でしょう。


◎質問4
そもそも情報化しても必ずしも効果が出ない、と嘆くのは、現行の情報システムの保守運用にコストが要され、新しい分野に投資が回らない傾向が強いのではないでしょうか?


▼回答4
企業の中には、現行の大きく膨れ上がった情報システムの管理運用のみで汲々としてしまうことも少なくありませんし、巨額な情報システム投資が一因となって、流通業や金融業などでは、合併や経営統合するケースも見られるようになりました。

米国の統計では、IT投資の実に2/3が、既存のシステムに要している、といった結果が出たこともありましたが、こうした既存の費用を抑制し、新しい戦略的な方向にシフトしていくために、既存システムで余計な機能・または使われるかどうかわからない機能に対しては、見切りをつけて使わない、または業務のほうで見直
していく、といったことも出てくるようになりました。
既存の情報システムで、必要以上の機能の絞り込みは、保守運用の人件費だけではなく、データを処理していくハードウエアの性能に余力が生まれ、ハードの費用も節約できる、といった副次的な効果も出る傾向が見られます。


◎質問5
日本でIT投資が上手く行きにくいのは、目的がきちんと定められていない、要件があいまいなまま進められていると言われていますが、どうなのでしょうか?


▼回答5
日本では、一般的な傾向としてパッケージソフトをカスタマイズする際にも、新規にシステム開発を行う際にも、年に1度から数回しか使わない機能でも、予算を取れるうちに取ってしまおう、ということからはじめの要求定義のところで、機能が膨れ上がる傾向にあることは否めません。
必要以上に機能を盛り込みすぎることや、コンセンサスを得るまで詳細を打ち合わせていくことから、なかなか仕様がまとまらないことが多く、そのために納期が遅れたり所定外のコストを要することも少なくありません。
機能の絞込みと、プロジェクトのマネジメントによって、こうした事態に対しては少なからず効果があるものといえるでしょう。


◎質問6
どうして、ソフトウエアやハードウエアに関していえば、予算の上限をはっきりさせておかないと、見積を取る際に、ケタが1つから下手をすれば2つ違う、というような事態になるのでしょうか?


▼回答6
結論から申しますと、見積の作成を依頼する際に、利用する人員や組織の大きさなどといった規模と、使用頻度などの伝え方があいまいだったために、受け手のベンダー側のほうで解釈を膨らませた可能性が強いものと考えられます。
これはベンダー側の担当者が、必要以上に構成が膨れ上がっても"良かれと思って機能の多いシステムを選定した。"場合と、"会社の売上があるので、あまり必要性がないにもかかわらず、過度に盛り込んだ。"といったケースが当てはまると思われます。
そのため、ベンダーに解釈の誤解が生じないよう、あらかじめ予算の上限や必要な機能などを絞り込んでいくことが重要になるといえるでしょう。


◎質問7
よくシステム開発の際に「仕様や要件がまとまらない」「なかなか話が進まない」というような話から、納期の遅れや予算の大幅な超過、といったことが相次いでいますが、どうしてこのような事態が多発するのでしょうか?


▼回答7
例えば、経営陣サイドや現場での要望や課題が多く、意見集約が難しい、何度もヒアリングや仕様確定のための打合せを行っても、まとまらない、ということであれば、根本的な要件・機能の定義といった、業務の進め方や打合せの仕方自体に課題を抱えている場合が大きいですので、注意が必要でしょう。

業務の進め方と致しましては、
1)必ず今後の予定などを踏まえて、期限を設けておく。
2)実現する機能を、必要度と優先順位・予算などに応じて、現時点で達成すべきものと、1度稼動させた後に機能を追加したり改修したりして対応すべきか、見極めのポイントを明確にする。
3)言いっぱなしで、議論の方向性が拡散するような進め方ではなく、常に一定の結論付けるような打合せを心がける。

ということが、重要になってくるでしょう。


◎質問8
システム開発のプロジェクト管理で、最も気をつけなくてはならない点は、どういうことでしょうか?


▼回答8
最も重要なのは、期間が長くなり、またその際のワークロードの負荷も大きくなりますことから、本来の目的が見失いやすくなり、当初の目的や期待している効果、といった視点を見落としやすくなってしまいますので、まずは当初の原点を常に明らかにしておくことが先決といえるでしょう。


◎質問9
経営者に情報システムの件で説得しようと思っても、なかなか信用してくれません。また最近では前と違って、情報システム事態の重要性は理解されているようですが、システムコンサルタントやERPのベンダーの言うことを信じても、社内の情報システム部は、あまり信用されません。
どうしたら良いのでしょうか?


▼回答9
システムコンサルタントやERPのベンダーなどが、経営者に対して行うセールス活動の1つとして、意図的に社内の情報システム部門を仮想敵としてライバル意識し、この部門を整理縮小していくか、情報システム部門は既存のシステムのお守りばかりしており、あまり価値がない、といった触れ込みを少なからず行う場合が見
られる事例もあります。
そうしたトークを中には完全に信じ込む場合がありますので、注意が必要です。ただ物事には原因と結果、というものがついてまわりますが、情報システム部門自体で、元々社内や経営陣に向かって役割や主張をあまりしてこなかった、言われたことだけしていれば良い、といった受身の体質が強い場合は、このように経営陣から不信感を受けてしまうことが多いように思えますので、常に会社の今後の方針に合わせた、建設的な主張といったものが欠かせないでしょう。


◎質問10
個人情報保護法が施行されました。個人情報の漏えいなど、より神経質となりつつありますが、ソフトウエアの開発では、最終的なテストを行う際に、実データを用いなければなりません。
その際に担当するのは、ベンダーの孫請けひ孫請けのエンジニア、ということが珍しくありませんが、不安で仕方ありません。どうしたものでしょうか?


▼回答10
一般的には子会社孫会社でも、機密保持契約を締結する場合が多いですので、システム開発やテストを委託している場合、自社に発生する責任は無くなります。また下請け・孫請けといった構造をそもそも持っている場合には、委託先が責任を持つような契約を交わしておけば良いでしょう。
それでも法的もしくは業務上のリスクが避けられるだけで、実際に情報の漏えいなどが生じてしまった場合には、社会的な信用の低下といった損失は避けられませんので、注意が必要です。

90年代の不況以降、企業は人件費の総額を抑制するために、成果主義の人事制度 を導入するところが、ほとんどとなったようですね。
ところがその運用に際して、色々と運用や制度の改善を行っても、社員が不満を持 つケースが多く、働く意欲が薄れたり会社のやり方に納得がいかないなどの不満が あるように思えますが、どうなのでしょうか?


回答


企業の業績に応じて賃金などを決めていく、いわゆる成果主義を導入している企業は、実に9割近くに達するものといわれています。ところが、従業員の適正な評価が出来ているか、社員が納得しているかといえば、その評価はかなり低いと言わざるを得ません。


まずは、成果主義を導入したメリットについてですが、以下の点が挙げられます。

(1)会社の経営方針や目標を、社員個人まで理解させる
成果主義を導入している企業の多くは、会社の方向に対して、各部門の目標をブレイクダウンし、個人にも反映する場合が多いですが、個人の目標達成が、会社の目標達成に大きく貢献する観点や、ビジョンの共有ではプラスだったと思われます。

(2)社員の競争する意識や使命感を高める
元々は、取締役以上か会社の部課長クラスの一部くらいしか、会社の業績と個人の頑張りが直接関わりを持つように見られない面がありましたが、成果主義の導入によって、営業のように目に見えやすい結果のある部門では、社員の競争意識の高まりや、自らの仕事に対する使命感などに、効果があった企業も見られるようになりました。

逆にデメリットは、

(1)社員の意欲の低下
本来は意欲や競争意識を高めるために導入した制度が、逆に「上司の評価や賃金への反映が不満だ。」ということで、意欲が大きく低下したり、職場自体が荒廃してしまう場合も、見られています。

(2)社員のチャレンジ精神の薄れ
目標における達成度を評価していくことから、社員の側もあえてリスクの高い、高い目標を設定するのではなく、必ず達成できるであろう低めの目標を設定し、実施・運用してしまう場合が見られるようになりました。
この場合、会社全体の業績が低迷してしまったり、「目標を設定した仕事以外はやらなくても良い。またはやっていても評価されない。」といった、マイナス面も少なからず見られるようになりました。

(3)個人の実績や評価が難しい
成果主義を導入して間もない企業や、導入していても現場の裁量に大きく依存する企業の場合、制度自体の運用に苦しむ面も少なくありません。
成果主義の場合、評価する上司自体が2-3年で異動してしまうことも少なくありませんし、相性や好き嫌いといったものも無視できません。
また社員自身も、実力だけで全てが判断されるわけではなく、仕事のめぐり合わせなどで、実績の良かった年もありますし、悪い年もあるなど、仕事の波や運不運といった要素に左右される場合があるなど、中途半端に成果主義の制度を導入していった場合には、それこそ、「上司の相性と自分の仕事運」といった領域で評価されてしまうなど、その運用面に課題があることが挙げられます。

逆にほんの少し前まで、「こうした成果主義が現場に不満が残っても、会社が生き残っていくためにはやむを得ない。」という面がありましたが、最近では多少業績が持ち直したためでしょうか、または現場でモラルが低下したためでしょうか、見直しをしていく見方が主流となってきました。

企業の側も、不十分な形で成果主義を導入して、現場が大きく疲弊したことについては認識しており、今までのような制度や運用方法ではいけない、ということで、以下のように様々な方策が取られている傾向が挙げられます。

(1)目標の達成度ではなく、能力で評価する
80年代から導入されている企業が多いものの、次第に年功制度と化していった能力給を、再び能力本位に運用するパターンも見られるようになりました。
特に評価の面での客観性や公平性に欠く場合が多かったですので、専門能力や管理能力などを、上司や人事などの管理部門が多面的に評価し、個人と会社の業績に連動して賃金を決定する企業も、出てくるようになりました。

(2)外部資格などで評価を行う
システムエンジニアなどの技術職や専門職に限定されますが、システムインテグレータなどによっては、経済産業省が定めた情報技術に関するスキル(ITSS)に連動して、能力を評価する仕組みも見られています。

(3)評価基準自体を透明にする
評価がそのものが、上司によるバイアスや部門による差異で不公平が生じにくいよう、職種や業務内容に応じて、数百に及ぶ職能を定義して、会社側が社員に求めている能力を規定することによって、基準そのものをガラス張りにするなどの試みも行われています。

JR西日本による、福知山線の電車事故の話題が一時期持ちきりになりました。
事故当日に大きな被害が発生しているにもかかわらず、他の電車区でゴルフや遊興 をしてきた、という認識の甘さや、「他の部署なので自分には関係ない。」といっ たセクショナリズムや企業風土が、深刻なようです。

大きな会社や官僚組織などといったところでは、社会の状況が変化して、自分のと ころに不利になっているといった流れが読みにくくなっていたり、状況が悪いのを なかなか認めたがらない、といった動きが顕著にあるようですが、どうなのでしょ うか?


回答


しばしば、"組織の壁""部門の壁"など、色々といわれています。
よく、「日本企業はこうした壁が厚く、外資のほうがよりスピーディだ。」とも言われていますが、外資系でも状況が悪いにもかかわらず、面子や本国への報告などから頑迷固陋になっている企業もありますし、逆に国内企業でも、機敏に対応しているところもあるなど千差万別で、企業風土や組織の健全度の度合いといったもの
のほうが大きいと考えられます。

いわゆる"組織の壁"といったものが生まれやすくなることについてですが、会社によっては、風通しの良い場合もあれば、他部門に関する知識や人脈もなく、自分及び自分が属している部門の業績しか責任を持たない場合もあります。
特に後者の場合、社員の持つ意識や社内におけるネットワーク・責任意識の持ち方などから、各部門における意識や個人1人1人から、壁意識が生まれやすくなるといえるでしょう。

こうした"壁"が生まれやすい要因として、

1)管理職のキャリア形成の幅が狭い
以前の日本的経営の中では、終身雇用の中でゼネラリストとして、幅広く色々な部署で経験を積む、ということが一般的でしたが、最近では企業に余裕がないせいかキャリアを形成するためのローテーションが大幅に減少してくるようになりました。

2)強いリーダーシップがないために、組織が内向きになりやすい
例えばコスト意識の強い社長のもとでは、コピーや電話代に注意する社員が増えるように、トップの考え方や意向が、組織や社員に大きい影響をもたらすことには変わりありません。
逆に発信していても、ありきたりの発信内容では、社員の考え方や意識が外向きの顧客への応対などといったことから、管理強化や内部調整などに向かいやすくなってしまい、組織の壁が作られやすくなる傾向が見られます。

それでは良い組織といわれる尺度についてですが、以下の3点が挙げられます。

1)目的達成能力の高さと、確実な意思決定
組織の目的(例えば企業の場合は営利目的と、特定の製品・サービスを通じて社会に継続的に貢献するという役割がありますが)を達成する能力を高めるべく、組織として意志決定が、明確でなおかつ迅速に行われることが挙げられます。

2)命令の徹底と確実な実施
目的達成能力を高めるため、トップから出された指示・命令が、社員全員に徹底して、確実に実行されなければなりません。

3)能力の集中
仮に指示や命令が徹底していても、能力がなければ実現することは困難です。そのため目的達成には、人材・設備・資金などの能力が集中していることが欠かせません。
仮に1度意志決定が行われ、命令として徹底すれば、組織が実現に向けてどれだけ能力が集中されるかによって、成否が決まってくるといえるでしょう。

しかし、現実的には上記の3点の実現は、一見容易に見えてもなかなか難しいといえるでしょう。


実現が難しい点についてですが、以下のようになります。


1)意思決定のマイナス要因
小さな組織のうちはよいのですが、規模が大きくなってきますと、意志決定に加わる人数が増えていくことから、迅速さと明確さが失われていく場合が多くなります。

2)命令徹底のマイナス要因
これは日本の官僚組織において、顕著な例といえるでしょう。
仮に総理大臣や各官庁の大臣が下した命令が、官僚組織に徹底させていくことは皆無に等しいためです。
こうした現象は、どのような組織でも生じていることですが、規定上トップが下した命令には絶対服従となっていても、現場に下りるにしたがい、内容があいまいになることも珍しくありません。

3)能力集中のマイナス要因
現場の部門が能力を集中することは、それ以外の分野から能力を抽出する(人を異動させる)必要が生じてきます。そのため組織の公平さを崩すことにつながりやすく、結束を乱す原因となりえますので、全体調整が難しいといえるでしょう。

最近では日本でも、大手企業のM&Aは結構相次いでいますが、中小企業がオーナ ーが高齢化したり、事業を継続する意欲が薄れたりなどして、会社そのものを売却 することが増えていますが、どうなのでしょうか?


回答


欧米では経営者がリタイヤする際に、会社を売却して老後の資金などに充てる、といった話を良く聞きます。日本では今までは、家業は続けるもの・継ぐものとといった概念が強かったですし、また家業でなりわいを興している会社自体が、売り買いの対象にはなりませんでした。
近年では商工会議所の仲介や、専門の中小企業向けのM&A仲介業者などによって、売買されるようになってきましたが、公表される限りの情報では、売り手もしくは買い手の一方・または双方ともが未上場企業の場合の、M&Aの件数は、2004年では2年間より2割以上増加して、1600件余りと大幅に増加するようになりました。

会社を売却する理由としては、具体的には以下にありますように、いくつかの要因が挙げられます。

(1)子供などが、後継者になりたがらない場合が多い
後継者が不在もしくは未定、といった企業が全体の約3-4割ありますことから、昨今のように就職が厳しい状況でも、なかなかなり手がいない、ということも大きいものと思います。
具体的には、子供も小さい頃から親の苦労を見て育ってきているため、世襲そのものに嫌悪感を覚える場合が多い、親もまた子供に自分と同じような苦労をさせたくない、といったことから、必然的に会社そのものが成り立たなくなるパターンが増えているといっても良いでしょう。

(2)職業として、家業を継ぐことに魅力を感じていない
会社を継いでしまいますと、色々とライフプランにおける制約が出てきてしまいますので、そうした影響はあるかと思います。例えば、90年代のバブル崩壊以降から、廃業率が開業率を上回っている状況ですが、もとをただせば70年代以降から、会社設立の数そのものが減っている状況にあるといえます。
大きな要因としては、この時期から中小零細企業の経営者や取締役の給与の伸び率より、サラリーマンのほうがより伸びが大きい、といった経済的な理由が大きいためといえるでしょう。

(3)将来の不安が顕著である
最大の要因としては、これにあたると思われますが、老舗企業で事業構造の転換が困難だったり、運輸業では多い例なのですが、ディーゼル車規制などで追加で車両に投資せざるを得ない場合、会社の信用保証枠が既に目いっぱいで、なおかつ資金調達に際しても、追加で設定できる担保も無い、という状況では、会社経営そのものを断念してしまう、という場合も珍しく無くなってきました。


他にも、実際のところ、旅館などの場合には例えば従業員を雇っていたところが、固定費を抑制するために、家族だけで接客にあたったり、印刷会社などでは、今まで製版所のあった不動産を、居抜きで賃貸したり、そこにマンションを建てて、その家賃収入で一族でやっていく、といった、目に見えない"転廃業"といったものも増えている傾向があるといえるでしょう。

会社を継続していっても同族で後継者となる対象者がいない、もしくはいた場合にも、高齢化していて管理していくのが困難だったり、後を継いでも適性が欠けている、といった場合には、将来の事業不安や破綻リスクを考慮し、会社を売却して、その売却益で一族で肩を寄せて生きていくか、または手持ちの不動産や株式がある場合には、会社の存続をあくまで資産管理に徹してしまい、実質的な事業を行っていない、というパターンは、M&Aや廃業などの統計には入っておりませんが、実数としてはかなり多くなるものと見られます。

逆に買収する側の企業としては、例えば運輸業などの場合には許認可の問題がありますので、新規参入するより、買収したほうが入りやすい、といったメリットはあります。
最も多いのは、連結決算の時代となり、子会社として会社を買収したほうが、比較的容易かつスピーディに売上高や利益を増大できる、といった効果を期待するなどの魅力によって買収する場合が多いようです。

情報システムの場合には、そのまま動かしていくだけで費用も かかりますし、管理運用なども考慮しなくてはなりませんので、比較的費用が寝て しまいやすい、ムダになりやすいのではないでしょうか?


回答



※具体例
X社は、従業員が150名程度の製造業の会社です。同社の社長は、かねてより情報システム投資が熱心であり、ハードウエア・ソフトウエアともに、常に最新のものを選択することを嗜好しており、部門ごとのファイル共有サーバーやパソコンなどは2-3年ごとに入れ替え、また会計システムや人事システムなどのERPも、業界の中では、先進的に取り入れています。

売上や利益の向上を期待しているために、情報システムを積極的に導入しているのですが、こと顧客管理に関するCRMシステムや、顧客との商談において、違う担当者が類似の商談の情報や、顧客の要望事項やセールスポイントなどを共有するデータベースや、商談状況の進捗に関するシステム、また顧客管理システムについては、あまり利用度が高くない状況といえます。

営業支援系のシステムは、現場の営業担当者にとっては、あまりに正直に内容を記述すると、役員や本部長などから色々と指摘を受けますし、やる気が無くてほったらかしにしていると、ペナルティを喰らう、といったことから現場では「やらされている」感ばかりが強まっているようです。

自社のIT投資の効果について、検証したところ、ハードウエアについては、障害などで業務が停まってしまうことを恐れ、故障する以前や陳腐化してしまう前に、入れ替えしてしまうことから、投資のリターンが低く、サーバについては、最低でも3-4年程度はメモリの増設やハードディスクの交換はしながらも、使い続けていったほうが、償却との関係から望ましい、といったアドバイスを受けました。

加えてソフトウエアについては、バージョンアップに必ず応じていることから、社内での利用の混乱や、ヘルプデスクなどの応対の手間、といった機会損失が大きく、また十分に使いこなしていないうちに、更新してしまいますので、無形固定資産として使わない年数については償却していき、大きな無駄遣いとなっていました。

もともと、情報化投資を熱心に行うことは、オーナーである社長自身の税金対策といった面が大きく、「そのまま税金で払うくらいだったら、何か社内で役に立つものを」といった視点で、決算末近くなってから、予算額に応じて色々と導入していくため、体系だてたものや投資に対するチェックや規律が低くなりやすい面はありました。

また、短期間で入替えていくことから、始めの年度で大きく減価償却できる定率法で償却しているため、減価償却の超過分については所得として申告することになってしまうことから、逆効果となってしまう例も見られるようになりました。

本来であれば、利益は利益として、ある程度税金を払っておいたほうが、不測の折に金融機関から資金調達できる枠も大きくなり、より経営のフリーハンドも大きくなるのですが、必要以上に情報システムに投資することから、換金性が低く資金が寝てしまう"サンクコスト"(埋没費用)が大きくなってしまいました。




★回答
残念ながら、活用の度合いが低い場合には、そうなりやすい面は否定できません。あくまでアメリカの調査結果で、国内企業の場合と単純には比較できませんが、中小企業におけるIT投資のうち、売上が増大したり利益が増えるといった、業績の向上に直接結びつくのは、わずかに3分の1程度であり、残りはサーバーやネットワーク機器といったハードウエアや、会計ソフトなどのソフトウエアといった、基本的な機器の代金に留まっていることから、はっきりとした目的や意図といったものが欠かせないでしょう。

IT投資の場合、90年代後半にハードウエアの性能が技術的に劇的に変化した時代には、こうした機器主体の投資になっても、時代の流れで取り残されてはいけないという認識からか、または性能の違いからか、比較的許容されてきました。
しかし昨今では、かつての時代ほど劇的にはハードウエアは進歩していない、IT投資は、より直接的に業績に影響する可能性の高い、他の経営改革に関する費用や、営業力を強化する方向などの関心が強まったように感じます。

例えば土地を購入する場合でも、現時点・将来の資産価値と、また実際に所有している際の利回りなどを検討しますし、工場の機械設備においても、期待される収益と使用期間といったものを見極めてから判断することが、一般的といえるでしょう。

ところがIT投資の場合は、
(1)定量的に判断する物差しが少ない。
(2)業務の手間がラクになる、といった間接的な効果から、経営改革のツールとして、有効である、などど企業の組織内において範囲が極めて広範であり、判断がしづらい。

などといったことから、あまり見極めがされてこなかった、といった経緯は否定できないようです。


そのためには、ムダ使いにならないために、競争力をつける分野など、重点分野に集中する必要があるといえるでしょう。

まず当初の段階で、2-3年先の時点において、中期的な目標をまずは設定し、その逆算として、現時点で何をしなくてはならないかを検討し、そのために不可欠な情報システムのハード・ソフト・システム開発は何かといった観点で、会社の経営戦略に密着して情報化戦略の構想を練っていくことこそ、より効果的なIT投資への大きなポイントとなると言えるでしょう。

始めに目標を設定するプロセスと、上記の具体例にありましたように「とりあえず年度末になったので、何が入用なのか。」といった次元と比較しますと、おのずと投資判断に対するシビアさが大きく違ってくるでしょう。

90年代より、企業は人件費などのコストを削減するため、製造業などでは生産拠点を海外に移すようになり、またサービス業では、派遣社員やフリーターなどといった、非正規労働力に大きく依存するようになってきました。
また、直接的に利益を生まない、情報システムや管理部門などは、部門ごと外部にアウトソーシングする場合も増えてきています。

ところが最近では、新聞などで新入社員の採用状況を見ますと、1000人単位で採用する企業が増えてきたり、外部に委託していたものを、再び内部に戻すといった動きが出てきていますが、どういうことなのでしょうか?


回答


90年代以降はアウトソーシングや非正規労働力が中心となっていましたが、最近の人事戦略としては、社内と社外の経営資源を使い分ける場合が多く、正社員の比率を高めたり、ベンダーのいいなりにならないよう、内部で組織や人員を拡張していく企業も出てきました。

こうした要因としては、以下のように何点かが挙げされます。

1)既に正社員の削減など、人員整理が済んでしまっている。
この1-2年ほど、業績回復している企業がたくさん出てきておりますが、ほとんどの要因として、既に人員整理や削減を済ましていることが挙げられます。

2)成果主義の導入により、人件費が変動費化している。
年俸制や成果主義の導入・定着によって、終身雇用の時代とは異なり、人件費が変動費化してきているため、会社の側で正社員を採用しても、予算を比較的コントロールしやすくなってきました。

3)サービスの向上や、社内でノウハウ・知識を残していくため、コストが少々高くなっても、正社員中心の構成のほうが望ましくなった。
アルバイトや派遣社員といった、非正規労働力では、サービス業などを中心にコストを削減できるメリットがありましたが、一方では接客する力が低下したり、販売力が低下して売上高が低下するといった、弊害も出始めるようになってきました。

また小売業などでは、実際に商品を販売する以上に、売れる商品を仕入れる・在庫管理を行うことが何よりも重要になってきますが、こうした現場にゆだねる大事な業務は正社員のほうが望ましい、といった判断が働くようになってきたことも挙げられるでしょう。


またコンピュータや情報システム部門においても、90年代にはアウトソーシング全盛の時代でしたので、社内には企画部門だけを残して、開発や運用を外部に移す、また所属している社員ごと、アウトソーシング会社に移籍する、といったことが主流でした。

最近の流れとして注目されますのは、依然としてアウトソーシングや外注といった面もありますが、以下のような要因の場合には、再び社内に戻して業務を実施している例も見られております。

(1)ベンダーなど、アウトソーシング先の言いなりにならないようにする。
情報システムのアウトソーシングは、年率で9-10%のピッチで拡大していると言われています。
しかし、コスト削減と間接部門の縮小などから、システムの開発から運用まで、全てを一社に任せていくアウトソーシングは、アウトソーシング先の言いなりになってしまいやすく、運用費用が膨れ上がったり、費用が妥当かどうかが判断しにくくなってしまいます面も否定できません。
交渉の主導権を取り戻すため、複数の委託先を使い分けたり、常に内容が妥当か見直すようにし、必要に応じて社内で業務を行うなどといった動きも見られるようになりました。

(2)スピードや機動性を重視する
例えば携帯電話のiモードに関するシステムなどでは、機動性やスピードが大きく問われてきますので、企業内部のシステム開発の人員を増やす場合も見られます。

その要因は、システム開発が1人から数人で小規模かつ短期間のな開発案件がたくさんあることから、いちいち外注してしまいますと、意思疎通などに時間がかかってしまう、社内の承認などで時間がかかってしまいますので、即座に対応できない、加えてコストも高額になりやすい、といった課題を避けるため、内部で開発を進めていく事例も見られるようになりました。

(3)他社との競争優位のために、戦略的に重視する場合
例えば地方の金融機関や流通業などで見られる事例ですが、情報システムの開発・運用コストを削減のために、同業他社同士で共同システムを活用することが、90年代に顕著にありました。
ところがこうした共同システムを利用してきて、例えば流通業などでは在庫管理や顧客管理がお仕着せになってしまうことから、自社の業務に合わせて改良していくニーズに対応できない、といった問題点が生じるようになってきました。他社との競争優位を保つため、開発コストなどでやや割高になっても、自前の情報システムに切り替える、といった判断も出てくるようになりました。

今現在では、インターネット上で気楽に日記感覚で出来る、ブログが人気になっているようです。
会社でも、部下が携帯電話のカメラで日常風景を撮影したり、ラーメンの食べ歩き日記のようなものが出てきたりしました。
こうした趣味やプライベートの楽しみの範囲内では良いのですが、中には仕事で関係した取引先の業者さんの不満をふちまけたり、具体名などは伏せてはいるのですが、知っている人が見れば、"このことかな""このクレームかな"と連想されやすい内容が散見されるようになってきましたので、憂慮しているところです。
まず質問したいのは、ブログはどうしてこれほど短期間に大きく普及してきたのでしょうか?


回答


最近話題になっているブログについてですが、そもそもは日記感覚で手軽に開設・更新ができるホームページの一種で、自分が運営するブログに他のブロガー(ブログ運営者)のコラムに関する意見を書いて伝える「トラックバック」機能や、関連したコラムごとの掲示板が可能となるなど、双方向のコミュニケーションが取りや
すい仕組みが特徴といえます。

最近では、大手のポータルサイトがページの上部に広告などを設けたり、容量を制限することによって、無料でブログサービスを展開することによって、急速に利用者数が増えています。

最近話題になっていますライブドアの堀江社長が、前に発言しましたが"ブログなどのコンテンツは、1人1人がジャーナリストとなって、色々な情報を知らせるものである。"というのは、時事問題や社会問題関係のブログやコラムを指して、主張していると言えるでしょう。

現にアメリカでは、プロとして広告収入や執筆料などを得る"ブロガー"が増えてきており、パソコンなどの情報機器の記者会見に参加・質問したりしながら、独自の視点で文章を書いていったり、最近ではブロガーがホワイトハウスの記者会見への参加を希望するなど、社会的な影響力を持ち始めていることから、そうした考えが生まれていったものと思われます。


日記と掲示板の機能を併せ持つ便利さや、使い勝手の良さから、社内のイントラネットの中で、社員が自己紹介や仕事のコミュニケーションに図る、という使い方も有効でしょう。
最近では社内のイントラネットなどの利用が日常化してきました。中には社員や部門ごとにおいて自己紹介をするサイトや、部門を越えた社員の相互交流を図る目的で、イントラネット上で社員個人のホームページを持つ例が増えています。
こうした社内のホームページの中で、特に人気あるコンテンツは、女子社員のブログという場合が多いですので、仕事上のコミュニケーションを円滑にしたり、他の部署の社員を知るためには、有効なツールの1つと言えるでしょう。

社長の話した内容や訓示といったものも、例えば既存の社内報と同じように、社長の話した内容を口述筆記して、社内の管理部門やもしくはプロのライターに編集を委託した場合には、ありきたりの内容になってしまいますので、飽きられてあまり読まれなくなってしまうのではないでしょうか。
逆に、行数は2-3行と短くても良いのですが、(というか短いほうが望ましい場合もありますが)社長自身が日常仕事の中で感じたことや、顧客企業をまわった際に客先から耳にした要望事項といったことといった、極めて具体的な内容であることや、社長個人のパーソナル性といったものが見える内容のほうが、より関心も引いて、考え方や価値観などを社員に伝えていく可能性が大きいものと思われます。


ただ社内で、社員同士が自己紹介を行ったり意見交換するブログなら良いのですが、外部に公開しているブログでは、仕事の不満や愚痴などをぶちまける場合などを通じて、具体的な社名や業務内容がわかってしまうのではないか、何かトラブルが生じかねない、といったことから、以下のような点を注意を喚起するよう、意識を高めておく必要があるでしょう。

1)固有名詞などは極力避ける
トラブルや特に女性の書き込みなどでは、ストーカーのおそれもありますので、自分の住所や居場所を特定できるような固有名詞を書いたり、関わりのある相手の個人名を書くこと自体は、避けたほうが望ましいでしょう。
そうでなくても、職場の同僚や取引先など、直接面識のある間柄ですと、内容をぼかして書いていたりしても、具体的に意味するところがわかってしまったり、特に取引先などの場合には、相手に要らぬ詮索をされる可能性も否定できません。
具体的な内容でも、表現をぼかしても言いたいことがはっきり伝わる内容か、もしくは無難であろう、趣味の談義に留めたほうが良いという範囲もありますので、注意した方が良いでしょう。

2)業務上知りえた内容は避ける
単なる趣味のコラムや、写真日記などのようなものですと良いのですが、仕事上の考え・意見・不満・愚痴などといったものになりますと、勤務先との間で業務上知りえた内容の機密を漏らしてしまうことにもなりかねす、会社に損害をかけるといったトラブルになる可能性も否定できませんので、注意すべきでしょう。

製造業の会社で、管理本部に勤めています。
この4月からの決算期から、土地や生産設備などといった固定資産の含み損を処理する、減損会計が義務化されるようになりましたので、その対応を検討しています。
ところが当社では、社長をはじめ役員たちが、必要以上にやたらと土地や工場設備などの導入をしたがる傾向が強く、既に陳腐化して使われていない工場設備や、購入したものの、寝かしているままの土地が結構あり、対応に苦慮しております。
経営陣に説明し、理解を深めていくためには、どうしたら良いのでしょうか?


回答


この例では、経営者の方は、おおむね以下のような感じで資産を所有していました。



まずは工場などの設備ですが、創業してから80年近くになりますので、特に工作機械は今までの経験から、「海外の工作機械のほうがモノが良く、品質も上がる」ということで、会社の規模や利益率に対して、決して負担の軽くない範囲で、色々と買い込む傾向が、過去より見られます。

財務担当として、現実問題として頭を悩ますのは、土地の手当てをどんどんしていくことです。
まだ郊外の保養所名目のゲストハウスくらいなら、金額も妥当な範囲内で良いのですが、今後工場を建て替える際の準備段階として、工業団地の土地を購入したり、さらに過去には、資産管理と地方の土地の値上がりを見込んで、現在は山林になっていますが、高速道路のインターチェンジ付近に土地を購入し、現在では売るにも売れないので、塩漬けになっている状態です。

色々と経緯など話を聞いてみると、要点としては、
「期末近くなり、税金を払うなら資産を持っていたほうが安心する。」
「工作機械などは、実際に品質が上がれば効果も大きい上に、定率法で償却していけば、手元流動性が増すのと、実際に償却する際には落とせる額が大きい。」
「もともとが技術屋出身なので、良い機械があるほうが、職場での作業の速度が上がったりモチベーションが高まるなど、費用では見えない効果がある。」
「土地は、かつて工業用地を慎重に物色していた際に、列島改造ブームの時期とぶつかり、当初の倍のコストとなって見送ってしまったから、欲しいうちに手に入れなくてはならないことを痛感した。」

などといったことから、経営体力に余力のあるうちに検討する、となると、社会環境が大きく変化してしまい、手に入らなくなることも生じるため、欲しいと考えた時点で手に入れる、というようなことでした。昔の高度成長の時代の考え方に近いと言っても良いかもしれません。




そもそも減損会計の制度自体が、そもそも土地や固定資産などの含み損を処理するものですので、過度に資産を持つこと自体が、リスクを伴う選択ではないか、というように見られるようになってきました。

そもそも減損会計とは、会社が持っている土地などの固定資産の現在価値を計算して、帳簿上の価値の差額を損失として処理する制度を指します。この制度は、4月からの決算期に義務化されるため、パブル期の不動産投資などといった財テクの損失、を処理しなくてはいけない状況に迫られていると言えるでしょう。

こうした制度を導入するに至った経緯は、本来の企業の状況を把握しやすくするためにあるといえます。
元来、土地などの資産は取得原価主義と言われて、買った時の価格のまま貸借対照表に載せていましたが、老舗企業の中には江戸時代や明治時代初期に手を入れた土地の場合、現在の価格からあまりにかけ離れているため、本来の企業の状況がわからなくなってしまうことを防ぐために、行われるようになりました。

既に株式など金融商品は、時価評価が取り入れられていますので、固定資産の減損会計によって、資産の現在価値をストレートに財務諸表に反映することになるといえるでしょう。

具体的な例になりますと、まず製造業にとっては、償却が済んでいないにもかかわらず、製造設備が陳腐化したり収益力が低下した設備が対象となってしまうため、その度に損失を計上していきますと、業績への影響が非常に大きいと言えるでしょう。

最も大きいのは不動産の評価損でしょう。本来の業容に対して、必要以上に土地を持ちすぎていると、今までの土地神話の右肩上がりの時代とは異なり、含み損の出ている土地は、早々に償却していくか、売却しなければならない。といったように、価値観そのものが大きく変わってきていることは確かでしょう。

もともと会社の経営者の方は、一般的に土地や設備資産を持ちたがる傾向にあるようです。その要因は以下のように、

1)心理的に安心する(経営していると、不安なことがたくさんある)ため。
2)税金対策(資産計上し、償却していったほうが、今までの右肩上がりの経済環境では効率的だった。

ことが挙げられます。
しかし減損会計の導入によって、前提条件が全て変わる可能性を持っており、

1)必要以上に資産を持っていると、また大きく価値の毀損している資産を保有していると、逆に含み損として計上するか、資産を処分する必要性が出ている。
2)本来税金対策を行い、利益を圧縮しておくことが理想的だったことが、最近では金融機関も資産ではなく、利潤を見て融資の判断を決めるようになっているため、ある程度税金を納めても、一定以上の利益を計上する必要がある。

ということから、前提となるビジネス環境・モデル地震が大きく変化しているといえるでしょう。こうした環境変化をいかに認知していくかが、大きなポイントになるものと考えます。

最近ではテレビ報道が、ライブドアによるニッポン放送やフジテレビ株問題のことばかりが主体となっていますことから、やや食傷気味です。
ここでよく話になっている、「インターネットとメディアの融合」についてですが、よくテレビで言われているのは、
「通販の番組で、下にURLが表示されるとより効果がある。」
「テレビ局のサイトは、単純な番組案内程度で、あくまでたまに見る程度の内容に過ぎないことから、ポータルサイトと連携していくと効果が大きい。」
ということが言われています。これについての是非は色々と言われておりますが、既存メディアとインターネットと組み合わせると、果たして効果は出るのでしょうか?


回答


上記のような例えについては、よく言われておりますが、あくまで一面的なものと言えるでしょう。
効果の有無については、単純に通販番組や出演者の着ている衣装をオークションで売買する、という次元では、あまり無いかもしれませんが、既にインターネット広告費の扱い高は、ラジオ広告費を抜いておりますので、広告効果として大きな、ポータルサイトからの誘導については、大きな効果があるかもしれません。

例えばミニバンの新車発表に関して、ヤフーなどのポータルサイトにニュースが掲載されましたところ、アクセス数が1時間あたり数十万件にも達するなど、インターネットの利用人口からしましても、より効果的な土壌が出来ている面も見られています。
メディアとインターネットの融合については、放送業界よりも、商品販促に密接に関連している広告業界のほうが、より大きな動きにあると言えるでしょう。


広告やコマーシャルで販売促進の一策として活用している効果は、例えば家電や洋服など、実際に店頭に見に行く機会は、昨今の正規雇用者数の減少などから、業務が多忙になり減少してきておりますが、まずは自宅や職場などからメーカーなどのサイトを見て、興味を持って候補を絞り込んだ段階でカタログを請求し、実際に店頭に赴くのは購入寸前の状況であることが多いことから、流れ自体が大きく変化してきていると言えるでしょう。

既にインターネット広告の費用自体が、既にラジオ広告を抜いていますが、サイトの制作費は含まれていませんので、実質的には数年前から一部の既存のメディアよりも規模や影響力が大きくなっているものといえるでしょう。


ただコマーシャルや販売促進では効果があるにしても、仮にテレビ番組などのコンテンツについては、インターネット以上に即時性が求められてきますし、またコマーシャルのように、著作権が完全に企業側が持っているわけではなく、今回のライブドアの問題でもありますように、大きなネックとなっているものといえるでしょう。株式の買占めも、もともとは関西の系列局との業務提携の交渉が破談に終わったことから、始まったものとされています。

広告や販売促進とは異なり、他にネックになっている要素としては、以下のような点が挙げられるでしょう。

1)制作著作など、いくつかの企業で関連している
テレビ番組やドラマなどで、登場人物を紹介しているエンディングなどの画面を見ますと、テレビ局だけでなく番組の制作会社が共同で、ということは決して珍しいことではありませんが、例えば大作のドラマについては、出版社や商社など相互に関わっていることから、既に制作した映像コンテンツについては、インターネット
との相互補完という関係が、難しい面もあるでしょう。
また番組の制作に関しては、業界全体で下請け孫請け構造が常態化しており、権利関係自体が難しい、といったことも否定できません。

2)ブロードバンド通信の問題
映像配信の究極の理想系としては、10年ほど前に盛んに言われておりましたように、見たい映像コンテンツのみを、いつでも見ただけ支払う(ペイ・パー・ビュー)ビデオ・オン・デマンド(VOD)の環境が、通信回線で出来ることが理想的ではあります。(通信衛星の放送では、チャンネルごとですが。)
現時点では、ブロードバンド化が進み、光ファイバーにおいても、小さな画面でしたらようやくストレスなく動画画面を見られるようになってきましたが、まだ綺麗に大きく、という観点では環境的に過渡期にあると言えるでしょう。

こうしたネックとなっている要素が、次第に低まったり解決していけば、インターネットとメディアの統合も進んでいくとは思いますが、現時点ではまだ、状況次第という面は否定できないでしょう。

下にある具体例のように、上司と部下の色々な確執が起こったことは、ある程度は理解できるのですが、どうして短期間の間に無意味なシステム改修と投資が繰り返されてきたのでしょうか?


回答


※具体例
化学工業のある会社では、業界再編のあおりと将来戦略などから考慮し、かつての競合企業と合併して、1年ほど経ちましたが、ある程度落ち着いてきました段階で、取引金融機関から転籍してきた本部長から、年度や中期経営計画などで管理する、予算実績管理システムに関する指示を受けました。

現時点では合併して一段落していても、決算上の税務会計上の統合が進んだ程度で、各部門などの整理統合が全く進んでいなかったことから、社内の管理会計や予算管理などは、ほとんど手つかずの状態となっていました。
このままでは、合併して規模の利益を求めることが出来ない状況ですので、無駄なコストを削減するためにも、管理会計のシステムを構築する必要が生じていることから、具体的な案と実施計画を示すよう、担当部長に指示を出しました。

合併前後には、外部に公開するための、財務会計や税務会計のシステム統合や事務の統合といったものに力を注がれてきました。ところが、1ヶ月前ほどの経営会議において、社内における一般管理費の全面的な見直しと部門ごとの削減が具体的に検討されていることから、そのため効率的な予算執行をモニタリングできるよう、合併後の体制において、本格的に整備するよう、指示がありました。

今までのデータなどを調査・整理してみますと、合併後、経営会議や経理などに報・提出する部門ごとの売上や利益に関するデータの作り方は、ほぼ統一されていましたが、年度をまたぐような売上の計上を、本来翌期のものを年度内に繰り入れていたり、逆に人件費や外注費の〆日を翌期にずらすなどのほかに、さらには一般管理費の計上も合併前の各社の方針で行い、すなわち部門や工場においては、旧法人のままの年度で処理していたり、暦年で処理を行っていたりするなど、ばらつきが大きく、さらには同じ費目に含まれるデータの意味に差異が生じているなど、経営判断の出来にくい環境にありました。

そのため、まずは情報システムの構築以前に、部門によってばらつきの大きい各種会計データの前提条件を整理し、加えて業務処理まで見直さなければならないことから、半年や1年以内に理想とする管理会計システムの構築は、不可能と判断しました。

本部長からは、今年度以内での稼動という指示を受けていたため、現時点ではばらつきになっている既存のデータから、一定の倍数を掛け合わせ、近似値から管理会計の参考値とするシステムにする旨、状況を説明して了承を求めました。

その際には、
(1)年度内に管理会計の暫定システムを完成し、公開して経営会議にかけて、正式な予算の策定について、承認を得る。
(2)前提となる会計データについては、暫定版の公開後に、各部門の反応を見ながら業務の見直しを行う。

という方針を伝えました。本部長からは、情報システムに関しての一任を請け、システム構築を急ぐよう指示を受けました。

こうしたことから、2段構えでシステムの開発を行い、
(1)当初の段階では、各部門ごとの既存のデータから、一定値を掛け合わせて試算していくタイプの、「仮管理会計システム」として、ファイルをダウンロードして、部門長以上の職位が閲覧できるよう、社内のイントラネットを通じて公開していく。
(2)その後、部門ごとの業務を見直し、本格的なシステムとしてRFPを作成しベンダーなどの選定を行う。

当初の(1)の暫定システムにつきましては、各部門のデータや処理内容から一定の乗数をかける内容など、様々な課題が発生しましたが、年度内までに稼動に持ち込むことが出来ました。

依然として部門毎において、合併前のやり方を踏襲しているため、正確な管理会計の指標とならずに、内容を比較・検討するには不自由かつ不便な点が多々ありましたが、おおむねの傾向やコスト削減に関する具体的な方策などが、より見える状況となり、あくまで暫定版でも概ね好評でした。

ところが、正式版の管理会計システムについては、システム開発の当初から、本部長と担当部長との間で、意見が度々衝突するようになってしまいました。

本部長の考えでは、「既に社内で概ね好評なので、期間とコスト削減の目的もあることから、今のままの暫定システムを、イントラネットからソフトウエア形式に移行していけばよい。そのほうが、部門間の調整や業務の見直しなど、手間のかかることも要さなくて良い。」

ということでしたが、それに対して担当部長の側では、
「今後現場の部門長や役員などからも、改善要求やニーズといったものも高まり、満足度も逓減していく可能性が強いことから、今のような小手先のの対応では、すぐに限界が来てしまう。そのためには、不足している機能を充足し、正確な指標を把握・判断しやすくするためには、多少遠回りになっても部門間における業務の見直しを行い、統一ルールなどを策定しながら、費目を整理したり、暦日から年度ベースに期間を見直したり
していくべきだ。」

こうした意見の相違は、経営会議において上層部から、暫定版のシステムではやはり大まかな傾向だけしか分からずに使いづらいので、見直すよう指示が出てから、より激しくなってきました。

それと言いますのも、本部長の側では、既に今まで担当部長とたびたび議論している点でもあり、今からでは立場上おさまりがつかなくなってしまっている点や、本部長として、経営会議の内容や要点を具体的に要約して、指示していくだけの力量が、業務スキルやITスキルの弱さから出来なかったため、単純に「より使いやすくするよう、システムを変更してくれ。」と言うだけに留まってしまいました。

本部長自身、パソコンの操作などが苦手なこともあり、色々とデータ分析などを行うことが出来る役員の話を、十分に理解することができなかった点が大きかったといえるでしょう。

担当部長はこうした状況にいらだちを感じ、部門を統括している専務にデータの現在の仕様と今後の改善内容などを直接説明し、その上での要望事項などのヒアリングを行ったところ、本部長の面子や処理能力など、評価の下がることを恐れ、この内容を頑なに拒否するようになってしまい、深刻な確執となってしまいました。

その後、暫定版のシステムの大幅変更の案件が再燃しましたが、目的が明確化されないまま、本部長及び後任の次長などによって、ベンダーに随意契約で思いつきの要件で手直しを委託したため、画面表示などは変わったものの、基本的な仕様は全く同じままで、経営会議からはやはり、投下したコストの割には使いづらいといった不満が多発するようになりました。

このため、再度システムに手を入れていくことになりましたが、効率性が大幅に低下し、さらなる期間を要することになってしまいました。




★回答
一番の原因は本部長自身の管理能力が足りなかったことが挙げられます。今回の管理会計のシステムは、他ならぬ自分自身が提案して、前の担当部長に立案・構築していった、システム自身のコンセプトや今後の予定について、経営会議で役員に趣旨や方向性を説明できなかったことが、大きな要因だったと言えるでしょう。

しかし、どちらかといえばゼネラリストタイプで、物事を大局から見据えて大雑把に行動することから、実務能力という面では、課題を抱えている面も否定できません。加えてITスキルやパソコン操作も苦手だったことから、担当部長やベンダーなどに対して、的確な指示を出すことが出来ませんでした。


仮に、こうしたタイプの人物が上司になった場合、会社なども良い適任者が居ないということで、充てざるを得ない場合が多いかと思いますが、気をつけなくてはならない点は、まずは部下の側についてですが、主に以下の点が挙げられます。

(1)話の仕方に注意
部下はこのような上司に対して報告・連絡・相談など話をする際に、ITや情報システムを意極力識させないよう、話を持っていく努力が必要になってくると言えるでしょう。必要以上に専門用語を使いすぎると、それだけでの拒否反応やアレルギーといったものを生じやすくなってしまいます。

(2)打合せの際に、認識している前提条件自体が大きく異なっている場合もあるため、そうしたギャップを極力縮小させていく。

会議や打合せなどに際しても、会議中に説明の時間を取るのではなく、事前にメールや"説明"などと称して根回しなどを行い、あらかじめ判断の前提となります知識・情報量のギャップを最小化していく努力といったものが必要不可欠となってくるでしょう。

また、上司の側においても、

(1)意見の対立などが生じても、その言い分に関しては十分聞く用意を持つ
話を遮ったり疎んじたりすると、感情的な対立といったものが強く出てきますので、結論は違えど、部下の意見や考え方といったものは、常に把握しておく必要があると言えるでしょう。

(2)知らないこと・分からないこと、については、何度でも説明を求めていく
管理職の方々で多いのは、内容が全く分かっていないにもかかわらず、プライドや面子からか質問することもなく、分かったふりをしてしまうことです。そのため今までの経験則では通用しないことにもかかわらず、経験則で判断してしまったり、個人的なカンに大きく依存してしまうことになってしまいますので、時には判断ミスを誘発することにもなりかねません。
このようなことを未然に防いでいくためにも、コンピュータの知識についてはあまり大きな問題ではありませんが、判断に関するポイントについては、完全に理解できるまで、質問を求めていくと良いでしょう。

4月から個人情報保護法が、実際に施行されますが、当社でも以前から自社のホームページや顧客に見せるパンフレットなどとともに、前から「個人情報に対する取組方針」や「プライバシーポリシー」といったものは提示しております。
今回正式の法律が施行されることを踏まえまして、他に行うべきことはありますでしょうか?
なお、当社では子会社などいくつかの関連企業があり、当社単体では良いのですが、子会社までは十分に徹底することまで至っておらず、若干不安に感じております。


回答

具体的な規定作りや、外部への発表内容・さらには従業員や協力企業への対応など、かなり多岐に及びますので、以下にありますように1つ1つチェックが必要となってくるでしょう。

(1)外部に対するプライバシーポリシーなどの確認・検証
まずは、個人情報に対する取組方針や、プライバシーポリシーについては、子会社において概ね徹底されているか、確認・検証していくと良いでしょう。内容が不十分な場合ですと、1から作り直す必要が生じてきますが、基本的には個人情報に対する取組方針や、プライバシーポリシーといったものは、消費者を対象とした企業でしたら、特に大差は無いように思えます。

(2)社内の管理体制を整備する
実際には各部門ごとに個人情報の管理体制を整備していくことが、大きなポイントとなりますが、管理体制はすなわち、個人情報の入り口であります、営業や販売促進などの部署から始まり、修理やアフターサービスの部門、最終的にはデータベースを構築していく情報システム部門や、請求書や納品書を送付する管理部門といった商流となりますが、こうした流れごとに、個人情報が漏洩しやすい箇所(例えば営業でアンケートをとった顧客の個人情報の紙が、そのままゴミに出されるなど)などを検証し、今後の対応などを決めておくと良いでしょう。


仮に、上記のような管理体制や、社内の規定が、本社だけではなく、子会社や関連企業に徹底したとしましても、個人情報自体をグループ全体で共有していくこと、といったことについては、個人情報保護法によりますと、以下のような条件付きではありますが、グループ同士での個人情報を認めております。

1)特定の企業間で共同して利用すること。
2)共同利用する個人データの項目
3)共同して利用するデータの範囲
4)利用目的
5)個人データの管理について責任を有するものの氏名または名称

2)から5)の内容が明らかであることが、大きな条件となっております。

そのためにはまず、前提条件として、あらかじめ本人に通知もしくは本人が容易に知り得るような状態にしておく必要があります。


例えば宇治市の住民票の個人情報が漏洩したように、業務委託先などの漏洩や流出が起こるのではないか、といった心配事が生じた場合、具体的な対処方法としましては、

個人情報保護法では、業務の委託のために個人情報を用いる場合、本人の同意は不要ですが、委託先を監督する義務を負いますので、仮に委託先の漏洩が起こりますと、委託元も適切に管理・監督していなかったと見なされ、責任を負うことになってしまいます。

そのため、委託契約の中にも秘密保持契約を締結することが望ましいのですが、契約書の中には少なくとも

1)個人情報に関する秘密保持
2)個人情報の目的外使用の禁止
3)再委託(下請け・孫請け)の禁止に関する事項
4)トラブル時における責任の所在
5)報告事項の規定
5)契約が終了した際に、個人情報を消去すること。また、委託終了後の機密保持責任を明確にしていること。

の5点を含んでおく必要が出てくるでしょう。

したがって、外注先など業務委託を行っている、全ての契約書のチェックをしていくと良いでしょう。

仮に内容などに不備のある場合には、上記のような事項などを追加して、機密保持契約として追加して締結するか、もしくは、機密保持の項目を双方の覚書として締結するといった、対処が必要となるでしょう。

ただ業務内容や業種業態によっては、再委託なしでは成り立たない場合もありますことから、委託契約もしくは覚書の際にも、再委託する場合の制限と責任を明確にしたうえで、責任を委託先に持ってもらう契約にして行くと良いでしょう。

最近のテレビや新聞のニュースでは、ライブドアとフジテレビによる、株の争奪戦のニュースばかりです。
内容を詳しく見てみますと、時間外取引がどうした、とか、野次馬的な個人的な経歴やプロフィールがどうした、ということに終始しており、当初は面白かったのですが、次第に見慣れてくると、だんだん報道している内容が、そもそも論点がずれているのではないか、と違和感を覚えるようになりました。

そもそも大企業でも、例えば日本ではサントリーなどのように、文化事業など独自の路線歩んでいくため、あえて上場しない、という会社もありますし、海外でも特にヨーロッパでは、戦略的な見地から経営の純度を高めるために、あえて非上場という例も少なからずあるように思えます。
元々日本のマスコミ企業も、90年代に多くのテレビ局が、社屋やスタジオ建設、もしくはハイビジョン放送の投資のために資金調達に迫られ、上場することになりましたが、特定の株主に大量に買い占められるのが嫌ならば、当然ながら上場するな、と思うのですが、どうでしょうか?


回答


確かに、まずはニッポン放送の問題の本質は、仮処分申請などの司法対決や、株式の比率について、どうしても焦点が向かいがちになっている傾向が見られていますが、メディア企業の買収・再編といった問題は、実は世界的な傾向でもあると言えるでしょう。
たまたまライブドアという、ある種の個性の強い会社であったことが、より大騒ぎになった大きな要因と言えますが、同社の堀江社長の主張のように、仮にライブドアでなくても、いずれかの企業がやがては行う問題であったことには、間違いの無い点であったといえるでしょう。

海外などでは、メディア企業の買収や、買収する側の目的や意図と、実際に買収されてからは、どのような変化についてですが、大抵の国では、放送局の株式保有に関して、公共性のあることから、外資規制が存在していますが、そうでなくても、メディア企業の上場の結果、買収や再編といったことが珍しくなくなってきていることは、確かに言えるでしょう。

例えばアメリカの例では、
1)巨大なテレビネットワークを持つ、全国的なメディア企業が、90年代に相次いで、当時の好況による株価の上昇や、マネーゲームの面などもあり、今まで非上場を貫いてきましたが、相次いで上場するようになりました。
背景には、当時のVOD(ビデオオンデマンド)や、デジタル衛星放送といった、技術革新により、大幅な資金調達の必要に迫られたこともありますが、よりエンターテイメント性を高めようとした傾向があったことも、また事実でしょう。

2)上場した会社を、相乗効果を発揮させるために、ウォルトディズニーなどのエンターテイメント企業や、AOL(アメリカンオンライン)などのIT企業が相次いで買収するようになりました。

買収されてからは、確かにエンターテイメント性がより強まりましたが、同時に社会的な影響といったものも出てくるようになりました。

1)ちょうどアメリカでは、ブッシュ政権といった政権交代が起きましたが、その最大の要因としては、

(1)特徴的なワンフレーズを幾つか用意し、何度も巧みに繰り返し、そうした内容をメディアによって度々流していくことによって、多くの有権者に意識を定着させる。
(2)そうしたコピー作りやフレーズなどは、メディア企業にとって影響力の非常に強い広告代理店による戦略や、大口のクライアント企業が入って、為政者の側による、巧みなメディア戦略が奏功しやすい環境が醸成される。

といった、メディアポリティクスによるところが大きな要因の1つと言えるでしょう。こうしたことから、

2)メディア戦略を用いた、政策が実現していく流れが醸成される。
昨今ではアメリカも景気が悪化し、イラク戦争などの戦費や景気拡大のために大幅な減税を行いましたことから、過去最大の財政赤字の再建や、年金問題などの社会政策の必要性が出てきており、メディア戦略のウエイトが相対的に下がってきましたが、昨年のイラク戦争は、メディア戦略の色合いが強く出たものと言えるでしょう。

すなわち、
(1)大量破壊兵器が存在する、などと先に報道して、事前に世論を喚起する。
(2)メディアとインターネットなどによって、為政者にとって都合の良い情報しか報道しない。
(3)意図的な英雄美談を"制作"する。(例えば女性負傷兵の救出などですが)

ということが起こるようになりました。

3)景気動向や株式などの経済ニュースも、意図していることを流しやすくなる政治や社会に関するニュースでは、既に大きな動きが起こるようになりましたが、経済状況や株式に関しても、現時点ではまだ流動的な面もありますが、意図的にトレンドなどを報じることによって、巨額の利益を得やすくなる環境が醸成されつつある面は否定できないでしょう。

アメリカの社会では、もともと、テレビだけでなく新聞雑誌や単行本・さらにはインターネットの掲示板など、あらゆる情報ソースを見てから色々と判断していく、いわゆるインテリ層が全体の2割程度で、多くは新聞も読まない・単行本なども読まない、主要テレビのニュースしか見ない、といった面も結構存在していますことから、このような環境が生まれやすくなっていると言えるでしょう。
しかし日本とは違い、各地域には地域のテレビ局や、地方のミニコミ誌などが数多くあり、賛否両論が比較的はっきりと生まれてはいるようです。

アメリカのメディア戦略の場合、戦後日本のGHQによる占領下でもありますように、ある種のチェックや自己規制を行ったことが、「見えにくい」ことが大きな特徴でもあり、それが大きく奏功している面も見られます。
例えば太平洋戦争の戦時中、日本のメディアのように、○○といった伏字を使ったりしていましたが、現在の大きく進歩した巧みなメディア戦略によって、より区別が付きにくくなったことが、大きなポイントと言えるでしょう。


日本でも、アメリカと数年遅れで、このような環境になる可能性があると言えるでしょうが、既にメディアポリティクス自体は、日本でも数年前から生まれてきていると言えるでしょう。ただそれが経済や社会現象まで至っているか、と言いますと、まだまだ途上の段階ですので、逆にこうした傾向をビジネスチャンスとして、今回のようなニッポン放送株の事態が起こったとも言えるかもしれません。

メディアポリティクスについては、日本でもアメリカと同様に、

1)コピーライターなどが入って「恐れず・ひるまず・とらわれず」や「改革なくして成長なし」といった分かりやすい標語が度々唱えられ、一時期には大きなパワーとなった時期もありました。
2)個々の政策に問題が生じたり、失言などが生じても、以前ほどマスコミは厳しく追及しない、もしくは取り上げない局も存在するようになりました。
3)いわゆる"支持率"といったものが、一人歩きするようになりました。
4)景気動向については、回復しているとテレビ・新聞では報じていますが、あまり視聴者や読者が本当にそうかと実感することは少なくなりました。

ただ、一部の韓流ブームなどが起きましたが、国民自体の価値観が極めて多様化していることなどから、経済や社会現象などの広がりは、意外と限定的な傾向が見られるように思えます。

それでは、問題点の本質としましては、最近のメディア報道では、「公共の電波である、メディア企業を買収するのはおかしい。」「社会性や公共性を無視して、利潤だけを追い求めていくのは、いかがなものか。」といった論調が、かなり出てきています。

批判の源は、ライブドアの堀江社長の個人攻撃や手法といったものが多いですが、本質的な問題としては、以下の特徴が挙げられるのではないでしょうか。

1)IT企業がメディア企業に殴りこみをかける力が出てきたこと
急成長したIT企業は、今回の一連の問題ではかなりリスキーな資金調達をしたことは確かですが、それでも大きな脅威となったことは、言うまでもありません。
こうした新興の勢力に対して、警戒感といったものが強まっていることは、確かと言えるでしょう。

2)既存のメディアとIT企業との折り合いの悪さ
90年代半ばから、インターネットが急速に普及してきましたが、既存のメディア企業は、現在ではある程度実施するようになりましたが、当初はインターネットに関しては、概して冷淡でした。
もともとメディア企業内でも、ラジオ局がテレビ局にコンプレックスを持つなどしていましたが、既存メディアとインターネットの間にも、インターネットの側にいる立場では、
「テレビはろくな報道をしない」
「内容が偏向している」

となり、逆に既存のメディア企業は、
「インターネットそのものが胡散臭い」
「わざわざプロバイダなどに金を払って見ていることから、そもそもテレビに太刀打ちできるわけがない」
といった反発が、双方ともにあったことも、底流にあるものと思います。

例えば巨大掲示板の「2ちゃんねる」では2ちゃんねらーと言われるヘビーユーザーたちが、終戦記念日に靖国神社に集まって、特定の新聞社を非難したり、24時間テレビのマラソンをチェックしたり、27時間テレビで湘南海岸のゴミ拾いの企画を妨害するため、番組が始まる前にごみを全部拾ってしまおうと、事前にオフ会を開くなど、ある種の対立関係があったことも、関係しているものと思われます。

3)いわゆる既存の「ジャーナリズム論」と、インターネット掲示板で見られる暴露情報などとの見解の相違

そもそも、最も根が深い、対立の根底にあったものは、ジャーナリズム論の根本的な相違にあるのではないでしょうか。

インターネットに慣れ親しんだ世代としては、
「既存のメディアの情報は、フィルターがかかっており、全然当てにならない」
「タブーや都合の悪いものは、そもそも取り上げないなど、ジャーナリズム論を持ち出しても、建前やきれいごとにすぎない。」
「掲示板などで書き込まれる、リアルな情報のほうが、迫力がある。それである程度の真実性はつかむことが出来る。」

といった見方が根底にあり、「既にジャーナリズムといったものが、商業化・形骸化しているなら、逆にメディアとインターネットを融合させて、より商業性や娯楽性を高めていったほうが、かえって合理的ではないか。」というような結論を、今回の買収劇などを通じても、根本にはそうした傾向があるような印象を受けます。

逆に既存のメディア企業の側としては、
「テレビは、スポンサー無しには成立し得ないので、新聞や雑誌とは違ってある程度の娯楽性は必要だが、それ以外は、社会の木鐸として、常に権力側を監視することが必要だ。」
「社会正義の実現のために、常にメディアが告発する立場にいて、常に発信していかなくてはならない。」
「インターネットの掲示板などの情報は、中には本当のものもあるかもしれないが、真偽の疑わしいものも多く、誤ったデマでは、社会的にいかがなものか。」

といった形で、情報のとらえかた(雑多に集まるか、それとも会社として系統立てて行うかの違い)と、発信の仕方(メディアがある種の選民意識を持って情報を一方的に流すか、双方向性を持つか)といった、価値観の相違、といった要素も、また無視できないのではないかと考えられます。

食品の卸売会社に勤めております。同じく食品の物流関連会社に出向していますが、物流効率が悪く、生鮮品が期限間近となるケースが多く、トレーサビリティの社内での制度作りや、情報システムの計画などを担当することになりました。
ところが、ネックは出向先の会社内容にあり、親会社の100%子会社で資本関係や人的関係はあるのですが、長期出張や業務協力といった曖昧な形であったことから、先方の社員側の反発もありましたので、あえて出向としてもらいました。
「前の親会社はこうだった」とは言いたくはありませんが、在庫管理や出荷管理など、本来やるべきところが、たくさん目に付きすぎますので、言うことには気をつけてはいますが、そのたびに、生え抜きの社員とのカベやあつれきが深くなるように思えるが、どうでしょうか?


回答


※出向先の状況などについて

もともと、親会社と出向先での関係は、単に半年や1年で適当に業務を支援・手伝いさえすれば、また本社に戻れる、ということで、今までの担当者は適当に仕事をする・もしくはただ居るだけの状況でしたので、反発が元々から強かった傾向がありましたが、そうした歴史的経緯から、今までの反感が向かってきているように思
えます。




それでは具体的な話に入っていきますが、出向先のプロパーの社員の方々の間と、意見や見解の異なるポイントについては、例えば在庫管理や出荷時の荷札などの管理では、今までむしろほったらかしに近いような状況でしたので、基本的な改善事項に関しては、さほど見解の違いといったものは無いと言えます。
しかし、
「そのようなことは一々言われなくても、重々認識しています。逆に本社のほうが予算も出さず、何もしなかったからです。」
「あなたには言われたくない。」
といった形で、どうも外部の人間から言われたくない、会社の立場が違うから、といったしこりが強いようです。

また、今まで出向してきた担当者の多くは、適当に1年や2年在籍して、「大過なく勤めてまた本社に戻っていけばよいや。」といった場合が多く、こうした経緯やしこりがありますことから、はじめの段階は、色々と思うところや言いたいことがありましても、ある程度聞き役に回ることが必要なのではないか、という面はあるでしょう。

出向や転籍、また関連会社の業務支援などと言いましても、当初は立場の違いなどで色々と難しい立場に置かれてしまうことも少なくありません。
こうした原因は、「親会社だから」「資本関係から」と、乗り込んでいって優越的な立場をひけらかしますと、より反発が強まってしまうことが、人間の心理としては一般的な傾向と言えるでしょう。

大事なポイントは、先ほどのご質問にもありますが、おっしゃいますように、向こうの職場に入り始めてしばらくの間は、いろいろと言いたいところや思うところがありましても、そうした今後の改善・検討事項はご自身でメモを取られる程度にとどめて、逆に聞き役に回りまして、「現状で課題となっていることの、真の背景や原因は何か」といったことを、様子を見ながらやっていくことが必要なのではないでしょうか。

こうした出向・転籍・関連会社への業務協力などという形で、他の会社の業務を支援していく場合には、もともと生え抜きの社員の間で、自ら会社に対しての不満を言う割には、いざ他の立場の人間から、問題点や課題などを直接言われてしまいますと、内容が正鵠を得ていればいるほど、強い拒否反応や抵抗感を持つ傾向にあるといえるでしょう。

微妙な立場として、難しい立場にありますことから、今後重要なポイントとしましては、以下の点が挙げられます。

(1)課題の認識と整理を明らかにする
上記でも申しましたが、出向や転籍など、外部から来たばかりの時点のほうが、色々な課題や問題点に気がつきやすいものです。逆にそこでの環境に慣れてしまいますと、良くも悪くも馴染んでしまい、問題意識そのものが薄れてしまいますので、ご自身がまだ「外部」としての視点が残っているうちに、課題や論点などのポイン
トを整理していくことが、より重要になっていくものと思います。

(2)半分は「外部」の立場からの助言に徹する
どうしても、親会社などからの出向・転籍となりますと、「何とか上手く成功して、親会社に返り咲きたい。」「早く結果を出したい。」と力む傾向にあり、こうした力みが、成功を阻害してしまう傾向にあると言えるでしょう。

そのため、当事者の利害の立場からやや距離を置いて、社会の目や外部の立場からの助言を進めていくことも、大きなポイントになっていくと言えるでしょう。

(3)相手との信頼関係が確立するまでは、「指導」は控える
出向・転籍先の社員との信頼関係が確立されるまでは、「ああしろ、こうしろ」といった"指導"は、感情的なしこりが残りやすく、後々まで影響する可能性が強いですので控えていったほうが望ましいでしょう。
逆に「このような点が、競合会社と比べて不利なので、見直してみてはいかがか。」と示唆してみることや、1つの方向性に追い込むだけではなく、複数の選択肢を提示するなど、自発的に考えるように向けていくことも、大きなポイントではないかといえるでしょう。

製造業の会社に勤めています。この数年で経営陣が創業の先代社長が引退し、今ま で全然違う業界に勤めていた先代の縁戚の方が、事業を継がれるようになりました。
その際に、海外の最新の経営モデルの導入や、国内の先進事例など、どんどん色々 な仕組みを導入してはいますが、1-2年経つと結局は野ざらしのまま、また新し い取組みをする、といった繰り返しで、徒労感といったものばかり残ってしまいま す。
何か良い方法はないのでしょうか?


回答


<具体的な内容について>
例えば、社内のいわゆる「経営改革」の取組みですが、具体的には、当初は社内であいさつが少ない、社内の清掃が行き届かない、ということから、5S運動(整理・整とん・清潔・清掃・しつけ)から始まりましたが、その後は

・部内で活動テーマを見つけて行う小集団活動
・いわゆる改善活動
・CIの変更
・ERPの導入
・品質向上に関する取組み

など、新聞や雑誌でしばしば取り上げられることは、概ね全て取り組んできていました。

こうした色々な制度に取り組んだ後、だいたいのパターンは、以下にありますように

1)1-2年後に自然消滅してしまう。
2)表では社員の自発性を重んじる、となってはいますが、会社から「やらされている」感じが強まってしまい、適当に報告が出ているようになってしまう。

といった傾向が強いことが一般的ように思えます。




たしかに、他社のケーススタディーや、最も先進的な事例などを積極的に取り入れて、経営改革を行っていく会社も少なくありません。しかし成否を分けるのは、社内にこうした経営改革を行うだけの土壌があるかないかが、大きな要素があると言えるでしょう。

上記の5S活動や小集団活動など、もともとはトヨタ自動車などを起点に行っていることですが、トヨタの場合は、こうした取り組みが上手くいっているのは、以下のように表層的なものだけではなく、以下のようにそれを支える強靭な企業風土があるためといえるでしょう。

1)1度失敗しても、原因を検証して再びチャレンジできる土壌がある。
改善活動の本質は、失敗はあくまでも起こりうるものと認識しており、失敗しながら一歩ずつ前進していく企業風土があることが大きいと言えるでしょう。
自動車の開発を担当するチーフエンジニアも、1度商業的に失敗したモデルがあったとしても、失敗を生かして再チャレンジが出来るようなシステムになっている点については、会社としてみると、あまり無いといえるでしょう。
そもそも、サラリーマンのシステム自体、リスクや責任は回避するように出来ていますことから、通常はこうした商業的な失敗が起きる・もしくは起きる前に定期的に異動させてしまい、リスクを分散することが通常のパターンですが、社内の秩序を保つには適していても、失敗した経験や知識を共有しづらくなり、後任者がまた同じ失敗をしてしまう、ということも少なくありません。

2)1度行ったことは、継続してやりとげる。
例えば、自動車の速度やエンジンの回転数をドライバーに見せるデジタルメーター(計器盤)がありますが、トヨタでは80年代の初頭から、当時は他社がカッコよく見せるために実施されたものを導入しましたが、トヨタではずっと現在に到るまで一部の車種に限られますが採用し続けています。
その理由はカッコというよりも、「高齢者のドライバーが老眼により、メーターの針が読みにくくなるため、安全性を考慮して」ということですが、マニア受けはしないものの良し悪しは別として、20年以上も継続して取り組む、ということは、非常に徹底していると言えるでしょう。

1つ1つは地道な取り組みですが、こうしたことを継続していると1つの大きな力となり、また違う面や課題が新たに見える、ということを骨子にしていると言えるでしょう。

したがって背後の思想や企業風土などを考慮せず、表層的な経営改革の活動だけを行いましても、以下のように、

1)トップの掛け声ばかりで、主旨や目的が共有されにくい。
2)現場自体が、「上からやらされている」といった意識が強まり、より形骸化してしまう。
3)トップへの報告は、形骸化したことしか上がらなくなるので、最終的に誤った情報をもとに、誤った経営判断をしやすくなり、経営リスクがより高まってしまう。

といった、新たなリスクも出てきますので、経営改革の制度だけでなく、その背景にあります企業風土の醸成といったものに力を入れていかないと、消化といったものが、不十分になってしまうといえるでしょう。

既に人口が減り、今まで団塊の世代として働いていた50代の社員も、間もなく定年でまとまって退職してしまう、「2007年問題」が現実になろうとしています。製造業などでは、こうした中高年のノウハウを会社として形式知として残そうと必死になっていますが、比較的人海産業の色の強い、情報サービス産業では、あまりこうした色合いが見られません。どうなっているのでしょうか?


回答


既に製造業などでは、ノウハウを文書だけでなく、実際に次の世代に継承出来るように、色々と伝承を行っている傾向が見られます。(企業によって差異は見られますが)
ところが情報サービス業では、エンジニアの体力勝負の人海作業の面も強いですので、他の産業の動きとは異なり、こうしたベテランのエンジニアがまだ残っているうちに、会計・人事などの基幹系システムの抜本的なリニューアルをしてしまおう、という動きが、結構強いように思えます。

こうした問題は、単純に現場を支えていく中堅や若手を教育・育成さえすれば良いという問題ではなく、情報システムに熟達したエンジニアを育成するのは、一朝一夕には行きません。

ベテランはこの数年以内に引退してしまいますが、現行の情報システムを構築した関係者がいなくなると、技術的に・または業務が複雑化してきている環境の中で、大きなプロジェクトを推進する力量や、情報システムを構築するスキルを持ったシステムエンジニアの大幅な不足が挙げられます。

こうした人材の養成・育成が遅れている原因としては、IT技術者は、アメリカよりも人件費の安く理工系の教育体系も充実しており、加えて数学的な思考の強い、中国やインド・イスラエルなどといった、海外エンジニアの力が評価されています。
日本の場合、残念ながら大学教育・企業の中での戦力育成のプロセスの中において、体系的な育成が極めて困難なことから、基本的な素養という意味で上記のような諸国と比べると、相対的な劣位を見せるようになりましたことが、大きな要因として挙げられます。

またシステムエンジニアになっても、基礎教育が場当たり的で本当の力がおろそかになったり、さらに最近では顧客企業の業務知識や、プロジェクトマネジメントの力量などの比重が高すぎたことから、基本的なスキルが低下しているという由々しき問題が生じていると言っても良いでしょう。

大手のベンダーによっては、プロジェクトマネジメントがイコール、外注先に丸投げを手配する外注管理と化してしまい、力をつけていくのは関連会社や協力会社ばかりで、社内における技術力やマネジメント力の空洞化といった面も、出てくるようになってしまいました。

また、昔からあまり変わっていませんが、エンジニアのキャリアを形成する体系が硬直的なため、

1.新人として配属

2.SE(という名の)プログラマで従事

3.ようやく設計などのSEに(中にはシステム営業に転属の場合も)

4.プロジェクトマネージャーで、何人かのSE/プログラマを使ったり、外注会社を指揮監督するようになる。

5.このへんが人生ゲームとしての大きな岐路で
1)グループマネージャー・部課長などの管理職になり、完全に技術職の一線から離れてしまう。
2)関連会社などに転出して、そのままプロジェクトを仕切ったり一員として参加する形になる。
3)まだあまり多数派ではありませんが、データベースやネットワークなどの専門家として、キャリアを形成する。

といった流れになっています。今までは技術的にキャリアを伸ばしても、処遇・給与などの面で今までからあまり優遇されてきませんでしたが、そのことから、本人の適性や資質などを考慮せず、顧客から単に高い単価の取りやすいマネージャーになりたがる、といった傾向が根強いものと思います。

単純に人月工数で顧客から課金する体系の中で、キャリア形成がいびつになりやすい面と、大手のベンダーでは昨今では技術力の空洞化を避けるため、力を入れ始めましたが、プロジェクト管理がイコール、単純に外注先の管理という風になってしまう傾向は、直ちに是正していかないと、団塊の世代がまとめて退職する中では、現場を支えられないようになってしまいますので、注意が必要と言えるでしょう。

確かに若い社員などを中心に、ITツールなどの影響によってコミュニケーションの上手くない面もありますが、上司の層にあたる中高年の世代においても、今まで「阿吽の呼吸」や「以心伝心」の仕事のやり方できてしまった面があり、「色々と説明しなくても、何も言わずに自分の背中さえ見れば仕事を覚えていくだろう」といった傾向は、もはや完全に無くなっていますので、上司の側においても、指示の出し方や説明のしかた、また部下相手に確認や質問を出させるようにするなど、日常のコミュニケーション能力をチェックしていく必要があると言えるでしょう。

ここ数年、派遣社員や業務委託などといった非正規労働力の増加と、最近では職場 で働いている社員そのものが減少していることも関係しているのでしょうか、隣り 合った席で働いていても、コミュニケーションの密度が大幅に低下しているような 印象を受けますが、どこでも一般的な現象なのでしょうか?


回答


もともと、「阿吽の呼吸」「以心伝心」を重んじる国民性ですので、直接口頭などによるコミュニケーションがあまり好まれていませんでしたが、最近ではそうも言っていられなくなってきました。
特に多いのは、同じ職場にいるにもかかわらず、話が通じないことが急激に増えていることがより顕著になってきました。例えば頼んでいた書類の作成・制作など、「いつまでに・どのように」といった認識がずれてしまい、すれ違いといったものが、より生じやすくなっている環境にあると言えるでしょう。

職場におけるコミュニケーション能力の低下は、主に以下の要因が挙げられます。

1)電子メールやイントラネットなどの普及
日常の伝達手段として、特に業務上の報告連絡では電子メールやイントラネットなどの、言葉を介さないコミュニケーション手段が普及しておりますので、情報があふれて、色々と聞いたり確認を取る必要性がない、といった環境そのものの影響が大きいでしょう。

2)職場の環境変化による紐帯の低下
会社に勤めて仕事をする、というライフスタイルは、この1世紀くらいになりますが、90年代以降、その職場の環境・雰囲気は大きく変わって来ました。1つはIT化により職場にパソコンや情報機器が大幅に入ってきたこと、もう1つは会議やミーティングや簡単な報告連絡以外に、コミュニケーションを取る機会が大幅に減ってきたことでしょう。
以前は昼食の際に同僚何人かで表に出て、仕事半分で話をする機会が多かったですが、中でコンビニ弁当もしくは仕出し弁当を食べるか、なかには完全に抜いてしまう!(仕事しているか、パソコンでゲームをするなど)というパターンも見られるようになりました。

背景にはIT化の普及・成果主義の導入・不況による職場の荒廃、など色々と要因は見られますが、こうした人間関係の密度の低さ、といったものが、仕事の面でも少なからず影響を受けているものと考えます。

3)派遣社員や請負などの、非正規労働力の増加
最近では人件費の総額を抑制しながら、仕事としての成果を出そうということから、派遣社員だけではなく、NDA(秘密保持契約)を締結して外部の業者を職場に常駐させて、業務そのものを完全に委託してしまう、ということも珍しくなくなってきました。
そのため、色々な所属元のスタッフが混在するようになり、職場においても計数や微妙な問題など、外部の社員に聞かれては具合の悪い状況や、所属や立場が異なりますので、話のしづらくなる環境になったとも言えるでしょう。

本来ですと、日常業務における些細な確認や質問などを行えば、何ら問題の生じないところではありますが、上記のように様々な環境の変化といった要素が現れてしまうことによって、職場でモノの言いにくい風土が、醸成されてしまうといった面があると言えるでしょう。

1月2月と、人事異動や、新しい人事制度などの説明が行われているような時期に なりました。つい最近にも、社内では新しい業績給の制度変更などの、説明会を行 われましたが、何らかの形でアクシデントが起こった際、例えば労災などによる怪 我や病欠の際にも、休業期間中への基本給といったウエイトが小さくなったり、さ らには人件費の総額を抑制するため、勤務として行った時間などよりも、実際に行 った業務の内容や成果に対して、その対価を支払う、といった色合いが強くなって きたように思えます。
こうした成果給や、業務内容に対する給与の場合ですと、実際にどのように評価す るかが難しいのではないでしょうか?


回答


おっしゃるとおりです。人件費の総額を抑制するためと、働いた成果によって支給額の増減を強めるため、今までの年功賃金を取りやめて、業績給や年俸制などに移行した場合には、評価基準があいまいであったり、考課者による主観的なウエイトが強く入ってしまいますことから、かえって働く意欲が薄れてしまったり、制度そのものが形骸化してしまうことが、少なくありません。

実際に成果主義に関しては、学者の講演や書籍などによって、さも理想的なことは喧伝されてはいますが、上手く運用していくことは難しく、色々と書かれている本や講演などによって、理想論としては望ましい、ということは分かっている場合は多いのですが、現実には前述しましたように、

1)評価基準があいまいになりやすい。
2)評価者による主観的なもの(単純に好き嫌いなど)が反映されやすい。
3)かつてのように、「和」と「チームワーク」で仕事をしていたのが、大きく荒廃してしまい、・士気やモラルの低下に影響してきた。

などといった課題が出てきました。
そのため、まだ現時点では試行錯誤の段階にあるのですが、こうした評価・給与制度を策定・運用する人事部などにおいても、社内における不信感が強くなったことから、様々な方策を取り始めるようになりました。

具体的には、端的に要点だけを申し上げますと、「希望者のみとする」「新しい制度の導入の際には、教育研修と合わさった形とする」「能力開発と組み合わせる」というような傾向に、シフトしていると言えるでしょう。

1)希望する社員だけの選択制とするもの
例えば年俸制を導入しているものの、全社員を対象としたものではなく、希望者のみの選択制としている企業もあります。
目的・理由としては、社員の意欲を引き出す契機としているためですが、社員にとっては選択可能であることから、抵抗感は大幅に減るといっても良いでしょう。

2)教育研修を行い、目的などの理解を深める
一般的にどこの会社でも、給与や生活と密接に影響する年俸制や業績給への不安や抵抗感は大きく、会社側から一方的なアクションを行うだけでは、社内の荒廃に拍車をかけてしまいますので、話し合いや会社の事情などを説明する機会が多くなってきました。

既に今までの経緯もあり、現場や労働組合からの抵抗が強いことから、労使協議会などにおいて、賃金分布や賃金構造のいびつさなどを公表しながら、より合理的な人事制度のほうが望ましいことに理解を広めるよう、勉強会や説明会などを開くような事例も出てくるようになりました。

こうした試みに見られる全体的な傾向としましては、

1)今までのように、制度の枠組み作りだけに腐心するのではなく、実際の運用面を中心として進めていくようになった。
2)単純に人件費の総額抑制や中高年対策といった、会社側の都合だけではなく、会社側や人事は、組合や社員の意向と向き合うようになってきた。(というか向き合わざるを得なくなった)

と言えるでしょう。

比較的最近の話ですが、売上高を水増し計上したことから、上場廃止になったIT 企業が出てきました。具体的にはどういうことだったのでしょうか?


回答


大阪地検特捜部が摘発することになりましたが、システムインテグレータのメディア・リンクス社では、ハードウエアなどの機器とソフトウエアを組み合わせた、企業向けの情報システムを、同業の取引先に販売したように見せかけ、その都度売上高を計上し、そうした流れを幾つかの会社が経由しながら繰り返し、最終的にはメディア・リンクス社がまとめて購入する取引を繰り返していた、といった粉飾事件が判明しました。

これを機に業界全体において、以下のような商慣行が定着していないか、投資家や監査法人・会計士などが問題視するようになりました。

(1)各社が共同して、売上を水増ししていたことから、このような実体のない取引慣行が業界全体に染み付いているのではないか、ということ。

(2)本当の売上高はどのくらいなのか、全く把握できないこと。摘発を受けたメディア・リンク社の場合ですと、昨年の5月に上場廃止となりましたが、2003年3月期決算では、約165億円の売上高となっておりますが、実に8割以上にわたる、およそ140億円が架空取引といった疑惑がもたれております。

かつてバブル時代の末期に、ある百貨店が行った医療機器などの架空取引などと比較しましても、金額はともかく、比率としては相当悪質な印象がありますが、このような事態の起こる背景は、主に以下の要因が挙げられます。

(1)顧客側の強い値引き要請
ユーザー企業の側でIT投資を厳しく選別するようになりましたので、仕様・構成などを必要最小限にしたり、値引きなどの要求もより強くなってきましたので、取引上の立場が大幅に弱くなっていることが挙げられます。

(2)厳しい営業目標
どのような企業においても、売上予算の目標などがありますので、下請企業やハードウエアベンダーなどのパートナーとの間で、実績を残すために、お互いに他社にハードウエアやソフトウエアなどを、販売した形跡を残すなどして、売上をふくらませていた点が挙げられます。

(3)独自の商慣行
一般的にベンダーやシステムインテグレータなどといった、情報サービスに関する企業は、サーバやネットワーク機器などのハードウエアや、ソフトウエア(独自開発・パッケージソフトの)などを組み合わせ、納入していくことから、その多くは競合他社とのコンペ形式になることが多く、激しいサービス競争・値引き競争となることが少なくありません。

その際に、元請けの会社から、1次-2次の下請けと流れていきますし、ハードウエアや著名なパッケージソフトなどは、協力会社や代理店も連なっていますので、こうした流れで外注費を処理したり、売上を計上したりするので、取引自体が不明朗になりやすいことが挙げられます。

摘発を受けた事例は、上場企業でその基準を維持するために、複数のベンダーやインテグレータの間で、商品をたびたび転売し、最終的には自らが買い取る流れでしたが、こうした取引に協力した企業には製品価格の1%を、手数料として支払い、結果としては当然ながら元値より高くなりますので、損した形になるのですが、売上の確保のためにこうした方策が取られたりしました。

こうした大幅な水増しは、経営実態が全く分からなくなりますので、証券投資などを行った場合には、投資家が損害を受けることにもなり兼ねません。日本公認会計士協会は、新興のIT企業が売上を水増し計上していないか、実態の調査を行うそうですが、業界全体で恒常化していた場合には、監査法人などの信頼が崩れますので、より厳格なチェックになるものと予想されます。
しかしながら、通常の監査では、伝票や金銭の流れさえ確認してしまえば、取引高を売上として認めてしまいますので、内部からの通報のない限り、外部から見分けることは極めて難しいと言わざるを得ないでしょう。

この前知ったのですが、今はグーグルなどインターネット上では全文検索型の検索エンジンが主流となっていますが、こうした検索ソフトが、パソコン内でも出来るようにするために、ソフトを無料配布することになったのですね。
以前は、単純にOS(基本ソフト)の機能で、名前を付けたファイル名だけを検索していたことから、ずいぶん便利になったような印象を受けますが。


回答


パソコン内に保存してある情報を、インターネット上の検索と同じようなパターンで、キーワード検索を行うソフトウエアは、まだ英語版に限定されていますが、昨年10月にグーグルが配布したのと同様に、マイクロソフトも無料配布を始める予定となっています。
インターネットの全文検索の方式と共通していますが、パソコン内のワープロ文書や表計算・電子メールの本文だけに限らず、その他にも、例えばPDFファイルや画像ファイルなどといった、いわゆる添付ファイルなど、多様なファイルの情報を、特定のキーワードで探すことが出来るものです。

そのため、業務に関係したキーワードで検索すると、すぐにメールの文書や添付ファイルだけではなく、自分で過去に作成した文書などを、スピーディに調べられるようになりました。

全文検索のソフトは確かに便利ですが、どうしてこのように相次いで各社が参入するなど、競争が激しくなった理由としては大きく分けて、以下の2点が挙げられます。

(1)広告収入増加への取り組み
最近のインターネット広告は、グーグルなどの全文検索型の検索エンジンで、検索結果の横側に出ている、関連キーワードでの広告に対して、ヒットする確率が非常に高いことから、運営企業にとっては広告収入として、非常に大きなウエイトとなっています。
そうした背景から、自社の技術力を積極的にアピールするためにも、パソコン内において、全文検索を行うソフトが注目されるようになりました。

(2)顧客の囲い込み
インターネット上では、幾つかの検索エンジンがありますが、個人の好みや検索結果の傾向などによって、常用する検索サイトは、比較的限られてしまいます。広告収入などの確保のための激しい競争から、利用者を囲い込み、パソコン内の検索ソフトとの抱き合わせを図るようになりました。

インターネット広告は、単純にバナーや画像・さらにはメールマガジンといった形式ではなく、こうしたポータルサイトによる、キーワード連動型の広告に比重が移りつつある傾向が見られます。
キーワード検索連動型の広告は、検索する側にとっても非常に便利で、広告としてクリックする際の抵抗感が、他のものと比べて著しく低いですし、広告主にとっても、実際に効果があった分だけの費用で済むことから、コストパフォーマンスが良いために、利用が増えている状況にあります。

昨年の日本では、「冬のソナタ」などの韓流ブームと、派手な衣装と踊りの「マツケンサンバ」によるマツケンブームなどがありましたが、こうしたブームの動向は、全文検索によるキーワード連動型の検索エンジンでも、如実に反映されました。

例えば「冬ソナ」の場合、NHKの衛星放送以前の2002年の冬から検索キーワードに登場・検索回数が増加するようになりました。世の中のトレンドなどがより敏感に反応するようになったと言えるでしょう。

年が明け、新しい年となりました。一見平穏なようですが、現在の社会の閉塞感や行き詰まりといったものは、相も変わらないような印象があります。年金問題といった老後の問題も、何ら具体的な道筋が定まったわけではなく、ほんの数年間をしのぐ、といった印象はぬぐえません。
これではますます、将来に不安を覚える感を強くしておりますが。


回答


例えば年金問題などにおきまして、どうして年金が必要かということから触れてみたいと思いますが、戦前及び戦後しばらく間では、かつては少なくとも3世代、10人程度の大家族が、相互扶助で家計を支えていました。その場合には老後の面倒を見ることも、家庭内で自己完結していたことから、年金制度の必要がありませんでしたし、当時の職業も農業や家内工業・商家などといった形で、家族の紐帯も家業として、経済的に強く結びついている状況でした。

昭和30年代頃から、勤めに出る勤労者が増え、それに伴い働き先を求めて都市部に人口が集中するようになりました。家族も当然ながら郊外の団地やマンションなどに核家族化が進むようになり、家庭を構えることから当然ながら生活費などにそれ相応の費用がかかるようになりました。
実家に仕送りなどをしましても、実家の面倒を見るためには、収入の3割4割を送る必要が出てきますので、そうしますと共倒れになってしまいます。こうした背景から、社会として高齢者を支えていくために、年金保険料を勤労世代から納めてもらい、高齢者の生活を支えていくような仕組みになっていきました。年金の賦課方
式は、こうした支えあいの精神から出たものと言えるでしょう。

また仮に、老後の生活を今までの蓄えの中からまかなおうとしたり、民間の保険会社によって行おうとしますと、所得の格差などの問題もありますし、なによりインフレなどの貨幣価値の変動などによって、価値が大幅に目減りすることや、保険会社自体が経営破たんする可能性もありますことから、リスクが高くなってしまうお
それも否定できません。

最近では、「民間に出来ることは民間で」ということをよく言われていますが、社会性や公益性の強いものについては、民間企業が担う場合に、社会情勢や経済状況に大きく振り回されて対応できない、「市場の失敗」といった問題点を考慮していく必要があるでしょう。

いわゆる「市場の失敗」とは、例えば民間企業が行いますが実質的には公益性の高い事業、例えば、バス・タクシー会社などの不当な競争などが挙げられます。
当然ながら法律で禁止されていますが、地方都市によっては、観光バスなどのチャーターの値引き競争や、タクシーの乗車においても、運転手が街頭で呼びこみをかけて、客と値段の交渉をする、といったことが現実的には生じていますので、経営的に安定した環境で、安全な旅客運送をはかるといった、官庁の目的からは外れてしまう、といったことが生じております。

本来ならば自由競争によって、需要と供給による価格メカニズムが適正に働き、調整されるといった面が期待できるのですが、公共性の高い場合や社会的な信用が重視される場合には、一般の生活者の権利や財産などを保護するために、法律や規制などが必要な場合も出てくるでしょう。

タイトルにありました、「政府の失敗」や「民主主義の失敗」とは具体的に申しますと、90年代に入り、世界的に東西冷戦が終わった頃より、市場の失敗ではなく、いわゆる「政府の失敗」といった内容が増えるようになりました。

主な内容は、以下のような点が挙げられます。

(1)問題点に対し抜本的な対策が行えず、小手先の策で失政が発生する
昨年の後半にかけて、大口の不良債権問題の最終処理の方向性といったものが、だいぶ見えてきましたが、そもそも不良債権問題が言われてきたのは、バブル崩壊間もなくの91-92年頃でした。
91-92年頃も、当時の内閣が早期整理のために公的資金による処理を掛け合いましたところ、大蔵省は景気の回復を待つといった消極策から、やがて住専の問題などでその場その場をしのぐような方法から、今日のように深刻化するに至りました。
昨年の年金問題に関しましても、将来の負担の増大については、人口構成と保険料の掛け金などの関係から、過去の段階で既に分かっていました。

しかしながら、現実には、大臣も官僚も任期が1-2年程度で変わってしまうことから、自分の任期中には大過なく勤め上げることが最大の目的となってしまい、何よりも様々な課題が表面化しないことを優先するようになってしまいます。

そのため起こった問題に対して、極力見て見ぬふりをしてしまい、どうしようもなくなった時にはようやく行動に移しますが、そうでない限りは、なんとしても解決するといった、インセンティブがなくなってしまいます。
そうしたことから、抜本的な改正は先送りされてきましたが、このような事態はいわゆる政府の失敗と言えるでしょう。

(2)官僚組織の肥大化と、それに伴う調整コストの高まり
最近では定率減税の縮小・廃止が盛んに報道されています。国民感情からすれば、増税よりも先決すべきは、先に政府の無駄遣いを徹底的に見直すべきだ、といったことが先に上がります。
例えば地方での公共事業などもそうですし、公務員の給与や年金問題でも露呈しましたが、社会保険庁と国税庁を統合して、いわゆる歳入庁を作るという発想ですと、こうした組織の抜本的な再編は、官僚組織の内部では人員削減やポストが減少してしまうために、絶対に内部からの対策としては出てきません。

それは国民の利害(コスト削減)と、官僚組織の構成員との利害(仕事とポストの安定)が一致しないこと、縦割り行政が徹底しているために、各省庁にとっては省益などが関わるために、調整コスト高まってしまうためと言えるでしょう。

(3)多額の財政赤字
90年代以降、特に日本では景気対策のために、多額の財政出動を致しましたが、
(1)資金は国債で容易に調達できる。
(2)増税は国民の反対が多く、事実上容易には出来ない。
(3)景気対策は、国民・政治家などからも要望が強く、どうしても歯止めがかかりにくい。

などといったことから、コスト意識がどうしても低くなってしまい、多額の財政赤字が累積することとなってしまいました。こうしたいわゆる「政府の失敗」は誰も責任を取らないことから生じる、無責任体制にあると言えるでしょう。

また「民主主義の失敗」に関しましては、主に以下の点が挙げられるでしょう。民主主義そのものの失敗と言うよりはむしろ、意思決定に関するプロセスの失敗といった方が良いかもしれません。

(1)投票行動における世代間のバイアス
今のの民主主義プロセスでは、これは各国に共通している傾向ですが、高齢者世代の利害が、実際の選挙などに反映されやすい傾向があると言えるでしょう。

その理由は、
1)未成年などの将来の世代は、未来を決めるべき今現在の投票行動に参加できないため。
2)引退している世代は、考える時間や投票する時間に困らないことから、投票率が高いですが、勤労世代はサービス業などの広がりにより、休日でも仕事をしていたりするなど、投票率が下がりやすいため。
3)もともと議員や、審議会の委員など、高齢者が多いことから、どうしても高齢者層の利害が絡んでしまうことが挙げられます。

(2)いわゆる「美人投票」の問題
これはメディアなどを活用した、テレポリティクスの問題もありますが、民主主義で多くの支持がありますのは、「自分がこれが良い」と思うよりも「誰が人気がありそうで、勝てる候補なのか。」といった形で、自分がこう思うというよりは、人受けするのは誰か、といった要素が挙げられます。

人類の有史以来、「市場の失敗」に関して言えば、20世紀初頭の大恐慌を有効需要の創出などによって乗り越えたことから、おおむね解決の途がついていますが、あとの2つである、政府の失敗や民主主義の失敗については、未だに明快な解といったものは、まだ無いといっても良いでしょう。

したがってこうしたことに対して、今後非常に対応が難航することが予想されますが、未然に「後々にこうした問題が起きるだろう。」といったような形で、想像力を喚起するためには、中高生の社会教育だけではなく、生涯学習の一環としても、理解を深めていくことは、より重要になっていくものと思われます。

2004年も色々とある年でした。リコール問題や持ち株比率の虚偽などで、社会的に厳しい批判にさらされた企業もありましたが、一方ではプロ野球の新規参入などで、大きな話題になったともいえる年でした。
結局、野球についてはIT企業の楽天やライブドアの新規参入がありましたが、常に話題づくりで先行致しましたライブドアは、どのようなことをしているのか、なかなか分かりづらいことも事実です。
何か、ユニークな特徴などがあるのでしょうか?


回答


確かに今年の社会では、プロ野球の新規参入問題を中心として、一方ではライブドアが1つのシンボルでもあり、また、もう一方では、現在では東海地方が経済が比較的活気があると言われていますが、名古屋経済が活気があると言えるでしょう。
この2つはその独特のスタイルが、特徴として挙げられるでしょう。

具体的な特徴としましては、まず、ライブドアについてですが、元々は既に有名になりましたが同社の堀江社長が在学中の折りの、96年4月に設立したオン・ザ・エッヂから始まります。当初は企業向けなどのウエブサイト制作などが主要な事業でした。
2002年に、無料でインターネットのプロバイダを展開していました、当時のライブドアを買収してから、今年の2月に、より知名度のある「ライブドア」に社名変更し、現在に到っております。

ライブドアの最大の特徴は、社名だけではなくその事業内容も次々に形を変えていき、企業を変貌させていく、その独特な発想や行動力にあると言えるでしょう。
プロ野球の参入も1つの特徴でしたが、本来の大きな目的は、アクセス社を大量に引き付けるための、ポータルサイトによる、広告収入の増加にあると言えるでしょう。

今後はポータルサイトの運営に際して、野球での新規参入は出来ませんでしたが、副次効果として知名度の向上は大きかったですので、ポータルサイトの強化に力を入れていく方針からしますと、アクセス数は数倍にふくらみ、さらにはブログなどの利用者も大幅に増えましたので、効果は極めて大きかったと言えるでしょう。

もともとはホームページの制作や、ソフトウエアの開発をしていた会社が、急にヤフーなどのポータルサイトに乗り出す、というのは、面白い傾向でもあります。既存事業の延長線上を中心として、その発展した形で拡大するのが普通ですが、会社の事業構造自体をがらりと変えてしまうところが、非常にユニークな点と言えるでし
ょう。

話題は変わりますが、来年には愛知万博を控えていますが今年の特徴として、地方経済が極めて厳しいといわれている中、名古屋圏を中心とした東海地方の経済は、海外への輸出だけではなく、東海圏の地域の中でも比較的好調だったことも、大きなポイントだったと言えるでしょう。
こうした経済的な効果は、自治体の財政状況が極めて厳しい中にあっても、地元の自治体の財源が比較して豊かなことが、挙げられます。


どうして東海地方、特に名古屋の経済が良い、地域的な特徴としましては、一言でいいますと、経済観念が極めてシビアなことが挙げられるでしょう。地方によっては、取引先などで関係のある経営者同士が、お互いに連帯保証をしたり、実利よりは面子や見栄を重んじるところもありますが、そうした面とは相反した方向性があることは確かでしょう。

名古屋圏の経済や社会での特色は、以下の箇所が挙げられます。

1)名古屋圏では、いわゆる「名古屋金利」と言われるように、借りる際の金利が低いと言われることがありますが、お金を貸すことも借りることも良しとしない風潮が強いことから、堅実な経済観念が徹底している。

2)名古屋圏の経済では、家族で家業を営んでいるところが多く、上記のような考え方などから、比較的豊かである場合が多く、なおかつ幼少期から経済観念が培われている場合が多い。

3)それでも、家業のリスクヘッジのために、会社勤めに出る場合が多く、また勤めに出ながらも、実家の家業を手伝っている場合も少なくない。

こうしたことが、経済の浮き沈みに対して、強い力を持っている、大きな原因と言えるでしょう。

ただ新聞などを見ますと、日本で最も利益を上げている企業の1つのトヨタでさえも東海圏だけでは、工場などで働く人材を集めることに苦労することが予想されることから、全国的に工場を展開する、といった内容がありました。

一方では、勤勉さや独特の経済観念を、海外や日本のほかの地方で浸透させることは、なかなか困難なことから、再度地元に回帰する動きも強まっているようです。地域的な特質が今後どこまでが普遍的な特徴となっていくのかが、今後の大きなポイントになるといえるでしょう。

最近では、個人や団体などを問わず、ブログといった日記調のホームページが急激に増えてくるようになりました。その背景は、どのようなことがあるのでしょうか?また、ブログと口コミによる商品販売のつながりは、どのようなことが挙げられるのでしょうか?


回答


今さらあまり説明する必要もありませんが、ブログとは「ウェブログ」の略称で、一見しますと単純に、日記風になっている簡易型の個人サイトのことを指しますプロバイダなどの無料サービスを活用すれば、IDとパスワードの登録くらいで簡単に開設できることから、大きく普及してきました。
ブログが大きく普及してきたのは、単純な掲示板とは異なり、既に読んだブログを自分のブログとリンクさせるトラックバックの機能や、テーマごとに書き込みが整理されるなど、今までの掲示板の欠点が対処されていることも、大きいと言えるでしょう。

例えば最近では、注目度の高いブログに書かれた情報・コンテンツなどは、他のブログなどに引用され、リンクなどから次々に広がるなど、その口コミによる効果は、無視できないものになっていると言えるでしょう。

企業においても、自社のホームページのアクセスログ・アクセス解析などを、定期的にチェックしていますと、急激にアクセス数が今までの2-3倍に伸びることがあります。
そのほとんどの場合は、リンク元から経路をたどってみますと、ブログの書き込みやリンク・掲示板から見にきていますので、結果としてすぐに把握することが出来、またアクセス数や問合せ数の増加などから見ると、避けて通れない段階に来ていると言えるでしょう。

クチコミといえば、個人のホームページで特定の商品を紹介し宣伝する、「アフィリエイト広告」が主体となっている面があります。アフィリエイトプログラムは、インターネット上の商品販売に関する自社のサイト以外に、個人や企業などが自らのホームページやブログなどで商品を紹介する、成功報酬型の広告の一種のことを指しています。商品が売れた場合に、成功報酬としてサイトの運営者に支払うことから、費用対効果が高く、大きく広まりつつあります。
野球の新規参入で話題になりましたが、オンラインモールの楽天では、その3割ほどが、アフィリエイト経由で販売されている面が挙げられます。

クチコミに過度に依存するリスクですが、前にネットショップにおいて、パソコンの価格を間違えて表示したことから、掲示板などで格好の大騒ぎとなり、オークションでの転売を意図するなどして、1億台以上の注文が殺到し、結局サイトの閉鎖を余儀なくされたなど、クチコミが悪い方向で行けば、そのダメージは計り知れないと言えるでしょう。

またアフィリエイトサイトを運営する個人や、主催する企業で、詐欺などの社会通念に反した行為を行えば、全体的なイメージの悪化と言う面も否定できません。相手が見えないゆえのトラブル、ということは、前もって検討していく必要があるとも思います。

先日、営業から情報システム部の責任者となり、それと同時に、今までの販社を含めた営業管理システムの全面的な刷新などが、検討課題として経営会議に報告するよう、求められてきました。
会社としても、真剣な課題として認識していますので、自分はより慎重であっても良いと思いますが、おそらくとんとん拍子にシステム開発まで進んでしまうと思います。あまりコンピュータのことは良く分かりませんが、色々と調べてみますと、開発・移行の際に、現場からの意見集約に手間取って、仕様がまとまらずにトラブルが生じたり、プロジェクト自体が頓挫してしまうことも、結構多いように思えます。

そのため、実際にプロジェクトを推進していく際の、「すべからず集」と申しますか、失敗しないための注意事項といったものがあれば、教えてください。ちなみにこの数年間は、技術的に内部で難しいものは丸投げすることがほとんどで、また不況で投資額自体を抑制していましたので、何年も止まっている状況にあります。


回答


そうしますと、部内自体でプロジェクト慣れをしていないことから、進捗管理や仕様の変更などが急に生じて、時間や資金面でタイトなやり繰りになった場合、その対処能力などが厳しくなることが予想されます。
単純に言いますと、プロジェクトが破綻しやすくなる、「アキレス腱」の部分が多くなりやすいということでしょう。

システム開発のプロジェクトで、仕事を進めていく際に、失敗をしやすい点とその内容については、以下の内容が挙げられます。

1)ベンダーの選定
新規に大規模案件を展開するとなると、今までの付き合いあるベンダーからの提案だけではなく、色々なところからの紹介を含めて、提案や売り込みが活発になることが一般的でしょう。
そうしたベンダーの選定に関して、声の大きな経営者や役員の紹介や取引先などの意向が過度に入りすぎますと、選定プロセス自体が不透明になり、時としては情実の選定となったり、後々に価格・仕様・納期などのトラブルの元となりますので、注意が必要です。

2)仕様の取りまとめ
まずは、何年かぶりで大型のシステム投資案件であることから、現業部門のほうから新しい機能などの要望・要求が、極めて多岐にわたることが予想されます。

その際に、システム移行の本来の目的や、具体的な進め方・時期などに関してきちんとした説明が欠けてしまうと、方向性やあるべき方向などといった観点が抜け落ちてしまい、現場への説得や受け入れるポイントなどが見えにくくなり、集約が遅れてしまうので、注意が必要でしょう。

3)子会社・関連会社・システム子会社や協力企業が、幾つか入り込む場合
システム開発のプロジェクトは、自社の社内だけで完結することはまず少なく、ベンダーやシステムインテグレータといった専門家の他にも、自社の他部門・関連企業・さらには、スポット的に加わってプロジェクトを支援する、協力企業など、様々なステークホルダーが関係するといっても過言ではありません。
しかし、目標は同じでも、各者それぞれ利害と思惑が一致するとは限りませんので、他のステークホルダーが、自らの思惑で行動する可能性のあることを念頭において、現場のマネジメントを進めていく必要があると言えるでしょう。

(1)自社の社内
→カットオーバーの時期は早く、費用も極力抑制したい。失敗・リスクは極力避けたい、などといった抑制的な観点。

(2)自社の現場や関連会社
→現場の部分最適を優先に考え、取れる予算・取れるシステム構成は、今のうちに最大限、意向を反映させたいとするもの。また今の業務が楽になることを大幅に優先し、会社やグループの方向性といったものには、あまり関心が薄れてしまう。

(3)ベンダー・協力会社
→売上や利益が増加するために、なるべく工数を増やし、長期間の仕事にしたい。また改修・運用など今後の継続的な関係となるためには、極力手間のかかるような構成にしたい。

といった内容から、状況によって利害と立場が全然変わってきますので、注意が必要といえるでしょう。


4)長期的な見通しと、危機管理
プロジェクトの推進に関して、責任者もしくは担当者が旗振り役として、必ずしも技術的なスキルは必要ありませんが、長期的な計画を持つ視点と、管理者として、計画を実施していくためのビジネススキルは、欠かせません。

仮に「なんとかなるだろう」といった、他人任せの甘い認識で、プロジェクトを進めてしまいますと、危険な予兆などの見極めや判断が遅れてしまい、大きなトラブルが生じる一因となりますので、注意が必要でしょう。

最近では税金の確定申告や、許認可などの申請を、わざわざ役所の窓口に行って手続きをしなくても良い、電子申請が増えています。
森内閣の時代に電子政府やIT化に力を入れていましたが、その現状はどうなのでしょうか?


回答


行政サービスの向上や利便性を図るために、電子政府の整備は進んでいます。政府・自治体の申請は、96%がインターネットからも可能となり、確かに窓口に行く必要が減ってきたことも確かです。
しかし現実には、利用が伸びているわけでもありあせん。

例えば既に、インターネットを通じて確定申告を行えるようになりました。現実にはインターネット上で所得額や控除額などの数値を入力し、納税額の算定を行ってから結果を印刷し、確定申告の書類に転記してから税務署に持っていくことは、便利なことから増えていることは確かです。
しかし完全な電子申請という点では、まだ利用が少なく、その理由は、

1)領収書などの証憑を、別に郵送する必要があることから、結局は申告書も併せて手書きで送ったほうが未だに便利なこと。証憑は郵送・申告の書類はインターネットで、という形式はいかにも不便なことが挙げられます。
2)依然郵送が必要なら、やはり直接持っていったほうが安心なこと。
3)対象も国税だけで、固定資産税などの地方税は、別途書類を税務署や県税事務所・市役所などに提出する必要があること。

といった観点から、一部では理論的に税務署に行く必要はなくなりますが、トータルで見ると、実際に窓口に出向く必要があり、その効果を享受するには至らないことが挙げられます。また場合によっては、申告方法が書類とインターネットの2種類となることから、確認がしづらかったり間違いが生じやすくなる、といった面も確かにあるでしょう。

実際に国税庁の電子申告は、年間2300万件といわれる申告数の1%に満たないのが現状ですので、今後06年度までには、全体の5%を電子納税にする目標がありますが、その実現はなかなか難しいと言えるでしょう。

こうして利用実態が低いのは、
(1)許認可に関係する内容は、認められないケースが想定されることから、どうしても窓口に行ったほうが良いと判断するため。
(2)公益法人の設立など、元々の母数が少ないため。

などがあるでしょう。


☆質問
これだけコンピュータが著しく普及した時代にもかかわらず、なぜ導入されている実態が、このように低いのでしょうか?


★回答
もともと電子政府の計画は9年から、03年度までに全ての申請手続きを電子化する計画が挙げられ、さらに01年からのe-Japan計画では、ITを活用して経済を活性化し、世界で最も進んだIT国家にする、という目標がありました。

ところが昨今では、様々な意味で当初の期待とは異なっていたり、関心が急に薄れている傾向が見られています。
その要因は、

1)許認可などが密接に関係し、直接持っていくことを好む
規制緩和が進んでいるとはいえ、依然として中央省庁による許認可といったものは多いですので、その際に書類の内容などの不備による不手際などを避けるためや、顔見せなどの意味もあり、直接持っていくことが多い傾向が挙げられます。

2)政策決定などの関心が薄れる
IT戦略本部(総理官邸)が発足したのは2001年の1月からですが、その後インターネットが日常生活で当たり前となり、こうした電子政府の構想は有権者や国会議員の関心が低くなってしまったことが挙げられます。

一時期では、IT化や情報化によって会社が大きく変わる、と言われてきましたが、最近ではこうした熱狂は完全に沈静化して、「色々と期待したほどではない。」「期待はずれだった。」「予算をかけたほどではない。」といった声が、最近増えているように思えます。
なぜ情報化投資の効果に対して、最近では厳しい評価や期待ほどではないという声が相次いでいるのでしょうか?


回答


情報技術(IT)は、例えばサプライチェーンといった製品開発や物流面のプラスといった点だけではなく、在庫管理や営業支援など、販売効率を大幅に向上させる、有力な武器の1つといえますが、実際にはどのくらいの効果を挙げているか、といった観点から、あまり十分に検証されていないことが大きいと言えるでしょう。

そもそもの判断基準や、情報化の目的自体が曖昧であることから、その結果や組織・現場への浸透が不十分である、ということは、比較的多く起きている傾向にあると言えるでしょう。


☆質問
ITによる経営改革の効果が上がっていない要因、または日本のIT活用が国際的に見て遅れていると言われているのは、どのような点があるのでしょうか?


★回答
具体的には、以下の要因が挙げられるでしょう。

<マクロ的な要因として>
1)ITを支援する側(例えばコンピュータのベンダーや、システムインテグレータなど)が、ITを活用する側である顧客企業の業務知識や、その経営に関する知識・スキルなどが乏しいことによって、システム開発の投資が必ずしも効率的に行なわれていない点が挙げられます。

2)IT化で最も期待されるメリットは、複数の企業によって柔らかなネットワークで有機的に連携し、設計・製造などをバーチャルかつ効率的に分業しながら、生産性の向上を図ることにあったが、そうした試みは現時点ではまだ試行錯誤の段階にあると言えるでしょう。

今までは、企業全体や産業面についての内容でしたが、企業の内部状況、すなわちミクロ面では、以下のような要因が挙げられるでしょう。

1)ITに関する予算が、極端な過多か過少の場合が多い。
多くの企業においても、情報化投資の重要性は認識されていますが、その意思決定のプロセスに関しては、これといった目標や基準が設けられていないことが多いことから、様々な問題が生じていると言えるでしょう。

<1>予算の取りすぎの場合
例えば経営トップなどが、取引先を視察した、外部のセミナーなどを聞いて、強く刺激を受けたことから、急遽「わが社でも、他に負けないよう直ちに進めろ。金額に糸目はつけない。」とばかりに、急に大きな話が進んでしまいますと、目的や情報化の効果といった、経営規律が大きく低下しやすくなる傾向にあるといえるでしょう。

<2>予算の取れなさ過ぎの場合
逆に、過去にベンダーなどの言いなりになってマイナス面を被り、情報化へのアレルギーが強い場合には、「石橋を叩いても渡らない」ことが多くなってしまい、結果として、社内における人件費などコストが上昇する要因になるだけではなく、競合他社との競争に敗れてしまう、といった別の意味での経営リスクが増すことになるでしょう。

2)独自のシステム開発を嗜好する傾向
企業の、業務ソフトウエアの導入に関して、一般的にはパッケージソフトの活用と独自でシステム開発を行う場合とに2分されますが、海外ではその比率がおおむね7:3であるのに対し、日本ではそれが3:7に逆転していることから、必然的にコストが高額になり、投資を回収するためのカベが必然的に高くなってしまうことが挙げられます。

こうしたミクロ・マクロ共に、依然として国際的な競争力と言った観点から見ますと、弱い要素を持っている面が、残念ながら比較的多い傾向が見られますので、今後は社内だけではなく、産業全体として総合力をつけていく必要があると言えるでしょう。

最近ではインターネット限定の商品が出たりするなど、消費者向けの製品の販売やサービスなどで、インターネットが欠かせないようになってきましたが、具体的にはどうなのでしょうか?


回答


インターネットによる商品の販売などは、最近極めて急拡大していますが、その取扱う内容・性格などによって、大きく性格が異なると言えるでしょう。
少なくとも、以下の4種類に収斂されていくのではないでしょうか。

1)インターネット販売の比重が極めて高いもの

<1>航空券
国内の航空会社のネット予約取扱高は、正規のルートよりも料金が安くなることから、全日空が約1800億円、日本航空が約1700億円となっていますが、2004年度はさらに2~3割程度拡大すると言われており、個人乗客のインターネットによる予約比率は、現在では4割以上ですが、来年度には実に5割を超えると言われております。

<2>ホテルの予約
ホテルの予約も、インターネットで行ったほうが確実な上に価格も安いことが多いため、インターネットによる比重といったものが無視できません。最近楽天が買収しましたが、旅行のポータルサイトである「旅の窓口」も、様々なクチコミ情報などによって、アクセスが集中し、その広告収入といった要素が大きかった面があると言えるでしょう。

この分野での特色は、コストが明らかに低い、もしくは利便性が極めて高い、またはインターネットならではのサービスがあるといった、明確な差があることがポイントと言えるでしょう。

2)見積・商品情報を知るために、活用するもの

<1>住宅ローン
住宅及びマンションを購入する際に、借入限度額や返済プランを試算できるよう、銀行などの金融機関では、窓口での相談の前に、概算の出来るホームページを設けて、
事前の参考や資金計画を検討することを促す内容があり、数多く利用されています。

この場合、極めて高額なことから、直接インターネット上で取引することは無く、直接営業担当者への接触を促すようにする、契機の1つとして、インターネットを少なからず活用している点が挙げられます。

3)あくまで参考程度とするもの
<1>マンション
分譲マンションの場合、インターネットで調べることも当然ながらあるでしょうが、その比率よりは、むしろ新聞広告やチラシ、さらには付近を物色しての通りかかりといったウエイトのほうが大きい面は否定できません。

4)活用の度合いが相対的に低いもの
<1>日用品や食料品
懸賞目的では別ですが、普段スーパーの店頭などで見かける、日用品や食料品の場合、よほど特定の商品に対するこだわりがあれば話は別ですが、代替の利く日用品や食料品の場合は、買い物のその場の価格や鮮度などの理由で決めてしまいますので、あまりインターネットの情報では左右されない、といった面が挙げられます。


☆質問
そうしますと、インターネットによる販売・取引が主流となる面と、商品情報・仕様などといった、興味を喚起する面・さらには通常の取引のほうが便利な場合と、商品によって異なるわけでしょうか?


★回答
インターネットでの取引に適するものとして、

1)人手を介さずに手に渡り、大幅なコストダウンや特典などが、消費者側にとって享受できるものである。
2)商品に関する情報が多岐、もしくは直接営業担当者が説明すると時間とコストが大幅にかかるため、そうしたプロセスを情報提供によって大幅に短縮化できる。

などといった内容が挙げられます。

逆に、
1)あえてインターネットで調べるよりも、実物を見たほうが速くて便利。
2)特定の商品に関する嗜好性が低い。

などといった場合、通常の取引形態のほうが、主軸を占める面があるでしょう。

最近では都会を中心にして「既に景気が回復して、拡大基調にある」などと、よく新聞やテレビの報道などでいわれています。株価などを見ましても、やや上がってはいます、日経平均で1万1千円前後と、あまり勢いがありません。
また地方の経済にしましても、公共投資を絞っていますことから、夏の台風による災害などを見ても、なかなか難しい状況にあるように思えます。どうでしょうか。


回答


確かに一時期よりも株価が上昇し、都市部を中心として一見良い様に思われますが、決して浮かれるような状況でもありませんので、注意が必要でしょう。以下に掲げますが、今後間もなく景気が後退・減速するリスク要因といったものは決して少なくありませんので、注意が必要でしょう。

1)原油価格の高騰→すでにガソリン価格が高騰していますが、長期的になってしまいますと、運送業・自動車産業など物流コストの上昇は、無視できないものと言えるでしょう。

2)雇用所得の減少→ここ数年の雇用者所得は減少の一途をたどっていますので、昨今における企業の業績回復はリストラ効果の面は否定できません。こうしたことが、景気回復の最大の力である国内の個人消費の低迷につながる恐れも、十分に存在しています。

3)地方の金融機関の再編→すでにUFJ銀行の経営統合などから、都市銀行のメガバンクについては不良債権の減少と業界再編が進みましたが、逆に地方銀行などの再編をあまりに急進的に行った場合には、景気への大きなブレーキや信用収縮といった問題も出てくる可能性が否定できません。


☆質問
仮に再び、景気が後退していった場合、既に社内でも社員や組織をぎりぎりまで絞っていますことから、これ以上絞る減量経営が、正直難しいと思っています。縮小均衡は、これ以上は厳しいと思いますがどうでしょうか?


★回答
90年代からの不況を見てみますと、その対応に関しては「冬ごもり」をしている場合が圧倒的に多いといえるでしょう。主なパターンとしましては、以下のものが挙げられます。

1)完全に廃業してしまう
経営者や同族を含めて、会社自体が完全に高齢化してしまい、後継者もいない、もしくは居てもやる気が無い、という場合には、完全に廃業して引退してしまう、という場合も少なからず見られます。

2)リスクが高く人や組織を使う事業経営を止め、資産管理や不動産管理だけに徹していく場合
高齢化や承継といった問題とも関係しますが、経営を行うこと自体が、非常にプレッシャーがかかるうえに、色々と管理していくことや職場での人間関係など、仕事自体に魅力を感じることが少なくなるためでしょうか、会社そのものを譲ってしまったり閉じたりして、今まで個人名義や会社名義で持っていた不動産や建物などの賃貸を行い、会社は残していても資産管理に徹する、といったことも挙げられます。

3)完全に縮小均衡になって、八方ふさがりになる場合
不況やデフレの対策は、単純に会社を小さくすること、と考える経営者が増えている面もありますが、こうした対症療法のリストラを行っていくことこそが、自社の存立を危うくする、最大の要因といえるでしょう。

こうした今まで行われてきたようなリストラは、短期的には業績が回復するものの、単純に景気回復を待つだけの体制や方針になりやすく、より不安定な経営になりやすいといえるでしょう。

したがって、一時的にはこうした戦線の整理・縮小はやむを得ないでしょうが、その次の段階である「選択と集中」、すなわち衰退すべき分野は撤退しながらも、主力とされる分野には、社内の経営資源を集中させていく、といった努力を怠った場合には、業績の低迷が長引いたり、さらには冬こもりの期間が長すぎてしまい、経営そのものが厳しくなっていく可能性があるので、注意が必要です。

最近ではプロ野球問題で、テレビ・新聞などでその話題ばかりがもちきりになっています。内容については、朝から晩まで同じようなことをやっていますので、大体理解できますが、そもそもなぜ、あそこまでの大騒ぎにならなければならないのでしょうか?


回答


ことプロ野球に関していえば、メディアに関しても中立的な立場と言うよりは当事者として、様々な利害があるからでしょう。経営側から見ても、球団再編問題はテレビでの放映権や新聞(一般紙・スポーツ紙)の売上に大きな影響を及ぼすことは言うまでもありません。
また特に大きいのは、球団再編で合併が行われてしまいますと、今まで各球団・球場に記者・カメラマンなどといった担当者が各紙ごとにいましたものが、合併してしまうと、取材陣にも当然ながら1球団になってしまいますので、片方は整理されてしまう、といったしわ寄せが当然ながら行われるようになるでしょう。
一般企業でも合併による人員整理は問題になってしまいますが、今まで寡占状態や様々な規制などによって保護されてきたマスコミにとって、こうした衝撃は大きいものと見られます。
加えてマスコミ関係者の日常の口癖でもありますが、「自分たちの仕事は、他で通用するといったつぶしの利く仕事でない。」ということから、まさに当事者として大騒ぎしている面もあるように思われます。

また、単純に球団のフロントやオーナー側が悪玉で、選手会や新規に参入しようとする企業が善玉、というような単純な問題ではなく、もともとテレビの放映権料の問題や、2リーグ制固定でやっていくことで、経営赤字が構造的な問題となっていますので、仮に今の枠組み・運営方式のままで新規参入があったとしても、いくら経営手法などで工夫をしていても、黒字化は困難なように見られます。
オーナー会議などにおける、意思決定のプロセスや言動などで、個性の強い特定個人による行き過ぎた言動の問題点、というのは確かにありましたが、少なくとも1リーグ制の必要性は、リーグを超えた交流試合、さらには海外チームとの試合など、様々な運営方法に関しては、一石を投じた効果というのはあったように思えます。
基本的に野球チームの親会社は、上場企業が多いですが、昨今のように連結決算などの会計制度の変化や、海外投資家が増加してきますと、株主からの経営責任を問うケースも出てきますことから、今までのように、企業イメージを上げるための広報宣伝の一環や、電鉄系の球団にありますように、球場まで電車で往復するための運賃収入が期待できる、といった次元では判断できないことも確かです。

したがって、球団経営の赤字が恒常化していることも、2リーグに分かれていることや放映権料の問題もあって、構造的な問題といえますが、新しい球団が今の2リーグの枠組みの中で参入したとしても、何も変わらない可能性が高いと言えるでしょう。

全体的に問題点の焦点がずれている点が見られていますが、本来は、新規参入の参入基準といったほかにも、以下のように、それぞれ複雑かつ個別に入り組んだ課題が存在していますが、今まで放置していたツケが、正に今の段階で回ってきたように思えます。




1)リーグ制度
単純に2リーグ12球団で固定するのではなく、チーム数を増やして1部2部の昇降格などを設けるといった内容でしょう。

2)交流試合の問題
オールスターやプレーオフだけではなく、定期的に交流試合などを設ける点などです。

3)海外リーグなどとの対戦の問題
アメリカの大リーグだけではなく、台湾・韓国・中国などのチームとの対戦といった課題でしょう。

4)球団の経営を圧迫している、選手の年俸高騰の問題
年俸の高騰をコントロールすると共に、新規に選手を獲得する際の契約金などといった、制度そのものでしょう。

5)実業団などとの交流の問題
プロ野球は尊いものとして、今まで実業団や大学と一線を画してきたため、プレーしている人口の割には、裾野が広まっていない点が挙げられます。

6)メディアの放映権の問題
巨人一極集中の問題がありますが、これは日本テレビの最近の有価証券報告書の経営リスク情報の箇所にも、視聴率の低下による広告収入の減少といったことが明記されていますので、長期的には分岐点にあると言えるでしょう。

7)観客数の問題
サッカーのJリーグでは、入場料収入を配分するため、正確な観客数を把握していますが、例えば定員が5万名に満たない東京ドームでも、満員時では5万5千名と出るなど、おおむねアバウトな傾向にあるようです。

8)新規参入する企業の審査基準
これは参入・退出が状況に応じてスムースに出来るのか、参入自体がステータスとしてあえて厳しくするのか、明確な基準といったものも求められるでしょう。

こうした様々な問題を無視して、単純に「今まで通り2リーグ12チームを維持する」「新規参入を阻止する球界はおかしい」という議論やバッシングだけでは、再び他のチームと同様に、次第に運営が苦しくなってしまう連鎖となってしまうものと思います。

また、メディアの報道などを見ましても、「新聞社を持つ某社の体質はおかしい」「選手会こそが、スポーツマンシップに反する不法な行為をしている」と、批判のなすりつけをしているような印象を受けます。


議論が迷走している要因ですが、主に

1)前述致しましたように、放映権の問題や新聞部数の売上だけでなく、担当者の雇用問題などメディア自体にとっても、利害が関係する当事者として関わっている。

2)詳しくは後述致しますが、海外でベースボールと言われるものが、他の日本文化と同様に同種異別の「野球」に生まれ変わり、その日本的なものがあったために、今まで多くのファンに浸透して発展してきましたが、今日のように海外からの情報が増えてしまうと、こうした日本的なもの(運営方法・選手・メディアの報道の仕方など)のコンテンツ自体が劣化してきた、もしくは飽きが見られるようになった。

ということが挙げられるでしょう。


例えばサッカーの場合、地域に重点を置いた経営で、広く普及してきました。発足当初はプロ野球と同様に、自動車メーカー・他のメーカー・航空会社など、企業丸抱えの面があったように思えます。またJリーグ自身も、当初はプロ野球を徹底的に研究したようですが、不況や選手の年俸高騰などによって運営が苦しくなり、チームの統合・再編、また地域色を強めて地方からの参入を促進するようになってから、選手やサポーターの裾野が大きく広まってきた印象を持つようになりました。

サッカーと野球の組織運営の違いは、主な特徴として、

1)資金集めも身の丈経営で、地域の企業・個人・自治体などから広く薄く集め、町おこしのような形に近い。
2)チーム側とファンのように、一方的に近い関係よりも、サポーターとしての双方向性がある。
3)選手自体もクラブ形式となり、最上部のプロからユース層・さらには青少年によるチームと、下部組織が連携している。
4)将来及び潜在的な需要の掘り起こしのために、学校などを巡回して子供たちに教えたり、ファン交流などを図る。

といった形が挙げられるでしょう。これと類似した形では、最近日本でも広まっていますが、オーケストラ(交響楽団:ただし一部の放送局系・新聞社は除く)がこれに近いものと言えるでしょう。

一方、野球などではこれに対比して、

1)経営手法も、参入したことによる知名度の向上や、広告効果など、プレステージ・ステータスを重視する。
2)チームが圧倒的に主導権があり、ファンが受身に近い形になる。
3)プロと実業団などを、明確に峻別している。
4)元々知名度があるので、あまり掘り起こしには熱心でない。また特定のメディアによるバックアップや宣伝などによって、様々なエピソードや時には「神話」といったものにも事欠かない。(過去の名作アニメ番組で、選手は移動のバスでも脚力を鍛えるため、決して座らないなど。)

などが挙げられるでしょう。似たような形態として他に、相撲・ゴルフなどがあるように思えます。


他にも、日本文化として定着している、野球・相撲・ゴルフは、相撲は国ですので、もともとの形でしょうが、野球やゴルフは本家の形とはだいぶ変わったように思えます。海外から輸入しても日本独自のものを作り上げた印象があり、以下のような共通した要素が見られます。

1)1人(もしくは1つ)の強者がいて、総当りする方式
1人のスターもしくは、スターチームがあって、常にあらゆるライバルと対峙し、常勝していくドラマを作り上げる、といった面が受けてきました。

2)「フェアプレー」という概念の違い
柔道は重量級を導入したことから、世界でも普及しましたが、日本ではイコールコンディションの意味するところは、体重が倍以上違っても、戦力差が大きくても同じコンディションで勝負することが主流で、その中で弱いとされるほうが「柔よく剛を制する」ことがもてはやされる傾向が見られます。

逆に海外では、競馬でも強い馬に重りをつけるなど、強者にハンデをつけて接戦に持ち込むことが、イコールコンディションと解釈されますので、全く違うと言っても良いでしょう。

他にも、文化的な共通性としては、

1)後援方式も広く薄くではなく、タニマチのように狭く厚い、プレステージを重視したものになること。
2)スポーツと芸能との境目が少ない、もしくは同一の扱いであること。(江戸時代のかわら版からの影響があると思います。選手の成績だけでなく、プライベートやゴシップなども含まれるでしょう。)
3)特定のメディアが、主体的になって進めていくこと。(相撲はNHK・野球は日本テレビなど)
4)ファンの心理自体も、最近では減少していますが、仮に雨が降っても見に行くものの、常に勝っていないと見ない、また勝敗は時の運によるものも大きいですが、勝った負けたで騒ぐ面がある。
5)スター選手自体がいなくなると、衰退してしまう。特にゴルフのように、スター選手が高齢化したり、海外に転戦したりすると、人気や運営が厳しくなる。

などといった問題点があるといえるでしょう。

発足の経緯などが、日本的な手法での野球の普及と、海外方式に近い形でのサッカーと全く異なっていますが、良し悪しは別として、運営する側だけの責任ではなく、長年求めてきたファンの見方や価値判断といったものも、決して小さくないものと思えます。時として、ファン側のやや狭い価値観の中で、歪めてきた面も無視できないのではないでしょうか。

こうした野球の問題は、単純にストや新規参入の問題として、狭い範囲で見るだけではなく、過去や現在に至る日本の社会の縮図のような形として、見ていく必要があるものと考えます。

以前からトラブルが相次いでおりますが、最近でも出会い系サイトに関するトラブルがあると、色々と聞いております。
今までは実際に「出会ってから」のトラブルが多かったようですが、最近では料金や課金に対する問題が相次いでいるようです。具体的にはどのようなことでしょうか?


回答


具体的には、以下のようなパターンが多いようです。




1)主に携帯電話から、利用規約などを読まずに「無料だ」というように特に意識なく登録してしまう。
2)ところが、登録した後の画面に、入会金として「数千円から数万円(3万円など)料金をお支払いください。」といった内容が出て、その後通知が度々来るようになる。登録時には、メールアドレス・電話番号とハンドルネーム以外には、入れていないにしても、特に変わらない。
3)ほとんどのすべての場合、そこには振込先が書いてある。
4)後になって利用規約に目を通してみると、課金の内容が書かれている・もしくは書かれていても非常にわかりにくい場合が多い。
5)利用規約のあいまいさや、料金に関して不信に思い、退会の手続きをした場合には、返信のメールが来て、利用規約に書いてある金額を支払わないと、退会できない、といった案内のほかにも、3日以降経っても支払わない場合には、例えば1日あたり5000円の延滞金と、さらには事務手数料も加算される、と書かれている場合もある。
(例えば無視していた場合、延滞金、事務経費などで十数万を払うように言われるなどといった事例があります。)




出会い系サイトに関するトラブルは、今までの場合、実際に出会ってからのトラブルが多かったと思いますが、最近では料金の支払に関するトラブルが多いようです。

また単純に、先方に電話連絡さえすれば、払わなくても退会できるというものでもありません。逆に実際に電話で連絡した場合には、ハンドルネーム以外の実際の氏名や住所、さらには勤務先などの個人情報を聞かれる場合が多く、そうしたことを話してしまった場合には、後々に恐喝の材料になり、余計金銭を支払わなくてはならないおそれも出てきますので、避けるべきでしょう。
様子を見ている、というよりも、個人情報など新しい材料をさぐる、といった見方のほうがより適当かもしれません。

また料金の支払いについては、はじめに無料だと誤解させるような表記があったり、約款などを見ても分かりにくい場合、誤解や錯誤を招くことから、契約そのものが無効だと主張できる場合がほとんどでしょう。
実際に加入だけでも料金がかかる・さらには退会時にも幾らか支払わないと退会できない、また延滞金や事務手数料もかかる、というのでは、商取引に関する社会通念上、大きく反していると言わざるを得ません。

こうしたトラブルの場合の具体的な手順として、基本的に言えますことは、ひと夏の思い出もあるようですが、トラブルに巻き込まれる可能性の高い、サイトの利用そのものを避けるべきです。
さらには、

1.利用者規約及び課金に関して極めてわかりづらく、誤解を招きやすい旨を主張し、さらに理不尽な請求は公序良俗に反するなどを理由として、解約の申し出を行い、支払には応じない。

2.課金サイトの場合は、メールアドレスやクレジットカードの番号・さらには携帯電話からの利用の場合は、現行の携帯電話を解約して、別の番号にするなど変更し、物理的な引き落とし自体の無いようにする。

3.その上で消費生活センターなどに連絡して、内容を相談・報告し、判断を仰ぐ。

などといった対処が必要でしょう。


ある意味、数年前に多発しましたが、メールやハガキなどでよく来ていた、アダルトサイトを見ていないにも関わらず、請求が来ました架空請求と似ていますが、警察の取り締まりなどによって、大幅に減ってきました。
それに代わって、アクセスして加入した側にもある意味弱みがある、退会するにも費用のかかるような、出会い系サイトが増えるようになってきました。
また他にも、援助交際を誘う電子メールがやってきた場合に、返信したところ、サイト側からお金を請求する事例など、新手の方法が目立つようになりました。

基本的には勝手に請求を送りつける架空請求ではなく、欲望に対して漬け込む傾向が見られますが、こうしたトラブルが相次いでいますので、利用しないことを徹底していく必要があるでしょう。

実際にこうしたトラブルに巻き込まれた事例などを見ますと、男性・女性を問わず、既婚の方で家庭を持たれ、お子さんもいらっしゃり、ご両親などと共に暮されている場合もあります。

興味本位や一時の欲望などで、たまさか手を出したばかりに、場合によってはトラブルに巻き込まれ、平和な家庭に暗雲が立ち込め、亀裂をもたらすこともありますので、家庭での責任や社会的な自覚、といったものを念頭にして、こうしたことに付け込まれることのないように、節度を持った行動こそが欠かせないでしょう。

小売店(輸入雑貨)を営んでいます。98年頃から自社のホームページを立ち上げ、商品の紹介とお店の案内を始めるようになり、こうした影響で「ホームページを見た。」とおっしゃるお客様がちらほら出るようになりました。
そのために3年前に、ホームページのデザイン・内容などを全面的にリニューアルして、さらにはインターネットオークションが増えてきたことから、着払でのネット販売も併せて営むようにしました。
変更当初は、大変な効果があったのですが、最近になってからは、問い合わせの数や商品の購入に対する申し出が大幅に減っている状況にあります。
そろそろ、ホームページの全面的な刷新を含めて、リニューアルを考えているのですが、どうでしょうか?


回答


アクセス数自体が横ばい・もしくは微増でも、実際に問い合わせ数や物販サイトの場合の売上が減少している場合には、ただちに全面的なリニューアルを開始したほうが望ましいでしょう。
現にアクセス数がそのままなので、しばらく様子を見て、と判断してしまいますと、競合他社のホームページや、インターネットオークションなどに、お客さんを奪われてしまうことになりかねませんので、注意が必要です。

ホームページが新しく立ち上げる・もしくは、リニューアルした後における、主な流れは、おおむね以下のようになります。

1)最初期
-ホームページを新規にオープンする・もしくはリニューアルした場合
・新規に開設した場合、直ちには効果が現れず、早くても2-3週間、遅い場合には2-3ヶ月ほど、時間を要するケースがある。
・本格的な効果が出てくるには、2-3ヶ月くらいの差が発生する場合が多い。

2)中期
-だんだんアクセス数や問い合わせ数が増加する段階
・次第にアクセス数が増加する。
・実際に商品の購入に結びつくような問い合わせや、引き合いなどといった効果が出てくる。

3)衰退期
-アクセス数は横ばい、もしくは若干増加しているにもかかわらず、問い合わせ数や販売額が減少し始めている
・アクセス数やページでの誘導などで、ユーザーの流れに関してははおおむね同じ。
・逆に問い合わせ数や引き合いといったものが、大幅に減少してしまう。


4)交替期
-そのまま放置していると、分母のアクセス数自体が右肩下がりで減少してくる
・アクセス数もしくは全体のページビュー数(閲覧数)自体が、大幅に減少する。
・顧客からの問い合わせ自体が、年に数件といった形で、ほとんど無くなってしまう。


コンテンツの大幅な追加更新や、リニューアルの具体的なタイミングの見分け方ですが、1つの方法としては、日別や時間別のアクセス状況や、問い合わせ数・また問い合わせの内容・状況などを詳しく分析した上で、こうした動向が生んでいる細かなシグナルを、見分けていく必要があるでしょう。

ISO9001を取得したうえで、同時に製造業の生産管理システムをリニューア ルしたことにより、逆に現場が混乱して納期が延びるなどの弊害が生じたことに関する、具体例です。


回答

☆具体例




北陸地方のとある企業は金属部品の製造業で、中小企業の多く集まっている県庁所に本社と工場を持っています。多くの部品メーカーは、納入先である大企業が海外に工場を移転したり、下請け企業同士の価格競争や、部品価格の引き下げなどによって、業績不振に悩んでいます。

こうした環境の中では、独自の切削技術によって、今までから精密機械メーカーや電機メーカーから引き合いがあり、様々な部品を納入してきましたが、他にも海外のパソコン部品メーカーなどから引き合いがあり、販路を広げている状況にあるといえます。

ところがこの1-2年にかけて、部品を納入する納期の管理にややばらつきが出るようになり、時には半日から1日程度の遅れが出るといった状況になりました。

もともと生産ラインは、工程は高度に自動化されていることから、今までは受注を受けた製品ごとに、リアルタイムで生産の進捗が把握できるようになっていることから、メーカーなどの問い合わせに対して、当日中に正確に対応することが可能でした。

ところが、1年前に従前のオフコンによるシステムから、パソコンを使ったクライアント・サーバーシステムに変更したところ、生産管理システムの内容や精度が低下し、今まで、受注した製品がどの工程にあるのか、リアルタイムに進捗状況が把握できていたものの、新しい情報システムになったところ、最終的な完成予定や時期しか管理できなくなってしまいました。

こうした弊害が生じてきた原因は、品質に関する認証であるISO9001を取得したことから始まります。
今までの生産管理システムを、オフコンから変更するよう、内部で検討を開始する直前に、品質管理部から、ISO9001の品質管理の認証を取得するよう要請を受けて、実際に取得しましたが、まさに認証こそが、生産管理システムの進捗や納期管理などが大きくレベルダウンする原因となってしまいました。

変更する前の生産管理システムは、生産指示は端末に表示されて、各工程が完了した時に、生産指示時に対応する生産数量や発生した不良品の数、完了日時などを入力していました。

ところがISO9001の導入に対して、コンサルタントから各工程の作業指示と完了確認を、マネジメントがきちんとできているか検証するために、ドキュメントを残さなければならないと指摘されました。

そのため、暫定的な措置として、紙媒体の生産指示書を再び復活させて、各工程ごとの計画と実績を記入するように対処しました。

そのため生産現場では、紙の生産指示書の記入と、生産管理システムへの端末入力と、二重作業が生じるようになり、能率が大きく低下したため、端末入力そのものを取りやめてしまいました。

その後まもなく、生産管理システムをハード/ソフトともに全面的に更改しましたが、この直前に変更した、使わないことにした各工程における入力機能を開発しなかったことから、進捗状況や納期管理が出来なくなってしまい、遅れが出やすくなる状況になってしまいました。




☆質問
このように上の例で失敗してしまった原因とは、どのような要因が挙げられますでしょうか?


★回答
はい。いくつかの要因が挙げられます。

(1)ISO9001のコンサルタントの指導内容
コンサルタントの個人差によっては、業務内容を十分に把握せずに、単純にISO9001の取得ありきで、適切な指導の無い場合もあります。

(2)ISOの認証を取ることが目的化
本来ISO9001などの取得は、自社の個別の詳しい業務内容を文書化したり、オープン化することによって、さらなる合理化や品質の向上といったものを目指し、社会的な信用を高めるために行われますが、こうした本来の目的は忘れてしまい、単純にISO認証を得るためだけに目的と手段が入れ替わってしまう失敗、といったケースも少なくありませんので、注意が必要でしょう。


☆質問
こうした、目的と手段が逆転するような自体を避けるには、どのようにしたら良いのでしょうか?


★回答
はい。各部署でばらばらにISOの認証作業を進めていると、単純に限られた期間内で認証を取ってしまおう、と事務的かつ機械的になりやすく、現場が認証取得の形だけを整えてしまいやすい傾向がありますので、注意していくと良いでしょう。

前にこのコラムなどで、人事・給与制度の「成果主義」の効果について取り上げていましたが、当社でも前々から検討していることから、今後導 入に向けてどうすべきか考えておりました。既に成果主義を部分的、もしくは全面的に導入している企業は、増えているのでし ょうか?


回答


はい。日経新聞などの賃金動向調査などによりますと、全体ですでに7割近くの企業が、成果主義を部分的または全面的に採用している傾向が見られます。また過去1年間に、成果主義による賃金制度の導入・もしくは拡大を決めた企業は、全体の4分の1近くに増えるようになりました。

既に業績とは関係のない、家族手当や住宅手当などについては、逆に妻帯者や自宅からの通勤など、不平等感の強い諸手当を廃止する動きが顕著になってきました。
例えばソニーでは、住宅手当や家族手当などといった、全ての手当を今年4月から廃止するようになり、武田薬品でも諸手当を全廃して、職務別の成果主義になるなど、業績や成果に連動しない手当は、廃止・縮小する例が急増しています。

定期昇給や定昇相当分の賃金の見直しについては、全体の4分の1近くが全社員を対象に廃止し、15%強の企業が、まだ育てていく必要のある若手は残しておいて、それ以外は廃止するなど、年功的な色合いが極力薄まっているように見られます。
例えば松下電器産業は今年4月から、成果主義を取り入れた新人事制度を導入しましたが、若手社員を除いて定期昇給を廃止し、家族手当などの諸手当を見直すようになりました。

いずれにせよ8割を超える企業が部分的に何らかの形で、成果主義型の賃金体系を導入している傾向が見られます。

一方でこうした制度では、考課する会社・上司側の評価がより難しくなることが多く、本来は人件費を抑制しながら、個人のやる気を引き出すための制度が、逆に職場の意欲を低下させる面も否定できません。
業績に連動して給与を定める成果主義は、独立行政法人である「労働政策研究・研修機構」の調査によりますと、成果主義の普及は急激に進んでいるものの、従業員が納得する形で定着するには、さらなる改善や時間が必要と言えるでしょう。

成果主義を導入している企業は、全体の55%強に及び、うち3千人を対象に、調査した結果によりますと、従業員にとって、年間の成果や能力といった評価に対して、約3割が以前に比べて納得感が低下し、約15%が高まったとする回答よりも多い傾向が見られます。
(2004年1月:従業員100名人以上の企業1066社:7828名を対象)

さらに評価が客観的に出来ているか、公平感について聞いてみても、約20%が公平さが低下したと答え、高まったとする15.8%を超えています。

こうしたことから、評価そのものや、その判断基準となる公平さといった点に、不満や意欲の低下が見られやすいことから、納得の行く価値基準といったものを、あらかじめ明示すると共に、実際に職場で上司と社員が面接して評価・説明する際にも、形骸化したり、主旨が十分に理解されらないまま、運用される事態を避ける必要があるでしょう。

前にこのコラムなどで、人事・給与制度の「成果主義」の効果について取り上げていましたが、当社でも前々から検討していることから、今後導 入に向けてどうすべきか考えておりました。既に成果主義を部分的、もしくは全面的に導入している企業は、増えているのでし ょうか?


回答


はい。日経新聞などの賃金動向調査などによりますと、全体ですでに7割近くの企業が、成果主義を部分的または全面的に採用している傾向が見られます。また過去1年間に、成果主義による賃金制度の導入・もしくは拡大を決めた企業は、全体の4分の1近くに増えるようになりました。

既に業績とは関係のない、家族手当や住宅手当などについては、逆に妻帯者や自宅からの通勤など、不平等感の強い諸手当を廃止する動きが顕著になってきました。
例えばソニーでは、住宅手当や家族手当などといった、全ての手当を今年4月から廃止するようになり、武田薬品でも諸手当を全廃して、職務別の成果主義になるなど、業績や成果に連動しない手当は、廃止・縮小する例が急増しています。

定期昇給や定昇相当分の賃金の見直しについては、全体の4分の1近くが全社員を対象に廃止し、15%強の企業が、まだ育てていく必要のある若手は残しておいて、それ以外は廃止するなど、年功的な色合いが極力薄まっているように見られます。
例えば松下電器産業は今年4月から、成果主義を取り入れた新人事制度を導入しましたが、若手社員を除いて定期昇給を廃止し、家族手当などの諸手当を見直すようになりました。

いずれにせよ8割を超える企業が部分的に何らかの形で、成果主義型の賃金体系を導入している傾向が見られます。

一方でこうした制度では、考課する会社・上司側の評価がより難しくなることが多く、本来は人件費を抑制しながら、個人のやる気を引き出すための制度が、逆に職場の意欲を低下させる面も否定できません。
業績に連動して給与を定める成果主義は、独立行政法人である「労働政策研究・研修機構」の調査によりますと、成果主義の普及は急激に進んでいるものの、従業員が納得する形で定着するには、さらなる改善や時間が必要と言えるでしょう。

成果主義を導入している企業は、全体の55%強に及び、うち3千人を対象に、調査した結果によりますと、従業員にとって、年間の成果や能力といった評価に対して、約3割が以前に比べて納得感が低下し、約15%が高まったとする回答よりも多い傾向が見られます。
(2004年1月:従業員100名人以上の企業1066社:7828名を対象)

さらに評価が客観的に出来ているか、公平感について聞いてみても、約20%が公平さが低下したと答え、高まったとする15.8%を超えています。

こうしたことから、評価そのものや、その判断基準となる公平さといった点に、不満や意欲の低下が見られやすいことから、納得の行く価値基準といったものを、あらかじめ明示すると共に、実際に職場で上司と社員が面接して評価・説明する際にも、形骸化したり、主旨が十分に理解されらないまま、運用される事態を避ける必要があるでしょう。

株式投資している会社の、決算期を迎えましたことから、有価証券報告書や営業報 告書などをチェックしておりますが、今年に入ってからは、リスク情報が開示され るようになりました。これはどういうことでしょうか?


回答


アメリカなどでは、上場会社の新規公開や増資など、証券を募集する際にはリスク情報の開示が義務づけられておりますが、金融庁が2004年の3月期の有価証券報告書から、各企業に経営上のリスク情報開示を義務づけられるようになりました。
そのため、上場企業が様々なリスク情報を公開し始めるようになりました。

こうした導入の経緯は、最近株価上昇の大きな要因となっている、外国人投資家や、また最近増加している国内の個人投資家を保護し、経営実態を把握しやすくするために、金融庁が経営リスク情報の開示を義務付けるようになりました。
有価証券報告書などで、虚偽の記載や重要な事実が記載されなかった場合には、一定範囲の損害賠償請求が今後できるようになり、企業では訴訟されることを防ぐため、リスク情報の開示が、始まるようになりました。


また、現時点で開示されているリスク情報は、主に以下のものが挙げられます。


(1)事件事故などのリスク要因
最近報道されているような、色々な事件・事故などによって、業績に大きなダメージを受けていることが挙げられます。

例)
三菱自動車:一連のリコール隠しによる品質問題など。


(2)特定の顧客・事業・商品への依存度の高さ
経営上、大きなウエイトを占める取引先や、事業の動向などによって、仮に部門の損益が悪化した場合には、大きな影響を被るリスクが挙げられます。

例)
日本テレビ:巨人戦の視聴率が低下しているなど。


(3)大型投資によるリスク
社運を大きく賭けた大型投資や、自社の経営体力に負担となる投資など、経済情勢の変化や計画が想定通りに進まない場合、業績が悪化するリスクがあります。

例)
東急電鉄:複々線工事や、東横線と地下鉄13号線との相互乗り入れなど、今後も継続的に多額の設備投資を要するなど。


以上のように、各企業にとっては開示しているリスク情報の内容の質・量ともにばらつきが見られますが、より実態がわかりやすくなり、投資家にとっては経営の実情を把握する材料が増えることになりました。


またこうしたリスク計画は、上場企業に限らず、自社の経営管理のレベルをより高めるために、こうした様々なリスク要因といったものを、常に検討しておくと、より効果が生まれるでしょう。
規模の大きな企業とは異なり、丁寧に書類を作る必要はありませんが、それでも1-2枚程度の紙に、リスクの衝撃度と起こりうる可能性(生起確率)をまとめた表にしておくと良いでしょう。

不測要因の種類と内容については、主なポイントだけを列挙しておき、どのくらい事態が悪化したら対処していくか、常に経営者及び現場の責任者レベルにおいて、検討すると良いでしょう。

当社では最近、営業担当者がより多く取引先を回れるようにするため、原則直行直 帰の体制としており、週に1-2度打合せなどで出社してもらうようにしています。
ところがそれだけでは、頻度が少ないことから、テスト的にテレビ会議とは違って 費用をあまり要しない、1年前からインターネットとWEBカメラ・マイクなどに よる、WEB会議を実施するようになりました。実際に導入してみますと、マンションなど集合住宅に住んでいる社員の 場合には、時間帯によって、相手の顔が急に見えなくなったり、音声が急に途切れ るようになってきました。
オンライン会議における打合せの人数も、3-4名程度なら問題はないのですが、 7-8名を超えると、時として極端に画像の動きや音声の伝達も急に悪くなってし まいます。
これは人数や使い方などで、大きく関係しているのでしょうか。またこうしたもの に対する原因は何でしょうか?
また音声自体も、やまびこのように響いて遅れてやってくることから、会話がかみ合わなくなり、かえって効率が悪いのですが。


回答


インターネット回線によるオンライン会議では、リアルタイムで音声や画像データを交換することから、会話のタイミングが合わなくなって話しづらくなりやすい傾向にあります。音声再生の遅延時間が140~300ミリ秒を超えると、こうした不具合が出やすくなるようです。
というのも、到着したパケットから順次再生していくため、遅れると再生するタイミングが間に合わなくなるためです。
またインターネット上におけるオンライン会議の参加者については、参加者が増えていくと、どうしても通信回線が混雑してしまいます。


また、インターネット回線自体の混雑も、非常に影響を受けるもので、例えばADSL回線において、基地局から2~3キロ以上離れていると、理論値通りはまずありえず、実効は下りで1メガ弱、上りで200~300キロといった状況ですと、回線状況が混雑している場合には、音声が途切れたり画像の動きが極端に遅くなってしまうことが見られます。

いずれにしても、ブロードバンド化されたとは言っても、まだ通信回線の速度が、安定しないことも事実ですが、昨今の技術発展によって、例えば最新の技術では、WEB会議などの新しいシステムの特徴として、

1)自動的にネットワークの混雑を監視したうえで、混んでいる場所を効率的に回避する。
2)混雑していない通信経路に、WEBカメラで写っている画像を複製し、う回路から参加者に配信する。
3)混雑のために通信回線の速度が低下して、遅延が回避できない通信経路は、動画の配信をストップし、音声だけとして、移動するデータ量自体を減らす。

こうした技術によって、最大で1000名が同時に参加できるシステムとなり、大企業のテレビ会議やオンライン株主総会などの用途を想定できるようになりました。

まだこうした技術は実用化されていませんが、現時点での実際の対策については、他には回線の能力を増強したり、機器を増強するなどの方法ですが、コストや通信事情などの要因が大きいことから、慎重に検討をしていったほうが望ましいでしょう。

ベンダー側が意図的に情報システム部門を外そうとして、売上や利 益を確保しようと"工作"し、トラブルが起きる原因とは、一体なんでしょうか?


回答


☆具体例
情報システム部門と、新しいベンダー及びコンサルタントなどが、情報システムの更改をめぐって起きたことに関する、具体例です。




流通業のある会社では、今まで汎用機系の情報システムを活用し、管理運用には、情報システム部があたっていましたが、急にCIO(情報システムに関するトップ)から、パッケージソフトに変更するよう、指示を受けました。

現行の情報システムは、一通りの業務ができましたが、物流や通信設備の進化に追いつけない面もあり、外部のコンサルタントなどの派遣を受け、選定を行いました。選定したパッケージは、現行の機能を含んでおり、CIOの肝入りで始まりましたので、社内での承認もすんなり得られました。

こうした決定は、実際に外部のコンサルタントの提案によるところが大きく、社内の担当もCIOの他には、一部の役員や物流部門の担当者、経営企画室のスタッフが関与し、情報システム部門は懸念していましたが、蚊帳の外に置かれてしまいました。

今回はCIOや経営企画室が主導となり、コンサルタントに丸投げする、見切り発車となってしまいましたが、その大きな要因として、以前から社長やCIOなどにベンダーから、様々な提案やコンサルタントの活用などがあったからでもありました。
その際に、ベンダーに不利になりかねない、情報システム部門に対して、仕事の仕方や考え方が古臭く、仕事が進まない、といったネガティブな情報をCIOなどに流し続けた結果、情報システム部門を信用しなくなったことが挙げられます。

こうした提案は、売上や利益を確保するため、情報システム部門に提案内容精査されないようにするため、経営陣を中心にアプローチする戦略が奏功しました。

ところが実際にカスタマイズしてみますと、機能の名称が同じでも内容が全く異なることや、勘定科目の内容が全く異なる上に、追加や変更が、また別途にカスタマイズを要する、さらには画面が使いづらいことからデータ入力に時間がかかるなどの問題点が頻発するようになりました。

追加開発の見積をしたところ、新たに開発するのと同じくらいの金額を要することが判明し、既にハード・ソフトを刷新した費用やコンサルタント費を支払ったことから、予算も使い果たしてしまい、途方にくれる状況になってしまいました。

こうした状況で、提案やソフトウエアの選定を行ったコンサルタントは、今回の売上や利益の大きさから、ベンダー側の社長賞を得て、他の部門に異動となってしまい、ベンダーからも社内の情報システム部門からも取り残される結果となりました。




☆質問
こうした形で、ベンダー側が意図的に情報システム部門を外そうとして、売上や利益を確保しようと"工作"し、トラブルが起きる原因とは、一体なんでしょうか?


★回答
直接的な原因は、以下のものが挙げられるでしょう。
○ハードウエアの価格が大幅に低下したことから、かつては情報システム部門への信用を得るために、協力体制を築いてきたものを、そうしたこと一変させて、ソフトやサービス、さらには在庫削減やサプライチェーンなどの経営課題の分野に、ベンダーが積極的に食い込むようになったため。

こうしたことから、ベンダー側にとっては、情報システム部門が弱体化していったほうが、かえって好都合と言えるでしょう。

その流れとしては、
1)必要以上の機能を押し付けることにより、より高価なソフトが販売できる。
2)より高機能かつ高い性能を欲するソフトの販売に成功すると、CPUやメモリの消費量が大きいことから、性能の高いサーバーやクライアントの導入・入れ替えも必要となる。
3)こうした組み合わせを複数、活用することによって、内容・システム構成を肥大化させる。

こうした流れによって、この10年来、ハードウエアのダウンサイジング化が進んでいましたが、それをより「肥大化」する流れが出てくるようになりました。

そのため、主な流れとしては、

1)情報システム部門では、提案した内容の精査をして、金額を値切られたり、斬新さを主軸として、時として業態・企業の実情に合わない場合には、断られることも少なくないため、提案する際には決定権者である経営者や役員に絞る。

2)経営者やCIOなどの役員には、専門用語や効果などを強調して、経営課題として積極的なモチベーションを導き出す。


といった営業・提案活動が、次第に増えてくるようになりました。その結果、今回の具体例のように、ベンダー側があえて情報システム部門を排除するような動きもあるなど、より困難が場面が出てくるようになっていることを、認識していくと良いでしょう。

人事では最近、働きに応じてにおいて支給する金額や処遇などを決める、成果主義が本格的に広まっています。
当社でも、若い従業員やアルバイトから、「自分の働きや実績などが、給料などに反映できるようにして欲しい。」と常に言われているのに対し、知り合いの会社の社長さんに聞きますと、「社内の人間は、何だかんだと、どんぐりの背比べのようなものなので、そうそう単純には行かない。何年か苗に成果主義を導入したが、評価基準と業績への連動の仕方など、運用に苦しんでいる。」
ということを聞き、今後どうしたものか考えています。成果主義は確かに、総人件費を抑制するのには役立ちそうですが、社内で導入する際のポイントを教えてください。


回答


社員その人の働きに応じて、支給する金額や今後の処遇などを決める、成果主義に基づく賃金制度は、さらに導入しようとする動きが広がっていることは確かであるといえるでしょう。電機、自動車などの大手企業から、さらには日本郵政公社まで業種・業態を問わない、と言って良いでしょう。

企業にとって導入する目的は、定期的な昇給を土台とした年功賃金制度から転換し、総人件費を抑制すること、メリハリある増減によって、各社員の自覚と意欲を引き出すことにあるのは、言うまでもありません。それに代わって、賃金制度のあり方をめぐる議論が、労使間の重要なテーマになっている傾向が見られます。

その理由は、成果主義と言えば、どのような制度でもただちに好結果につながるわけではなく、試行錯誤の段階にあるためです。
一部のアンケート調査によると、成果主義に基づく賃金制度を導入した場合、職場の意欲が向上したと回答するのは、わずか6%強に過ぎず、半分近くは変わらないという結果を占めているためです。

それでも多くの企業が、成果主義の導入を検討していたり、実施に移すのは、今までの職能資格制度による賃金制度が、矛盾に満ちているようになったためと言えるでしょう。
各個人の業務目標を、企業戦略のベクトルに関連付けて設定することによって、個人の意欲を、企業全体目的の達成に向けて結集できることから、今までの年功賃金とは異なり、やってもやらなくても処遇があまり変わらない、といった悪平等を防ぎ、賃金総額を業績に合わせて管理できる、といった理論的には良いことではあるのですが、実際には限界があり、誤って解釈して不用意に導入・運用すると、様々な問題を引き起こしやすい、と言えるでしょう。


☆質問
具体的には、どのようなことなのでしょうか?


★回答
例えば各個人の働き方が、1年単位で短期的な指向に基づいてしまうことや、目標の設定を、確実に実行できるよう、意図的に低めに設定して、いわゆる「お手盛り」の制度になってしまったり、または会社側が高いノルマを押しつけて、意欲を低下させてしまう、といった傾向が生まれやすい点があります。

そうした弊害が生じないよう、業績次第で賃金が上下するシステムにも、あらかじめ注意していく必要があるでしょう。

一例では、今年春から近畿日本ツーリストで導入した成果主義による給与制度では、年齢による昇給は廃止し、各個人それぞれの職務に応じた役割と、その成果によって賃金を決める仕組みになっていますが、管理職でない一般の社員の場合には、教育育成の観点から、加点評価にしており、その成果給を積み上げ方式にして、基本的には賃下げが起きないよう、工夫しています。
しかし管理職の場合は、業務に関する一定の権限と責任があることから、年間の評価で月給が変動するようにするなど、権限及び責任と業績への対応の色合いを、はっきりと分けています。


☆質問
成果主義の内容を、一部軌道修正しながら改めていくことは、よくわかりました。他に具体的には、どのような点をポイントに配慮していけば良いのでしょうか?


★回答
例えば、営業職は売上や利益額がはっきり出やすく、評価しやすいのですが、管理職クラスになりますと、一年では結果が出ない業務も少なくありません。短期に賃金を上下させると、息の長い仕事への意欲を損ないかねないことや、チームワークを阻害するおそれがあります。

マイナス面を放置しておくと、幅広く柔軟な能力を備えた人材育成がおろそかになりやすく、長期的には企業の競争力を失うリスクもありますので、成果主義にも負の面があることや、限界があることを前提にして、改める制度を見直して行くと良いでしょう。


今話題の年金問題を、情報システムの観点から見る
最近テレビや新聞などで持ちきりなのですが、前から年金未納の問題や、個人情報である年金情報がマスコミなどで漏洩した、などといった報道がありました。
連日、年金年金とうんざりしている状態ですので、違う視点から聞きたいのですが、確かコンピュータの年金システム、というのは極めて巨大ではないでしょうか?

回答

はい。未納や未加入などの問題から、空洞化の深刻さが最近言われていますが、国民皆年金ということですので、それでも6-7千万人分のデータということは、国内で極めて大きな情報システムと言えるでしょう。

基本的には社会保険庁が運営しており、社会保険庁の「社会保険業務センター」が行っています。コンピュータセンターは、東京の高井戸と三鷹市の下連雀にあり、巨大なコンピュータセンターの1つと言って良いでしょう。

年金システムが、公共システムの中で最も巨大かと思われるでしょうが、そうではなく、大型汎用機のレガシーシステムの中でも、巨大な情報システムの1つではありますが、以下の順位にありますように、郵便貯金など、さらに大きなものもあることも事実です。

<巨大なレガシーシステムの主な内容>
(予算額は2001年度分)
システム名 官庁 予算額 契約形式
1.為替貯金業務総合機械化システム 総務省 2642億 入札及ぴ随意契約
2.社会保険オンラインシステム 厚生労働省 628億 随意契約
3.登記情報システム 法務省 611億 一般競争契約
4.国税総合管理(KSK)システム 財務省 562億 随意契約
5.特許事務システム 経済産莱省 356億 委託開発
6.年金相談に開するンステム 厚生労働省 191億 随意契豹
7.基礎年金番号管理ンステム 厚生労働省 111億 随意契約

これを見ますと、社会保険オンラインシステムだけではなく、年金相談に関するシステム、基礎年金番号管理システムなど、複数にわたりますので、極めて巨大な情報システムの1つと言って良いでしょう。

この表でも多いですが、契約形式の「随意契約」というのが、特徴的と言えるでしょう。

一般的に官庁などの公共機関では、公正さを確保するために、公開競争入札によって業者を選定する場合が多いですが、既存のシステムの保守運用・改修が主体となってきた場合には、「業務知識が詳しく、ノウハウもある上に運用に慣れている。」
といったことから、競争先を定めず、特定の1社と契約することを指します。

当然ながら、ベンダー側にとっては入札や競合ががありませんので、利益率が高くなるのは言うまでもありません。

こうした随意契約が増える背景は、以下の要因が挙げられます。

1)担当の職員が、2~3年ごとに異動があることから、業務知識が官庁側に蓄積されにくくなる。
2)その結果、大手のベンダーに丸投げになりやすい。
3)特にこうした公共システムの開発は、電電公社時代から構築に参画している、NTTデータの関与が、かつてのオンライン回線の構築などを含めてあることから、より関わりが強まりやすい。
4)その結果、随意契約が常態化してしまいやすい。

こうした随意契約は、当然ながら国会などから特に社会保険庁に対して質問があり、

1)被保険者等の情報量が膨大である。
2)年金制度は5年ごとに改正されてきたので、それに合わせて対応したことから大規模で複雑である。
3)その結果、一般の事業者ではノウハウがなく競争に適さないと判断される。
4)社会保険業務に精通し、制度改正に迅速に対応できる会社と契約してきた。

といった内容を回答しています。


こうした契約形態や運用などは、内容的に派手さがないことから、決してマスコミ向けではありませんので、あまり取り上げられることはありませんでしたが、「e-Japan重点計画特命委員会」(自民党政務調査会の中にある、特別の委員会)や、これに参加している若手議員のホームページなどを見ますと、こうした問題点を取り上げており、契約形態などの抜本的な見直しと、外部からのシステム監査を行うよう、政府に対して申し入れをしています。

具体的な内容としましては、以下のものが挙げられます。

○レガシーシステムについて
年間10億円以上かかる官庁の情報システムのうち、約半数の件数、予算で約8割がレガシーシステムであることから、

1)業務の継続性を重視し過ぎて、巨大な情報システムが長年にわたって競争のない環境に置かれてきた。
2)システムの保守運用に予算がかかり、効率性に関する検証のないまま拡充されてきた。

ことから、システム予算が戦略的なIT投資に回らず、技術革新や業務改革に支障をきたすようになってきた、ということを本質として取り上げております。

そのため、情報システムの見直しに対しては、現時点で監査などを受けている省庁もありますが、

1)各省庁や国民の利便性を落とさずに、費用を削減できるなら、極力レガシーシステムを刷新する。
2)システムと関係のない外部の専門家の監査を受け、利便性を下げずに費用を削減できるか検討し、刷新が必要な場合は、財務省に予算要求を行う。
3)仮に初期の導入費用が高くなっても、運用コストが低下することから、複数年度の予算計画を策定する。
4)オープンシステムへの移行の際には、省庁横断的な業務フローの共通化や、抜本的な業務改革をも併せて行う。
5)費用対効果を事前・事後で評価し、結果を公表する。また第三者によるシステム監査を定期的に受け、結果を公表する。
6)契約は原則は競争入札にして、随意契約は極めて例外的に採用し、理由や適用基準を明確にする。
7)供給業者を制限する(特にNTTデータ)おそれのある「データ通信役務サービス契約」は極力排除し、国庫の負担を軽減する。

ということを挙げており、2005年度までに、政府全体の業務・システムの抜本的な見直しのため、各レガシーシステムに関する最適化計画を策定することとなっています。

今までは予算を使いっぱなしにしており、使ってから十分に検証して来なかった、という面が大きく、かつてより政府が、「国産コンピュータ業界を育成する「情報技術の促進する」といった方針に基づいて、毎年予算を拡大してきましたが、それに見合った評価は決して十分ではなかった、という問題点が大きかったものと考えます。
今後こうした方針を形骸化することを避けるよう、国民としても今後の経緯を注意深く見ていく必要があるものと考えます。


ちなみに、ここで問題になっている、「データ通信役務サービス」とは、特にNTTデータが省庁の情報システムとの契約でよく使われるものです。

具体的には、
1)システム計画の企画立案から設計・開発・保守運用・ハードウェアのリース・通信回線の利用まで、すべての費用を、まずはNTTデータ側が負担する。
2)そうした先行投資をした上で、代金を「毎月ごとのサービス利用料」として回収する。

といった契約を指します。

歴史的には電電公社によって、オンラインシステム自体が独占的になっていたことから、過去のシステム構築の実績が豊富だったために、民営化後に企業分割しました際にも、有利に働いたことが挙げられます。


一般企業では、「企画立案まで全てお任せ」というのは考えられない内容で、情報システムの企画立案は基本的に外部の企業から提案を受けながらも、本来は自力で行わなくてはならない内容です。

しかし、各省庁の担当者は、おおむね2~3年毎に異動していくことから、概してコンピュータには疎いだけではなく、業務知識に指しても、ベンダー側で年金の情報システム一筋に数十年取り組んできましたベテランと比しても、十分な知識を持ち合わせているわけでもありません。

こうしたことから、NTTデータ側に業務を丸投げできるメリットも少なくありません。またサービス利用料も、電話料金と同じような扱いになりますので、財務省の予算要求なども容易なことから、担当者にとっては極めて使いやすいことであることは確かでしょう。

またこうしたサービスを提供するNTTデータ側も、サービス価格が適正かといった話に煩わされずに、料金設定ができる点や、1度初期投資に費やしたら、後は継続的に安定した入金を確保できる、というメリットがあり、インフレリスクという意味では、先々のリスクを回避することが出来ます。

報道などによりますと、NTTデータ側は今後数年間にわたり、総額で2000億円前後といわれる、データ通信役務サービス料金を残債として、受け取ると言われていました。

しかしこうしたことは、行政のコスト削減の一連の流れと、企業経営の側からも、次第に難しい環境になっていると言えるでしょう。

具体的にはまずは立法のほうでも、前述致しました「e-Japan重点計画特命委員会」からの申し入れにより、チェックが始まるようになりましたことが、第一に挙げられます。

第二には、年金問題はいわゆる「厚生族」の議員が関わることが多いですが、今回のようにNTTデータ側が関係しますと、いわゆる「逓信族」の範囲にも関わります。特に残債の問題に関しては、厳しい批判にさらされていますので、今後こうした流れは縮減など、見直していかなくてはならないものと存じます。

第三には、こうしたデータ通信役務サービスは、他社との競合や競争入札を未然に避け、随意契約を得るには極めて都合の良いシステムでしたが、年々情報システムが複雑かつ肥大化してきますと、初期投資の額が大きくなってくることは、自明の理であります。
インフレ時代には、先行投資によって後で回収したほうがメリットがありましたが、今日のように、デフレもしくは物価が横ばいの傾向ですと、初期投資が大きいことは、資金繰りの面で大きな負担になると言えるでしょう。

例えば、財務省(国税庁)の「国税総合管理(KSK)システム」は、当初2年の開発の予定が結果として12年を要することとなり、総額で3~4000億円と言われていますが、多額の費用を要したことから、財務省の主導のもとで、随意契約などの内容に関して、外部のコンサルタントに依頼し、価格が適正かどうか検証することを始めました。

他の官庁も、いわゆる特命委員会の申し入れから、こうした動きを始めており、社会保険庁にもようやく、外部のシステム監査が現在行われている状況にあります。
特命委員会などで指摘を受けた、各省庁のレガシーシステムは、合計で41件存在していますが、特に随意契約の内容や日常の保守運用が、丸投げの色合いが強く、放置できないとして特に念入りに調査したのは、社会保険庁の年金システムでした。

社会保険庁では、年金の「社会保険オンラインシステム」だけでなく、NTTデータ側に「記録管理システム」や「基礎年金番号管理システム」を随意契約などで委託しており、こうした年間の予算額を合計すると、約800億円程度と言われており、実に同社の売上高の約1割と言われております。

問題点としては、ようやく外部からのシステム監査が入っている段階ではあるのですが、

1)汎用機主体で技術的に互換性の少なく、閉鎖的な性格を利用して、事実上競争関係がなく、利益率の高い随意契約を得て、長期的に保守運用を請け負っていること。
2)料金なども、ベンダー側の言い値でつり上げられているケースが目立つこと。

などから問題提起されており、ようやく問題点の解消に向けて、システム監査や情報システムのダウンサイジングなどが始まったばかりですが、その意味は大きいものと存じます。

システム開発の途中で、開発のリーダーが人事異動によって他の部署に移ってしまったことから、障害などのトラブルが頻発するようになりました。会社側ではよく、こうして個人の責任を分散するような形で異動が行われるのですが、こうした是非について、教えてください。


回答


☆具体例
全国規模で展開し、海外にも生産設備を持っている製造業企業に関する具体例です。

よりリアルタイムに在庫や引当情報などをオンラインで反映できるようにした、生産管理システムを、旧システムから移行した際に、トラブルが頻発した事例です。




X社の生産管理システムは、構築後10数年経過したレガシー・システムでしたが、CIO(最高情報責任者)から数年前、情報システム部長に対して、「生産管理システムを年度末までに、在庫削減やサプライチェーンの機能を持った、オンライン処理に対応するように」という指示が出ました。

情報システム部長は、オンライン化するのであれば部分的な手直しではなく、経営革新や効率化を目指して、システム全体を見直すべき、と考えましたが、そうなる年度末には間に合いませんので、
「CIOの指示のように、間に合うようそのままやるしかない」
となってしまいました。

同社では、専門的な色合いの強い情報システム部門でさえも、他部署と同様に3年程度で異動を繰り返すことが多いことから、システムやネットワークに強い社員があまりおらず、そのことから自社開発よりも、全てベンダー任せにしたほうが良いと判断しました。

そのため、稼働中のシステムを構築・運用を行っているベンダーに委託しましたが、仕様に関して多少のトラブルや手戻りが出てはきたものの、開発の進捗はほぼ計画どおりに進展することが出来ました。
統合テストの途中で本番稼働の直前の段階で、情報システム部長や、開発の中心となったメンバー4名が、ITに全く関係ない部署に異動することになりました。

部長は本番稼働直前の異動は不本意でしたものの、システム部門に長く残ることは、今後のキャリア形成でマイナスになることから、後任の方に引き継いで、任せることになりました。

ところが本番稼働後には、ネットワーク回線の障害が相次いで、問い合わせやクレームなどが相次ぐようになりましたが、障害が起こっているクライアントや回線・さらには地域もまちまちで、再起動させると正常に動作するなど、原因がわからない状況で、中には送信データが欠落するなどの事態も発生しました。

テスト内容を検証すると、データの負荷をチェックする限界テストが実施されていないため、各地から一斉にデータ送信を行うテストを実施した所、障害の原因は、接続の設定と負荷の分散に対する不具合が判明しました。

ベンダーに改善を求めたところ、後任の情報システム部長からの承諾を得ていることから、ベンダーには責任がないと主張しました。後任の部長は期日までの完成を重視し、遅れがちの進捗に焦っていましたことから、ベンダーの報告に対しても、ほとんどノーチェックで承認していることが判明しました。

結局は話合いの結果、今後の保守運用のメリットから、ベンダーの責任で修正することになりましたが、修正した後は、正常に稼動することになりました。




☆質問
こうしたトラブルは、多くの会社では何らかの形で多いものと思いますが、その背景については、どのようなものでしょうか?


★回答
直接的な原因は、以下のものが挙げられるでしょう。
1)ベンダー側のネットワーク設計の誤り
2)テストの不足
3)機器などの設定ミスとバグの重なり
4)外注への依存率が高く、ITに関するスキルの不足していることから、丸投げが常態化

ということが挙げられますが、最大の原因は、職員や責任者はおおむね3年ごとに異動してしまい、仕事を全うするような責任が取れる仕組みになっていない、または、情報システム部門に長く在籍することはことは、今後のキャリアにマイナスになってしまい、立身出世ができない、といった組織のゆがみがあるものと考えられます。

ベンダー側のミスや誤り・またテストの甘さといったものも少なくなく、進捗を急ぐあまり、結果としていいかげんな管理やチェックになってしまった、発注側の問題点も無視できません。

しかし、平均して3年ごとに社員が異動するシステムは、最新のIT事情を理解して、技術のトレンドと業務を考慮ながらシステムを構築することは、極めて困難だと言わざるを得ません。

したがって根本的な原因として、中長期的に人材を養成する枠組みがなく、会社全でスキルを持とうとしない、結果としての無責任体制によるものと言えるでしょう。
意図するしないに関わらず、結果として無責任体制になりやすくなりますので、営利目的の企業の場合でしたら、逆にこうした制度自体は良く考える必要があるものと考えます。

以前こちらのコラムにて、「2007年問題」について取り上げていましたが、他にも色々と「20××年問題」があると聞きました。具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?


回答


今後予想され、また既に現実的に起こっている「20××年問題」については、主に以下のものが挙げられます。




(1)2004年問題<流通業の税・保険料問題>
既に一部移行されているものもありますが、
1)消費税の総額表示の義務化
2)外形標準課税の導入
3)パートヘの厚生年金適用拡大

といった3つの制度が導入された場合には、特に流通業や外食産業などが大きな打撃を受けると言われています。




(2)2005年問題<大型マンション供給過剰>
都内を中心に、超高層かつ大型のマンション物件が一斉に完成することから、マンションの供給過剰が懸念されています。

<国内会計基準の孤立化>
EU上場企業が国際会計基準(IAS)を全面導入することから、EU以外の国においても、会計基準を変えようとする国が出ています。
そのことから、日本の会計基準が国際的に通用しなくなる懸念が出始め、日本企業が欧州市場で資金調達する際に影響が出ると言われています。




(3)2006年問題<新学習指導要領世代の大学入学>

何年か前から、既に学力低下が言われていますが、大幅に学習内容を減らした「新学習指導要領」で学んできだ高校生が、大学に入学する年と言われています。
そのため大学生の学力低下がさらに深刻化し、大学で基礎学力をつける講義を行ったり、専門課程の空洞化などが進行する懸念が持たれています。

<エチレンの大量供給>
中国や中東諸国で石油化学製品の基礎原料となる、エチレンの大型プラントが相次いで稼働する予定になっています。
新設備の生産能力は年間650万トンといわれ、2002年現在の国内年間生産量である715万トンに近い設備であることから、価格競争力に劣る国内での苦戦が予想されています。




(4)2007年問題<高級ホテルの過剰供給>

特に2007年にかけて、都心部で外資系の高級ホテルが相次いで開業することから、客室数が増えホテルが過当競争に陥ると言われています。




(5)2008年問題<10年物国債の大量償還>

小渕内閣の景気対策によって、98年度に大量発行した10年物の国債が償還を迎えることから、借換債の発行額が急増し、そのときのマクロ経済の状況によっては、債券価格の暴落などのおそれがあるとも言われています。




(6)2009年問題<大学全入時代>

少子高齢化の影響により、18歳人口が減少することによって、進学希望者と大学・短大の入学者数がほぽ一致し、計算上は「全入時代」になる見通しと言われています。そのため、大学によっては定員割れが相次ぎ、経営難から破たんする大学が増える可能性も言われています。




(7)2010年問題<団塊の世代の大量退職>

人口減少や少子高齢化、さらには団塊世代の定年退職によって、都内23区のオフィス需要が減少するリスクが高まると言われています。最悪の場合には2000年から10年間で、現在の丸ビル23棟分に相当するオフィス需要が市場から消える可能性もあるようです。




(8)2011年問題<地上アナログ放送の中止>

昨年12月に3大都市圏で始まった、地上デジタル放送のエリアが拡大され、従来のアナログ放送は2011年7月に打ち切られます。
そのため現在使われているテレビの大半は映らないことから、この年までに消費者は買い替えを迫られる必要性が出てきます。




特に大学の全入と学力低下が、今後の社会を考えますと、特に深刻な傾向にあると言えるでしょう。具体的にな弊害としては、前々から大学の先生などより、学力の低下が著しく、英文を扱った講義が出来ない・基本的な経済理論を行うにしても、その基礎から教えなければいけない、といった問題点が生じていますが、他にはこうした事例が生じています。

(1)大学生への家庭教師
今まで家庭教師は、中学生か高校生までというのが常識でしたが、最近では大学に入っても授業についていけず、補習を望む学生が増え、同世代の大学生が大学生を教えている、というようなことが増えるようになりました。

(2)学内での補習
前述した、「新学習指導要領」で学力の低下した盛大が大学に入る「2006年問題」や、人口の減少に伴い全入時代になる「2009年問題」ような中で、すでに数学や物理など理数系科目では、高校の補習の色合いが強い授業を導入しているところも見られます。

またこうした傾向を見ますと、前述しましたが「人口の減少」だけではなく、「供給の過剰」「需要の減少」といった、社会そのものの枠組みが壊れかけるような性格のものも少なくありません。様々な20××年問題は、決して明るくない話題ですが、今後の少子高齢化社会を迎えるに際して、無視できない経営課題の1つになり得ますので、早いうちから検討しておくと良いでしょう。

前回メールマガジンでありました、情報通信省の創設に関する内容と、総務省と経済産業省との縄張り争いの内容がありましたが、一応の決着が付いたようです。
具体的には、どのようなことでしょうか?


回答


以前より、総務省と経済産業省では、所管分野が重複していたことから、情報セキュリティに関する政策立案や予算配分などにおいて、縄張り争いがやタテ割り行政の弊害が起きていた面も否定できませんが、3月後半の報道では、両省庁の間で政策立案の連携が合意されるようになりました。


☆質問
具体的にはどのようなことでしょうか?


★回答
総務省と経済産業省は今年度(2004年度)から、IT(情報技術)分野の政策立案に関しての連携に合意しました。

旧郵政省(通信システム系の所管官庁)旧通産省(ハードウエア・ソフトウエアなどのコンピュータ産業の育成)の時代から、情報通信関連で省益争いを繰り広げてきましたが、本格的な共同歩調を取るようになりました。

第1弾として、ICタグなど以下にあります主要6分野で、共同研究チームをそれぞれ結成し、また政策立案機能を一本化して、予算の効率的な執行を目指すようになります。

(1)情報家電とICタグ
(2)電子署名と電子認証
(3)ITベンチャーの育成
(4)インターネット上の違法・有害コンテンツ対策
(5)インターネット環境の整備
(6)暗号技術

特に流通業及び製造業などで、近年関心が極めて高く、物流の効率化や在庫の削減などに期待が大きいICタグの分野では、今までは総務省が通信技術関連、経済産業省では製造関連と、予算が細分化されていながら、一方では実証実験は個別に取り組むなどといった、重複している点がが著しいことから、来年度(05年度)以降より、共同実験に取り組む方針となっています。

また、今まで個別かつばらばらに策定作業を進めてきた、個人情報保護に関するガイドラインも両省で一本化することも明らかになっています。

両省では今後、政策連携を6分野から順次拡大する予定であると共に、来年度予算(05年度)の概算要求では、関連部局が事前に調整し、重複した要求を避ける方向にすると言われています。

こうした背景には、1月に報道で出てきました「情報通信省」の構想も関係しています。経済財政諮問会議で小泉首相が、総務省・経済産業省、両省の非効率なIT政策を名指しで批判しましたが、ある意味でそうした批判に対する対応が、遅まきながら出てきましたので、評価できると言えるでしょう。
今後、両省においてIT分野の審議官級で人事交流を行う方針を決めましたが、少人数の幹部だけを入れ替えるだけでは政策の連携には結びつきませんので、共同プロジェクトの案も出てきたものと思われます。

確かに、省庁間の縄張り争いから一歩前進して、共同で研究チームを作る、といったことは大きな進歩です。しかしながら確実に実行されるか否かは、今後にわたって常にチェックしていくことが、肝心になるでしょう。

小売業を営んでいます。最近では店舗だけではなく、比較的インターネットを通じた問合せも増えてきています。ホームページを開設してから3年近く経ちますが、徐々にアクセス数やお客様からのお問合せが低下してきたような印象があります。
そのためホームページをリニューアルするだけではなく、コストをかけない範囲で出来ることを検討した結果、メールマガジンなどが良いのではないか、といった結論が出ました。
しかし色々と調べてみますと、定期的な発行や掲載するねたの収集など、思ったより面倒そうです。
ホームページの更新さえも、比較的滞りがちなのですが、手間をかけずにうまくいく方法は、何かありますでしょうか?


回答


インターネットの普及によって、メールマガジンの活用が認識されていますが、それは以下の要因があると考えられます。

(1)印刷代や切手代などのコストがかからない。
(2)個人や零細企業の範囲でも出来る、効率的なコミュニケーション手段である。
(3)インターネットは、実際に検索エンジンなどで検索してもらい、それから見てもらう流れになるが、メールマガジンの場合は、相手のメールに直送されることから、比較的効率が良い。
(4)多くはテキストなので、そのまますぐに発送でき、相手にすぐ届く。

ことが挙げられます。

こうした特徴は、一見すると表現力はあまりないように思われますが、自社で発行や編集などをコントロールしながら、商品やサービスの販売や、各種キャンペーンなどの告知をすることができます。


☆質問
今までのような、認知や知名度が広がるといったメリット以外に、実際にホームページなどで商品販売をしておりますので、そうした意味での長所は何かありますでしょうか?


★回答
上記のような形で、ビジネスチャンスを広げる効果は言うまでもありませんが、インターネット販売などにおいては、主に以下のような特徴が挙げられます。

○売れ筋商品などの結果が、すぐに出る
新規に商品を仕入れ、販促キャンペーンやホームページ・チラシなどで行う場合には、売れ筋商品の動向などが、1日~2日ではっきりわかるようになりますことから、今後の方針や力の入れ具合なども、よりはっきりするのでは、と思います。


☆質問
特質については大体分かりましたが、メールマガジンを維持して、なおかつある程度の問い合わせなどを確保するためには、どうすれば良いのでしょうか?


★回答
メールマガジンを、始めの創刊号やその流れで数号分を発行することは、初期に作り溜めしておけば良いですので、さほど難しくはありません。しかしその後の維持がなかなか大変ですので、やがて廃刊・休刊になってしまうパターンが多いのも、そこにあります。

重要なポイントとしましては、以下の内容が挙げられます。

(1)読者の確保とその維持
固定した読者を確保したうえで維持することは、決して容易な問題ではありません。メールマガジンの内容・性格が商品やサービスの案内の場合、案内の頻度・内容が多いと反応も良くなりますが、それだけ購読を中止する確率も高くなりますので、メールマガジンを読んでから飽きないような工夫が、ポイントとなるでしょう。

(2)信頼性ある内容を心がける
内容自体は、あまり大上段に構えることなく(むしろ構えないほうが良いでしょう)日記を書くような感じで平易な内容で、気軽に始めていくと良いでしょう。その内容については、社長さんや店長さんが業務の片手間で、普段の朝礼や、お客様先に対して説明したり話していることで十分ですし、そうしたナマの声のほうが続けて読みたくなるだけではなく、信頼性がより高まって、読者の目に留まる可能性が高くなります。

顧客の話だけではなく、売り手側のほうにある、商品の裏に隠れたこだわりや苦労さらにはお客さんとのやりとりなどを紹介していったほうが、双方向性だけではなく「読み物感」が増して、より反応が良くなるでしょう。

製造業で総務を担当しています。
最近ではよく報道にもありますように、通信販売の企業や消費者金融・さらには、YahooBBといった通信事業者まで、個人情報の漏洩が相次いでいますので、不法な買取りや情報の悪用、さらには宇治市などでありましたような、損害賠償の訴訟など、信用の失墜だけでなく数多くの影響がありますので、今後の企業運営に対して非常に不安感を覚えます。
最近起こりました主な事例と、様々になるとは思いますが、特記すべきような対策などがありましたら、教えてください。


回答


★回答
最近の段階で表面化した、顧客情報など個人情報の漏洩は、以下のようなものが挙げられます。

(1)ジャパネットたかた -約66万名分のデータ
(2)ソフトバンクBB -約452万名分
(3)三洋信販 -約200万名分
(4)ファミリーマート -約18万名分
(5)日本信販 -約3万名分
(6)ローソン -約56万名分

など

これは最近漏洩した個人情報ですが、だいぶ以前の内容でもありますが、他に特筆される内容として、

(1)テンプスタッフ
→登録している派遣社員の個人情報のほかに、会社側で登録していた容姿のランク(AとかBなど)も併せて漏洩。

(2)エステTBC
→ホームページ上のアンケートで、バスト・ウエストなどのサイズが漏洩。これは掲示板などで広まってしまったことから、問題がより大きくなりました。

こうした形で、中には人権やプライバシーに関わるものや、企業としての行動に疑問を持つ事例も見られました。

こうしたトラブルに対して、色々と対策を取っているようですが、例えば以下の例は、誤りを認めた上で比較的真摯に取り組んでいるものと思います。

(1)ソフトバンクBBの場合
・本来であれば企業秘密である利用ユーザー数を公表し、被害の実態などを把握しやすくする。
・会員や解約した元会員が、自分の情報が漏えいされたかどうか、確認できるサイトを開設した。
・現会員には、情報が漏洩したかどうか結果を伝えるメールを送信した。
・責任とお詫びとして、経営者や役員の減給処分と共に、会員全員に500円の金券を送付したり、不安な場合はメールアドレスを無料で変更できるようにした。
・内部における技術的な面・運用面共に、再発防止策を、速やかに発表した。(詳しくは後述)

こうした対処などから、当初は問い合わせが殺到したものの、新規加入数や解約数そのものに大きな変化はなかったと、報道ではそのように言われています。


(2)ジャパネットたかたの例
ジャパネットたかたでも同様に、だいぶ前になりますが98年頃の個人情報が漏洩したことから、

・販売で多くの比重を占めている、テレビ/CS放送/ラジオ/インターネットなど、全チャネルの販売を、当座の期間(2~3ヶ月程度)は自粛。
・販売よりも原因究明と、情報の漏洩防止策を強化

などといった形で、顧客からの信頼喪失を避けるよう、以前より努力して対策を行うようになりました。


☆質問
最近こうした事件が、表沙汰になっているようなケースが多いようですが、具体的な要因として、何があるのでしょうか?


★回答
まず第一にいえることは、表沙汰になっていること自体、恐喝に対して刑事告訴したり、不法な形で高額でデータを買い戻す、といったことに応じていない(だから表に出る)ことが挙げられます。

逆に表にならない場合は、裏で買い取っている場合もある、という話をこうした事件に詳しい弁護士の先生から聞いたことがありますが、こうした取引は警察でも以前よりはるかに厳しくなりましたので、情報管理の甘さなどは無論あるのですが、今後の再発防止策や対策を徹底するためにも、表沙汰になることは重要なものであると言えるでしょう。


個人情報の漏洩が、最近になって急に増えている背景として、以下の要素が挙げられます。

1.以前と比べて顧客情報が、価値を持つようになった。
・データベースマーケティングが広く普及してきた。
・様々な単価で個人情報を名簿業者などが買い取る、流通ルートが出来ている。
(例えば、学校の生徒名簿などは安いですが、投資クラブの会員名簿などは、証券会社や先物取引などの会社にとっては、関心の高い顧客が多く集まっていることから、データが高額になっても(買取で1件あたり5千~1万円など)極めて重要なデータといえるでしょう。)

2.コンピュータや重要なデータが、データセンターで専門のオペレータだけが利用するものでなく、一般社員などの目に留まるようになった。
・データの分析など、各個人のパソコンで使う機会が増えてきたことと関係します。・またGUI画面で比較的直感的に使える、Windowsの普及も関係しています。

3.景気低迷・リストラなどにより、経済的に困窮する人が多くなった。
・失業などの増加、さらには賃下げなどによって、今までの生活を維持していくことが苦しくなり、悪いことに関わる事例も増えつつあります。

4.非正規労働力の増加
・企業側も人件費を抑制するため、派遣社員やアルバイトだけではなく、外注・下請けなどが増えていることから、面識のない場合や組織へのロイヤリティが低くなりやすいことから、機密を保つことが難しくなっていると言えるでしょう。

5.企業側の対策不足
・こうした様々な悪い要因が増えているにもかかわらず、企業側の対策が後手に回っていることが多く、情報の扱いに関する認識や対策が足りないことも挙げられます。さらにセキュリティに関することは、直接売上や収益には結びつきませんので、こうした傾向が余計倍加されています。


☆質問
こうした自体を防ぐために、他の企業さんなどでは具体的にどのようなことを取り組んでいるのでしょうか?


★回答
例えば今回事件になりました、ソフトバンクBBの例で言いますと、社内における情報管理体制を強化するために様々な対策を発表しました。

この3月末までに実施するとのことですが、主な内容は以下のようなことが挙げられます。

1.組織体制の見直し
外部の有識者などで構成する「個人情報管理諮問委員会」を設置し,委員会が定期的に情報管理対策の実施状況を監視する他に、CISO(最高情報セキュリティ責任者)を設け、各部門ごとのセキュリティーポリシーの遂行体制を整えます。

2.情報システムの物理的な安全対策
顧客情報を取り扱うコールセンターやシステム部門などは、入室管理を厳しくしてセキュリティを強化することが挙げられます。
入室した時間や社員のIDなどを記録して定期的に確認するだけでなく、入室許可さえもCISOの承認が必要としています。さらには、コールセンターやシステム部の機器は、外部からの不正アクセスを防ぐために、インターネットに接続しない、と徹底しています。

3.情報システムの見直し
システム面での対策として、顧客情報そのものを暗号化したり,DVDやCDRなどの記憶媒体にコピーされないよう、またデータベースの内容を印刷できないようにする、とのことです。
(最近ではOCRソフトの認識率も、大幅に向上していることから、紙媒体でも明瞭な活字なら、比較的容易に電子媒体に出来ます。)
また社員やコールセンターのオペレータなどが、業務上で顧客情報にアクセスした時のID名・アクセスした時間・処理内容を24時間体制で記録し、半永久的に保存することの他に、また,コールセンターやシステム部門では、ファイルを添付した電子メールの送信や、ノートパソコンやCDRなどといった、外部記憶装置の持ち込みを禁止することになりました。

4.人事・業務委託に関する対策
社員や派遣社員などに対し、eラーニングなどによる個人情報保護の教育を、あらかじめ実施するほか、セキュリティポリシーや運用ルールに違反した社員は処罰するようになります。
また、システム開発や運用などといった業務委託先に対しては、会社及び各個人に対して機密保持契約を締結すると共に、事故があった際の責任分担や契約終了時の個人情報の取扱いなどの項目を含めた契約を、改めて締結してより強化します。


☆質問
こうした個人情報の漏洩は、外部からの侵入による危険性もあるとは思うのですが、内部の社員や外注先などの可能性のほうが、全然高いのではないでしょうか?またそうしたことに対して、どのような対策を取って行けばよいのでしょうか?


★回答
通常、コンピュータのベンダーなどによるセキュリティ監査では、具体的な対策に対して点検し、そのレベルを評価しますが、あくまで外部からの侵入への観点が中心で、内部の脅威に対しては、ウエイトが低くなりがちです。

現実問題として、上記に挙げた具体的な事件の多くは、システム開発や運用などの途中に「自社の開発担当者」や「外注の技術者」から漏洩する、といった事件が多くなっていることも事実です。

開発の現場では、機密保持契約などを別にして、少なくとも以下のようなリスクを伴っていることを、まず認識しておくと良いでしょう。

1)データに関する資料がない
本物の顧客情報を見ないと、データの内容が分からないことから、開発や運用の際には、常に接さざるをえない状況にあります。

2)顧客情報がないと開発が出来ない
開発中は、例えば「山田太郎」などといったテストデータを使用しますが、本番稼動直前のシステムテストでは、実際に本物のデータを大量に扱うことで、処理能力や負荷などを確認するため、目に触れる機会が増えます。

3)運用時やトラブル対策時にも、顧客情報をアクセスする
運用時やシステム障害といったトラブル時には、本物の顧客情報のデータを見て、「誤ったデータ形式ではないか」「けた数などがオーバーしていないか」などチェックして、原因を究明することから、業務上必要不可欠となります。


仮に「長年の信頼関係がある」「機密保持契約を交わしている」「データにパスワードをかけている」などがあっても、安心は禁物です。

いままでは、単に経済状況が比較的良好だった、関係者の意欲も高かった、各個人の倫理感も高かった、といったプラスの面がたまたま良い方向に作用していたことを前提におき、常に情報漏洩のリスクがあることを把握した上で、より脆弱な部分を洗い出したうえで、効果や危険性などに応じて、常に対策を検討していくのが今後のポイントと言えるでしょう。

先日、PCパーツの店舗のホームページでフィルムスキャナが、定価105,000円のところが、39,800円となって販売しており、早速大急ぎで注文しました。
ところが相手先から翌日になって、以下の内容のメールが届きました。

<以下メール>
昨日注文を頂戴致しました、フィルムスキャナにつきまして、当店のホームページにおいて、下記のような価格の誤表記がありました。

型番:MA-**** 定価105,000円
誤)39,800円 正)79,800円

お客様には価格掲載における不手際が生じましたことにつきまして、ご迷惑をお掛けし、誠に深くお詫び致します。誠に勝手ではございますが、今回承りましたご注文は、お請けする訳には参りませんので、何卒ご理解下さいますよう、お願い申し上げます。

とありました。
こうした売り主側による誤った表記によって、一方的に注文を破棄してしまうことは、極めて腹が立つのですが果たして本当に良いのでしょうか?


回答


★回答
一般的にこのような場合、消費者センターなどに問い合わせされるのがよろしいと思いますが、基本的には売り手側による錯誤ですので、重大な過失以外は、注文を受けても無効となるのが一般的なようです。(民法95条:錯誤による無効)

ただし前に生じました、「丸紅ダイレクト事件」では、パソコン本体の価格を1桁間違えたことからアクセス数が殺到し、企業の信頼のために例外的に誤った価格のままで販売した例がありました。


☆質問
その「丸紅ダイレクト事件」とは、具体的にはどのようなものでしょうか?


★回答
はい。主な内容は以下の通りです。
大手総合商社の丸紅では、03年の10月31日に直販サイトの「丸紅ダイレクト」において、パソコンの価格設定を間違えるトラブルが発生しました。

NECのデスクトップ機「VALUESTAR F VF500/7D」の価格を、本来ならば、
「198,000円」
とするところ、単純なホームページ書き換えの作業ミスで、
「19,800円」
としてしまいました。

その後、誤った価格のまま一部の価格比較サイトにも登録されたうえに、2ちゃんねるを始めとした掲示板に書き込みが広まり、膨大なアクセスと注文が殺到した事件です。


☆質問
それで、このパソコンを買われた方は、どうしたのでしょうか?


★回答
普通に必要で注文した顧客にとっては、非常に「良い買い物」をしたかもしれませんが、中には転売やインターネットオークションでの利益を目論んで、複数台数を購入した(中には50台)例も見られます。
既にYahooオークションで出品され、25,000円で落札されました例もありました。


☆質問
買い手からすれば、冒頭にあるようなメールが来たら腹が立ちますが、自分の勤めている会社でも、消費者への製品直販がありますので、仮に自分が担当者でミスした場合の責任、を考えると、極めて気が重いです。
この場合、前もって予防する方法については、どうしたら良いのでしょうか?


★回答
ネットショップを運営する側にとっては、商品の価格比較サイトで毎日しのぎを削り、競合相手の価格を見て、自社の価格を毎日のように変えるサイトも少なくありません。
ほとんどは手作業で書き換えることから、スが起こりやすくなりますが、規模の小さな会社も多いことから、丸紅ダイレクトのように、数億円の損失を出しても、その価格で売ってしまうことは、まず不可能です。

人は誰でもミスしますので、少なくとも価格の表示ミスを防いでいくために、以下のようなリスク対策や工夫などをしていくと良いでしょう。

(1)担当者が画面でチェックする、もしくはプリントしてチェックする習慣を徹底していく。
(2)複数の人物によって確認する。


などといった形で、ミスをできるだけ減らす仕組みや、ミスをした場合にも、問題になる前に発見する仕組みや、仮にトラブルになっても影響を極力小さくするような取り組みを、今後検討していくとよいでしょう。

3月いっぱいで間もなく会計年度が終わり、新しい年度がやって来ます。その際には、年度末と年度始めに多い、公的助成を使って、システム投資をしてみたいと考えておりますが、何か効果的なものはありますでしょうか?


回答


☆質問
比較的最近、確か1月頃に「情報通信省」といった新しい官庁を作る、といった話があったものの、あっという間に立ち消えになりましたが、どのような経緯だったのでしょうか?


★回答
元々は、本年1月16日の経済財政諮問会議で、小泉首相は総務省の情報通信政策局と経済産業省の商務情報政策局などの情報通信部門を統合し、情報通信行政を一元的に担う「情報通信省」の創設を検討する意向を表明したことが挙げられます。

この日の議題では、麻生総務相が「IT(情報技術)などの担当がバラバラになっており、縦割りは良くない」と問題提起したことから、中川経済産業相が「総務省と経産省の役所同士で対立している。韓国では情報通信省ができている」などと述べ、小泉首相は「省庁再編の時にそうすべきだった」と強調したのが始まりでした。

その直後から否定的な発言などが相次ぎ、3日後には首相自らが「省庁の縄張り意識を捨て、よく連携してやりましょうという話で新しい省をつくる話は全くしていない。」となり、単に縦割り行政をなくして、省庁横断的に取り組む、といったようになり、構想そのものが立ち消えになりました。


☆質問
そもそも総務省と経済産業省で、役割が重複しているのでしょうか?


★回答
政府のIT部門による、情報通信行政については、現時点では以下のように分かれています。

※総務省:通信業者などへの免許付与や、周波数割り当てなどの規制・監督を所管している。元々通信関係が旧郵政省の担当だったことから、そのようになっている。

※経済産業省:コンピュータ産業や情報サービス産業などの、業界の振興を所管。元々、国産コンピュータ産業の振興・育成が、旧通産省の担当だったことから、そのようになっている。

この問題は現在の省庁再編にもつながりました、橋本内閣の時における、行政改革会議でも、同様のことで検討課題になりましたが、実施が見送られた経緯を持っています。


☆質問
こうしたばらばらな状況ですと、既に何か弊害が生まれているのでしょうか?


★回答
はい。今年4月からの平成16年度予算において、経済産業省、総務省が予算要求でセキュリティー対策をそれぞれ独自に提出するなど、官庁同士の主導権争いが生じている問題が生じています。

現在日本における、情報セキュリティの政策にあたっているのは、以下の通りです。


※総務省:行政の情報化・ネットワークに関する安全確保を推進。

※経済産業省:電子商取引と、コンピュータなどの情報機器の安全確保を推進。

※警察庁:ウイルス被害や詐欺・不正アクセスなど、ハイテク犯罪の防止。

※防衛省:サイバーテロなどの攻撃を防御。


アメリカでは、2001年9月の同時多発テロをきっかけとして、サイバーテロ対策を強し、テロから国を守るために創設された国土安全保障省に、政府横断組織のサイバー安全保障局を設け、各省の調整にあたっています。

しかし日本では、政府立法にも省庁間の縄張り意識が影響し、迷惑メール防止法なども、こうした状態によって、法律の内容が不十分になるなど、今後情報セキュリティの存在に限らず、各官庁を統括する機構について、整備を検討してもらいたいと考えております。

住宅リフォームの会社です。高齢層を中心とした、住宅のバリアフリー化による改装などが好調で、業容を大きくしたところ、業務やバックオフィスでの様々な弊害が出てきましたので、混乱しているものを1つ1つ整理し、組織の整備を図っていこうと考えています。
組織の拡大に伴って、混乱が生じていくメカニズムと、今後の情報システムなどにおける対策について、教えてください。


回答


☆上記のご質問のより詳しいパターンは、以下のようになります。




住宅リフォームの会社です。昨今では高齢層を中心とした、住宅のバリアフリー化による改装や、屋根のリフォームなどを中心に好調で、売上の拡大に比例して企業規模も大きくし、2年前までは60名くらいだったのが、最近では従業員が300名を超えるようになりました。
そのため、組織内部の整備がそれに追いつかなくなってしまったことから、当初は従業員が2~30名の範囲内で済んでいました、パッケージソフトや簡単なクライアントサーバシステムで用は足りていたのですが、急激な拡大に伴い、そうしたバックオフィスの業務には目が回らなくなってしまい、以下のような日常業務に、大きく支障をきたすようになりました。

(1)月次・週次の売上の把握が極めて遅くなり、実態がつかめない。
(2)資金繰りの管理が出来なくなる。
(3)顧客の嗜好や動向などが把握できない。
(4)ダイレクトメールなどを送付しようとしても、新しい顧客が増えているものの、会社として管理していないため、十分把握しきれない。
(5)顧客からのクレームが増えて、売上や収益にも大きく影響しだしている。
(6)新規に顧客を開拓しても、リピーターがつかない。
(7)外注が増えて、内部での力や管理能力が低下してきた。
(8)全体的に、職場が雑然としてきた。

などといった形で、いろいろと出てきましたので、これ以上規模を拡大すると、余計収拾が取れなくなって業績の悪化につながりますので、当座の期間はまず内部の混乱しているものを1つ1つ整理し、売上は横ばいになることが予想されますが、組織の整備を図っていこうと考えています。

しかし今後も、上場を目指しておりますので、規模の拡充は今後もやっていかなくてはならないと思います。
組織の拡大に伴って、混乱が生じていくメカニズムと、今後の情報システムなどにおける対策について、教えてください。




★回答
まずはじめに、組織の拡大戦略による色々な課題について申し上げますと、あらゆるパターンに共通して言えることは、急激な拡大によってビジネスの質や範囲などが伸びきってしまい、経済の調整局面(つまり景気が後退したとき)や、内部にひずみが生じた場合に、組織の整備や秩序の確立が必要な段階に迫られてきます。

上場を目指しますと、どうしても事業の拡大膨張を図らなくてはならなくなりますが、そのためには、常に以下の3つの課題を背負っていかなくてはなりません。

(1)事業の展開に見合った新しい人材の補給。
(2)絶え間ない資金調達の必要性。
(3)人材と資金、さらに情報などを管理できる組織体制。

以上のものが求められます。
しかし、企業が本来持っている体力以上、または成長力以上に拡大膨張を図ろうとした場合には、こうしたサイクルが崩れやすくなり、その結果経営難や経営危機に陥る危険性が高くなります。そうしたトラブルの多くは、経営者自身の状況認識の甘さや経営判断の誤りといったものから始まってしまいます。


☆質問
経営判断のミスはよく承知しています。現場が既にいっぱいいっぱいな時に、市場の成長力からまだ行けると判断し、激を飛ばしていきましたが、今にして思えば、もっと社内の状況も把握しておくべきだったと認識しております。
ただ現場の動向の把握は難しいですので、どのようなサイクルで混乱が生じ、ひいては顧客満足度の低下やクレームの増大を招いたのか、検証していきたいと考えています。どのようなものなのでしょうか?


★回答
はい。社内における構造的な問題が表に現れてきたわけですが、以下のようなサイクルが挙げられるのではないでしょうか。

住宅のリフォームなどを主軸にしていますと、最も重要なのはリフォームに関する工事の技術力や品質・さらに外注にする場合は、外注管理の力によるものが大きいものと思います。
そうした稼ぎ頭で、仮に屋根を修復したにもかかわらず雨漏りする、などといった品質上のトラブルや、施主から外注企業へのクレームなどが多発する、といったことも少なくありません。
こうしたトラブルや不具合は、顧客満足度の低下に直結してしまい、中期的には売上や利益にも大きく影響しますが、以下のような構造的な問題が挙げられます。

(1)技術力・プロジェクトの空洞化
外注先や下請企業などに大きく依存し、「丸投げ」が横行することによって、自社社内で直接住宅のリフォームや工事などを手がける機会が少なくなってきたことから、各案件ごとの能力そのものが低下してしまうことが挙げられます。

(2)無理な拡大路線
過度に売上げや利益・シェアなどを追い続けていると、営業が無理を承知で案件を獲得し、実際に現場での管理や工事などに追いつかない、といった事態が現れているといえるでしょう。


☆質問
こうした問題点や課題に対しては、深く認識し出すようになりました。今後の方向性やポイントについては、いかがでしょうか?


★回答
おおまかに言いまして、先ほど述べました課題の本質を、解決させるような方策がポイントになるものと考えます。

(1)外注比率などのマネジメントにより、ノウハウを蓄積
何でもかんでも外注するのではなく、利益率や売上の大きな重要案件や、小さい内容でも、若手社員への教育的な配慮を行う場合などのケースでは、社内で担当していくなど、外部に委託するものと、自社で行うものと比率を決めて実施していくと、内部でのスキルにも良い影響が出てくるものと思われます。

(2)自社の能力範囲内での拡大路線への転換
営業方針を単純に売上だけではなく、顧客の満足度やクレーム、さらには社内でのチームワークなど、幅広い視点から行うようにし、同様に人事評価もそのように反映させていくべきものと存じます。

地元で3店舗ほどの、レンタルビデオのチェーン店を経営しています。
最近では大手の業者も全国展開を本格化し、人口7~8万人程度のこちらにも、どうやら色々と調査が入っているようですので、競合に負けないように社内体制の整備を図りたいと考えております。
そのため、外部の中小企業診断士さんや、システムインテグレータさんなどから受けた提案を、今後の参考にしたいと思っていますが、体制がまだ未整備なため、提案を実施できるような環境にありません。
今後どうしたら良いのでしょうか?


回答

逆にこちらからお伺いいたしますが、お店で働いています店長さんたちは、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか?




はい。各店長として、アルバイトの管理から顧客との対応・掃除から売上と現金の集計まで、店舗業務や仕切りは、弊社でアルバイトを行ってその中で比較的優秀な若い人物に、全てを任せています。
自分は週1~2回程度、売上や帳簿、さらには店舗の状況などを見るために行っておりますが、あとの毎日の業務は、自宅から監視カメラでチェックした上に、報告のメールを見るだけで済みましたので、ラクと言えばラクでした。
しかし管理やマネジメントをあまりしていなかったことから、返却されていて本来あるはずのビデオが内部で紛失したり、現金出納帳などを見ても、現金があっていないことも少なくありません。


★回答
今後の具体的な目標に対して、どのように設定なさって、課題や対策に対しての認識について、お聞かせ願えますでしょうか?


☆質問
このままでは、競合に不利になる恐れが強いですので、負けない体制作りと、経営体力に見合った範囲で、店舗数の増大を図りたいと考えてます。
例えば、各顧客別のレンタル履歴と個人情報の整備などを考えておりますが、現場の店長たちに話しても、
「今までろくに経営者としての仕事をして来なかったのに何だ。」といった印象をもたれ、なかなか動いてくれません。


★回答
まず、外部のコンサルタントの方や業者さんの意見を参考とする以前の段階に、基本的な現場管理や経営管理から始めていくのが良いのではないでしょうか。「隗より始めよ」ではないですが、経営者としてのトップが、本気で取り組むか否かにかかっていると言えるでしょう。

経営改革で最も難しいのは、既に創業してから10年以上たち、特に何か努力しなくてもルーティンワークで、そこそこの利益が上がるような状況こそが、危機感や積極的に何かしていこう、といった意欲がない状況と言えます。

まずは遠回りになるかもしれませんが、今後の目標の設定や経営計画といった、理想を追いかけるよりも、既に管理者として現場を「放し飼い」同然にしていた場合には、まずは経営者ご自身が、売上や現金をチェックする・現場を見回る・何か日常的に効率が悪い点や問題点などを、色々と聞き出していくような、地道な努力が
まずは先決だと思います。

その基本的な方策としましては、以下のように内部の体制固めから入っていったほうが良いでしょう。

(1)基本的な方針の策定
まず現状から立脚し、今後1年間で今抱えている問題点や課題をどこまで解決できるか、という点を、重要度の高い順番・コストのかからない順番から、優先順位をつけて取り組んでいくと良いでしょう。

(2)各店長の目標管理と、その達成度に応じた業績給への反映
さらに各店長や現場が、やる気を持って働いてもらうように、今までのどんぶり勘定や、経営者の主観的な「好き嫌い」で判断していた給与の決定から、上記のような全体の計画を、各店舗・各個人にブレイクダウンした、各個人の目標管理を設定し、その達成度に応じて評価していく仕組みを作っていくと良いでしょう。
また、現場や各店舗単位でのミドルマネジメントは、積極的に現場の意見を取り込んでいく必要がありますが、本当にトップ部分の戦略面と信賞必罰の人事権だけは、経営者としての専権事項に当りますので、慎重かつ公明正大に取り組んでいくと良いでしょう。

(3)社内諸制度の準備
今後組織の拡大を図るとなりますと、経営者自身が目が届きにくくなりますことから、店長などがある程度オートマチックに運営できるよう、就業規則や稟議規定など諸制度を整備していくことがポイントです。

年末年始に帰省し、地元を歩き回る機会がありましたが、地場産業だけではなく、大きな会社でも意外と「古い古い」と言いながらも、歴史のある会社が生き残っており、またこれも意外なのですが、新しいことへの取り組みももちろん消極的なところもありますが、結構取り組んでいるようです。
何か具体的に行っているものはあるのでしょうか?


回答


国内企業の中には歴史の荒波を乗り越え、一族でのれんを守ってきた超長寿企業も少なくありません。帝国データバンクの統計では、江戸時代以前に創業した企業は約2100社存在すると言われており、その多くは中堅規模で、同族経営が多いようです。
その経営手法や足跡などをたどってみますと、現在にも十分に通用する内容が、多く挙げられます。

具体的には、色々な手法が挙げられますが、現在に至るまで活躍している老舗企業の多くは、創業から家訓やのれんは守り続けるものの、生産技術や販売手法などはむしろ、社会の動向や顧客のニーズなどに応じて、比較的柔軟に対応していることは、共通した傾向と言えそうです。

多くの老舗企業に共通する内容を、以下に列挙します。

1)本業を重視しながら顧客満足度を向上する、新規サービス
例えば六本木ヒルズにあります、虎屋が運営する「TORAYA CAFE」では、室町時代から創業された企業ではありますが、今までの羊羹ではなく、抹茶ムースやカステラなどの創作菓子を用いたカフェによって、女性客の支持を得ています。

2)「遺すもの」と「変えるもの」の区分が明確
上記のような老舗企業の多くに共通するパターンとして、新たな顧客を開拓しないと展望が開けないことから、新規のサービスや顧客満足度の向上には熱心で、常にチャレンジしていく姿勢が強い(例えば「伝統は革新の連続」といった考えなど)ですが、本業やのれんなどのブランドイメージは、非常に重視するため、上手く経営しているところは、その取捨選択が明確と言えるでしょう。

3)ムリをしない、堅実な経営
新規のサービスや全国展開についても、本来の実力や経営体力以上に背伸びせず、管理できる目の届く範囲での経営といった形で、売上やシェアといった価値観には依存しない、「品質やサービスへのこだわり」といったことも挙げられます。

4)同族経営のメリットを発揮
よく同族経営は「講師の区別が無く、会社を私物化する。」「人事が不透明だ。」「サラリーマンとして勤め上げても、役員にもなれそうにない。」と言われて、悪い印象がありますが、「意思決定のスピードが速い。」「機動力がある。」「トラブルなどが生じても、最後まで責任を取る。」といったプラスの方向に働けば、同族経営のメリットが現れます。
そのポイントは、自分の財産を投入していることから、極めて真剣であることが挙げられるでしょう。

5)後継者問題への、柔軟な対処
老舗が時代を超えて存続していくためには、いかに優れた経営者でも寿命がありますので、後継者への事業継承がスムースにいくことが、大きなポイントになります。また、家筋や血統の正当性を重んじて、経営者としての適性を欠く後継者が跡を継いで、家業が傾いてしまってはどうしようもありません。

そのため家訓などで、様々な合理的な仕組みを持った企業が、現在でも存続している傾向にあるようです。

<1>血縁に固執しない、養子制度の活用
江戸時代から、跡継ぎが娘しかいない、子供がいない、また子供がいても経営者として任せるには足りない、といった場合には、内部で仕事の出来る番頭などを養子として迎え入れ、跡を継がせるなどの人材登用によって成功してきたことが挙げられます。
海外の同族企業では、あくまでも血縁のある後継にこだわるのに対して、日本では比較的長男への継続には固執せず、必要に応じて外部から登用することが、大きなポイントになっているようです。

<2>同族争いを行わない
家訓などで事業継承に際しての定めを活かしている場合には、事業全体の足を引っ張ることになる同族争いを戒めていることが少なくありません。
例えば「一代一人限り」ということで、兄弟で後継者を決めると、他の兄弟は入社させずにのれん分けしたり、他の仕事をするなど、争いを未然に避ける知恵が挙げられます。

<3>後継者には、外部で修行を積ませる
実際に後継者が決まったとしても、すぐに家業を勤めさせるのではなく、大学を卒業後、他の会社で修行を積ませることも少なくありません。
その目的は、
・世間の厳しい風に当たり、苦労を知ること。
・使う側ばかりでなく、裏方としての立場を知って、後に反映させること。
・若いうちから家業だけでは視野が狭くなることから、他の組織で実際に管理手法として行っていることを実地で検分し、後の段階で反映させること。
・実際に得意分野を身につけること。

などが挙げられます。

(6)企業形態としての所有の始まり
上記に挙げられますような、比較的近代的な経営管理手法を取られるようになったのは、江戸時代からと言われています。
戦国時代まではむしろ、冒険的かつ政商的商人によって営まれ、没落したり1代限りに終わった場合が少なくありませんが、江戸時代に入ってからは、浮利を追わず、堅実に利益をあげることを念頭においた、近代化が進んできました。

その中で、今日でも有名な三井高利(呉服屋の越後屋は現在の三越のはしり)は、事業と財産の永続をはかるため、家法の腹案を子弟に示し、当初は子弟4人合議制にして、相続・組織形態・企業形態を決定しました。

財産を分割しないで所有・運用し、子供たちの各家には財産の持分率が規定されました。すなわち全て分家に分かれたら、破綻する恐れがありますが、持分によって全体で管理すれば、その中から優れた経営者が出るので、大きく損することはないという考えから来ていますが、資本と営業店舗を共同所有し、兄弟はそれぞれ事業に参加し、利益金から定率の配当を受けとるしくみになっています。

二代目の三井高平が定めた宗竺遺書は、より具体的に家憲化したものですが、同族・営業の中心機関である「大元方」の機構(パートナーシップ:今日の合名会社の仕組みに近い)を定め、と任務や運営方法などを詳細に規定しています。
さらに宝永7年(1810年)からの勘定目録では、複式簿記による貸借対照表と損益計算書からなる決算簿を定めるなどといった、近代化が図られています。

(7)近代に近い管理組織の整備
江戸時代の幕藩体制の確立により、全国的に商圏が拡張され、それに伴って営業規模も拡大し、さらには両替商などへの多業種化などが進むにつれて、大きな商家では管理組織が整備されるようになりました。

前述同様に三井家の場合も、子供たちによって共同経営されましたが、実際には同族各家の主人が店頭に出て働く、店務負担を軽減していくため、各店の支配人が名代役として、主人に代わって店務を執行するようになりました。
こうして、所有と経営が分離してくるようになると、複数の店を統括・管理する仕組みが必要となることから、各地の呉服店を統合する本店一巻が置かれましたが、この管理も大元方によって管理する、総本社機能も持つようになりました。


こうした経営管理手法や、経営に関するビジョンなど、今日と比べても決して古いものではなく、現在にも通用するものは少なくないと言えるでしょう。

最近では、不況の長期化や環境の大幅な変化に伴い、老舗企業の倒産が少なくありません。倒産した企業の4社に1社が社歴30年以上と言われていますが、その多くは経営革新を怠ったり、同族間の確執や地縁・血縁などによるなれ合いの弊害が現れているなど、様々です。そうした老舗特有の要因といったものも少なくありません。

しかし老舗だからといって決して悪い、という問題でもなく、数百年にわたって存続してきた長寿企業には、家訓の存在や近代的な経営管理手法と親和性が高い場合には、リスクを管理し、堅実に運営してきた手法などは、現在においても生かされるべきものといえるでしょう。

全く身に覚えの無い、有料サイトの料金請求がメールや手紙で来ており、非常に戸惑っております。どうしたら良いでしょうか?


回答


今回の内容は、比較的お問合せを頂くことが多い内容ですので、やや余談気味ではありますが、ご紹介申し上げます。


☆具体例
全く使ってないにもかかわらず、出会い系サイトやアダルトサイトなどを利用した、ということで債権回収業者を名乗る所から、メールや手紙が届きました。
プロバイダから利用料の債権を譲渡されたから、至急今まで滞納していた額の利用料・金利・事務手数料などを含めて、およそ2万5千円ほど、1週間以内に以下の口座に振り込め、というものでした。
さらに、今回が最終通告であることから、無視した場合には職場や自宅にも集金に行き、さらにその料金も請求するといった、脅しめいたことがありました。



このようなトラブルや事例は主に、以下のような内容が挙げられます。

・身に覚えのない架空の料金請求が来た。
出会い系サイトやアダルト系サイトなどの有料サイトの請求が、携帯電話やパソコンの電子メール、郵便などで送られてくるほか、携帯電話に直接かけてくることもあります。

・無料だと思って使用したところ、高額な料金を請求された。
特に出会い系サイトの無料ポイント制度や、携帯電話のサイトに多いパターンではありますが、無料と思って使っていたところ、有料になっていた場合、後で上記と同じようなメールや電話での執拗な取立てが来る場合もあります。


こうしたトラブルの場合、全く利用した覚えがなければ、払わずに無視することが最善でしょう。絶対に行っていけないのは、こうした請求を心配して、掲載されている連絡先にメールや電話などで問い合わせることです。個人情報が知られて、何らかのトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
どうしても心配でしたら最寄の消費生活センターや、警視庁や各県警本部のハイテク犯罪専門の担当に直接電話して、不当な請求が来た旨を届出しておくと良いでしょう。

逆に携帯電話の出会い系サイトなどを実際に利用してしまって、後日請求書が来て、「当初は無料だと思ったが、有料だったのか。」という場合、携帯電話は画面が小さいことから、画面のかなり下のほうに料金規約があったり、別のページに小さくあるなどして、そもそも有料であることが分かりにくいパターンが多いようです。

この場合は消費生活センターなどを通して、利用明細を出すことを促してから、本当に利用したか確認すると良いでしょう。携帯サイトの画面の構成が分かりにくい、誤解を生じる場合、中には錯誤による契約そのものの無効を主張すれば、料金を払わなくても良い場合もあります。

仮に有料サイト使用していた場合、督促を無視していたときには、延滞金・調査費・事務費など、高額な損害金を請求されたときには、消費者契約法で、未払料金の14.6%を超えた額は無効ですので、超過分を支払う必要はありません。


基本的なポイントと致しましては、

・そもそも好奇心で、怪しげなサイトを利用しない。
・すぐに支払いには応じない。
・1度消費生活センターに相談してみる。

などといった対処が必要となってくるでしょう。

部品メーカーで生産管理を担当しております。最近生産管理システムを入れ替えたばかりなのですが、生産計画の変更を以前は手作業で処理していたが、新しいシステムは全てコンピューターに入力する必要があることから、メーカーからの急なオーダーやキャンセルなど、状況は激変していますので、動きについていくのが大変となり、逆に手間が掛かるようになりました。
そのことから結局は完全に手作業に戻るなど、まさに「元の木阿弥」になってしまったのですが、社長及び同族である後継者の、情報システム部長の肝いりによって積極的に実施されたプロジェクトのため、効果とコストの回収という手前もあることから、「使えない」とは言いづらい状況にあり、適当な報告でお茶を濁しています。今後はどうしたら良いのでしょうか?


回答


現実に数多くの企業では、「動かないコンピュータ」が存在している場合が少なくありません。しかしそうした事態が、現場では切実な問題でも、経営幹部を中心に認識されているということが、あまり見られないことに、問題の本質が見られます。
特に社内で積極的に推進しているプロジェクトの場合、「こうすれば効果が大きく出るだろう」と観念的に建前で認識している場合には、表立っては言いにくいことが現状です。

仮に帳尻を合わせるために、日常の受発注などは手作業で実施しながら、さらに生産管理システムによって毎日無意味なデータを入力しなければならなことから、二重三重の手間が生じている、などといった不具合が生じている場合には、逆に妙に飾りる立てず、あるがままにしていけば、おのずと問題点や課題が明らかになってくるでしょう。実質的に失敗しているものの、経営幹部や関係者に忖度するため、なまじ取りつくろってしまうと、以下のような弊害が現れてくるでしょう。

1)格好が優先され、業務改革にプラスになっていない
本質的な業務改革が伴わないで情報化を行った場合、単純に従来の業務の流れの上に新しい情報システムが乗っかっているだけですので、外見や体裁は良いのですがその企業には何のメリットもありません。
こうした現象は、業務の流れに弊害になるのですが、もっとも恐ろしいのは、会社全体が一見するとハイテク化された先進企業に、生まれ変わったかのような錯覚に陥ってしまうことです。

2)理想と現実が乖離し、密かに旧システムを使っている
前述した内容と重複しますが、導入した情報システム自身は一応稼動はしているものの、満足していない現場で、密かにローカルルールがてきようされたり、中には今までの旧いレガシーシステムを隠れて使っている場合もあります。こうなりますと、新しく導入した情報システムのムダやコストのほかに、陰で使用している余分なコストがかかるため、大きな負担となってしまいます。

3)政治的かつ誤った社内評価
さらに悪いのは、実質的に破綻しているにもかかわらず、今後箔をつけていきたい発案者や、実施の責任者などを、形式的な結果を踏まえて積極的に評価し、それが正当性を持つようになることです。

こうしたホンネとタテマエが大きく乖離しないよう、経営者は現場の状況の把握に最大限努める、などといった努力が欠かせないでしょう。

地方で、従業員数十名の建設業を営んでおります。最近では不況の長期化と公共事業費の削減などから、最近では同業他社の倒産や廃業が相次いでおります。
当社では官公需向けの事業は、全体の2割程度しかなく、比較的業績もやや右肩下がりではあるものの、リストラ策などによって比較的堅調に推移しております。しかしながら冬ごもりの経営ばかりでも、先が見えないことから、今後は経営方針の転換などを図りたいと考えております。
そのために、ふと耳にしたのですが、国土交通省で、経営改革を支援するアドバイザーなどの制度があるようなのですが、具体的にはどのようなものでしょうか?


回答


国土交通省では、経営革新のノウハウをより広めて、地方の中小建設業者の経営改革を後押しするため、2004年度から事業統合や多角化を指導するアドバイザーを派遣する新事業を始めます。
既に来年度予算の概算要求に数億円を盛り込んでおり、公共事業の削減などで苦境に陥っている地方の中小建設業者を側面から支援するとのことです。

例えば、企業内部の経営革新については、総務や経理・設計業務、購買部門などのバックオフィスの部門を統合して、コストの削減に努めていくほか、地域で同業他社との合併といった形で、再編を促すことが挙げられます。また国交省は各都道府県の業界団体を通じて、費用の一部を拠出し、会計士やコンサルタントなどのアドバイザーを派遣していくそうです。

確かに間接部門の統合や合併については、間接部門自体が売上を上げるわけではありませんので、人件費の節約やより営業力を強化することに、一定の効果があるものと思います。
他には経営多角化や、事業転換などが挙げられます。具体的には、今後老人介護など成長分野への参入や、雇用吸収力が比較的大きな林野事業への転換などを指しています。




★質問
よくテレビの討論番組などで、「財政赤字が非常に大きくなり、国債に大きく依存していることから、公共事業を削減して、新しい方向に構造改革しなければならない。特に建設業は全労働者の1割を占めており、こうした労働力の固定化こそが、改革を妨げるので、例えば今後高齢化社会に向けて、老人介護のヘルパーを増やしていったり、ITにシフトしたり、山が荒れていることから、いわゆる「緑の雇用」を増やすことによって、失業や労働力のシフトに対する対策を打っていきたい。」といった論調を良く聞きます。

当初は耳障り良く聞こえましたが、経営者として考えますと、例えば社員にしても、下請企業にしても、建設業の就労者を林野業にシフトしても、安価な輸入木材が圧倒的に占めており、また老人介護なども、社会福祉政策ではプラスでしょうが、ヒトを相手にしたものですので、こうしたものに投資しても、経済効果が薄いのでは
ないでしょうか。
例えば、公共事業に行いますといわゆる乗数効果が発生して、企業の投資が増え、それに相乗して他の活動が活発になるばかりか、勤務している社員もより消費を行うようになり、景気にプラスになる、というものです。そうした経済活動のサイクルについては、やや疑問に思えるのですが。


☆回答
多角化に関して言えば、一般的には既存の事業の経営資源を何らかの形でプラスに活かせるものであれば、比較的成功する確率が高くなりますが、全くの畑違いな内容であれば、それを本業としている企業との競争に不利になりやすく、完全な異業種による経営多角化で成功しているところは、極めて限られているのが実情です。

例えばご質問でもありましたように、林野事業については、雇用吸収力が高く、労働集約的な色合いが高いですが、海外からの安い輸入材によって、国内で産出した木材は、天童の銘木などの例外を除けば、人件費と輸送コストだけで既にコスト的に不利になることから、現実的に経営としては成り立たない、と言えるでしょう。

また老人介護にしても、社会福祉政策としては望ましいかもしれませんが、仮に今まで建設業者に勤めている社員が、急に介護福祉士に転換し、会社の一部の営業所を日帰り用のデイケア施設などに代替した場合に、経営上には以下の問題が挙げられます。

1.従業員の適性など
仮に一部の従業員に、介護福祉士などの資格を習得し、ヘルパーへの転換を図っても、今までの男性的で細かいことにこだわらない経営風土でやってきた中から、きめ細かなものに180度転換するわけですから、適性やその教育訓練の期間・コストなども無視できません。
かつて国鉄が民営化した場合、人員を主に売店の営業などへの配置転換を行ってきましたが、小売業は比較的参入障壁が低い業種ですので、それと同等で見るのは、やや難しいのではないでしょうか。

2.許認可の問題
仮に既存の事業所などを、デイケア施設などに改装し、オープンする場合、保健所などへの許認可の問題が挙げられます。こうした施策は、地域の建設業の生き残りや経営革新を目指している国土交通省の方向性と、質の高さや安全性の向上を第一とする厚生労働省との間で、意向・思惑が一致しない場合も少なくありません。

3.国の政策に大きく依存してしまう体質へ
上記の2と関連しますが、結局は民間の自助努力よりも国の政策や方向性といったものに、経営の生殺与奪が関わってしまいますので、仮に公共事業などで、官公需向けの業務が少ない場合には、かえって経営上のフリーハンドがなくなってしまうおそれは否定できません。

4.採算性の問題
例えば林野事業の場合ですと、輸入材との競争や人件費・物流コストなどの関係で事業として採算が出るかどうかは微妙であること。老人介護については、施設や専門のスタッフなどの初期コストがかかることから、参入障壁が必然的に高くなりやすいなど、こうした問題に対して、本腰で据えることがポイントになるでしょう。

またこうしたことから、今後業種転換をした会社の従業員の給与の一部を補助金で補填しても、公共事業依存よりもより官に依存した体質になってしまいやすいことから、純粋に投資の観点から言っても、注意が必要でしょう。

こうした多角化のリスクを検討したうえで、事業転換におけるコストとリターンのバランスを見てみてはいかがでしょうか。一般的にこうした官からの計画は、時としてやや観念的なきらいがありますので、注意が必要です。

昨今よく言われております、公共事業についても、確かに不当な政治介入による予算の箇所付けや、例えば高速道路に設置されている電話機が、1台200万円以上するといったコスト高の問題については、むしろ公共事業の額そのものを減らす問題ではなく、その使途の妥当性や中部国際空港のようなコスト削減努力の問題であると考えます。


★質問
前のほうの内容にありました、間接部門の統合について言えば、ある程度の効果がありそうですが、既にこうした試みは行われているのでしょうか?


☆回答
既に鹿児島のほうの建設業者・工務店が主体となって、共同でCAD・積算・経理業務・資材調達などの管理センターを設け、参加企業は積算・見積・資材調達などの折衝や工事監理などをアウトパートナリングしたうえで、自社は営業に専念して、社内の経営効率化に成功している事例が見られます。

こうした「アウトパートナリング」とは、そもそも80年代にアメリカの自動車工業が日本と国際競争を行い、価格・性能・燃費などで競争力を失い、業界の再編成や、部品の内製化率の引き下げを余儀なくされたときに、開発されました。
(ちなみに内製化率の日米格差は、当時は日本が3:7で外部に発注するのが多いのに対し、アメリカではその逆の7:3で何でも自社で行うことから、コストや品質などの差を生んだ一因となりました。失敗しましたがフォードでは、製鉄所を設けて鉄まで自社でやっていた時代もありました。)
90年代における、米自動車業界のの復活は、部品や生産業務などを共有化したうえで、それぞれの自動車会社はデザインや性能などで独自性を出し、部品の調達は業界全体のサプライチェーンによる電子データのやり取りを通じた、アウトソーシングによって、生産性を高めて今日の復権を成し遂げました。

今日の日本においても、こうした試みなどを通じて、コスト削減の余地のあるものは極力効率化していくことが望ましいのではないかと考えます。

内科・外科・形成外科の開業医です。地元でかかりつけの医院としてやっておりますが、昨今では医療機関同士の競争が激しくなってきており、他の病院との差別化やマーケティングなどの発想が必要になっていると痛感しております。
具体的にはどのような方法があるでしょうか?


回答


まず今までの取り組みについてですが、既に診療時間・診療方法の工夫、さらには医院の改装などをしてきました。具体的には、形成外科だけではなく、スキンクリニックに力を入れ、女性の患者さん向けに怪我や火傷の修復やホクロ除去などの差別化や、診療時間の工夫・バリアフリーへの改装などを行っております。
また医療にも経営感覚を取り入れるため、民間企業出身の事務長を採用し、正当な医療報酬を得て、競争に負けないよう努めています。

こうした積極的な取り組みですと、既に患者さんの数が増加するなどの効果は出ていると思いますが、さらなる競争優位を確立するためにも、例えば広告の強化やホームページの開設などを行ってはいかがでしょうか。

(1)広告の強化
医療法では、第69条・70条において、広告は医療機関の名前・診療科目・所在地・電話番号・診療日・診療時間・入院設備の有無、その他厚生労働大臣の定める事項など11項目に限定されているのが現状です。
そのため今までの広告宣伝といえば、電車から見える看板や、電柱にぶら下げる広告などが主流でしたが、今でもこうした看板が患者獲得の「必要かつ十分条件」と認識しているお医者さんも少なくありません。

今までは法律による制約がありましたが、2002年の4月から医療機関の広告規制が緩和されるようになり、条件付きながらも各医療機関での手術件数などを広告できるようになりました。
患者さんも種々な情報を通じて、医療の選別を行っていますので、今後のチャンスの拡大に備えていくと良いでしょう。

(2)ホームページの開設
ホームページは正確には広告ではありませんが、患者さんとの双方向性を高めるためにも有効な方法と言えるでしょう。
全国の医療機関や、各地域の医師会などで、それぞれの病院を簡単に紹介するホームページは既にありますが、画一的な内容ではなく、得意分野の症例や実績などを示し、加えて、健康管理の必要性やQ&A週などを通じた各種のアドバイスなどを通じて、患者さんの不安感を解消するように努めていくと良いでしょう。

昨今では、患者さんが医療機関を選択する手段として、
1.「家族、知人」(82.8%)
2.「かかりつけ医の紹介」(63.0%)
でインターネットは現状では11.7%に過ぎませんが、その内訳を見ますと、30代では24.3%、20代では27.3%といった形で、若い世代ほど多いことから、インターネットの役割は今後大きくなると言えるでしょう。

通信販売の会社を経営しております。昨今の厳しい経営環境などによって、前から 共同仕入れなどの業務提携を行っていた、同業で老舗の会社と合併することになり ました。
まだ協議に入ったばかりですので、今後は存続会社はどちらか、合併比率はどうな るか、オペレータが日常的に利用している、CRMシステムは、どちらのものを使 うのか、といった点は、まだ決めていません。
よく合併時のシステム障害や、合併そのものが破談になった話が少なくないのです が、具体的に気をつけていかなくてはならない点は、どのようなことでしょうか?


回答


<主な経緯について>
実際に合併の経緯は、双方の話を聞いてみますと、合併する会社は創業してから15年程度と、比較的新興の会社ですが、非合併企業については30年以上の歴史を持っているとのことです。
さらにこの2~3年の業績では、前者ではリーズナブルな価格と速い発送によって、比較的好調に推移していますが、後者では品揃えの少なさや、社員が多く固定費率が同業他社と比べても高いことから、長い歴史や伝統が仇になって、苦戦をしていたようです。

実際には救済する形での合併になるのですが、相手側のメンツや対外的な都合もありますので、「対等合併」という扱いにしています。




最近では、どの業種業態でも合併や企業買収などが相次いでおります。今回の場合の目的・効果は、主に以下のことが挙げられます。
(1)合併による企業規模の拡大。
(2)総務・経理など間接部門の統合化や、情報システムなど、費用のかかる要素を極力削減する。

また両社は業界も同じで、さらに商品のラインアップも似ていたことから、上記にありますような、合併による業務や組織の合理化は必至であると言えるでしょう。

しかし実際には救済合併であるにもかかわらず、相手側のメンツに考慮して「対等合併」にしていくのはどうでしょうか。実際に合併後「話が違う」と現場の業務でトラブルが相次いだり、合併段階での協議が物別れになって、破談になるケースも少なくありません。
こうした場合には、相手側には今後の処遇・業務・プライド面など厳しい面も否定出来ませんが、まずは「どちらが存続会社になるのか。」といったことを明確にしたうえで、その後に合併比率・存続会社・本店所在地など、まずは厳しい内容を極力初期の段階から協議して、結論を導き出していくと良いでしょう。

最も良くないケースは、当初の段階でお互いに傷つきたくないといった意識から、厳しい内容には目をつぶり、ソフトな内容でお茶を濁してしまい、最終段階になってから双方の認識のギャップの大きさによって、トラブルになってしまうことです。

そのため、以下のような形で協議を進めていくと、悪い予兆になると言えます。

(1)対等合併である。
(2)合併後の人事・処遇なども変更はない。
(3)経理/総務/人事の方式/情報システムも、双方の良い所を折衷する。
(4)経営陣・役員・部長も今まで通りとする。
(5)商品も当座は両社のものが並存する。
(6)現場での業務の進め方など、やり方の違いについては、合併後に双方が誠意を持ってこれに対処する。

したがって合併に際しましては、楽観視せず、慎重かつ粘り強く取り組んでいくと良いでしょう。


また情報システムを今後、どちらのものを使えばよいのか検証する際には、会社の合併に際して、その情報システムの活用については、以下の2つの方法と、それぞれの長所・短所が挙げられます。

(1)それぞれのコンピュータを、リレーコンピュータなどでつなぎあわせる方法

→各社の情報システムをそのまま使うことから、既存の組織・人員などの体制を維持しやすいが、トラブルが発生しやすい。

(2)合併するどちらかの会社に、システム全体を「片寄せ」する方法

→コスト削減・業務効率化といった、合併効果が発揮されやすいが、被合併企業・もしくは採用されなかった企業の情報システム・部署・人員などが整理されやすくなり、合併協議での影響が大きい。

(3)完全に新しく情報システムを入れ替える

→合併後には、自社の業務・方向性に合致したシステムが出来上がるものの、新たに開発費用が発生する。


こうした長所と短所などの特徴を踏まえたうえで、考慮していくと良いでしょう。最近の傾向としては、合併効果や機動力を高めるために、「対等合併」ではなく、どちらが主導権を持つか、ということを明らかにしていく傾向が多く見られますので、その場合には、トラブルの少なくコスト的にも効果的な、「片寄せ」方式が主流になりつつあるようです。

さらに合併作業に対して、今後気をつけていかなくてはならない点では、基本的には会社同士の合併ですと、それぞれの社員の意地やプライド、さらには合併後の力関係や、自らの生き残り、立身出世など様々な思惑が働くことによって、冷静さを欠く行動が生じやすいことを認識しておくと良いでしょう。そのため、ほんのわずかなことでも感情的な対立に発展しやすいことから、両社の事業のあり方と、今後の相乗効果を冷静に分析するようにしていくことがポイントになります。

最近の企業合併を見ますと、単純な対等合併は大幅に減っていますが、そもそも完全な対等はあり得ません。後で大きな課題が出ないよう、当初の段階で、

・「甲が乙を吸収し、存続会社甲で、組織内のあらゆるシステムやルールその他は、基本的にすべて存続会社のほうに合わせる。」
・「両社で共同持ち株会社を立ち上げ、各事業部を整理統合する。」

といった基本的な方針を定めたほうがより合理的でしょう。それを「吸収される側の人のモチベーションを考えて...」としてしまうと、合併協議が難しくなるばかりでなく、今後の組織の融和も難しくなるでしょう。

社内で、現在のコンピュータ・ソフトウエアなどの情報システムが、業務に全く合っていないことから、今後改修をしていくか、または全面的にリニューアルしてしまうことを検討しております。
ただし自社だけで判断するのは、これといった基準が分からないことから、今までがそれなりにうまくいったのか、それとも失敗したのか判断しかねておりますが、どのように判断していけば良いのでしょうか?


回答


IT化の成功する要因は、各社・各業界において、色々なパターンや形などがあり、いちがいに「こうすれば成功する」といったものはありません。
逆にIT化が「上手くいかなかった。」、「投資額の割に効果が思わしくなかった。」といった失敗してしまうパターンは、共通する要素がたくさん存在することから、まずは「急に成功する」ことを性急に狙うよりも、「失敗しない」方法を実践し、自社の成功パターンを確立することがポイントになるでしょう。


★質問
逆に失敗しているパターンとは、具体的にはどのような現象が多いのでしょうか?


☆回答
IT化で失敗しているの主なパターンは、以下のような事例が挙げられます。


☆企業のIT化・情報化における、典型的な失敗事例とその原因

1.経営者の無関心。
情報化の本当の目的・意義があいまいなまま進められることが多くなり、担当者や担当部門だけでの「部分最適」になりやすく、はっきりとしたIT投資の効果が出にくくなる。

2.経営者のメンツを維持。
自社の現状を無視して、先進事例をマネした大規模なIT投資を実施し、現場が混乱して損害を被るだけではなく、さらにムリを強行しがちになる。

3.担当者に丸投げ。
情報システム関連の企画立案から管理運用まで、全て担当者に任せてしまうことから、会社の経営戦略や情報化情報を軽視したまま、個人的な嗜好で情報システムを構築してしまう。

4.今までの業務に固執。
ベテランの従業員などが、今までの仕事の仕方にこだわりすぎ、情報システムなどを通じた、合理化や効率化をコンピュータアレルギーなどで拒絶し、導入したシステムが十分に活用されなくなる。

5.技術的なトレンドを追いかけすぎる。
最新かつ斬新な技術を活用した、ハードウエア・ソフトウエアの導入にこだわり、開発での進捗の遅れや、稼動後のトラブルや障害などにさいなまれやすい。

など、挙げられます。

★質問
それでは今後、どのように改善を図っていけば良いのでしょうか?


☆回答
昨今の情報化は、「ヒト・モノ・カネ」に次ぐ第四の経営資源として注目されることから、経営戦略と密接に関連した情報化の推進を検討していく必要性が強く出てきておりますので、以下の内容をチェックしていくと良いでしょう。

1.情報化投資の目的は何か、明確にする。
・実施する予定の情報化投資は、どのような目的のために実施されるのか。
・システム化が必要とされる現状の背景は、具体的にどのようなものがあるのか。
・経営戦略を具現化していく中で、今回の情報化投資が本当に必要なものであるか。
・導入・開発をしていく際の、基本方針は何か。

2.ITを活用することによって期待される効果は何かを、事前に目標を立てる。
・現状の業務・経営状況の中で、解決したい課題は何か。
・狙いとする効果は何か。
・効果を出すために、現場における教育研修や、啓蒙活動をどのように行っていくか。
・仮に効果が出なかった場合、どの時点から検証し、見直しを行っていくのか


と体系的に目標を把握しながら、情報化に対して臨んでいくと良いでしょう。

既に会社でホームページを立ち上げ、会社案内と商品の紹介・販売をしております。しかしホームページのアクセス分析などを分析しますと、あまり来ていないのですが、たまに電話で「ホームページを見た。」というような問い合わせがあります。これでは成功したのか、失敗したのかよくわからない状況ですが、どのように判断すれば良いのでしょうか?


回答


ホームページを活用した商品販売や販売促進は、今や一般的になりつつありますが、その中で利益を確保しているサイトは、ほんの一握りに過ぎません。
成功する方法は、各業界・会社によって様々なことから、「こうすれば成功する」といったものはありませんが、逆に失敗するパターンは共通していますので、まず失敗しない方法を実践し、改善を図りながら成功に導いていくと良いでしょう。
企業のホームページで失敗しているの主なパターンは、以下のような事例が挙げられます。




1.タイトルが冗長。
初めにあるホームページのタイトル・コピーがはっきりしない場合、現在主流になっている、全文検索型の検索エンジンから、アクセスされにくくなる。

2.フレームを使用している。
フレームを活用したホームページでは、メインページから順次閲覧されることを前提としているため、全文検索型の検索エンジンで下の階層から閲覧した場合、他のページにリンクできなり、素通りされてしまう。

3.内容がはっきりしない。
コンセプト(商品販売か・会社のアピール向上か)がはっきりしていない場合、顧客の興味を引くことが難しく、素通りされてしまいやすい。

4.重い画像・アニメーション・動画を用いている。
メインページを鮮やかに彩るため、動画・FLASHなどのアニメーション・重い画像を使用した場合、アクセスに時間がかかることから、素通りされたり、再度閲覧されることが無くなってしまう。

5.各部門でバラバラに作成している。
社内の各部門ごとにバラバラに作成されたホームページは、顧客に漫然とした印象を与えやすい。

6.商品の説明・メリットなどが簡略すぎる。
顧客は実際に商品を手にとって見ることができないことから、商品の情報・画像・効果・メリットなどの情報が不足している場合には、信頼度が満たされず、購入されない。また、支払方法や配送の目安などが不明瞭な場合も、同様に購入されない。

上記のように、最も典型的にホームページの制作・運営で失敗しがちな内容を列挙しましたが、仮にあてはまる内容が、3つ以上存在している場合には、顧客からの印象を悪くしている可能性が強いことから、直ちにリニューアルを検討すると良いでしょう。


★質問
そもそも成功している会社の比率とは、全体で言えばどの位の割合でしょうか?


☆回答
インターネットのホームページなどを通じて、商品の販売や会社のPRを行うことは、費用や手間の観点から参入が相次いでおります。しかし実際に行ってみた場合には、新聞や雑誌に出ているような華々しい実績ではなく、具体的な効果が上がらない・期待値より低いことが一般的といえるでしょう。当初の予想以上・もしくは
想定した効果が生まれるのは、全体の2~3割程度と言われております。

こうしたことを未然に防止して、「売れるホームページ」を作っていくためには、華やかなイメージに惑わされず、まず自社ならではの明確な戦略を立てていくことが、ポイントと言えます。


★質問
それでは今後、どのように改善を図っていけば良いのでしょうか?


☆回答
今後のポイントとしては、以下の内容が挙げられます。

(1)他社にはない、特色のあるホームページを企画・立案する。
(2)デザインや構成を、極力分かりやすくシンプルにする。
(3)ホームページの存在をより知られるようにするため、検索エンジンの登録や、カタログ・名刺などの印刷物にも加える。

などの工夫をして行くと良いでしょう。

また、今後大きな失敗を未然に避けていくためには、以下のような内容をチェック・検証していくと良いでしょう。

1.タイトルをまとめる。
全文検索型の検索エンジンに対応するよう、メインページ冒頭のタイトルやコピーをまとめて、検索されやすくする。

2.フレームを取りやめる。
ページの閲覧性や、メインページ以外の内容にアクセスしても問題のないよう、フレームページを取りやめる。

3.目的及び内容を明確にする。
商品の販売・会社の知名度向上、などといった形で、目的を明確にし、顧客の関心を集めるようにする。

4.ホームページをシンプルにする。
動画や重い画像を省き、基本的には小さな画像と文字を主体にした、シンプルな構成にする。

5.内容・構成を部門を通して統一する。
作成は社内の各部門で実施しても、標準化の規約などを定めて、統一性と品質を確保する。

6.商品説明を丁寧に行う。
商品の情報・画像・支払条件・配送予定など、顧客が安心して商品を選択できるような環境を整える。


多くの中小企業にとって、ホームページ自体を立ち上げることは、決して難しくありません。商圏を全国的に広めること自体は、魅力あることですが、成功するためには、現実のビジネスと同様、もしくはそれ以上に継続した努力と難しさがあることを認識すると良いでしょう。

・お盆や夏休みで観光や旅行などに行かれた際、例えば以下のような事例を見かけた、もしくは体験したことはありましたでしょうか?
・国内の観光旅行が好調と聞きましたが、いざ夏休みに行くと、大変そうな様子は痛感しました。その原因は何でしょうか?


回答


お盆や夏休みで観光や旅行などに行かれた際、例えば以下のような事例を見かけた、もしくは体験したことはありましたでしょうか?

1.夏の繁忙期だけに限って、平時より極端なくらい値段の格差が違う。
2.仲居さんや旅館のサービスがあまり良くない。
3.食事の種類が少なく、鮮度もあまり感心しない。
4.宿泊先や近辺の観光地の活気がない。

最近では経営不振などによって、開業30年以上の老舗(しにせ)が倒産する割合が年々上昇しています。バブル期の87~89年には年5%前後の、倒産企業全体における老舗倒産の内訳でしたが、バブル崩壊後から上昇して現在ではおよそ4件に1件といった高い水準が続いています。

倒産件数自体は前年の水準を下回り、負債総額も大型倒産が減っていることから大幅に減少していますが、特に老舗旅館やホテルの倒産は、過去最悪となっているようです。今年初旬から既に71件が倒産していますが、開業30年以上の老舗倒産が半分近くを占めているようです。




今年(2003年)の夏のリゾートなどで、比較的厳しかった理由につきましては、簡単に言えば、主に以下の内容が挙げられます。

(1)夏休みは海外で過ごすというニーズ。
(2)不況の長期化による売上の不振。
(3)社員旅行や研修といった、法人・団体需要が低下しているため。
(4)外資系ホテルの開業ラッシュが相次いでいるため。

社歴が30年以上ということですので、よほど若くして創業したのでない限り、創業者1代限りということは少ないものであり、むしろ跡継ぎなどの事業継承によって2世代以上行われている可能性が強く、こうした同族の世襲なども関係していると言えるでしょう。
まずは「老舗」といったものの色合いや重み・価値について考えてみたいと思います。
そもそも老舗の持っている本来の価値は、「先祖代々の業を守り継ぐこと。」であり、業(なりわい)とは仕事や暮らしの手立て、また技能をなどを指しています。

長く守り継げば、当然としてその店に専門的な技能を持つスペシャリストが生まれてきます。そうしたスペシャリストを育て守りながら、伝承を守り伝える事は老舗の1つの使命でもあります。

しかし昨今では老舗の良さを理解して、さらにそれを欲する顧客のニーズが減少していることから、問題がより深くなっているとも言えるでしょう。例えばファッションや自動車の輸入業者は、昔の1ドル360円の時代には民族系の輸入会社が行っていましたが、昨今ではより価格の安く販売促進の熱心な海外メーカーの日本法人に取って変わられ、新しいタイプのより幅広い層に定着されるようになりました。
また買い物においても、古くからの商家では会話のやり取りが面倒・古臭い・値段も高い、ということで郊外型のディスカウントストアでの買い物が増えつつあるなど、消費者の選択においても老舗ブランドよりも安さや利便性などを重んじるようになってきました。

同じ老舗と言いましても、
(1)伝承の技や仕事を現代流に訴求している企業 と
(2)単に長く営業を続けている企業
に分かれていると思いますので、今後(2)の色合いの強いところはいかに脱却していくかが課題になってくるでしょう。

最近の傾向としては、のれんやプレステージといった、社歴や老舗の名前だけでは有利な取引ができなくなってきている傾向にあることから、変化に対応できない企業の整理・淘汰が進んでいる傾向にあることを考慮に入れておく必要があるでしょう。

他の投資案件(設備・機器の導入・工場への投資・不動産投資など)に比べて、システム開発などの投資は後での効果に関する検証は比較的少ないようです。なぜなのでしょうか?


回答


確かに情報システムに関する案件は、その予算の額や期間・さらには業務への影響などを考えますと、後の段階での検証というのが不足している感がありますが、主に以下のような理由が挙げられるのではないでしょうか。

1)そもそも用語などがわかりにくい
情報システムに関する案件は、その費用・携わる人員の多いことなどから、全社を挙げて取り組むことの多い内容であるとも言えるでしょう。そのことから経営会議や幹部社員の連絡会などで、承認や報告のためのプレゼンテーションや会議などの繰り返しを経て承認に進むのが普通ですが、多くの経営幹部はカタカナの専門用語の飛び出すプレゼンテーションを聞き、なんとか理解しようとしますが、よく分からないまま承認してしまうことも少なくないようです。
結果として、担当者の熱意あるプレゼンテーションにほだされてしまうのですが、会社にとって大きな投資である、情報システムの導入が十分に論議されないまま承認を得てしまうことから、十分なマネジメントが得られない、という課題を持つこととなってしまいます。
また経営幹部なども現実問題として、わからないことを管理することも難しいですので、作りっぱなしのシステムを産んでしまう土壌が出来やすいことも挙げられます。

2)プロジェクト形式の弱点
多くの情報化プロジェクトは、社内の情報システム部門だけでは人員的にも業務的にも不足していることが多いことから、現場の営業部門・バックオフィスの経理・総務部門や、外注先のシステム開発会社も含めて進行し、その多くは稼動と同時に解散してしまいますが、こうした色々な部門などの関わりにより、責任の所在が不明瞭になりやすい面を持っています。

3)技術者の性格的なもの
ハード・ソフトを問わず、コンピュータの技術者に共通している点でもありますが、道具選びや新しいことへの技術的な関心は極めて高く、また熱心でもありますが、1たびその道具を使って山来あがってしまいますと、全く興味を持たなくなってしまう傾向も存在するようです。

こうした風習や現実があることから、「本当に望んでいる仕様とは、異なるシステムが出来てしまった」などの声が多く、なかなか良い情報システムの出来ない1つの要因となっているものと考えられます。

こうした「作りっぱなし」に対して、今後の行うべきマネージメントの方法につきましては、単純に言えばビジネスの常識にのっとったやり方を、情報システムにも適用したほうが良いでしょう。多くの企業にとって、情報システムの導入が当初の計画通りに進行する例はほとんどないことから、稼働後の評価やレビューなどの検証が重要になってくるものと考えます。




☆具体例
不動産販売及び賃貸事業を展開しているU社では、およそ3年前に販売管理システムの一新を致しました。主な目的は物件情報の管理と、販売活動に伴う事務速度を向上させることでした。

U社では50代以降の定年後の人生設計を考えた不動産投資と、結婚後10年以内のニューファミリー層を主な顧客層として持っており、高額な不動産物件を中心に扱っていますが、こうした物件は人気のあることから売買のサイクルが極めて早く、商談の期間が極めて短いことが特徴です。

そのことから、顧客のニーズに合致した新鮮な物件情報をタイムリに提案することと、顧客管理の精度を高めることが現場から求められるようになりました。しかし現実は、従来からのビジネス慣行によって、以下のようにいくつものやり取りを通じて、ようやく受注となるのが現実です。
(1)第1次見積
(2)支払方法の検討
(3)設備仕様などのの変更
(4)第2次見積 など

こうして得た受注もあくまで仮受注のため、正式な受注に至るまでの業務が煩雑なことから、手順の漏れや処理上のミスも少なくありません。したがって、顧客に対して販売していくチャンスを失う機会損失が拡大したり、不満足な感を持たれてしまうことも少なくありませんでした。

さらに社内における財務管理にも課題を抱えており、物件を引き渡したあとの売上データを、経理データとして全社で集計するまで多くの日数を要することから、月次決算の遅れによって経営状況の判断が遅れており、さらには精度にも悪い影響を与えていました。

こうした観点から、見積~販売~代金回収の業務サイクルや、月次決算の速度向上など課題に対し、作業の標準化や情報システムの見直しが必要となり、販売管理システムを再構築することになりました。

新たな販売管理システムの機能は、基本的にリピーター顧客の多いことから、顧客情報の整備を中心に、数億円の投資を行いました。

開発は、およそ1年半で完了する予定で、1~2ヶ月程度の遅れで本稼動を迎えて、テープカットの式典も行われましたが、稼働の半年後になってから、不動産物件や競合条件・物件の周辺環境の変化が目立つようになり、仮受注の方法や期間の取扱いなどに関する改善要求が現場から続出してきました。
しかしプロジェクトチームはシステム稼働直後に解散し、ほとんどのメンバーや情報サービス会社の社員もいないことから、情報システム部が担当することになりましたが、とある会議で社長から以下のような発言がありました。

「半年前にテープカットなどの式典を行った、販売管理システムの効果はどうなのか。開発に1年半を要し、数億のコストがかかっているにもかかわらず、結果報告もない。」
さらには、
「工場設備や営業業績は、計画と実績を比較評価して目的達成と改善するポイントを明確にするのが当たり前だが、これだけ大きく投資した販売管理システムの効果についても当然ではないか。しかし今までコンピュータ関係で提出された。稟議案件の結果報告は、今まで1度たりとも聞いたことがない。それがコンピュータの世界の中での常識なのか。」

こうした注意をうけたことにより、課題の抽出や効果の測定などをはじめ、様々な改善策を、情報システム部内にて検討していくこととなりました。

業務でウェブマスターをしております。先日雑誌を読んでいたら「フレームを使ったホームページは良くない。」というようなことが書いてありました。
会社で運営しているホームページ自体もやや古めのもので、当時はフレームが流行していたことから、今までは意識していなかったのが、急に気になるようになってきました。詳しく説明してください。


回答


簡単に言いますとYahoo! Japanなどのディレクトリ型検索エンジンの場合、こうしたフレームページのほうが便利でしたが、昨今のGoogleなど全文検索エンジンが主流となっていったことから、フレームページの場合に、その検索条件などから不利になりやすいことにあります。
最近では新しく作成・リニューアルするホームページには、ほとんどフレーム有りのものはなくなってきましたが。それでもなお全国的には数が多いものと言えます。


一時期フレーム付きのホームページが著しく流行しましたが、その理由は単純に「比較的苦労が少なく、見栄えの良い体裁でなおかつ他へのリンクがしやすい」ことが大きかったのではないでしょうか。
具体的には、以下のようなメリットがあるものと考えます。

1)ホームページの簡単な修正・管理などが行いやすい
多くのサイトでは基本的に、画面の左側・上側にフレームでメニューを設けていましたので、販促キャンペーンなどページを自社で修正する場合、文字の差し替えなどがやり易いことも大きかったと考えられます。

2)ナビゲーションのボタンを追加・変更する場合、1回の作業で出来る
多くの場合サイトの左側(ないしは上側など)に各カテゴリー・各ページにリンクするナビゲーションを設けていますが、この管理がフレームで作成した場合、後の段階での追加・修正が行いやすいことも、一因であったと考えられます。仮に外注する場合、物販サイトで約100ページの変更としますと、値切ってページ500円でも5万円になりますが、フレームの場合は1ヶ所の変更で終わってしまいます。

3)新規作成が比較的容易
デザインやサイトのナビゲーションをフレームの構成に依存している色合いが強いことから、本文のページに対してはテキストのみのシンプルなページ内容のみで、ある程度の体裁を整えることが出来るでしょう。


こうした多くのメリットがあったのですが、Googleを初めとした全文検索による検索エンジンが本格的に普及し利用されていることから、フレームページが不利になってきました。トップページから閲覧する来訪者は、全体の約3割程度といわれていますので、当初の作成する側の意図通りに、フレームページが正しく表示されない場合のほうが多いと言えるでしょう。
元来フレームは、トップページを入口にサイトを訪れる用途を想定していますので、全文検索などで該当したホームページを閲覧する場合、本文だけのページが表示されることから、「見た目のバランスが何だか悪い」「他のページに行くボタンがない」ページが表示されてしまいます。

またテキスト重視のページであることから、Googleなどで検索されやすい条件が多く、余計にフレームが外れた状態でいきなり本文ページだけが表示される状況になりやすいと言えるでしょう。

すでに運用してある程度の年数が経過した場合、ホームページを修正していくことはその分量などから大変になってきますが、Googleなど全文検索の検索エンジンを対象として力を入れていくことをメインとした場合には、フレームを完全に撤廃し、作り直していくと良いのではないでしょうか。
コストもかかりますが、ページの閲覧数も増える確率が高まることから、投資した分をある程度取り戻せるのではないかと考えます。
ただし費用と手間は完全にリニューアルと同じ性格となりますので、コンテンツ面・内容面において、アクセス状況や顧客の反応などを踏まえた見直しをしていくと良いでしょう。

地方で卸売業を行っております。なにぶん業販相手ですので、より収益率の高いインターネット販売によって、通信販売の形態によって直接顧客相手ににオンラインで販売しています。
こうしたオンライン販売が軌道に乗ったと思ったところ、当社で前から設けてある掲示板だけではなく、いわゆる「2ちゃんねる」などの掲示板に、当社のあることないこと様々な誹謗中傷が相次いで書き込まれてしまい、通信販売に重大な打撃を被っております。
中には現実に当社と一部のお客様とで発生した、クレームなどについて、電子メールでの一連のやりとりを掲示していることも1例くらいはあるのですが、すでに商品の交換返品などで対処済みの内容です。さらにほとんどは「当社の仕入ルートは不透明である」「脱税している」「電話での応対の声が変だ」「社長がいかがわしい」などといった、事実無根の個人攻撃が相次いでおり、大きな打撃を被っております。

いわゆる「2ちゃんねる」側に掲示板削除について問合せましたところ、全く対応してくれないことから、今後の手段はどうしたら良いのでしょうか?


回答


インターネットの掲示板については比較的以前から存在していましたが、商用サイトや個人・企業・団体の誹謗中傷に関する被害などの問題が本格的な社会問題として出てきましたのは、比較的最近になってからといえるでしょう。まずはこうした掲示板によって、業務に甚大な被害が受けましたでしょうか?


★質問
はい。問い合わせなどの状況が、何日もぱったり止まってしまっています。特に最近では、2ちゃんねる用語でいわゆる「祭り」というのでしょうか。以前は当社のスレッドが立ち上がってから1ヶ月で、せいぜい200~300スレッド程度でしたが、この3日間で、新しいスレッドの600くらいまで、急激に増えております。合計で1300くらいの書き込みでしょうか。


☆回答
こうした実害などをすでに受けておりますので、そのまま放置して良いというものではありません。何らかの対処を取っていく必要があるでしょう。
まず第一に考えられるのは、該当する掲示板の削除を実施することになります。「2ちゃんねる」の削除要請にあります、「削除ガイドライン」では、電話・郵送などメール以外の手段では一切対応していませんので、フォームに入力することを促しております。
こうしたフォームに、氏名・メールアドレス・対象となる掲示板などを入力して送付すると、削除される場合もあります。
しかしながら、この「ガイドライン」を見ますと個人・法人などの取り扱いで、削除は応じないとするものも存在しておりますので、注意が必要です。
具体例は以下の通りです。


(1)個人の場合

<その1>
1.政治家・芸能人・プロ活動をしている人物
2.有罪判決の出た犯罪者
<情報の取扱い>
公開されている・情報価値がある・公益性がある、などは削除しない。
削除の可否は管理人が判断
<誹謗中傷>
管理人裁定の無い限り削除しない。

<その2>
1.掲示板の趣旨に関係する職業で、責任問題の発生する人物
2.著作・創作活動を販売または提供し、対価を得ている人物
3.外部になんらかの被害を与えた事象の当事者
<情報の取扱い>
外部から確認できない内容及び、責任や事象について無関係な情報は削除する。
公開されたインターネットサイト・マスメディア・電話帳で確認できる等、隠されていない情報については削除しない。
<誹謗中傷>
掲示板の趣旨に則した公益性が有る事象、直接の関係者や被害者による事実関係の記述等が含むものは削除しない。

<その3>
1.上記2つに当てはまらない全ての人物
<情報の取扱い>
誹謗中傷の個人特定が目的、もしくは文意により攻撃目的の場合、全て削除する。
<誹謗中傷>
個人を特定する情報は削除する。

(2)法人・団体・公的機関などの場合

原則として、削除しない。

「社会・出来事カテゴリ」の内部に設置された掲示板では、批判や誹謗中傷、インターネット内で公開されている情報、インターネット外におけるソースが不明確なものについても削除しない。

その他のカテゴリにおいても、掲示板の趣旨に関係があり、客観的な問題提起がある・公益性のある情報を含む・外部に影響を与える事件に関係している場合は削除しない。公的機関についても、削除しない。

ただし電話番号については、明らかに公的なもの以外は削除する。




つまり個人の場合は、一般の個人の誹謗中傷については対応するものの、著述業やメディアに登場する人物・政治家・芸能人などの有名人についてはそのままで、法人などに際しても、削除しないことが多い、ということになるでしょう。

ただし昨今生じました、長崎市で起こった4歳の子供の殺傷事件では、犯行を犯した少年の実名や顔写真が出ましたが、法務省からの削除要請によりその社会的な影響の大きさから削除されました。


★質問
これでは削除を依頼しても、削除されないのではないでしょうか?


☆回答
会社として業務を行っている場合、上記のような主旨やガイドラインでは、削除を依頼しても無駄なケースが多いのではないかと考えられます。
こうしたガイドラインを設けている目的は、以下のような内容にあると考えられます。

(1)掲示板の発言は物理的に削除可能なものの、匿名による発言も表現の自由の一環として保障されるべきであり,削除すべき性格のものではない。
(2)企業・公的機関などの団体では、告発やクレーム・トラブルなどを公表したほうが、こうした企業などに警鐘を鳴らす意味で公益性や情報の価値があることから、掲示板設立の目的に合う。
(3)個人でも著名なもの・政治家・芸能人・プロ活動を行っている個人などについては、情報の価値や公益性のあることから、掲載したほうが掲示板設立の目的に合う。
(4)そもそも掲示板の情報では公共性や真実が不明なので、権利を侵害するかどうかもわからないことから、削除する義務はない。

「2ちゃんねる」側が名誉毀損などで訴えられた場合に、主張している内容などから要点をとりまとめると、上記のような内容が挙げられます。したがって、まともに「2ちゃんねる」の削除依頼で手続きなどを行っても、取り合ってくれないケースが多いものと考えられます。


★質問
それでも問い合わせや売上の激減などから実害を被っている以上、何とかしたいのですが。


☆回答
であるとすれば、損害賠償請求の訴訟や掲示板削除の仮処分などといった、法的措置を行う必要が出てくるのではないでしょうか。
法的なものについては、弁護士などの専門分野になりますので、詳しくは各地域の弁護士会や法律事務所さんに相談したほうが良いと思いますが、過去にも「2ちゃんねる」で「ペット大好き掲示板事件」における、動物病院の誹謗中傷に対する損害賠償(平成14年6月)・女性麻雀プロに対する名誉毀損(平成15年6月)などにおきましても、掲示板の削除と損害賠償を認めているような事例が出てきております。


★質問
法的措置の件については社内で検討致しますが、他の注意しておく点はありますでしょうか?


☆回答
商用でサイトを運営している以上、極力ダメージを被らないように注意していく必要があると考えますが、法的な措置を実施するしないに関係なく、少なくとも以下のような内容に注意する必要があると考えます。

(1)掲示板の内容を、プリント及びデータ双方の形で、証拠として残しておく。
(2)少なくとも自社で設けている掲示板に関しては、誹謗中傷など顧客への信用に影響を及ぼす不適切な発言は削除する・もしくは警告を発するなどの処置を取る。
(3)こうした誹謗中傷などの書き込みと同時に、サーバーの荒らしなども同時に予想されることから、注文を促すフォームメールのデータの保管などにおいて、サーバ上に不用意に顧客情報などのCSVファイルを置かずに、個人情報の漏洩に注意する。
(4)「2ちゃんねる」などの掲示板においては、アクセス数が飛躍的に多数なことから、掲示板を通じて反論・注意した場合に、内容の揚げ足を取って余計に誹謗中傷を受けることが多いことから、相手にしない。
(5)最悪の事態として、自社で運営している掲示板は閉鎖し、それでも止まらない場合においては、サイト全体の運営を一時的に休止・もしくは閉鎖する。

などの対処方法が必要になってくるものと考えます。

また仮に警察への被害届もしくは、訴訟などの法的措置を取った場合には、証拠の保全のために掲示板の削除はされないことも、留意しておくと良いでしょう。

今回の国会で新しく成立した法律の話になりますが、先日労働基準法の改正案が通ったようですが、具体的にはどのような点が変わったのでしょうか?確か解雇に関する規定が設けられたとのことで、社内の労働組合の機関報では、容易な首切りにつながるものと反対していたのが気になりましたが。


回答


労働基準法の改正案が成立致しました。
当初の改定案に存在しました「使用者は労働者を解雇できる」という表現がなくなり、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」となりました。

今回の主な改正案の内容は以下のようになります。

1)有期労働契約の期間の上限を、原則1年から3年に変更する。
2)有期労働契約の締結及び更新・雇い止めに関する基準を定める根拠規定を設ける。
3)解雇を制限する規定を設ける。
4)就業規則の必要記載事項に「解雇の事由」を含める。
5)専門業務型裁量労働制について、労使協定により健康・福祉確保措置等の導入を必要とする。
6)企画業務型裁量労働制について、導入・運用等の手続を簡素化する。


解雇が有効となる条件は、以下のようになります。

1)労働基準法など法律で禁止されている事項に該当しない。
2)労働基準法の解雇予告を行っている。
3)就業規則に定めている解雇事由に該当する。
4)解雇に正当な理由がある。


解雇予告とは、今回こうした法改正を行った背景として、不況の長期化に伴い解雇のトラブルが急増し解雇しようとする場合には、少なくとも30日以上前に、その予告をしなければなりません。それを解雇予告と言います。予告しない場合、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払わなければなりません。

ただし、以下の場合には、労働基準監督署の解雇予告除外認定を受ければ解雇予告や解雇予告手当の支払の必要性はなくなります。(ただし一方的に解雇する場合は、労基法違反となります。)

1.天災事変その他やむを得ない理由があって、事業の継続ができなくなった場合
2.従業員の責めに帰すべき事由に基づいて、解雇する場合

<以下は2のその具体例>
1.職場内での盗取、横領、傷害などの刑法犯に該当する行為のあった場合
2.賭博等により職場規律を乱し、他の従業員に悪影響を及ぼす場合
3.採用のときに重要な要素となるような経歴を詐称した場合
4.他へ転職した場合
5.2週間以上の無断欠勤で、出勤の督促にも応じない場合
6.出勤不良で、数回にわたって注意を受けても改めない場合

上記の内容及びそれに準じた内容については、認定を申請すれば認められますので、各個別の事案については、最寄りの労働基準監督署にお問い合わせ下さい。

最近では比較的人材の流動化の傾向が著しいことから、優秀な人材を相対的に低いコストで雇用できるよう、若年層のトライアル雇用や60歳以上の高齢者における再雇用なども行っている場合、すなわち14日以内の試用期間中や、2ヶ月以内の更新をしない期間雇用者の場合においても、解雇予告や解雇予告手当が不要ということを、労働基準法で定めています。

一例では2ヶ月間の期間雇用契約とすると、2ヶ月経てば自動的に雇用契約は終了します。その間の解雇も解雇予告も不要ですが、残った期間の賃金の問題も出てきますので、こうした短期の場合は雇用契約の期間が終了するのを待つと良いでしょう。すなわち、見込みある者だけ期間の定めのない雇用として採用することにしていけば良いでしょう。

質問例(1)出会い系サイトなのか「出会い系のビジネス」(出会い系サイトの運営など)なのか十分わからないまま有料サイトに登録したのですが、パソコンで登録し後で中止したくなって手続きしても出来ません。どうしたら良いのでしょうか?
先日成立した「出会い系サイト規制法案」では、具体的にどのような点が変わったのでしょうか?


回答

※本コラムは中小企業の情報化に際しての様々なトラブルなどの事例をもとに作成しておりますが、今まで個人の方からの相談が多く、また昨今国会にて規制する法律が成立したことから、「出会い系サイト」に関する課題を取り上げます。


★質問例(1)
出会い系サイトなのか「出会い系のビジネス」(出会い系サイトの運営など)なのか十分わからないまま有料サイトに登録したのですが、パソコンで登録し後で中止したくなって携帯から手続きしても、出来ません。どうしたら良いのでしょうか?

★質問例(2)
出会い系サイトに、フリーメール(gooメール・Yahooメールなど)のメールアドレスで掲示板に書き込みをしているにもかかわらず、本来隠しているはずのプロバイダのメールアドレスに返事が来てしまいます。

★質問例(3)
出会い系サイトで知り合った女性がいるのですが、高い物品を売りつけられてしまいました。こうした場合はクーリングオフは適用出来るのでしょうか?

★質問例(4)
出会い系サイトで知り合い、関係を持った女子高生から、後日他の男性やその女性などから脅迫を受け、金銭を支払わないと会社に乗り込むなどと言われています。(いわゆる美人局)


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「出会い系サイト規制法案」は、正式には「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」と呼ばれ、6月6日に可決、9月までに施行されますが、具体的にはサイト上で18歳未満の子供に性行為及び、「援助交際」と呼ばれる金銭授受を伴う交際を勧誘した場合、100万円以下の罰金を科すなどの内容です。

具体的には出会い系サイトを使い、18歳未満の子供を相手にした性交渉や金銭の授受をともなう交際を誘う書き込みをすることを、「不正勧誘行為」として禁止し、違反者には一律百万円以下の罰金を科すようになりました。また援助交際を誘う側も罰則の対象になりますが、18歳未満は少年法上保護処分などに付され、刑事処分の対象にはなりません。また、サイトを運営する業者には、利用者が18歳未満でないことを確認するよう義務付けました。

しかし以上のような法案だと、抜け穴が多そうです。例えば18歳未満でも現在でも歳を多くさばよんでいる場合も多いですし、公安委員会の是正命令、では出会いサイトを無店舗型の店舗のように想定しており、いわゆる「表風俗」として風営法の風俗店に近い扱いとしているようです。警察庁でも「紹介事業」の定義や制度の運用基準について、詳しい指針を策定すると言われています。

具体的な内容は、以下のものが挙げられます。

(1)出会い系サイトの定義があいまいである。
→法案では出会い系サイトを「見知らぬ異性との交際を希望する情報を、多くの人が見られる状態にして掲示し、電子メールなどで連絡が取り合えるようにするサービス」と定義していますが、必ずしもそれだけとも限りません。

(2)年齢の規制は意味がない
→現時点でも利用者の大半は偽りの年齢を書いていることから、そもそも本当の年齢をどう確かめるのか、また架空名義や名義貸しなどで、成年女性所有の携帯電話やPCを未成年が使って買春投稿をした場合などを想定していません。

(3)サイト同士の誹謗中傷が多発する
→仮に競合する出会い系サイトがある場合、一方の管理者が営業妨害のためにニセの買春投稿を書き込めば、警察に目をつけて投稿管理が大変になり、ユーザーも他に移ってしまいます。

(4)隠語を使ってしまってはどうか
→2万円を30Kや諭吉3人とし、(全然隠語では無いと思いますが)書き込みなどで「午後9時、新宿で福沢が3人います」や、「705-18池30K(7月5日18時池袋で3万円で売春します)」などでは、サイトの管理者も判断ができません。

こうした問題点が出てきますので、現時点では法案が施行されてから厳格に適用して取り締まっていくしか方法がないのではないでしょう。

こうした法案の施行によって、上記にあるような社会問題などは減っていくかといいますと、例えばおとり操作を使用したり出会い系サイトの運営業者やプロバイダなどと協力して、投稿内容やアクセスログなどをチェックしていくしかないでしょう。許認可制にしても、トラブル自体はあまり減らないのではないでしょうか。

したがって上記の(1)-(4)にありますような、出会い系サイトに関する種々のトラブルへの対処方法につきましては、まず全体として言えることですが、様々な犯罪の温床になりやすいことから、被害を被りたくない場合には、「一切利用しない・関わりを持たない」ということが先決に挙げられます。これから夏に近づいていきますが「危うきには近寄らず」ことに勝る対策はないことを、認識する必要があるでしょう。

自動車ディーラーに勤めているものです。あちこち拠点が分散されている関係上、電話連絡や会議などの通信コストが馬鹿になりませんので、今ブロードバンドの時代になって話題になりつつある、インターネット上の会議ツールなどに関心を持ち、導入してみました。最近では海外とのオンライン会議が増えているようです。

しかしながら、どうもあまりうまくいきません。というのも通信回線のせいか、よくわかりませんが、動画は比較的安定して届くにもかかわらず、音声がやまびこのように遅れてやってくることから、会話がかみ合わなくてかえって効率が悪いのです。

どうしてこのような現象が出るのか、また対処方法は何かあるのか、お願いします。


回答


IP電話やオンライン会議などでは、リアルタイムで音声や画像データを交換することから、会話のタイミングが合わなくなって話しづらくなりやすい傾向にあるようです。音声再生の遅延時間が140~300ミリ秒を超えると、こうした不具合が出やすくなるようです。というのも、到着したパケットから順次再生していくため、遅れると再生のタイミングに間に合わなくなるためです。

たとえば、動画自体はオンライン上の会議でもあまりコマ落ちになりませんし、仮にコマ落ちになったとしても、基本的にはパソコンの前で座っているだけですので、特段激しい動きはないため関係ありません。しかし音声の場合はリアルタイムでやり取りすることから、データが発言があってから遅れてやってくるケースが多くなりがちでしょう。

その原因としましては、リアルタイムでの音声の場合、特に待ち時間の許容限度が小さいことから、話し声の伝わるのが遅れる場合、会話のタイミングがずれて話しづらくなりますが、その限度は前述の140~300ミリ秒ですので、通常のアプリケーションの10%以下ともいえます。
ADSL回線などで使うLANケーブルにおいて、最も長いパケットは約1500バイトですが、これをISDN回線(64Kビット)で流すとそれだけで約190ミリ秒かかってしまい、許容限度にひっかかってしまいます。


音声が遅れてやってくることに対する対策ですが、まずはパケット自身を短くする(例えば音声以外の動画のサイズを小さくする・解像度を下げる・1秒あたりのフレーム数を毎秒25フレーム(極めて早いADSL回線や光ファイバーで動くフレーム数)から毎秒5フレームにする。 など)パケットを短くすれば、回線の帯域にも余裕が出てきます。しかし必要以上に使いすぎると、パケットにヘッダー情報を加えますのでその分情報量もふくらんでしまうことから、注意が必要です。

他には回線の能力を増強したり、機器を増強するなどの方法ですが、コストや通信事情などの要因が大きいことから、慎重に検討をしていったほうが良いでしょう。

昨今では、創業30年以上のいわゆる「老舗型倒産」が増えております。それもいわゆる名門と言われる会社が経営危機を迎えることも珍しくありません。その状況は、主に(1)既存の事業が市場構造の転換で寿命を迎えた。(2)過去の成功体験に埋没した。などが挙げられますが、こうした根本にあります経営環境を大幅に改善しない限り、いくらITやコンピュータの活用と言いましても、あまり効果がでないでしょう。


回答


☆具体例

地方の老舗のある商店では、江戸時代から市中の中心にある企業のため、代々同社の経営陣は地方の名士であり、経営の仕事のみならず地域の商店会や商工会・さらには市議会や県議会の後援など地域の財界活動の比率が高まるようになりました。
また同社のオーナーは、常に地元の商工会の幹部に就任しておりましたが、今後は市議会出馬に取り沙汰され、本人は一応は否定しながらも、今後の政策などの具体的な構想を持っていました。

昨今の景気悪化は、公共事業の削減などから特に地方経済に深刻な影響を及ぼすようになり、今まで同社の経営者や役員は、自社の経営よりも地元の財界活動や地域活動などに力点を置いてきましたので、急遽自社の経営再建の必要性に迫られるようになりました。

同社では、過去にもオイルショックなどで経営危機を迎えたこともありましたが、多くの山林や地所などを保有していたため、不動産収入などで本業の不振を補ってきましたし、またこうした資産を担保に、金融機関からの経営支援を受けることは比較的容易なことでもありました。

しかし、デフレによる資産価格の大幅な減少も大きく影響し、さらには金融機関も自己資本の拡充という観点から、地元の地方銀行の役員や信用金庫の理事長などにも掛け合っても、担保の積み増しや金利の引上げなどを行わないと、現在受けている融資の引き上げなども辞さない、という流れになってきましたので、金融機関から役員を迎え入れ、経営再建を実施する運びとなりました。

銀行から派遣された役員や部長クラスのチームが、社内の状況を分析した結果、

(1)経理や総務などバックオフィスの人員が多過ぎて、コスト削減や生産性向上以前の問題がある。
(2)経理や売掛金管理をすべて手作業で行っていることから、月次の試算表などを作成しても、損益計算書の月次の結果が出るのに1ヶ月以上要するのみならず、貸借対照表を作成したり分析する意味はあまりわかっておらず、いわんや資金繰り表などは、今まで1度も作成したことがない。
(3)情報システムも、過去に地域財界の勧めでバブル期にオフコンを導入したものの、節税対策の域を越えず、実際にかろうじて活用されているものは、顧客管理システムのみである。
それもデータのメンテナンスをほとんど行っていないため、ダイレクトメールを大量に発送しても、実に3-4割が宛先不明などで返送されてしまうことから、1から作り直さなくてはならない。
(4)社内の状況や労務管理も、いわゆる「店主-番頭-手代」といった流れを強くくんでおり、会社の状況もいわゆる「高度成長期」の社風の域を超えていない。

そこで再建計画の折に、こうした経営風土を一新しようとして、当初の段階として以下の計画を策定し、役員会にかけました。

(1)業務効率化のために管理システムを大幅に情報化を進め、バックオフィスの要員を営業などの直接部門に一部は転属し、また人員削減を行う。
(2)会計システムのリニューアルにより、月次の予算実績管理を徹底し、また今までの多額にのぼっている売掛金や未収金などの売上債権の回収を、積極的に実施する。
(3)顧客管理システムを再構築し、既存顧客の囲い込みを強化する。
(4)労務管理を近代化するのみならず、パートやアルバイト・派遣社員といった非正規労働力を大幅に強化し、従業員はその指揮監督をメインにする。

ところがその方針をめぐって、オーナー経営者などの生え抜き派と、金融機関から派遣された役員との間に意見の相違をめぐって、激しく激突しました。

(1)多くの社員はこの地域に密着しており、また2代目・3代目の従業員も少なくないことから、地域社会との深い結びつきによって、安易な人員削減には応じられない。
また人員削減を行うと、地域から「あそこの会社は大丈夫なのか」という目で判断され、取引などにマイナスを及ぼしてしまうことが懸念される。
(2)売掛金の回収なども急に強引に行ってしまうと、地元の取引業者などが多いことから、これまた「あそこの会社は大丈夫なのか」という目で判断されてしまう。「困ったときにはお互い様」なので、無理に回収を行うようなことは、人情や情緒にもとるので、こうした行為は避けたい。
(3)コンピュータや情報化といっても、よくわからないから関心がない。また売上が今後拡大基調になれば、財務状況も自然に改善されるであろうから、そこまでシビアに予算実績管理していくのは、当社には馴染まないのではないか。
また資金繰りについても、今後の景気回復などで再び資産の含みが増えてくるため、そうしたら金融機関からの融資が受けやすくなるはずである。
ネットのキャッシュフローの増加を目指す経営ではあまりにドライなため、売上と資産が増えれば、全てが右肩上がりになるため望ましいのではないか。
(4)パートやアルバイト・派遣社員といった非正規労働力は、今までの会社の中で培ってきた共同体的な襟帯とはなじまない。

こうした方針の差異について、最終的には同社のトップが金融機関から派遣された役員を解任し、メイン行を変更するといったドラスティックなことも起きましたが、その結果、新たな資金調達先も見つからず今まで取引のあった金融機関からは債務の全額返済を迫られ、身動きがとれない状況になってしまいました。




★質問
何か新聞のニュースのような内容で、コンピュータや情報化とはあまり関係ないような気がするのですが、どうでしょうか。


☆回答
情報化の成否を決めるのは、会社の経営風土によるところが大きいと言えます。基本的には地域社会の名士ということで、今まで自社の経営活動よりも、業界や地域の面倒を見てきた面が強く、こうして人脈を築いていくことが、今までの時代でしたら本業を伸ばしていく有力な手段だった面があったことは、紛れもない事実です。
しかし往々として外部の活動に力を入れすぎてしまうと、社業が現場に任せきりになってしまい、管理などがおろそかになってしまう事例には、いとまがありません。そして気づいたときには、経営の立て直しが難しくなり、事業の売却・大幅な縮小や廃業・倒産などを迎えてしまうことも、今では珍しいことではなくなってきています。

昨今では、創業30年以上のいわゆる「老舗型倒産」が増えております。それもいわゆる名門と言われる会社が経営危機を迎えることも珍しくありません。その状況は、主に(1)既存の事業が市場構造の転換で寿命を迎えた。(2)過去の成功体験に埋没した。などが挙げられますが、こうした根本にあります経営環境を大幅に改善しない限り、いくらITやコンピュータの活用と言いましても、あまり効果がでないでしょう。


★質問
こうした実益よりも名誉やプライド・メンツなどを重んじる風土は、最近強くなっているのでしょうか?


☆回答
残念ながら昨今において日本全体が豊かになり、またバブル崩壊などで不況が長引いているにもかかわらず、なお景気回復への途が遠いのは、政府の経済政策のみの問題ではなく(無論景気対策などの問題は当然としてあるのですが)企業・各個人において、現状に対する危機認識の甘さといったものが、強く存在しているためと言えるでしょう。

日本社会は、特に戦後の経済発展などを通じて、比較的失業の少なく、最近までは完全雇用に近い社会で、世界で最も中産階級の発展した一種の共同体社会を営んでいました。こうした共同体社会は、犯罪・治安が少ない、仕事なども阿吽の呼吸で以心伝心で行うことが出来る、といった多くのメリットがありましたが、昨今の状況では共同体社会ゆえの弊害が色濃く出ている面も否定できません。

具体的には、
(1)共同体ゆえに、企業社会において急激な変化に対応しづらい。
(2)横並び意識といったものが強くなった結果、「他社の状況を見ながら反応しよう」という形で、実益よりも体面やメンツを重んじるようになった。
(3)特に地方経済では、一種のクチコミ社会・コミュニティが既に出来ていることから、例えば雇用にメスを入れたり代金回収を強化したりとすることは、「情がない」「血も涙もない」ということで受け入れられにくく、企業体力の低下を促進させてしまう面も否定できない。

などといった内容が挙げられます。そのため所有している手持ちの資産(土地や株式など)を売却して利益を出していましたが、昨今ではそうした余力もほとんどなくなっている、というのが実情です。今後はあまり面子にこだわらず、こうした危機感をまず社内に浸透させ、ポジティブな経営体質の転換を図るようにすることが、今後のポイントとなるでしょう。

進学塾(学校法人)のコンピュータ業務を担当しています。進学塾のみでは少子高齢化時代に厳しくなっているため、薬剤師などの資格試験講座など行い、事業転換を図っています。
そのため情報システムの再構築を行いましたが、既存から関係のある業者と新規の業者と共同でハード・ソフト更改に取り組んだところ、既存の業者の開発はメンバーの業務への理解度が低く、善処を求めたところ、他業務に移っているか退職しているため、要請をしても難しい状況から、関係が悪化してしまいました。
こうしたトラブルの未然に防止するには、どうしたら良かったでしょうか?


回答


発注する側として、選択できる内容は、以下の3点があると思います。
(1)つきあいある業者で遅れやトラブルが生じても、交渉を行い余計値切らせて、少々按配が悪くても、形のあるものには仕上げていく。
(2)今後は純粋に提案書の内容の良し悪しで、業者を選定する。
(3)提案の内容・価格のみでなく、開発する社内の体制・人員・メンバーのスキル・キーマンとなるリーダー格の営業・SEと実際に面談した上で、業者を選定する。

極力(1)のようなことを事前に想定するのは、業務に密接に関係することから難しいと考えますし、また妥当でないでしょう。ポイントとなるのは(3)です。RFP作成の折にも単純に企画書の内容や価格のみで判断することは、実際にプロジェクトを走らせることを想定すれば、やや早計といえるでしょう。
(3)のように開発会社の社内体制・管理体制や、開発リーダーのスキルなどは事前に面談などを通じてチェックしていくと良いと考えます。スキルと言いますと、どうしてもコンピュータスキルのほうに目がいってしまいがちですが、ビジネススキル(業務に関する理解度・折衝・打合せの能力など)やコミュニケーションスキルなどを重視すると、後に仕事を進めていくのに際して、極めて楽になります。
システム開発及び運用業務を外部に依頼するのは、1度作業に着手してしまった場合に途中での交代は極めて難しく、パートナーを選定するには事前からの手順と決断が肝要となるでしょう。

システムの構成や機能・内容よりも、普段の付き合いや担当者との人間関係といった、「義理」や「情」のほうがどちらかと言えば優先される傾向にありますが、円満な関係にある取引先ほど、馴れ合いにならないよう冷静な評価が優先してくるものと思います。価格差や「情」の部分もコスト削減や円滑な人間関係の推進で重要ではありますが、同時に価格差は品質差でもあることを認識して、業者を選んでいくべきものと考えます。



☆具体例
ある全国展開の進学塾では、少子化による顧客の減少・引き抜きなどによる人件費の高騰などにより経営環境が悪化して、事業転換に取組むようになりました。
今までは評判やロコミだけで集まってきましたが、昨今ではそれのみでは厳しいため、最近は雇用情勢の悪化から、成人向けの資格試験の講座や趣味講座などの多角化を図ってきました。

こうした新規事業に伴い、新たに作られた中期経営計画によってコンピュータシステムを再構築することになり、通信インフラ及びハードウエア更改と、CRMシステム・業務管理システムの開発を行うことが決定されました。

システム業者にRFP(提案要請)を出したところ、現在付き合っている業者の他に新規の業者にも見積依頼をしましたが、提案を検討の結果通信系インフラ・システムは中小の新たに取引を開始する業者が、推進体制及びプロジェクト管理がしっかりしていることから選定され、CRM及び業務システムの開発は、業務内容に精通している上に価格も安価で納期も早い、既存の大手業者にする運びとなりました。

実際にシステム構築及び開発業務が開始されたところ、通信インフラ及びハードウエア更改は、大きなトラブルもなく大きな問題もなくほぼ順当に終了しましたが、システム開発は技術者の業務理解度・技術レベルが極めて低く、責任者に善処を促したところ、以前からの担当者及びSEはほとんどがスケジュール的に危機的な状況にある他業務に回されてしまったか退社してしまい、特有業務や事情を理解している人員を、現時点で
確保することは極めて難しく、今までの担当を戻すよう要請しても、無しのつぶてで、両社との関係は最悪となってしまいました。
その結果、通信系・ハードの更改のみが先行して終了し、開発が大幅に遅延し予算も大幅に超過してしまう運びとなってしまいました。

会社で営業事務を行っています。パソコンが1つの課に1-2台の時には問題はなかっ たのですが、1人1台に普及してしばらくしてから、見積書や販売促進用の資料のファ イル(ワードやエクセルなど)のデータが急激に増加して、管理しづらくなってきまし た。こうした問題点に対して、どうしたら良いでしょうか?


回答


パソコンの普及や、各個人における活用の度合いが高まってきた場合、今まで問題のなかった電子データの量が、急に爆発的に増加するケースが起こる例を、数多く聞いております。そのため、以下のような問題点が起こってきます。
(1)各自のパソコンにデータが埋もれてしまい、誤って消してしまったり、急ぎの仕事のときにデータが見つからなくなってしまう。
(2)同じデータを複数人が保持してしまう。
(3)同じデータだが、内容を必要に応じて更新し、全てのファイルを保管しているため、わけが分らなくなってくる。
という事例は頻繁に起こっています。

担当している社員の出向や転籍・退職などによる人材の流動化が、昨今の激しい社会情勢の変化に伴って、急激に進行しております。また企業の合併なども、こうした現場業務が混乱してしまう、1つの要因となっているようです。

対策と致しましては、原則として、企業として文書管理を徹底する責任が問われる時代になってきていると言えるでしょう。各企業・それぞれの現場が持っているノウハウ・業務などを、文書にして蓄積し、バックオフィスの業務を大幅に合理化して、企業自身が持っている、本業に経営努力を傾けていく必要があるのではないでしょうか。

パソコンが普及していない時代ですと、通常は紙文書で管理しますので、ファイルにして整理すればよかったですが、PCの普及に伴い急激に電子データが増加した場合、いちいち紙媒体で整理していたら、その手間・作業はきりがありませんし、またスペース的にも不利になってしまいますので、抜本的な対処方法が必要になると考えます。

工業部品の販売をしております。売上予測や商品別の伸び率などを把握する分析ツールを導入しました。
売上予測・実績や商品別の伸び率といったデータを色々な角度で検討でき、自由にデータを検索・加工できるソフトウエアですが、検索の仕方がよくわからない・色々な機能を使いたいが、調べる時間がないことから、あまり利用状況は高まりませんでした。
今後どうしたら良いでしょうか?


回答


分析ツールなどは有用ですが、利用度は部署や個人によって大きく差が生じていることは事実です。こうしたギャップを埋めるにはどうしたら良いか? というケースは、よく起こりうるケースと言えるでしょう。

1つは上記のような導入時の研修や、導入後のフォローアップを行い、社内における認知を広めていくことがポイントになります。

他の方法は、例えば以下のようなものがありますので、ご参考頂けましたら幸いです。

(1)参考事例を「ヘルプ」の中にとして取り入れ、さらには参考例自身を定期的に更新していく。
(2)どのように活用しているかを、全員に知って共有化するよう、実績をイントラネットなどで公開する。
(3)単に掲示板を出しても、書き込む社員は少ないものと思われるので、積極的に事例や情報を載せる担当者は前向きに評価するようにする。
特に(1)のヘルプ機能は、業務を進める上で参考になるようにするため、開発の段階から検討しておくと良いでしょう。また現場で知りたいと思うことを事前に想定し、参考事例などを付けることは、想像以上に効率を高めるものと思います。

情報システムの利点の1つは、情報の共有化を図れる点にあります。データのみならず、ノウハウや疑問点なども共有できるため、効果的に活用する方法を見つけ出し、その方法をシステムを通じて共有することでプラスになる、こうしたサイクルを回していくことがポイントになると考えます。



☆具体例

ある販売会社で導入した分析ツールは、売上予測・実績や商品別の伸び率といったデータを色々な角度で検討できる分析ツールを導入する計画を立てました。データ分析用のサーバーを導入し、基幹システムから日次データを移行することで、自由にデータを検索・加工できるようにするものです。

導入が完了した時点で、システム部は利用部門に利用方法などを説明したところ、評判は極めて良好でした。しかし導入から1年あまり、分析ソフトのバージョンアップにより、社内の利用状況を調査したところ、利用頻度が月末と月初に偏り、さらには昔から使っていた月次帳票の作成に限られていたため、ほとんど分析には使われていないことが判明しました。

状況を調べてみると、「検索の仕方がよくわからない」「使い方を教えてほしい」「色々な機能を使いたいが、調べる時間がない」ということでした。

情報システム部に勤務しています。現場から開発に関するリクエストが多数来ていますが、人員削減などでルーティンの日常管理の比重が高まり、対処しづらい状況になっています。
そのため現場側では競合他社と差別化を図っていく必要があるため、現場独自で勝手にシステム業者と新規案件の設計・開発を行いましたが、納期及び費用を大幅に超過したプロジェクトになってしまいました。
こうした問題が起こるのは、どういった背景によるものでしょうか?また当社も、決して現場と情報システム部門を含めた本社のスタッフ部門とはあまり折り合いが良いとはいえません。スタッフを説得するにはどうすれば良いのでしょうか?


回答


社内における情報システム部では、常時社内・社外の業者などから多くの案件が持ち込まれます。日常的に処理していくにつれ、仕事に追われがちになり、現場の動向に無関心になりがちです。
また昨今では人員削減の流れにより、社内のスタッフは極力少なめにする傾向が強まり、既存の情報システムの維持運用・手直しなどで手一杯になりがちです。

そのため、情報システム部門では、企業戦略の中で課せられる情報システムの目的や意図するところをすばやく把握し、市場の変化に対して自社のビジネスとどのように結び付けていくか常にビジョンを描き、現業部門をアシストしていく必要があると考えます。

一方現場においても、こうした事業戦略の目的や方向性を、絶えずスタッフに認識されるべく、現場の考えや業務内容・システム化要求の背景・根拠などを客観的な事実とデータなどで理論武装し、きちんと納得を得るよう、事前に準備を重ねておき、あらかじめ意識を共有化させておくと良いでしょう。

往々にして現場部門では、こうした説明や説得作業が足りないケースがありますが、同時に情報システム部門では、フットワークが重く内にこもりがちな傾向を持ちやすいことも事実です。客観的な事実・データをもとに、時には政治力や駆け引きを用いて動かしていくことも、全社的な観点では必要と思います。

より具体例があるとわかりやすいですので、詳細を以下に記入します。




☆具体例

流通業のある会社では、コールセンター部門を強化して、インターネット及びカタログなどを通じた通信販売をより力を入れようとしました。そのためには、顧客情報を蓄積・整備し、得意先の特性に合わせた販売促進やマーケティング活動を的確に行うために顧客管理システムを開発し、他店との差別化を図ろうとしました。

事業環境は、女性・ミセス顧客を中心に過去に成長していきましたが、職業を持つ女性が増えたことや郊外型店舗が多数参入することで、来店客が減少していることが、ポイントとなりました。

そのため共働き家庭を対象とした、通信販売及びインターネット販売・さらにはコールセンターの強化により、販売チャネルを広げることと、仕事帰りの顧客をターゲットとした閉店時間を延長しようとしました。

上記のような売上高の落ちている中でのビジネスモデルの抜本的な変更には、情報システムの整備が欠かせない状況ですので、経営陣及び営業部門の代表と情報システム部門との間で協議がなされました。

営業時間の延長に伴うPOSの改修や、業務終了後に日次の売上処理などを行う夜間のバッチ処理の短縮化(従前のままにすると、処理時間が繰り下がって翌日の開店時間には間に合わなくなる。)することは、情報システム部内と協力会社との間で何とかなりそうなため、情報システム部で対応しましたが、通信販売及びインターネット決済などの新規システムでは、部内の陣容では対処しきれないため、情報システム部長は、現時点では出来ないと反対しました。

これに対し営業・マーケティング部門では、競合他社との差別化や今後の生き残りを賭けているので、なんとしても早期に実現して欲しいとの強い要望が出てきました。

これに対し、情報システム部長は、
(1)現行システムの維持管理や改修で、部内の半分以上の人員が釘付けになっているため、新規開発に人員が割り当てられない。
(2)通信販売及びインターネット販売の目標は、全売上高の1割程度に過ぎないため、その優先順位は低い。
と主張したことから対立は激化し、膠着状況となってしまいました。

こうして時間ばかり経過し、営業・マーケティング部門では、外部の情報システム部が取引している以外の、新たなシステム業者との間で協力を取り付け、独自で要求定義から始めることになりました。

その結果、開発やテストなどで頓挫し、協力会社のサポートを通じて稼動後はおおむね順調には動いたものの、期間が遅れて費用も余計にかかってしまいました。営業部門では情報システム部の応援を要請したものの、営業時間延長に伴うPOSシステム及び日次バッチシステムの改修で、十分対応できない結果となってしまいました。

最終的には、より迅速に対応した同業他社に肩を並べられ、乗り遅れはしなかったものの十分な差別化には及ばず、売上の下げ止まり程度の効果に留まりました。

以前は(といっても数年から10年位前になると思いますが)OA(オフィスオートメーション)という言葉が大勢を占めていました。OAとITではどのように意味が異なるのでしょうか?


回答


OA(オフィスオ-トメーション)化とは、一般的にホワイトカラーの部門において、パソコンやFAX・多機能電話などの電子機器を用いた、事務効率化や生産性向上を目指すための取組みを指すものです。
最近良く使われているIT(インフォメーションテクノロジー)化とは、情報技術やインターネット・関連機器などを駆使し、従来OAの範囲である事務部門のみでなく、経営や生産・物流部門など、企業経営全般を、情報技術を用いて効率化していく取り組みのことを指します。

そのためIT化のほうが範囲が広く、OAとITでは
(1)OAは事務作業の効率化・省力化という具体的なイメージ
(2)IT化はそれ自体が目的ではなく、情報技術という方法論

を指します。

90年代以降IT化は、通信技術の発達・ブロードバンドの大量普及・パソコンなど情報関連機器の機能向上などを背景に急速に発展し、企業活動にも大きな影響をもたらしてきました。インターネットに代表される情報ネットワークの発展は、オンライン上での受発注・情報収集のみならず、情報提供や新たな販売チャネルになるといった、新たな手段を生み出しています。

情報技術は、今までのOA化の流れのような、ただ単に事務処理の合理化・省力化を目的とするものから、企業の経営全般の革新につながる道具として大きな可能性を持つものへ、変化・発展しつつありますので、常に新たな認識を持っていく必要があると考えます。

住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)が稼動してから、約1ヶ月になります。当初色々とトラブルがあったようですが、最近ではどうでしょうか?また住民基本台帳のネットワーク化は、セキュリティの面で不安があるのですが、実際にはどうなのでしょうか?


回答


最近は、大きなトラブルは聞いておりませんが、比較的平穏にいっているようです。
住基ネット稼動後に、一部の自治体では役所からの郵便物が透けていた、という問題点もありましたが、郵便で送られてきますので、いくら透けるとはいっても、原則的には信書の秘密を漏らした場合には、法律で処罰されることになっています。

2-3年前から電子政府化を推進し、申請業務は大幅に電子化される計画になっているようです。こうしたネットワーク化は、地方自治体の住民に関する業務が大幅に効率化され、利用者である市民にとっても大きなメリットとなる改善であり、電子政府の実現を目指す第一歩となる改革と言えますので、より肯定的にとらえても
良いと思います。

現に、およそ5年前から稼働している基礎年金番号システムは、基本的には住基ネットと同様のシステムを用い、大きな成功を収めていると言えます。基本的に住基ネットでは、現時点では氏名・年齢・住所・性別の4情報しか入っておりません。それに対して基礎年金番号システムでは、収入や勤務先・配偶者・扶養家族・銀行口座まで含まれており、はるかにプライバシーに関する内容が多いと言えます。しかしながら、大きな個人情報の漏洩などの事件は未だに起きておりませんし、年金業務の効率化に大きく貢献していると言えます。また労災保険や雇用保険の給付システムなども同様です。こうした事実を無視し、住基ネットのみをやり玉にあげることはどうでしょうか?

100%安全とは限りませんが、規模は異なりますが他省庁での前例もありますので、セキュリティには相当の配慮をしているものと考えられます。ただ内容的に、総務省があまり具体的にアピールできるものではないと思いますので、もう少し様子を見ていたほうが良いかもしれません。

マスコミでは住基ネットの稼動を、「個人情報保護法案の成立がセットでないと、稼動することはおかしい。」「牛は10桁、人間は11桁」などという形でプライバシーを侵害する形で報じてきました。政治的な見地にならないように申しますと、たしかにこうした危険性はないとは言い切れませんが、いささか感情論に走りがちな点もないわけではありません。

7月末までの通常国会で不成立となっている個人情報保護法が成立しない限り、稼働は延期すべきだという意見もありますが、色々な法規を見ますと、個人情報保護法と住基ネットは必ずしもセットではなく、基本的に同法は民間の個人情報の扱いを規制するものといえます。(たとえばネット上のアンケート・個人データの流出など)そのため、住基ネットで公的機関が扱う情報とは必ずしも本質的には関係がないものと思えます。

また、住基ネット法では住基ネットで扱う情報の民間での使用が禁止されています。さらに元々紙媒体で管理している段階の、住民基本台帳法でも、情報を漏洩した場合には、法律で処罰されます。また仮に、公務員が業者などに横流しして漏らした場合にも、公務員法で処罰されます。

法律の運用・適用などの面で、不十分な点も出てくるとは思いますが、ことの本質を見て、今後の国際競争力の強化と、そのために諸外国と比較して高額となりつつある行政コストを低下するためのこうした試みを、もっと長い観点で見ていく必要があると考えております。

社内・社外からのスカウト人事を問わず、情報システムの責任者を選ぶ場合には、次の2つのパターンがありました。いずれか1人としてどちらが良いでしょうか?

(1)元々情報システム畑ではないものの、業務に関しては強い。元々生産管理など、現場や工場の業務に強く、新しい技術よりも、実績を積んで確実な技術を通じてシステム化を行い、部下の育成に熱心なタイプ。
(2)外部の情報システム会社出身のシステムエンジニア。プロジェクトマネジメントなども出来るが、基本的には技術的な色合いが強く、新しい技術に関して関心が高い。ただあまりしゃべるタイプではなく、対人とのコミュニケーションは得意ではない。部下の育成や企業における情報システムの役割への関心が薄い。


回答


圧倒的に(1)のタイプが望ましいと考えます。特殊な技術開発など専門性が重視される場合には(2)のほうが望ましいと思いますが、ビジネス活動を行い、情報システムの費用対効果なども観点に入れる必要がありますので、こうしたビジネスマインドに強いことは重要なポイントと思います。

システム部門は、事業を円滑に展開できる情報システムを安定的に提供することが最大の使命ですので、責任者を単純に「コンピュータに詳しい」と選んでいると、業務面及び他部門との調整などにおいて支障が出るおそれがあることを認識すべきです。少なくとも現在では情報システムなしに会社が動くことは考えられませんので、慎重な人選を行っていく必要があるでしょう。
より具体例があるとわかりやすいですので、詳細を以下に記入します。




☆具体例

電子機器メーカーのある会社では、元々は大手電気メー力ーの下請けでしたが、自主独立を掲げ新分野の技術開発に乗り出した所、メモリーや液晶関連の部品が注目を集め、生産が受注に追いつかないほど成長しました。またIT関連の需要や携帯電話の普及により急成長致しましたが、組織の整備や人材育成が追いつかず、全社レベルでの事業立案や業務管理に支障をきたすようになりました。

具体的な例では、受注が多いものの販売予測が大まかなことからキャンセルも多く、不良在庫が利益を圧迫していることもあり、販売予測をより的確にし、適正な在庫管理を行うよう、新たなシステム化が必要になってきました。

情報システム部は10名程度でシステムの維持・管理を中心にこなしてきたましたが、急成長に追随できず開発や改修を外部に委託しても、多くの案件を積み残している状況でした。情報システム部長は取引先のソフト開発会社の紹介で、中途採用で入社している方ですが、技術には詳しいものの、対人関係のコミュニケーションが苦手というタイプでした。また情報システム部長は短期間でよく変わり、5年間で3人目でもありました。

こうした状況で、社長直属の新規情報システムのプロジェクトが走り出しましたが、リーダーには情報システム部長が就き、営業・企画・管理・物流の課長クラス、さらにはシステム部から2名の主任・ソフト開発会社のSEも加わりました。

プロジェクトチームのメンバーが決定してから、営業や管理部門から現状の課題をヒアリングし、目標・システム仕様を明確にする作業が始まりましたが、検討は予定通りに進まず、段々遅延していきました。

プロジェクトメンバーは各部門の代表者として参加していることから、課題を把握して改善する方向性や目標など、集約していくことが必要となりますが、情報システム部長自身、中途採用組のためか技術面では強くても、社内の業務・ワークフローに関しては不得手であり、具体的な課題の把握や、システム導入後の目的・効果など十分に検討できず、度々発言が変わったりしました。

何とか仕様を取りまとめ、システム部とソフト会社で開発が始まりましたが、情報システム部長の方針として、以下の3点を社内外に示しました。
(1)最新技術・ツールを導入する。
(2)極力パッケージソフトを導入する。
(3)短期間の開発に伴い、開発は外注先が行い自社では進捗管理を中心とする。

その結果、プロジェクトチームの意思疎通がうまくいかなかっか結果、仕様の決定・業務フローの取り決めが不十分となってしまったのみならず、技術的な嗜好が強かったことから、作業は非常に難航し、(1)協力企業の要員が大勢を占めていたため開発がはかどらず、生産性が悪化した。(2)パッケージは機能が足りない上に、初期バージョンのためにバグが多く、使い物にならなかった。 ことから、費用・期間ともに大幅に超過する結果となってしまいました。




★ポイント及び検証

まず、はじめの要求定義のところですが、なかなか仕様が決まらなかったという大きな原因は、まず第一に情報システム部及びリーダーの情報システム部長が、仕様を取りまとめて行けるだけの、業務に関する知識・情報が乏しかったということが挙げられると思います。

中途採用で、しばしば担当者が変わるということでは、今までの開発や運用などの技術や知識などの継承が不十分になりがちです。やむを得ない事情があったにせよ、社内の業務の進め方や、業界独特の仕組みなどにも目を向けていく必要があると思います。

第二には、多少関係することとは思いますが、プロジェクトチームにおいて情報システム部長と各部門の責任者・担当者との調整や業務に関する打ち合わせよりも、情報システム部門や協力会社との間による、システム化の構成のほうに力点を置いてしまいがちなことも、失敗しやすい要因となり得ます。
どうしてもシステム部門では、ビジネス上の話よりも技術面のほうが中心となりがちですが、技術面中心では本来の目的や仕様などの面がどうしてもおろそかになりやすい傾向にありますので、留意していく必要があると考えます。

第三には、ころころ発言が変わることから、各部門との信頼関係を築く面においてはマイナスだったかもしれません。今後の業務に関する話し合いを行うときには、まずスムースな意思疎通を図ることを重視し、信頼関係を作り上げていくことも重要なポイントになるかと思います。往々にして情報システムに携わる方々は、技術
には強いものの、対人関係などを苦手にしているケースも少なくありませんので、周囲も注意が必要です。

また、最もポイントになりますのは、開発時における3つの方針です。最新技術及びパッケージの導入は一見聞こえが良いのですが、製造元のトラブル対処などのサポートや実績が乏しいことから品質・ハードウエアとの相性などに不安定要因を抱えることになりがちです。
極力実績のある製品を中心に検討し、最新技術の場合には開発期間の遅延や予期せぬ費用などが生じるリスクがありますので、費用・期間に余裕を見ると良いでしょう。また開発も、技術の継承・運用管理の面・人件費の面からもすべて外注にするのでなく、一部は自社においても行うほうが望ましいと思います。

製造業の者です。当社では昨今、生産管理システムの再構築を実施し、パッケージを導入し一部経理業務をカスタマイズをしました。
しかし、導入後にはトラブルが次々と発生し、マスター登録でデータが入力できない・社内研修・教育が不十分でシステムそのものが動かせないのみならず、勝手に新しいロット番号を入力したり、出荷する前の製品を倉庫から持ち出すといった、新たな二次災害が発生して、結局は合理化どころか前よりコストがかかってしまいました。
今後見直し・修正を行う場合に、気をつけるべきポイントは何でしょうか?


回答


より具体例があるとわかりやすいですので、詳細を以下に記入します。

☆具体例

製造業のメーカーで、生産管理システムの再構築を計画しました。そのためにプロジェクトチームが発足し、社長も熱心に問題を把握して、その中から特に原価管理を徹底するよう指示があり、現場も真剣さを持つようになりました。新システムの検討に際し、第一に現状の課題を抽出することから始め、次いで現状では盛り込まれていない現場の要望・経営陣の要請などをヒアリングしました。

計画概要に際し、経営陣の承認を得てから、新たな業務フローを策定し、パッケージソフトを通じた開発では、経理部分のみシステム業者に開発を依頼することになりました。

ところが運用開始後、トラブルが次々と発生し、マスター登録でデータが入力できない・フォーマットを統一せずマスターの整合性がとれない・運用に関する社内の研修・教育が不十分でシステムそのものを動かせない事態が起こるようになりました。

現場は混乱して新たな二次災害が起こり、勝手に新しいロット番号を入力したり、出荷する前に製品を倉庫から持ち出すことから、新たなトラブルとなりました。
さらにパッケージの性格上、弱いと見られていたわれていた経理業務は、データの受け渡しがうまくできないことから、経理部員がいちいち手入力で打ち直して整合性をとる状況に陥り、さらに改善すべき項目についても、例外処理が増えて入力する手間がかえって増える事態になりました。

導入後1年で、現場の作業負荷を調査した結果、残業代が新規システムを導入してから1億円近く余分にかかっていることが判明し、再度の見直しが必要となってしまいました。



★ポイント及び検証

こうした事態に至った直接的なポイントは、以下の内容が挙げられます。

1 新システム導入後の業務フローが、十分に検証されていなかったため。
2 現場に対して研修・周知徹底が不足していたため。
3 現場の要望・経営陣の要請・社長の指示といった社内の声に押されて、「何を残し何を変える」といった具体的な方向性が見えにくくなったため。

こうした問題が生じる最たる原因は、初めの基本計画で決めた業務フローが、結果として徹底されなかったため、システムと実際の業務が一致していないことによるものが大きいと考えます。また多くの失敗例の中で、もっとも典型的なパターンであると思います。

システム構築の中で最も大切な工程は、基本計画の策定と言えます。ポイントは実際の業務において、仕様を変えても良い点と、絶対の残すべき内容とを取捨選択していくことが、成功と失敗が分かれる大きなポイントと把握するべきです。

こうした失敗例では、初めの段階で決定した基本的な仕様が、最後まで全うされなかったことが大きいものと思います。基本方針が全うされなかった事例の多くは、当初目指した方向性が、現場の意向を受けて揺らいでしまったことにあることが多いようです。その根元にあるものは、現場の関係者だけでシステムを企画する場合に起こりがちな点であることを、事前に念頭に置いていたほうが良いかもしれません。

どんなに客観的に見ていた場合でも、社内で現場の苦労や課題を知っている場合、社内での急激な変更を伴う決断は極めて難しくなりますので、外部の人間などの意見も取り入れると良いでしょう。社内におけるプロジェクト・チームの場合、現場の代表が参加しているため、検討している内容が全社・業界の常識だと錯覚する場合があります。

また現場の社員への教育研修では、事前に教育計画を立て、意識的に慣熟していくように努めることがポイントとなります。ある意味では意識改革と共通しますので、同じことをやっていては駄目だという危機感や、導入したらプラスがあるというメリット・期待を作り出していくことも肝要です。

時折問題になりますが、コンピュータのシステム障害やホームページのアンケートの情報の漏洩などの事件が相次ぎ、一時大騒ぎとなります。非常に不安も感じましたが、原因は何だったのでしょうか?


回答


元々からシステム障害や、webサイトの情報の漏洩などの事件が起こりやすい土壌にあったことは事実です。
先週の流れを追ってみると、
(1)「TBC」の個人データ 3万人分が流出(2002年5月26日)
(2)全日空 システム障害 国内線に混乱(2002年5月27日)
(3)IYバンク 口座維持手数料を二重引落し(2002年5月中旬)
(4)信用金庫 ATMで大手銀行など他の業態でのキャッシュカードが使えず (2002年5月29日)

となっています。エステのTBCの個人情報漏洩の際には、スリーサイズの一覧までがずらっと並んでいましたが、状況について考察いたしますと、ホームページでアンケートなどを回答した場合、CGI(簡単には、サーバー側を動かすプログラムのこと)でメールを送付するだけではなく、入力した個人情報を後にデータベース・EXCELなどでまとめたい場合、CSV形式(カンマ区切りのテキスト形式)ファイルにデータを吸い上げる処理をしている場合が多いようです。

本来はディレクトリの位置や、パーミッションなどをきちんと管理すべきものなのですが、ホームページが入っているディレクトリにそのままあったため、簡単に見られたものと考えられます。これは日常的な管理運用の問題です。

予防策は、他にこうした事例も出てくる可能性があるため難しいですが、個人情報を入力するアンケートなどは、かりにホームページ上のセキュリティが万全であっても、内部の人間が「副業」で売ってしまうという話もありますので、常に何らかの形で漏れる可能性があることを認識する必要があると考えます。

こうしたシステム障害がみずほの問題の他にも多い背景につきましては、以下の内容が考えられます。
(1)サービス自体が多様化し、情報システム全体がハード・ソフトを問わず、多様なものに発展している。
(2)厳しい経済状況が関係し、予算が取りにくくなっている。
(3)ライバル会社との競合があるので、導入までの期間を短くする必要がある。
(4)開発・テストの時間が短くなり、見切り発車のまま本稼動を余儀なくされる。
(5)テストで漏れた所などで、トラブルが発生する。

という流れになっております。
そのため企業の側も、昔の電子計算機の時代のような「一切ノートラブルを前提に行動する」ことよりも、「サービスの多様化によって、100%のクオリティを保つことが難しくなった。そのためにトラブルが起きた場合、どのようにリカバーしていくか」ということを、本格的に検討し始める時期に来ているものと思われます。

本来、企業・利用する顧客の側にも、「こうした不具合が起こるはずが無い」という性善説が常識となっていますが、今後は色々な可能性・リスクを見ておく時代になってきたのかも知れません。
対策としましては、
(1)何かシステム上の不具合があった場合、すぐに当該の企業に連絡する。
(2)明細書・領収書などの紙はきちんと保管し、何か問題があった場合には証拠になるようにする。
などの自衛手段も考えていく必要があると思います。

一連のATMの不具合などの事件があった後、金融庁や東京都による立入検査があったようですが、新たな事実は出てきたのでしょうか?


回答


みずほ銀行のシステム障害の真相ですが、一連の金融庁や東京都による検査の内容は、おおむね前から言われていたことの延長線でした。しかし明らかになってきました内容は、当初新聞に出ておりました、各行を連携するリレーコンピュータの不具合が原因と言われておりましたが、そうではなかったとのことです。

(1)ATMが正常に作動しなかった真相は、旧第一勧業銀行の対外接続系システムのプログラム修正に誤りがあり、リレーコンピュータとのやり取りの間に支障をきたしました。
より具体的には、「リレーコンピュータで保管するオンラインの電文の領域以上に電文が溜まる条件」と「異なる種類の電文を一定の組み合わせで処理する」場合に限り生じていたとのことで、事前のテストでは発見できない内容のものでした。

(2)口座振替が遅延した障害は、振替処理のために新規導入したプログラムの不具合によるものとのことです。開発及びテストが統合間際だったため、改修は3月末に間に合ったものの、バグが相当残っていたため処理が滞ってしまったのが真相になります。

大きな障害は
(1)ATMが作動しない プログラム不具合
(2)引き落しが遅延する プログラム不具合
(3)二重引き落しが生じた。 オペレータ作業ミス

の3点になります。いずれにしても、(1)早めの段階で開発・テストを済ませ、少なくとも統合の半年から1年前の段階で実データ使ったテストを入念に行い、不具合をつぶしておく。(2)混乱して作業ミスが起きないよう、事前から慣熟しておく、といった配慮が必要だったことは言うまでもありません。

そもそもなぜ、みずほ3行の統合作業が遅れたのでしょうか?またこうしたごたごた劇の背景にあるものは何でしょうか?


回答


みずほ銀行の統合が決まったのは、1999年8月頃だったと思います。それから情報システム担当役員(CIO)・社内の情報システム部・システム関連子会社・コンピュータメーカーに懸案事項が下りてきたようですが、結論が出ることが遅れ、具体的な現場の作業に入ったのが、2001年になってからと言われ、準備不足になってしまったためです。

システム統合の協議が遅れた背景としましては、それぞれの思惑が当然働きます。あくまで推測ですが、

(1)情報システムは業務の流れと密接に関わり、統合後の業務の負担が減る・楽になる、極力自行のシステムを使いたい。(現場担当者の利害)
(2)統合によりスタッフ部門も当然整理が予想されるので、自分の所が採用されれば、将来の心配も無いし技術的に新たに覚えることも少ない。また下手に大局を考えて、他に譲るようなことを発言すると、上司や人事の報復が恐い。(情報システム担当者の利害)
(3)システム部長・情報システム担当役員は3人は有り得ないので、自分のポストを押さえておきたい。また次を狙っているので他に越されるのは困る。(情報システム部門トップの利害)
(4)主導権が取れるというのであれば、情報システム統合の案件も政治的に利用できる。(役員・経営企画部門などの利害)
(5)銀行の汎用機システムは自社のドル箱なので、絶対死守して需要を押さえておきたい。(コンピュータメーカーの利害)
(6)親会社から仕事をもらっているので、子会社同士下手に合併されると、将来が不安だ(情報システム子会社の利害)

結果からすると、こうした思惑を抑えられるに足る、統合後の新たな方向性・ビジョンといったものが、現場から見て見えづらかったのではないかとの観を強くしております。
(例えば「経営基盤を強化する」「名実ともに世界一になる」など)

そのため、
(1)現場では、仕事のやり方が変わることに抵抗を持ち、
(2)自分の所属する部門の整理を防ぐための対策を打ち、
(3)ポストの確保に努め、
(4)政治的に利用できるものは何でも利用し、
(5)顧客の需要を確保するため、自社シンパを増やすべくロビー活動を展開し、
(6)子会社の存続のためにも極力先延ばしにする。

という、まさに90年代から現在まで至る、組織及び社会の色々な縮図が現れるような行動が生まれたものと考えられます。

恐らくコストの関連から、1年後には旧第一勧業銀行(富士通)の汎用機に統一されるとのことですが、極めて巨大な大型汎用機・UNIXのシステムですので、ハードのリースから保守運用のコストが大きな負担となっていたことは3行とも明確です。特に旧富士銀行はIBMを使い、相当に費用が掛かっていましたので、自行の優秀性を強くアピールしていたとの話を聞きますが、厳しい事情を念頭に置くべきものと考えます。

旧興銀は業務の性格が異なり、かつ企業の直接金融の増加に伴い、長期信用銀行の社会的役割が低まっている関係上、統合に際しては比較的抵抗が少なかったものと聞いております。問題は都市銀行2つ(旧第一勧業銀行と旧富士銀行)です。統合発表当初は資産内容及び不良債権から、第一勧銀側が富士を救済する色合いが強かったですが、旧日本勧業銀行で流通業の顧客が多いため、景気悪化に伴って力関係が変化しました。マイカルの破綻・整理の時には、旧富士銀行が政治力を使って巻き返しを図り、旧富士銀行サイドで旧第一勧銀に不利になる情報をマスコミなどにリークするなどしていたようですが、現在の日本経済の現状を考えますと、小異を捨てスムースな統合を希望するものであります。

合併当初のみずほ銀行は、預金の2重引き落としや、引き落とし日が遅れました。
(1)どうしてこのような事態になったのでしょうか?(2)また具体的にはどういうことになっているのでしょうか?


回答


既にマスコミなどで、多くの報道がなされていますので、重複は避けて簡単に要点だけを申し上げますと、3行の統合作業が遅れて情報システムのテストが十分に出来ずに、見切り発車となってしまったことが挙げられます。
汎用機の構成も、UFJ銀行のように特定メーカーで統一(同行の場合は日立)したほうが障害が少なくなりますが、結局どこの銀行のシステムにするかを決定することが各銀行の主導権争いによりまとまらず、直後から1年間は3行の情報システムをリレーコンピュータ(中継コンピュータ)でデータを連携することになりました。1年後には旧第一勧業銀行(富士通)の汎用機に統一されるようですが、それまで種々の不安材料がつきまとうことは事実です。

みずほ側では、前年からシステムテストを行い、テスト時には特に問題が出ていなかったと発表していますが、システム構成の巨大さ・マシンへの負荷を考えると、テストケースやテストデータが足りなかったものと推測されます。結局のところは直前時点で検証が十分ではなく、見切り発車にならざるを得なくなりました。
トラブルの事例から原因を推測致しますと、

1 二重引き落しの場合
既に1度自動引落処理を完了した磁気テープのデータを、再びシステムに入力してしまい、起こってしまったもので、単純に運用担当者の作業ミスのため、2次災害の要素が強い。

2 引き落しの遅延
各行を結び付けるリレーコンピュータの負荷が高まり、処理が遅延している。もしくはプログラム上の不具合によりデータがオーバーフローを起こし、機械では処理出来ずに、手作業で行っている。しかもその手作業でも、慣れない作業のため、作業ミスといった二次トラブルも生じている。

ということが実状ではないかと思いますが、原因は色々な要素があります。本来、テストのみでは分からない場合が多いため、ATMを完全に止められる年末年始・ゴールデンウイークなどを利用して動作を検証し、万全を期してから統合するのですが、経済情勢の厳しさ・不良債権問題・ペイオフなどの関係から見切り発車とならざるを得なくなりました。

10名に満たない中小企業の取締役をしております。諸般の事情により、総務経理を担当している社員と、情報システムを担当している社員が退職してしまい、業務に支障をきたして困っております。お恥ずかしい限りで恐縮ですが、正直なところ社内で色々と課題がありますので、定着率があまり良くないのが実情です。どこから手をつければよろしいでしょうか?


回答


こうした属人的な要素を極力防ぐためには、情報化の推進は有効な1つの解決策であります。中小企業のIT化の失敗する原因の1つとして、ワークフローが見直されていない、業務の標準化がなされていないケースが多いことが挙げられます。

どのような会社にも、過去から積み上げた仕事のやり方を持っており、それが競争力の源となっている面がありますが、特定社員の属性が深すぎる場合、該当する担当者がいない場合にどうしようもない状態になってしまう事態が起こってしまうことがあります。また情報化を進めても、属人的な要素が強すぎると活用されないで野ざらしになってしまう可能性が高くなります。

こうした事態を防ぐためには、基本的な情報システム、なかんづく会計・給与・人事・販売システムについては、ある程度の業務の標準化及び、ワークフローを確立していく必要があると考えます。
その方法として他企業などにおいて、業界をリードしている企業業務を研究し、良い点については取り入れる「ベンチマーキング」手法などが有効です。

中小企業の経営者をしております。情報化の推進をしたいと思うのですが、社員のレベルなどに不安を覚え、誰でも使えるようなオーダーメイドのシステムにしたい旨、話を致しました。しかし、開発費用及び期間を聞いてみると、コストも時間もあまりにかかるので、頭を抱えている状況にあります。どうしたらよいでしょうか?


回答


情報化の推進の際に、多くの中小企業では事務処理系のシステム構築となりますが、ワークフローの見直しに際しては着手しない・出来ない場合、多くの場合はパッケージソフトのカスタマイズ・ないしはオーダーメイドで作成する運びとなるものと思われます。

オーダーメイドにする根拠については、「自社のやり方がベストである」との見解ですが、ワークフローの見直し・洗い出しを先送りにして、こだわりすぎると、情報化をしても効果が生まれない、効果があっても費用が高くつくため、効率が悪くなる可能性が高くなりますので、注意が必要です。

ITを万能のツールではなく、組織やワークフローの問題点と合わせて検討し、スタッフのスキルアップや創意工夫を促すインフラを用意していくことを留意していく必要があると考えます。

現在のシステムが古くなりつつありますので、移行・更改を考えております。最近技術革新が早く、新しい用語が聞かれておりますので、そうした内容に関心がありますが、よく開発がストップしてしまった、効果が出なかったという話はよく聞きますので、注意すべき点は何でしょうか?


回答


新しい技術・トレンドばかり追求することは、担当者にとってはあこがれや関心が強く、何かと進められがちになりますが、幾つかの点で注意する必要があります。

(1)開発や運用の問題点について
新しい技術・トレンドにこだわりますと、開発会社のほうも経験が少ない、もしくは始めてである、というケースが多いですので、開発会社が途中で開発が頓挫してしまう・バグや不具合などでスケジュールが大幅に遅れてしまう、費用が高くつく・メンバーが不慣れゆえの問題が起こる・運用に手間がかかるなどの問題が起こりますので、そうした不測要因が必然的に高くなることを織り込んで、プロジェクトを進めて行く必要があります。全てを新規技術など、トレンドを追いかけるのではなく、安定した技術を用いることも重視する必要があります。

(2)単に用語のみが変わっていることについて
最近では、SCM(サプライチェーン・マネジメント)・CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)などの新しい用語が出てきておりますが、こうしたトレンドも本質を見極める必要があると考えます。単純にこうしたソフトウエア・パッケージを導入さえすれば良い、というのでは、十分活用されずに無駄になってしまう確率が極めて高くなりますので、注意することが必要です。以前にもMIS(経営情報システム)・SIS(戦略情報システム)など用語だけが先行して、本質がさほど変わらない、というケースが多いのですので、よく検討することが必要です。

(3)費用対効果について
新しいトレンドを中心にしますと、業者から来る見積・費用も大幅に高くなる可能性が強くなります。顧客の中には、高いほうが安心する、やっている気になる、という傾向がありますが、もたらされる効果と現状の課題を把握して、検討を進めて行く必要があると考えます。

現在社内ではソフトウエアを導入しようとしていますが、画面や操作性などの議論が起こっており、時間を考えますとそろそろまとめる必要が出てきました。これについてはどのようにすればよろしいでしょうか?


回答


ソフトウェアの導入に際し、社員全員が満足のいく操作性を要求する企業が多い傾向があります。心情的には理解できますが、操作性の差異については個人差が大きくあり、誰にも満足の行くものは極めて難しいものと考えます。
パッケージソフトの導入比較に際し、操作性の比較に時間と手間がかかりますが、費用対効果を考えますと、一定の制限が常にありますので、必要以上に品質を追い求めすぎると、その機会費用や改修した場合のコストが発生しますので、そういった角度での「見切り」が必要と考えます。

現在、社内で総務/経理のマネージャーをしております。社内で既存のシステムの運用を強化したいのですが、その運用担当/責任者を選出する基準について教えてください。


回答


企業とITサービス会社がミスマッチのつきあいをしている例は、2つの種類に区別されます。

(1)単純に価格だけで業者を選定しているケース
什器や備品の選定のように単純に安いほうを選択した結果、選定そのものにミスマッチを生じているケースがあります。コストの切り詰めは当然ですが、情報化投資に対しては経営に直結する部分のため、コストのみではなく、効果・内容・機密保持などの観点からあわせて検討し、業者を選定する必要があります。

コストの安価な企業の中には、システムの仕様書や設計書を残しておらず、後に担当者が変わった場合、改修・更改がわからなくなってしまうことが多々ありますので、注意する必要があります。

(2)システム業者の得意分野が異なる場合
ミスマッチのもう1つの例では、得意分野の違う会社に依頼していることもあります。情報システムの構築は、おおまかに制御系、技術系、事務系に分類されますが、最近ではインターネット技術を利用したシステム構築もあり、きわめて多岐に及ぶため、得意分野の合致するITサービス会社に依頼しないと、失敗するケースもありますので、注意が必要です。

経理課長をしております。部下が情報化に対する稟議を持って来ましたが、見積先が1社しかありません。他に取るように話しましたところ、「そこしか付き合いが無い」と言われました。それではいけないと思うのですが、どのように思われるでしょうか?


回答


どのような会社におきましても、何らかの形でIT関運企業とのつきあいがありますが、大抵の場合1社しかないことが問題となることが多くあります。さらに一担当者と、取引企業が密接につながっている場合は、馴れ合いが生じて比較できないために、さらに問題があります。
仮にIT関連企業が良心的でも、内容及び価格の適正さを見極めることが難しくなります。


こうした事態を防ぐためにも、仮に特定の業者に発注するにせよ、少なくとも3社程度から合見積を取り、費用及び内容を吟味すべきものと考えます。これだけでも費用を1~2割低下させる可能性が強くなります。サーバー・パソコンなどのハードウエアの価格はあまり変わりませんが、サービスに関する価格は大きく異なっている場合が多いですので、費用対効果を高める観点からもチェックする必要があると考えます。

社内に情報化の担当をきちんと置いて、全てを任せております。先日既存システムの改善点の調査・報告を求めたところ、特定の技術論に終始し、目的・効果が不明確なため、やり直しを指示しましたが、今後注意すべき点はありますでしょうか?


回答


社内に情報化に対する担当者がいる場合、何も問題がないと思われるでしょうが、実際には失敗してしまうケースも少なくないのが現状です。理由は2点あります。

(1)技術革新などで知識・判断することが困難なこと
昨今のように技術革新が激しい状況の場合、情報化投資を広い視野から適切に行うことが難しくなってきているためです。自社の担当者に任せきってしまうと、経営上最適な案を企画立案し、実践することが難しくなってしまうことが挙げられます。取引先の担当者・専門のスタッフなど、外部の経営資源を活用することが望ましいと考えます。

(2)経営的な観点から、情報化を判断するのが難しいこと
現在では競争優位を強化するため、経営戦略と情報化戦略は表裏一体である必要があります。中小企業の情報化担当者に要求されることは、単にITに詳しいだけではなく、経営的な視点で情報化を判断できることになります。
一般的に情報化の担当者は特定の知識・技術には詳しいものの、組織の課題や経営的な視点からは距離を置く傾向にありますので、各論の知識や技術論に終始し、情報化の方向はベクトルを見失い、迷宮にはまってしまう可能性が強くなる例が多発しております。
こうしたことにならないためには、

(1)経営陣のリーダーシップをある程度示し、技術的な面は担当者に任せても方向性のみははっきりさせること。

(2)担当者に業務に対して理解を深めるよう、事前よりつとめること。

が挙げられます。

社内のシステム管理担当者です。経営陣がコンピュータに対してアレルギーを強くもっており、情報化の提案をしても一向に取り下げられ、はかばかしくありません。良い方法はあるのでしょうか?


回答


コンピュータに対するアレルギーを持つ会社及び経営者が多いですが、種類が3つあります。

(1)単に「食わず嫌い」なケース
生理的にコンピュータが嫌い(特にキーボードが嫌)・疲れるなど、比較的年齢が高い方に多いパターンが挙げられます。こうしたアレルギーへの対処は、ゲームやインターネットなどを試しに使うように持っていき、アレルギーを無くすことが有効です。

(2)過去の経験を重視するケース
辛酸をくぐり抜けてきた経営者の中には、経験や動物的な直感を重んじ、コンピュータには人間味が無いため否定的というケースもあります。しかし便利なツールという一面がありますので、全く使わないとなるとその損失のほうが大きくなるという認識を持つ必要があります。
時代の変化を把握し、ITの活用など部下の提案などを却下せず受け入れ、生産性の向上と社員の意欲の向上に目を向ける必要があると考えます。


(3)情報化で過去に失敗をしたケース
過去に情報化を実施したものの、失敗したために結果としてコンピュータに抵抗を持つケースが、最も深刻な問題であります。オフコンを導入したにもかかわらず、使わなくなり倉庫に保管し、リース料金だけ払っている、システム構築を委託したが、完成品は仕様とはるかに異なり全く利用していないなど、情報化投資が十分に活用されずに陳腐化してしまった、というアレルギーが強く残っているケースです。
こうした場合失敗の原因を検証し、成功に導く方法を企画立案した上、実行段階を極めて綿密に進めていき失敗には終わらせない地道な努力が肝要となります。

経理でマネージャーをしています。現在経理システムを、移行したいと考えているのですが、年配のスタッフから「今までのやり方と違うものは、受け入れられない」と言われ、頓挫してしまいました。確かに長年、会社を支えてくれて有難いのですが、今後のライバルとの競合を考えると、社内の仕組みを色々と見直さざるを得ない状況にあります。どうしたら良いでしょうか?


回答


すでにOA化をある程度行っている中小企業の場合、そのシステムを運用または操作している人は、中高年の社員が多い実例があります。例えば55歳過ぎの男性社員・定年後も嘱託として業務を行っている男性や、中年の女子社員・パートなどです。

従来のオフコン・汎用機の基幹システムを、パッケージソフトやLAN対応ソフトに更改した場合、実際に業務を行うスタッフから、「長年やってきた自分のやり方」から少しでも変わることに対して、強力なアレルギーがあり、結果として、「いままでのやり方は変えないように」となるケースが時折あります。そのため上司としてはやむを得ず、「従来のやり方に合わせてくれ」というオーダ ーを依頼するため、費用及び納期までの期間が余計に費やされることになってしまいます。

ITの活用は、業務改善やワークフローの変化を伴うことが非常に多くなります。すなわち企業革新を促進するツールであるため、企業経営にプラスに作用します。そのため従来からのやり方に固執するのは、こうした効果を無に等しくしてしまうことを意味します。

対処法は、こうした現場を動かしている古株・古参の社員に対して無理強いすると、士気が低下したり退職されてしまうなど問題が起きてしまうため、

(1)生産性の向上や他社との競合など、経営上の課題を説明し、変化に対する理解を得るよう努める。
(2)それでも既存のままが良いという結論が出たら、業務の成果に対する責任意識を深めるよう、担当の社員がなすべきコミットメントを決めておく。
(3)理解が得られて新しいシステムに移行の際には、きちんとレクチャーする。
(4)最終的には処遇など人事に反映させる。などの処置が必要と考えます。

少なくとも情報化の推進を通じて、正しいワークフローを確立や業務改書につなげることに、IT化の意義がありますので、その点だけでも社員に理解を深めるよう、持っていく必要があると考えます。

中小企業のオーナーです。幸いにも情報化投資で効果は得ているのですが、業者から見積りの来る費用だけは、内容についてはわからないのですが、年々高額化しているように思えます。今まではそれで問題なかったのですが、今後キャッシュフローをふまえた経営を行う場合、見直したいと思いますが、どうしたら良いでしょうか。


回答


幸いにも、情報化を通じて効果を得ている企業もありますが、その投資効率に際してはもったいないという所も数多くあります。「情報システムも古くなり入替えを考えているが、その投資額は本当に凄い額だから」ということで、企業規模・売上から考えると過大投資をしてしまっているケースです。

IT化にかけるべき費用は、売上総利益の7%程度という指標がありますが、組織で動く大企業ではあてはまる面もあります。しかし同じように中小企業に当てはめるのは、さほど意味の無いことと言えます。しかしながら実際には、自覚の無いまま過大投資を行ってしまう企業が数多く存在することも事実です。

理由は2点あります。第一には、税法上において情報化機器の一括償却が認められている時期があったため、節税対策の一環で情報化投資を行ったケースがありますが、既に特別償却の時期は終わりましたので、数は減っております。

第ニには、システム業者の言うまま導入する運びとなったため、わからないまま「効果がありそう」「他も導入している」との理由で、費用対効果を検討せずに導入を先に決定してしまうことが多いことが挙げられます。特に近年ではコンピュータのダウンサイジングが進み、オフコンや汎用機からクライアントサーバーシステムに切り替えが進んでいるにもかかわらず、同じ機能を半額・ないしは1/3の費用で実現できることを気づかないため、無駄遣いとなってしまうことが多いです。

すなわち軽自動車で十分なところを、11トンの大型トラックで走らせるといったケースのため、よくわからないまま、提案されたものを言われるままに購入してしまうことは、技術動向や費用対効果きちんとチェックの上、判断する必要があると言えます。

こうしたご時世ですので、社内で情報化を進めようと思い、社員に1人1台パソコンを入れ、グループウエアなどを完備したにもかかわらず、十分効果をあげていません。なぜでしょうか?


回答

ある会社の社長が、こうしたことで自慢された事例があります。「社内に1人1台パソコンを入れ、グループウェアも入れた。IT化は完壁だ。」

売上げや社内の状況などと比べ、つり合いの取れない多額の投資をしてしまった場合、現実的には失敗するケースが多い傾向にあります。半年から1年経つと「せっかく投資したのに生産性が上がらない。パソコンが使われない。」と嘆くケースになります。

工場などの設備投資をする場合、普通は計画を策定し投資目的を明らかにして判断するのが普通ですが、こと情報化投資に関しては、特に検討されず、世の中のムードやトレンドで導入してしまうケースが多いです。

そのためには、
・情報化投資の目的は何か?
・ITを活用することによって、得られる効果は何か?
を検討し、社内において議論と理解を深め、情報化投資を行っていくのが望ましいと考えます。システム化自体を目的としてしまうのは、誤りであるといえます。

中小企業の経営者です。現在、担当者に情報化の推進を任せていますが、報告などを聞いてもあまり方向性が見えず、よく分りません。担当者は業務畑出身ですが、情報化には強くありませんので、時折消極的な発言が目につきます。


回答


仮に情報化が仮に担当者任せになっても、担当者の意欲・職能の高い場合は大きな問題にはならないのですが、以下のようにあまり意欲の無い場合には、以下のような消極的な発言をよく聞きます。

・時間がない
・覚える暇がない
・機械に弱く覚えられない
・運用管理のヒトを雇う余裕がない
・結局自分にのしかかってくる
・世間でITと言われているから、自社もやるということで、何も自社の考え方を持っていない。
・現場にコンピュータは馴染まない。現場は足でするものである。

したがって出来ない理由・難しい理由を並べ立て、課題への先送りや現状維持を良しとする動きが出来てしまうことが多々あります。

さらには、
・マイクロソフトのOSが嫌い。
・やはりMACが使いやすい。
などと単純に個人的な嗜好で決められるため、余計なコストや期間を浪費してしまうことが非常に多い状況にあります。

IT化に否定的なリーダーも存在しますが、競争力の強化・コスト削減などから、IT化を推進したいとする意向のほうが強いことは事実です。しかしながら、担当者の資質などで会社が損失を被る可能性が強いことを認識する必要があります。

こうした事態を防ぐため、中小企業のIT化は原則としてトップダウンで行い、社外の経営資源を併せて活用することが肝要となります。経営戦略の方針の下で、全体最適を実現するには、現場の視点では低すぎる・もしくは部門最適になってしまうリスクが大きいことを認識する必要があります。情報化投資の成功例は、大企業でもあまり高いものではありませんfが、中小企業の場合、その確率が大幅に低下してしまう例が多いですので、注意が必要です。

中小企業の経営者をしております。昨今セミナーや同業者の会合などでは、IT化について色々と話しがあり、自社においてもプラスになるのであればやってみようと思うのですが、よく分らないので、現場の総務に任せています。
ところが、担当者が前日持ってきた企画及び見積を見ると、コストが非常に高いのみならず現状の会社の課題から大きく離れていて、とても納得がいきません。全て丸投げしてしまうのが原因なのでしょうか?


回答

結論から申しますと、コンピュータに詳しくなる必要はありませんが、経営上の観点から目的とする経営戦略を立案し、それに合致した情報化を導き出すためには、上層部のリーダーシップが必要となります。

多くの中小企業では、「経営者や管理層ではわからない」ということで、現場の担当者任せになってしまい、ITサービス会社の営業との間でほとんど決められてしまいます。担当者の多くは総務ないしは経理部門で、承認するのは部長・起案するのは課長/主任が多い状況にあります。

そのため、ITに関しては担当者任せになってしまい、担当者の意図せずに結果として部門最適となって全社における最適条件にならず、IT活用が投資の割には成果が出ない、ということになる原因となります。中には担当者の個人的な嗜好で決められるなど、より効果を下げるケースすらあります。

IT化は会社全体の最適化・経営戦略との関連性が大きく問われるため、担当者の職掌のみでは不十分なことを認識するべきと考えます。昔のオフコン/汎用機の時代では、単純に人事/経理システムといった事務処理の延長線上による開発のため部門内で対処でき、こうした問題は起きませんでしたが、昨今のIT化は「ヒト・モノ・カネ」に次ぐ第四の経営資源「情報」になりつつあり、経営戦略とリンクした情報化を考える必要が出てきていますので、より高い立場から判断する必要が出てきました。

加えて技術的進化が早いことから、判断することがより困難になったため、現場レベルでは投資効果の判断は出来ないのが実情です。機会損失や投資の無駄を防止するためにも、費用及びサポートの観点も含めて、ある程度のリーダーシップを持つ必要があります。

前回の続きになりますが、地方都市のレンタルビデオの会社で、前に社長が相談したようですが、自分はその中の1つの店舗で店長をしております。
自分のほうから経営者に積極的に提案し、今後競合に負けないよう顧客管理システムの構築や、社内制度を整備・さらには業績給を中心としたシステムにできれば、と考えております。
ところが、各店長や経営者と交えた打合せを何度もしても、顧客管理システムの目的や仕様だけではなく、今後の課題や計画の策定などが全く決まりません。
このままでは徒労になってしまうことから、今後の対処方法について、何か提案を頂けませんでしょうか?


回答


まず2点ほど質問しますが、
(1)日常の報告・連絡などはどのように行い、また進捗状況などのミーティングは、どのようにしているのでしょうか?
(2)今後の諸課題に対する打合せは、どのような形で進めているでしょうか?

はい。まず(1)は、経営者に毎日電子メールで簡単な報告をしておりますが、日常のルーティンワークの報告が主体で、何か計画自体を立てて行動し、その進捗状況がどうか、ということはありません。
打合せについてはローテーションの関係で、本店で週に1度おおむね全員が集まりますので、その時に、1-2時間行われます。
(2)についても、上で述べましたように、全員が集まったときに、日常の報告・連絡と共に、時には打合せをすることがあります。
その時は、われわれ社員が今後の課題や対策について、色々と意見を出して、何か特定のテーマをまとめていく、といったものではなく、経営者が来て色々なテーマに対して独演会をして、そのまま終わり、といった感じです。
そのため、自分などがいくら経営者に説明して、了解を得ても、1週間経つとまた元の木阿弥になってしまうことも少なくありません。

★回答
大体は理解できましたが、そうしますと必然的に、
(1)日常業務に関する報告・連絡と、今後の計画や懸案事項がごっちゃになりやすい。
(2)内容よりも、ただ全員が集まることに意義を覚えてしまう。
(3)会議や打合せに関する、実際のコストを認識していない。
といった点でマイナスになるのでは、と思います。

正直言いまして、こうした打合せの方法をしていると、何かテーマを持って決めている、というわけではなく、「何となく仕事をした。」という気になってしまい、大変危険なことでもあります。ところが、こうした進め方をしている企業は、最近減ってはいるものの、まだまだ少なくありません。

こうした意思決定のプロセスを踏んでしまうと、単純に時間のムダや、各担当者の業務もありますことから、その機会損失だけではなく、以下のような様々な弊害が出てきますので、まずはその問題点を認識していくと良いでしょう。

※意思決定が出来ない・もしくは遅い企業に共通するパターン

(1)打合せの方向性が拡散し、結論が出ない
現在打合せの議題になっていることが、
○現在時点で解決すべき内容なのか。それとも将来的な問題なのか。といったこと。
○現場レベルで解決できることか、それとも経営者の専権事項なのか。

などといった形で、「どこで」「だれが」といったポイントを把握していないと、結論を出す方向性が拡散してしまい、話が収斂しにくくなってしまいます。

(2)同じことを何度も議論する
1度結論が出たことでも、関係者でメモや議事録を回覧していないことから、再び打合せの際に同じ議題で、再度同じ議論をして空転してしまうことや、何度話し合っても、見解や認識にズレがあった場合は、まとまりがつかなくなってしまいます。
また同じテーマの繰り返しですと、過去の経験や結果の検証などもあいまいになりやすいことから、十分に活かせずに、同じ失敗を繰り返したりします。

(3)内容以前に、一番口数の多いメンバーが、妙な仕事の充実感を得てしまう
経営者自身の独演会に近い打合せの場合、内容がある・なし、内容がない・外れているにもかかわらず、最も発言が多い参加者が、打合せの後には「今日も良い仕事をした。」と勘違いしてしまい、妙な充実感を得てしまう、といった誤った観念・習慣が身についてしまいます。


☆質問
こうした弊害は確かに、当社でも色々と出ておりますので、十分に理解できます。それでは、1つ1つ解決していきたいと思うのですが、具体的にどのようにしたら良いのでしょうか?


★回答
今後、新しいことを始めたり、1つ1つの課題を解決していくためには、以下に挙げる内容を1つ1つ行っていくと良いでしょう。

(1)参加する人員を必要最小限にする
人数を増やすと各個人・各部署の利害も関係することから、守りのためもあって、方向がより拡散しやすくなります。また独演会するタイプの経営者も、人数が少ないほうがテンションが下がりますので、必要最小限な範囲に留めておくと良いでしょう。

(2)テーマ・時間を決める
事前に、打合せを行うテーマをはっきりとしておくと良いでしょう。あいまいだと準備が不十分なことから、時間ばかりかかり、効率が低下します。また時間においても、小さな日常業務程度の内容は30分・経営に関することでも2時間、をめどに進めて、分けて開催するようにすると良いでしょう。

(3)事前に打合せのテーマに関する、書類などを用意しておく
打合せのはじめに、いちいち説明しては時間がかかりますので、事前に実施する内容に関する資料を作成・配布もしくは回覧しておき、ある程度の事前知識を確保した上で、質疑応答などから入れるようにしたほうが望ましいでしょう。

最近では景気の動向が厳しくなっていますが、ひところは好調と言われていた各企業の情報化投資にも影響が出ているのでしょうか?


回答


一時期は不況の中でも、情報化投資は将来的には必要だということで、比較的堅調に推移していましたが、最近では投じた費用に対する効果への見極めが厳しくなっている傾向にあるようです。

具体的に一言で言えば、価格意識が極めて高くなってきたことです。今まで情報化に関しては、利用している企業側にも不安があることから、価格よりもシステムインテグレータ側への信頼性や実績・さらにはトラブルへの対応の速さといった部分に関心が集まりました。しかし昨今では、ハードウエアの価格やサービス・保守料金を重視している傾向が格段に上がっているようです。

このように変わってきた原因は、経済環境が厳しいことも一因ですがそれ以上に、システム構築や運用に対して、ユーザー企業が求めている要求が高まり、「担当者の応対やSEの技術力・さらには利用している製品・サービスが、価格に見合う価値がない」と判断する企業が増えてきたことが挙げられます。逆に今までですとメーカーやシステムインテグレータの言いなりになっていたケースが多かったですので、そうした効果やサービス内容に見合った対応を望む流れになってきたことは、企業側がきちんと判断できるようになり、良い傾向ではないかと思います。

具体的には社内LANの構築やイントラネット・グループウエアや、ホームページの作成といった分野は、既に導入実績も数多くあり、比較的導入も容易かつ効果も見えやすいため、企業規模に関係なく積極的に推進しているものと言えるでしょう。特にLANやネットワーク関係はブロードバンド化に伴い、より費用対効果の高い内容にシフトしたり、事業所のレイアウト変更や引越しなどに伴い比較的堅調のようです。

逆に消極的な分野については、例えばCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客情報・購買履歴などの管理)やコールセンターなどのCTI、さらには営業力の強化を図るSFA(セールス・フォース・オートメーション)などは、現時点で関心があっても導入には様子を見ているようです。

理由としては、こうした情報化投資は、大企業でも導入に失敗したり苦労している事例が多く、概念だけで実績が少ないことから、即戦力として短期のうちに効果の出るものではないと判断して、見送るケースが多いようです。まさに景気の先行きへの不安感が大きく左右していると言えるでしょう。

現在のデフレ経済の中でも、企業が行う投資の中では、情報化投資は今まで唯一堅調とは言われてきましたが、最近はどうなのでしょうか?


回答

企業の設備投資については、多くの国内企業では国内に再投資せず、より人件費の安い海外に投資を行うか、もしくは様子を見るのが現状になっています。90年代からの情報通信分野の進化に伴い、IT投資は唯一好調と言われていましたが、最近では比較的厳しいのが現状です。

その原因は、主に以下の内容が挙げられます。
1)デフレ経済に伴い、せっかく投資しても経済のパイ全体が縮小している傾向にあるので、マクロ経済の面で投資のリターンの期待が得られないと判断しているため。(最近、景気先行きの不透明感から、こうした要因が増えているように見られます。)
2)(1)と共通していますが、ミクロ経済(企業内部)の面から、導入しても市場の変化が激しく、陳腐化してしまうのではないのか。または、使いこなせないのではないか)といった懸念から、「これだけ経済が厳しいのだから、様子を見よう」ということで、出足が鈍いことも考えられます。
3)アメリカ経済の先行き不透明感によって、日本国内でも影響を受けていること。
4)既にIT投資に積極的な企業にとっては、ひととおり新規の投資などが一巡したこと。
5)大手コンピュータメーカーにとってドル箱である、大規模なシステム投資(銀行・証券・保険業など金融業及び、航空業など)が、業界全体が不況になっている、もしくは業界の整理再編を行っていることから、情報化投資が鈍り、それが全体に影響している。
などが挙げられます。

こうした事態の打開には、補正予算などのマクロ経済面の対策が必要とは思いますが、実際に不良債権問題とデフレ対策について、その方針が決定されるまで時間がかかることが予想されますので、官や景気動向を頼りにするのではなく、新たに需要を喚起するための、色々な試みが大きなポイントになると見込まれます。

1)「個客」のニーズに合う商品・サービスの提供
2)業界全体の範となるようなサービス・商品の提供
3)インターネットを活用するにしても、顧客の滞留時間を長くするよう「コンテンツ(内容)」の拡充
4)経済的・社会的なリスクが強まっているため、そうした不安要因を軽減してくれる、「安心」の提供 など

などが、キーワードになってくると思われます。また需要の喚起と言いましても、安売りでは、価格競争に巻き込まれてしまう可能性が強くありますので、注意が必要です。

昨今ではデフレと言われています。金利が上がらない・給料が上がらない状況になっていますが、デフレになると具体的にどのような影響があるのでしょうか?またどうしてデフレが今までのような事態に至ったのでしょうか?


回答

デフレの場合、各経済主体(主に個人・企業・政府・海外への輸出入)の中では、物価が低下する・土地や株式などの資産内容が劣化していくため、次のような影響があります。

個人→住宅・株式など資産を持つ場合、大きいマイナスに。逆に預金など安全性の高い資産を持っている場合、物価水準全体が低下しているため、ゼロ金利でも実質的な価値は増加している。(イメージはつきづらいですが、5年前の1万円と現在の1万円では、日用品を買い物すると、今のほうがはるかにたくさん買えるのが現状になっています。)

企業→経済のパイ全体が小さくなっているので、売上の見込みが立てづらくなる。資産内容(土地・株式など)の劣化。銀行から融資を受けている場合、担保価値が減少しているので、担保の積増しか、金利の上乗せ(金融機関のリスクが高まってくるため)・もしくは貸しはがし・貸し渋りにつながり、本来優秀な企業でも信用収縮により倒産リスクが高くなる。
また従業員を雇用している場合、売上・利益が低下しても今までの雇用関係のため、急激な給与の引下げ・解雇はモラルの低下を招くため、雇用調整に時間をかけざるを得なくなり、本業のパフォーマンスが低下し、さらにデフレ圧力を招く。

政府→今まで整備した社会資本の資産価値が劣化する。企業収益の低下により、赤字法人が7割を超え税収不足となる。赤字分を補うため国債を発行し、さらに財政難となる。

海外→人件費の安い新興の工業国(東南アジア・中国など)にとっては、デフレ下においてもコスト的に優位のため、さらに輸出攻勢をかけ国内的にはデフレ圧力となる。

結局は、個人(現金資産を数多く持つ場合(一般的には高齢者層))・また終身雇用・年功賃金など日本的な雇用環境が未だに維持されている業種で、雇用調整の比較的緩やかな30-40代のサラリーマン・公務員など)海外部門が比較的デフレの影響が少ないと思われます。
逆に大きなマイナスになるのは、政府・個人(雇用情勢の厳しい20代・企業規模に関係なく企業経営者層)・企業部門全体においては大きな影響を受けているものと思われます。

デフレ経済の理由は、以下のようないくつか理由があると考えられます。
1)インフレと異なり物価上昇がなく、当初は国民にとって物価が下がり「好ましい」と歓迎されたこと。本来の原価・サービス以上に過度に物価が下がることが、企業の業績に影響を及ぼし、ひいては国民自身の職場での環境悪化・生活環境の悪化を招くことは、比較的最近になって認識されるようになりましたが、それまではそうした弊害を省みることは少ない状況にありました。

2)金融機関の不良債権問題。バブル期の不良債権の処理はおおむね処理されましたが、貸し出しを行っても、経済環境が厳しい中では金利以上に収益を産み出すことが難しく、貸し倒れてしまうこともあります。
また相手先企業が貸し倒れてしまった場合、既存の設備は二束三文にしかならず、こうした設備を購入した企業などが、安値で製品を作成し、新たなデフレ圧力を生んでしまう傾向も否定できません。
また企業側も期待される収益が見込めないことから、投資を行わない。今まで借りているお金を繰り上げて金融機関に返済してしまう。金融機関の側も本来借りて欲しい企業が借りないため、利率が非常に低くても国債など安全な資産運用をせざるを得ないことから、お金が循環しない状態となっています。

3)消費者も生活防衛のため、また新たに安く商品・サービスが発行されるかもしれないと予測し、買い控えるようになり、こうした行動が新たなデフレ圧力を生む。

こうした消費者と企業・金融機関の一連のサイクルが、悪循環になっているのが、現状になっていると考えられます。デフレ問題は金融機関や51社リストなどの問題といった供給側の課題というより、消費者が投資を行う企業が、今後の様子を見ている需要側のウエイトのほうが、はるかに大きいと言えるでしょう。そのためには、需要を喚起するような政策や、企業の新商品・サービスなどの出現が不可欠であると考えます。

世間ではITについての話題が多いですが、コンピュータを購入するだけでITの活用ができるのでしょうか?


回答

ITとは情報技術を意味しますが、巷では「ITを導入すれば経営改革が実践できる」のようにとらえていますが、決して容易なものではありません。
ITを推進する目的は、業務効率化や競争優位、利益の増大などにありますが、安易な情報化推進により、単純に機器の導入が目的となって、具体的な効果を生まなかった事例も多くあります。

本来IT化と企業の革新は非常に親和性が高く、きちんとした計画に基づいて行うと高い効果を生みますので、以下のように、目的及び計画を明確にしてから着手することをお薦めします。

1)目的を明確にする
業務の効率化か競争力の増大か、それとも商機の拡大なのか、シナリオを描く必要があります。例えば現状の課題を改善する場合と、新規にインターネットビジネスを展開するのであれば、目標もシステム構成も異なってきますので、目的の明確化が肝要です。

2)目標を具体化する
自社の現状レベルを検証し、具体的にどの範囲で情報化を推進するか、その目標をどこに設定するかを事前に決めていきます。

3)システム構成を検討する
目的や目標を実現するために最適なシステムなどを選定します。

4)予算やスケジュール通りにシステムを構築する
予算やスケジュールを決定してから導入を図ります。

5)システム導入の効果測定を行う
システム導入後に情報化の目的がどの程度達成されているかどうかをチェックします。この効果測定によって、何らかの問題点が生じた場合にはその部分の修正を検討しましょう。

情報化を考える上で何を参考にしたらよいですか?


回答


情報化の導入に際する参考点は、以下のような所から情報収集を行うことをお奨め致します。

1)情報収集
他社の導入事例や成功例・失敗例などを調査し、似た事例を参考としたり自社の事情に置き換えて検討することが第一の方法です。

2)システム・インテグレータなどからの情報
出入りのシステム業者からの情報も参考になりますが、業者サイドの観点で紹介されますので、見積り及び内容については、自社にて検討する必要があります。

3)セミナー・展示会など
技術動向やトレンドは、セミナーや展示会などで実際にデモンストレーションを参考にすることができます。

4)公的機関など
情報化の推進は今や国家の戦略となっておりますので、公的機関によるITの推進事業などから情報を収集することも1つの方法です。

予算100万円で経理や給与計算をコンピュータで行なうことは可能でしょうか?


回答

企業及びシステムの規模により違いがありますが、小規模の経理・給与計算業務のみで考えた場合は可能です。パソコン及びプリンタなど周辺機器と経理・給与のパッケージソフトの構成から出来ますが、最低限の構成では30-40万円で可能です。数十名規模の企業までの場合までは、対応できる範囲になります。またより安価に済ませる場合は、シェアウエアなどの会計ソフトを利用する手段もあります。

しかしパッケージングはカスタマイズを一切せず、自社の業務を合わせて行く必要があります。カスタマイズは修正費用が発生するため、容易に費用が膨らんでしまいますので注意が必要です。

うちの会社では情報システムに詳しい社員がいません。どうしたらよいでしょうか?


回答

専門のスタッフがいなくても、情報化の推進・管理は可能です。ただし、以下の点でを留意する必要があります。

1)外部の業者を活用する機会が増えますが、幅広い角度から判断するため複数のアドバイザーを持つことです。
2)実際に情報化を活用してビジネスを成功させるため、管理・運用する社員を育成する場合には人件費がかかります。費用と効果の関係から、専門業者から定期的に派遣してもらう方法を検討したほうが無難でしょう。
3)最低限、社内での判断材料を持つ必要がありますので、最低限の情報化の知識は持っておくべきです。身につけるためには、他社の活用事例や、技術・社会動向をチェックする必要があります。

小さな工場ですが、システム化のメリットはありますか?現在経理や給与計算は家内がやっていて、不便はないのですが...。


回答


メリットを把握し実行に移すためには、以下の方法にて進まれることがよろしいかと思います。

1)現在の業務内容を見直し、システム化にするメリットを洗い出します。これは効率性・生産性などのほか、競争優位に立てるかどうか検討します。仮に業務以前に伝票手入力し、さらに転記するなどの「作業」が多い場合には、そうした要素をなくすべくシステム化の計画に入ります。

2)生産性が高まり効率が上がる見込ある場合、費用とメリットを勘案してまずは最低限の構成(クライアント1台と必要なソフトウエア)から初め、その効果によって徐々に範囲を大きくしていくのが望ましいです。要点は一気に推し進めるのではなく、「逐次漸進」で1つ1つ効果を検証しながら段階的に進めていくことです。

携帯電話やスマートフォンをパソコン代わりに使えると聞いたのですが、本当でしょうか?


回答

現時点で、メールやグループウエア・SNS機能などを中心に利用が広まっています。ただし、パソコンよりも通信速度が遅く料金も高いため、ある程度のヘビーユーザーを前提としていること、読むだけが基本で文字入力の手間がかかることから、ある程度の制約はあります。
書類作成や、客先でプレゼンテーションを行う場合には、ノートパソコンのほうが用途に合うことは事実ですので、用途によって使い分けることが良いでしょう。

社員全員のパソコンを同じメーカーや機種で統一しない場合、問題が発生するのでしょうか?


回答

OSが同じ場合には、メーカーや機種の違いはあまり大きな差異や問題が生じません。ただし周辺機器を追加する場合や、デバイスドライバのインストールの場合、OSを再インストールする場合には、そのパソコン独自の仕様に伴う差異が生じますので、パソコンのマニュアルを参照することをお奨めします。

OSや機種統一の一番の効果は、分らないことを問合せるヘルプデスクや故障・不具合時に原因を特定しやすくなること、運用管理の負担が軽くなるといった利点があります。ただしOSの種類やバージョンが異なると、利用できなくなるアプリケーションもあるのと、手間もかかりますので、出来る限りOSは同じ種類・バージョンを利用した方が望ましいです。

同じソフトを何本も購入しなければいけないというのは本当ですか?


回答

ソフトウエアを購入したときに、ソフトウェア使用許諾に関する契約書が添付されておりますが、この中には例外を除いて利用の対象は1台のみでコピーを禁止する内容があります。本来は購入した人以外のパソコンにインストールすることは禁止させているため、ソフトウエアを他人が使いまわすことは違法です。

一般的に企業で導入する場合、ライセンス契約が主流となります。料金は社内で利用しているクライアントの数によって異なります。例えば10ユーザーまで定額で、それ以上は1ユーザーあたりいくらと定められていますので、著作権や違法コピーの関係上、注意が必要です。

主要取引先がインターネットで部品調達を始めるそうです。乗り遅れないためにどうしたらよいでしょうか?


回答

少なくとも、パソコン1台からでも良いですので、ネットワークを構築してインターネットに接続できる環境を整えることです。単純に導入しても電子メールの利用や、色々な調査・情報収集が出来るようになりますので、その利便性によってコストを取り返せるものと思います。

部品調達などBtoBサイトで注意すべき点は、主要取引先は時間の大幅な短縮を狙って導入していますので、部品の納入可否の問合せが、2時間以内・半日以内といった、非常に短い回答期限を設けていることがあります。そのため必ず活用するように努め、常時メールのチェックを行うようにしましょう。

他にも、運輸業の空車を埋めるマッチングサイトであるトラボックスのような売り手と買い手を結びつけるものや、インターネット取引所が広まっておりますので、今まで販路開拓に苦戦していた中小企業にとって、大きなチャンスがあるということも出来ます。

うちの会社はかなり特殊なプロセスで業務を進めています。システム化の相談をしたところ、プログラムを組んで一から開発しなければできないと言われました。
コストがかかるのですが、どうしたらよいでしょうか?


回答

こうしたコメントはしばしば聞くことがありますが、内訳については以下の3種類に収斂されます。

1)例えば防衛関係など本当に特定の顧客に一点ものを納入するなど、本当に特殊な業種業態である。
2)名実共にリーディングカンパニーで、他に追随するところが無い。
3)一般的な中小企業に多い事例で、業務の流れがあまりに特定個人の習慣・慣れや嗜好に依存している。

その「特殊」の事情が、上記の2つの場合は良いのですが、単純に業務の流れを変えたくない、今までどおりのほうが楽だ、ということで特殊事情を持ち出すケースは、残念ながら多いことも事実です。

そのための対策は、以下のようにすると望ましいと考えます。

1)特殊な事情が最低限になるように、経営上の管理システムを確立する。
2)業務の流れをきちんと把握し、一般的なものと特殊事情に区別し、特殊要因を極力シンプルにするように見直していく。
3)一般的な業務の流れを中心として情報化を進めていき、特殊部分については段階的にパッケージソフトのカスタマイズなどで乗り切れるよう、準備を整える。


ASPやクラウドを使うと便利と聞いています。どういうメリットがありますか?


回答

ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)やクラウドは、インターネット経由で利用できるアプリケーショントのことです。ソフトウエアは本来、自社のパソコンにインストールする必要がありますが、インターネットの閲覧ソフト(ブラウザ)からソフトを利用することができます。
データ自身はASPの業者のコンピュータに置かれますますので、運用やセキュリティの手間が省けることになり、単純に利用した分だけコストを支払うスタイルとなります。ソフトウエアは、スケジュール共有や稟議システムなどがあるグループウエアが多く、外出先からのアクセスやモバイル対応しています。

ただ、中にはASP業者が採算から撤退してしまう例もあるなど、導入に際しては社内のノウハウの蓄積なども視野に入れてな慎重に行う必要があると考えます。

現在、会社では今まで利用していたオフコンの会計システムや顧客管理データベースなどの業務システムを、運用コストがかかるだけではなく、何より古くて不便ですので全面的にリプレースしようと考えています。
ところが、取引先の会社などを見てみますと、うまく成功したところも当然ありますが、逆に余計混乱したところも、結構あるようです。
例えば商品マスターが、システム移行と共にごちゃごちゃになって苦労したり、または在庫管理の精度が荒くなってお客様への納入に迷惑をかけるなど、色々な事例があることから、慎重に考えています。
このように成否を分ける要因としては、どのようなことが挙げられるのでしょうか? 


回答 


はい。情報システムの成否を大きく分けるものとしては、以下のポイントが挙げられます。

1)現状の認識
まず現状の情報システムの構成ですが、今までの良い点(これは移行によって、中には「改悪」となってしまう点もありますので、注意が必要です。)・さらには今後改善が必要な点・現状、日常業務や会社の方針などに際して、既存の情報システムがボトルネックになっている点など、問題となっている点を、1つ1つ整理することが、大きなポイントとなるでしょう。
2)事前の計画
単純にシステムの構成といった技術論ではなく、目的・会社として行う意義・位置づけや、さらに中小企業の場合には、他との業務を兼務で行っているために、プロジェクトの実行力が弱くなりやすくなるため、計画倒れにならないよう、あらかじめ実施計画も併せて(というか重点的に強化して)策定していくと良いでしょう。
業務の改善と、新規に情報システムを導入する順番に関して、1)あらかじめ既存の業務を見直してから、情報化にとりかかるのが望ましいのか、2)ショック療法的なやり方ですが、いきなり情報化をしてから、後で業務のほうが追いついていくのか、といった2つの方法が挙げられます。

一般的には、一連の業務サイクルなどをあらかじめ改善してから、新規に情報システムの導入を図るほうが、大きな失敗を避けるには望ましいでしょう。
しかしながら、あらかじめある程度のリスクを承知で、いきなり最新技術などの情報化に取り組んで、中には成功する場合も見られます。

その目的は、主に以下の内容が挙げられますが、ある種の「賭け」の部分もありますので、一定のリスクのあることを織り込んでおくと良いでしょう。

1)企業風土などの変革を促すため、意図的に揺さぶりをかける
例えば「部門同士でのカベが厚い。」「会社全体が内向き・守りのスタンスに入っているので、攻めに転じたい。」といった目的・意図のある場合には、あえてショック療法の1つとして、情報化に取り組む場合があります。

2)競合他社など最も進んだ事例である、ベストプラクティスを導入する場合
例えば、従業員数が数百名程度の中堅企業の場合、大企業のように社内に人材が揃っているわけではなく、業務の内容が各個人の資質に大きく依存・左右されますので、スピード・質などに大きな差が見られることも少なくありません。
そのため、そうした業務・サービスの質を向上させて、競争力を強めて生きたいという方針にもかかわらず、現場では既存業務に対する社内でのこだわりが強い場合には、敢えて他社のベストプラクティスに近い事例を導入し、意図的にではありますが「服のほうに体型をあわせる。」といったことを行われる場合があります。

したがって、状況と場合によって大きく異なり、基本的には、いわゆる製造業などでよく言われている「源流対策」のように、まずは情報化の以前の段階で、現状の課題や今後改善すべき点(これは情報化の以前の段階で出来る内容でしたら、あらかじめ善処しておくと良いでしょう。)などがありましたら、その原因と対処を可能な限りしておいたほうが望ましいでしょう。
情報システムを導入するとなると、それだけでエネルギーがかかりきりになってしまいますので、可能なことは事前に行っておくことが得策です。

しかし、上記のようにそれ以上に業界の特質や社内の事情がある場合には、ある程度のリスクを冒しても、先に情報化を行っていく必要があると考えます。基本的には会社の方針と仕事のスピードに、大きく左右される問題と考えます。

しかし海外に現地法人があり、連結会計や月次の決算などを考えますと、必然的にERPの導入を進める場合が多いですが、この場合には、既存の社内業務を大幅に見直していったり、勘定科目なども変わって、混乱が生じやすいですので、非常に慎重さを要する内容の1つといえるでしょう。

 

最近、社内システムの改修を検討する際、いくつかのベンダーさんやシステムインテグレータさんに見積を依頼しました所、人月工数(計算)を見ますとSEの単価が上がっているかと思いきや、数年前から横ばいかもしくは下がっているようです。
また今まで進捗管理があいまいで、だらだらと遅延してしまい、その度にコストがオーバーするパターンが多かったのですが、最近ではこうしたことのないように、出来高制でも良いような話を、交渉の際に聞きました。
最近は随分と状況が変わったように思えますが、どうでしょうか? 


回答 


最近では、新規のシステム案件については、完全に買い手市場の面が強く、システムインテグレータなども、なかなか苦労している面は否定できません。

その理由は、以下の内容が挙げられます。
1)金融機関の情報システム投資が一巡してしまった
現在では金融系の情報システムが目下規模としては最大といえますが、メガバンクの相次ぐ合併や、オンライン系システムの更改などによって、一時期は大きなプロジェクトが走っていましたが、最近ではそうした大規模な開発案件もおおむね終わってしまい、一巡してしまったことが挙げられます。

2)統合や新規の案件など、目新しい材料が見当たらない
以前は西暦2000年問題や銀行・企業(航空会社など)などといった大規模な企業合併による、システム統合の案件などがあり、極めて大きな案件でしたが、最近では単純に合併や統合などによる統合の件は、ほぼ無くなってしまいました。

こうした状況のため、システムインテグレータ側と顧客企業との間で契約形態なども、どんどん変化していくようになり、顧客企業側からも、料金の値下げや契約内容の見直し、といったものも、より顕著となってきました。
昨今の景気回復の流れに伴って、企業のIT投資自体は徐々に回復してはいるものの、例えばこの4~6月期の四半期決算においても、日立や富士通などといった、システム開発部門における売上が、ほぼ横ばいとなってきました。

こうした値下げ圧力等に対して、最近の変化や流れとしては、いくつか挙げられますが、主に以下のようになります。
(1)開発拠点の海外へのシフト
これはすでにかなり定着している印象がありますが、開発費が日本より3割前後安い中国に、システム開発を委託する動きも、コスト削減などの観点から、大きく見られています。
こうした流れは顧客企業が求めてきた面もあることから、ベンダーやシステムインテグレータの中には、既に中国に詳細設計やプログラム開発・テストなどを委託している例が見られます。

(2)下請け先への対策強化
上記のように、既に海外における取引先の選別は、活発に行われていますが、国内でも同様の対策が挙げられます。
例えばNTTデータでは、約1年かけて下請け先との契約内容を見直し、今までは単純に人月単位で、開発に要した期間に応じて支払いを行う契約が、全体の6割を占めていましたが、より成果的な要素を強めるために、システム開発が完了した段階で、対価として金額を支払うようにする契約に変更した結果、約6割を変更することになりました。

こうした背景には、システム開発の費用やプロジェクト管理・SEの単価などといった、全体の価格の体系・内容そのもの不透明なことから、そのプロセスや効果に納得の行かない企業が多いことが挙げられるでしょう。

最近では経営者層にとっても、情報システムの重要度がより認識され、かつての品質管理のみに限らず、開発の速度や内容に加えて、費用もよりシビアに検討することがこうした動きを産んでいるものと考えられます。


最近の報道では、新幹線の居眠り運転による不祥事や、原発不祥事によって原子力発電所の稼動がストップしたことから、電力事情が逼迫するなど、企業不祥事が日常生活に影響を及ぼし始めてきました。
こうしたモラルハザードは色々な業界で起こっているとは思いますが、コンピュータの業界ではどうなのでしょうか?

回答

残念ながらこうしたモラルハザードの問題の他にも、「IT業界の常識は、社会の非常識」といった面も少なくありません。家電や自動車など他の製造物では、リコールなどの対象になりますが、IT業界の製品はそうしたことにはなりにくいのが現状です。

身近な例から入りますと、まず以下の2点が挙げられます。
(1)液晶ディスプレイ
ノートパソコンなどの液晶ディスプレイのドット欠けなどは、典型的な例と言えると思います。購入者は自宅で梱包を解き、電源をつけて始めてドットが欠けているかどうか確認しなくてはなりません。
(2)Windows
これは既に消費者のほうも慣れてしまった感が強いですが、おおむねどのOSにしましても初期バージョンはバグが多く、後々のサービスパックなどで修正していくことが常識となりつつあります。

例えば自動車業界の場合は、リコールによる部品交換などで省庁に届けを提出し、対象となる車種には各オーナーに個別に連絡しているなどの対応と、随分差があるように思えますが、単純に言えば、業界全体及びメーカーの考え方の差があると思います。かつての西ドイツ・日本の工業製品の考え方には、「多少商品発売の期間が遅れても、品質を第一にする」というものがありましたが、最近のパソコン関連の商品や多くのソフトウエアは、「見切り」で成り立っていると言えるでしょう。
すなわち、全てのバグやドット欠けを取り去るには時間と費用が莫大にかかるため、出荷時期の遅れや価格の上昇はかえって消費者に不利益となってしまう、そのため早めに競争的な価格で商品をリリースさせ、ソフトウエアなどは実際に機器などの相性を実際に使ってもらってから状況を見て、最新の修正版を出していこう、またハードであれば、他の耐久消費財と比べて陳腐化も早く使用期間も短いことから、品質よりもコストとス
ピードを優先している、考え方の違いがあると考えます。
少なくともパソコン関連の商品は、価格競争力の観点からハードの多くはアジア各国・ソフトウエアはアメリカなどの輸入が多い関係上、コストやインタフェース・スピードには重点を置いても、品質には今までの日本製品ほどの重きを置いていない、ということを認識すべきと考えます。
よく日本の自動車や家電のことを、すべてにおいてそつの無い「80点主義」と言われていますが、製品によっては価格や競合企業への対策などから60点主義くらいと見ておいたほうが良いかもしれません。

システム開発における具体的なモラルハザードの例として、最近は経済状況も厳しいうえに、社会情勢の変化が激しく開発期間・費用ともにかけられないことから、主に以下のような問題が起こっています。
(1)開発の際にテスト条件を意図的に甘くして、発注側が要求している仕様をクリアしてしまう。具体的にはデータベース検索からの処理時間に際し、実際の稼動時とは異なるようにデータの件数を減らし、負荷を下げた上で見かけ上の処理能力を確保したり、同じ処理を重複して実施したりするなど、都合の良い報告を作る事例は少なくありません。
(2)外注管理が不十分。ソフトウエア業界では2次下請け・3次下請けなどの事例が珍しくありませんが、その際の進捗管理や品質管理をあまり行っておらずに、納期が来てもプログラムがほとんど出来上がっていなかったり、本来の仕様を満たしていなかったりすることが珍しくなくなってきています。
今までであれば瑕疵担保によって、無償で修正することが多かったのですが、最近では開発会社も状況が厳しいことから、こうした申し出には応じず、情報システム関連の訴訟が頻発している状況にあります。
(3)前述の(2)と重複致しますが、何段階と外注先に出すことによってデータの漏洩などが起こる事例も起こっています。ユーザー企業と元請企業・1次下請けに対しては、機密保持契約などを締結している事例も少なくありませんが、大きな案件の場合や納期が迫って急遽人員を増員した場合、3次/4次以下ということもありますので、機密保持に関する誓約書のみでなく口頭の注意すらなくなってしまう事例もあります。

こうしたモラルハザードを産む原因は、技術的な面では、以下の内容が挙げられるかと思います。

(1)オープン化の普及
(2)パッケージソフトのカスタマイズなど、仕様などの制約が常に課せられ、満足した品質や性能が得られにくくなっている。
(3)Webシステムなどインターネットに関する開発案件が短期間に急増している。

今までの汎用機・オフコンを中心とした1社の仕様によるオーダーメイド開発から、パッケージ等の普及により、開発手法が大きく変化してきました。そのため障害が起こっても、マルチベンダー化に伴い、原因を究明するのには困難を極めるようになってきました。
また、新たな技術革新に伴い、中高年などベテランSEなどにおいてはスキルが陳腐化・または断絶してしまうことから、若手育成が困難になってきたり、プロジェクトを管理・遂行していく能力が低下してくるなどの弊害が発生してくるようになりました。
具体的な弊害としては、ユーザーの要件を開発会社の都合の良いように一方的に解釈したり、外部に丸投げして利益のみをはじくなど、開発をめぐるトラブルが発生しやすい土壌が増してきています。

こうしたことに巻き込まれて、業務効率の大幅な低下や、必要以上にコストを支払わなくてはならないロス・さらには法的リスクなどを未然に防ぐ方法として、以下の内容が挙げられます。

1)システム構成そのものを極力シンプルにする
かつて起こった、みずほ銀行の大規模なシステム障害は、どの銀行の情報システムを使うといった政治的な問題へと発展し、その折衷案として旧3行の情報システムをそのまま使うために、リレーコンピュータで接続するといった複雑な選択をしたことから、開発・テスト期間が間に合わず、またそうした現場の実態を上層部が把握できずに招いてしまった事件でした。
こうした事件を教訓、最近では金融機関のみならず企業の合併・統合が相次いでいますが、政治的な駆け引きの妥協の産物として「双方の情報システムを足して2で割る」といった流れから、主導権を持つ企業・より優れた情報システムを持つ企業のほうに合わせていく、「片寄せ」方式が主流となってきました。
例えば合併当初はリレーコンピュータで中継していた三井住友銀行も、住友銀行のシステムに片寄せしましたし、日本航空システムも、日本航空のほうに片寄せするといった積極的な対処方法が取られるようになったことは、良い傾向であると考えます。(逆にハードベンダーやシステムインテグレータは、いきなり大口の顧客企業を失ってしまうリスクが増えましたが。)

2)当初の契約書・仕様を重視する
最近では情報システムに関するトラブルが増加し、依然はクレームなどでほとんどサービスで技術者を派遣・常駐しているケースが多かったですが、最近はベンダー側も経営体力に余力が無くなっていることの多いことから、有償での修正を求める場合が増加し、当事者同士の話し合いでは決着がつかないことから、訴訟にまで発展している案件も少なくありません。
ユーザー企業の側では「当初注文に出した機能や使用を満足していない。」ベンダー側でも「顧客担当者の言っている指示がわからない。はっきり決めてくれない。」と双方を責めていても、何ら産まれて来るものはありません。こうした事態を防ぐためには、以下のようにしていくことが望ましいと考えます。

1.要求定義の際に、事前にベンダーやコンサルタントなど外部の経営資源を活用して、問題点や実施していくポイントを明らかにする。
→中小の事業者の場合、システム開発を行う前の限られた期間内において、要求定義を策定することは難しいことから、あらかじめ外部のコンサルタントやベンダーなどから現時点での問題点を明らかにしておくと、仕様の定義がはっきりし、プロジェクトの進捗状況が良好となり、仕様変更での手戻りなどが減少して、より効率的になるでしょう。

2.納入された設計書・成果物・ソフトウエアの検収は慎重に行う
→成果物やテスト結果・動作検証などに対しては、必ずチェックし時としてはレビューを行うようにすると良いでしょう。1度書類上の問題と思って判を押してしまうと、仕様がベンダーに十分伝わっていずに誤っていた場合、システム稼動後の有償での修正などになってしまうこともあることから、慎重に行うこともポイントです。

3)馴れ合いの関係にならないよう、相見積を取ったり価格・内容に際して調査する。
各企業の情報システム部門では、それぞれ付き合っている企業がありますが、人間関係や円滑なコミュニケーションを図って、業務を円滑裡に遂行していくには、特定の会社に依頼する仕事を集中したほうが良い場合が数多くあります。
しかしながら、特定の企業と馴れ合いの関係にならないよう、受注の是非に関係なく、常に相見積を取ること・他社からの提案に耳を傾けること、といった情報収集は常時実施し、親しいからといって、SEのジョブアサインがいい加減になったり、価格が大幅に高くならないよう、常にチェックをして行くとよいでしょう。

何年か前に生じましたテレビのニュースや新聞で、韓国やマレーシアを中心とした大規模なインターネットの障害が起こったとやっていましたが、どういうことだったのでしょうか?

 
回答

 

1月25日に、韓国・マレーシア・タイ・中国・台湾などアジア地域を中心に、世界規模によるインターネット接続障害が発生しました。特に韓国では、インターネットの利用率が非常に高いことから、PC房(ネットカフェ)など全土において、接続できなくなるほどでした。
日本での障害は比較的軽微な状況でしたが、一部の家庭や小規模事業所などで常時接続をしているルータなどに、被害を受けた例も見られました。

その原因は、ワームとなる「W32.SQLExp.Worm」によるものとされています。

最近企業などでの利用比率の高まっている、Microsoft SQLServerのプログラム上の弱点に対してアタックする性質で、最新の修正ソフトウエア(パッチ)を当てていない場合感染してしまい、1度感染したサーバーを通じて、様々な箇所に対してIPアドレスの特定のポート(SQLServerの解決サービスポート:1434/UDP)に対し繰り返し攻撃するものです。その結果、世界各地でこのポートへのスキャンが急増し、トラフィックが大幅に増大したことから、多くの影響をもたらすことになりました。

その結果大量のパケットを処理できず、
(1)サーバー自身がシステムダウンする事態。
(2)ネットワーク全体の通信速度の低下などの被害発生。
(3)ルータなど通信機器においてもメモリの大量消費に伴い、通信速度の低下などの性能低下・ダウンなどの被害。

が起こる場合があります。

ただし、SQLServerの保持しているデータベースへの書き換えや、感染ファイルなどの作成は行われていませんが、CPUのリソース消費が急激に増加して、処理速度の低下などのおそれがあります。

こうした被害は特定のプロダクトを対象にしていますので、被害を受けるOSと受けないOSが存在します。基本的にはMicrosoft SQL Serverが動作していない個人のパソコンなどへの影響はないと言われていますが、影響を受ける可能性のあるシステムについては、各ウイルス駆除会社などから出ている対策プログラムや、ウイルス駆除ソフトウエアを導入している場合、最新の定義ファイルに更新し、ウイルスチェックの実施をお勧めします。

なお影響を受ける可能性のあるOS・可能性のないOSは下記の通りです。

<可能性あるOS>
Windows 95・Windows 98・Windows NT・Windows 2000・Windows XP・Windows Me
<影響を受けないOS>
Windows 3.x・Microsoft IIS・Macintosh・OS/2・UNIX・Linux

 

他に注意した方が良い点は、第一には、サーバー・クライアントともに、今まで面倒で行っていなかったような、システムの更新やパッチの導入などのアップデートをしていったほうが、トラブルを未然に防ぐ上で重要と思います。比較的新しいOSほど「Windows update」などで、自動的の更新ができますので、極力そうした措置をお勧め致します。
第二には、ルータなどの通信機器にも、大量のパケットが来ることによる通信障害が生じているケースも少なくありませんので、ルータのファームウエアを最新のものに更新したり、必要以外のポートは開かないようにしていくと良いでしょう。

<具体例>
NetBios(Windowsのネットワーク共有プロトコル)フィルタのように該当する通信パケットを遮断する(UDP1433/1434)その際、ルータのコマンドインタフェースやセキュリティの設定画面において、以下のコマンドを入力し、更新・ハードウエアの再起動を実施します。(機種によってコマンドが異なる・もしくは廉価版機種の場合は特定ポート以外は閉じられていて、特段問題ない場合もあります。)

ip filter 1 reject * * udp 1433,1434 *
ip filter 2 reject * * udp * 1433,1434
ip filter 99 pass * *

これでパケットは遮断されますが、必要以上に遮断して使えなくなるケースもありますので、動作確認は欠かさず行いましょう。

会社の業務の中でどの部分からシステム化をスタートさせるのがよいでしょうか?

回答


情報化といってもその範囲は広いですが、着手しやすいのは、以下の2点です。

1)情報共有のインフラ整備
最近では電子メールが電話やFAXと同様にビジネス上の必需品となっておりますので、インフラの整備を段階的に進めることが肝要です。

2)各業務・部門ごとのシステム化
部門ごとシステム化は人件費や効率化など、効果が明確になりやすいアプリケーションから順に導入するとよいでしょう。予算をミニマムにして対象範囲を絞りこむと、効果がより明白になります。

基本的な戦略を決めた後は、何をすればよいでしょうか?

回答 


会社で基本目標を決定したら、次に行なうのはシステム化の予算の確定及びスケジューリングです。何時までにどこ部分を行なうか、その費用はどのくらいかを検討するようにしましょう。こうしたことが、今後の情報化のシナリオを描くときに大きな役割となります。
スケジュールと費用を明確にする効果は、

1)目的を見失わずに情報化を進行できること。
2)経営資源(人・モノ・カネ・情報)を有効的に活用できる。
3)事前の準備や段取りが容易になる。

などが挙げられます。

システム化を検討する場合、どんな点に注意すればよいでしょうか?

回答


システム化を検討する上で次のポイントは以下の通りです。

1)経営方針と情報化を結び付け、ビジネス上のシナリオをきちんと確立する。
情報化の成功には、単純に技術おたく論や個人的な主観のみで成り立つものではありません。会社のベクトルとあるべき情報化の形を結び付け、実際のビジネスに活用することが焦点となります。

2)lTの正しい知識を身につけて自社に最適なシステム化を考える
ITによって実際の業務でどのようなことが実現可能か理解することが肝要です。最近の技術動向やトレンドを気にしても、自社に対する必然性や効果をあらかじめ判断しないと、情報化投資を行っても効果を生みません。そのためには、業務とITの双方の効果を見極める人材を育成することや、それが難しければ外部に相談することも1つの方法であります。

システムを作る場合、実際の開発時間はどのくらいかかるのでしょうか?

回答


システムの規模にもよりますが、パッケージソフトを一部カスタマイズしたシステム構築やネット系システムの場合は、数ヶ月くらいかかることも珍しくありません。

しばしば、開発期問が長引くという話を耳にしますが、仕様変更や決定が遅れたことなどにより計画通りに行かなくなるケースがほとんどです。中には動かなくなり、修正が大変になるって修正に相当の時間がかかってしまったというケースも少なくありません。

対策としては仕様が固まらないうちに開始せず、初めに時間をかけてワークフローや問題点の洗い出しや、仕様を明確化することで、コスト・期間に大きな影響を及ぼし、効果も高まることになります。

システム化の予算の立て方を教えてください。

回答


1)情報インフラの場合
ネットワークや電子メールといった部分は、電話やFAXなどと同様に必需品となりつつありますので、一人当たりのコストを算出し、順次整備していくことを検討する必要があります。

2)IT投資の性格について
投資の性格が単なる改善によるものか、それとも競争力強化を目指した企業革新を狙うものかを明確にする必要があります。
改善の場合...リスクも少なく、確実に実行することが肝要です。
企業革新の場合...費用対効果と、導入後のフィードバックを明確にし、投資の回収を明確にする必要があります。

3)投資額と内容について
投資の目的及び企業規模に応じた情報化投資が望ましいと考えます。一般的に売上総利益の7%を超える情報化投資はチェックする必要がありますが、明確な競争優位の戦略を持つ場合には、是非も無く実施することが望ましいでしょう。

いずれにせよ、既存システムの初期コスト及び運用コストを調査し、その費用対効果をチェックすることが肝要です。


システムを作る際に必要となるソフトウェアやハードウェアがたくさん出回っています。何を選んでよいのかわかりません。


回答


ソフトウエア・ハードウエアの選定方法は、以下のように行うと効率的です。

1)システム化する対象(例えば会計・給与など)を明確にします。
2)システム化に関連するワークフローを洗い出し、改善点を明らかにした上で業務の流れを決定します。
3)費用対効果に合致するよう、システム化の度合いを検討します。(担当者レベル・部門レベル・全社レベル)
4)今後の対策と方向性を、2-3年先まで視野に入れます。


こうして色々なソフト・ハードを比較選定するのですが、特にソフトウエアの選定ポインは、以下のようになります。

※パッケージソフト選択のポイント

1)パッケージが合っているのか
大企業向けのパッケージでは、コストが高い上に使いづらくなってしまいます。業種・企業規模を把握する必要があります。

2)カスタマイズの有無
極力カスタマイズをしなくて良いような、内容に合うソフトを選ぶと効率的です。仮にカスタマイズを行う場合、
・カスタマイズを前提に作られているか確認すること。
・カスタマイズがパッケージ全体の2割程度に収まること。
・バージョンアップにも対応できること。

を検討する必要があります。

3)ベンダーのサポート体制
使用方法を質問する場合、不具合が発生した場合のサポート体制を確認する必要があります。またパッケージソフトの場合、外資系企業も少なからずありますが、急に日本市場から撤退したり他と合併するなどしてサポートに影響することもあります。

4)実績
すでに導入したユーザーから話を聞いたり、試用版を使うことも1つの方法です。
またある程度実績や信用のある製品やソフトでは、導入事例に関する案内やユーザー会などで顧客企業の担当者が説明する場合もありますので、こうした機会を活用すると有効です。

5)デファクトスタンダードかどうか
製品自体がデファクトスタンダード(事実上の標準)に対応しているかは、二重投資を防ぐためにもチェックしておきたい項目です。

6)系列会社との関係
系列会社などと連携する場合、仕様を統一出来るかどうかが重要です。

あるメーカーにシステムの相談をしたら、さまざまな製品の導入を迫られました。すべて揃えた方がよいでしょうか?

回答


まずはじめに見積の中身を再度確認しましょう。現状の構成及び課題を把握し、何が必要なのか、また将来の展開をどうするか、その内容を事前に検討した上で考える必要があります。少なくとも、見積書及び構成図などに出ている内容を判断できる知識をもつほうが望ましいでしょう。

業者などから、「おたくは遅れています。」と言われれば、焦りを持つことは否定できません。例えば、全て紙の帳票で経理と売掛金管理を行っている企業がありましたが、出入りの業者から薦められて、ネットワーク化対応の会計ソフトとデータベースを導入しました。担当者から説明を受け、あれもこれも必要として鵜呑みにしてしまった結果、一気に導入を行っても誰も使うことが出来ず、野ざらしになってしまった例があります。すなわち、本来の地力以上の情報システムを導入してしまい、振り回されてしまったということです。

見積や提案の中には、本来のその会社の実力や仕事の進め方において、使いこなせない内容が含まれている可能性がありますので、こうした判断を担当者や業者に一任するのではなく、見積内容をチェックしたり、製品やサービスの比較検討を十分に行ない、無理をせずにできるだけ自社に見合ったシステム化を図る必要があります。


経理システム専用のコンピュータは、他の業務に使うことはできないのでしょうか?

回答


一般のパソコンやクライアント/サーバー型のソフトウエアの場合、利用できる可能性が高いものの、汎用機やオフコンの専用端末の場合でしたら利用は不可能です。逆に普通のパソコンで汎用機・オフコンで動いている経理システムの場合、エミュレータと呼ばれる専用ソフトの導入で使えることが出来ます。

ただし経理データは企業にとって大切なデータですので、帳簿の安全性の関係上、他業務での併用はお勧めできません。というのも、他の用途で利用してハード/ソフト上の障害が発生した場合、影響が発生してしまうからです。パソコン1台ですべての処理を行なっているような小さな会社では、DVDなどのメディアでデータをバックアップすることをお奨めします。

経理システムに在庫管理システムを追加したいのですが、別のメーカーのソフトウェアでも問題ないのでしょうか?

回答

まず、経理システムと在庫管理システムの中身を検証する必要があります。相性によって問題ないケースもあれば、相性が合わない場合があります。理由は製品にも相性があり、相性が合わない製品同士を一緒に使うとすると不具合が起きるケースがあります。

ある会社で、給与システムが稼動しておりましたが。新たにシステムユーティリティのソフトを導入したところ、時々障害が発生することになりました。この新たに導入したユーティリティソフトをアンインストールして、正常に稼動するようになりました。最善の方法は、他に利用している実績があるかを調べ、開発先に成功実績があるかどうかを確認する必要があります。

インターネットの利用方法にはどんな方法がありますか?またどれが合理的でしょうか?

回答

インターネットの接続方法は、1)ダイヤルアップ2)常時接続3)専用線の3種類があります。

1)ダイアルアップ
ダイヤルアップは通常の電話回線を利用し、インターネットにアクセスする時のみに接続する方式です。ADSLや光ファイバーが普及していますので、次第に減っています。

2)常時接続
常時接続は、月額当り定額で使い放題となる通信回線のことです。専用線との違いは、
1)通信の品質が保証されないこと。
2)接続のたびにIPアドレスが変わるため、サーバーなどの設置にはあまり向かないこと。
3)回線のメンテナンスなどで時折自動的に切られること。

などです。
回線の種類はISDN・ADSL・ケーブルテレビ・光ファイバがありますが、それぞれの特色は以下の通りです。

ISDN回線...ほぼ全国で利用可能なこと。通信速度が遅い。
ADSL回線...コストと通信速度のバランスが高い。地域・電話局との距離により差異がある。
ケーブルテレビ...テレビと併用できる。CATV業者により品質・サービスに差異が大きい。
光ファイバ...通信速度が速いが、エリアが広がっていても対象地域が限られる。

業務で利用する場合に合理的なパターン
1)業務上電子メール・インターネットの利用が多い場合。
2)レンタルサーバー・ASPを利用している場合。

3)専用線
一方、専用線は利用者が専用的に利用できる回線です。最近は低価格化が進んでいます。常時接続との違いは、

1)IPアドレスが複数付与されるので、サーバーなどの構築に向く。
2)ベストエフォートではあるものの通信の品質が高い。

ことです。

業務で利用する場合に合理的なパターン
1)独自にネットワークを構築する場合。
2)メールサーバー・Webサーバーなどを複数運用する場合。

インターネットを使っていますが、コンピュータウイルスが心配です。


回答


コンピュータウイルスは質量ともに大きく被害が増大し、パソコンに限らずスレート端末・スマートフォンなど被害が多発しておりますが、被害が拡大するようになりました。こうした被害を未然に防止する方法は以下の通りです。


1)ウイルススキャンソフトの導入
ウイルススキャンソフトとは、インターネットなどを経由して送られてきたウイルスを検知し、ウイルスが見つかった場合に退治してくれるソフトです。ウイルス被害の急増に伴い、ウイルス検出ソフトの導入はいまや必須となっています。しかし、最新のウイルスは次々と出てくるので、定義ファイルを常に最新の状態に更新しておく必要があります。

2)バックアップ体制の確立
実際に被害を受けた場合、ソフトウエアのみの被害はOSの再インストール・ハードウエアの被害は買換えで済みますが、データが失われてしまうと重大な損害となりますので、定期的にバックアップを取る必要があります。バックアップとは定められた時間にシステムのデータの中身を保存しておくことです。こうすれば万が一データが破壊されてしまったとしても、数時間、または数日前のデータを呼び出すことができるため、データを一から作り直す必要がありません。バックアップの間隔は、重要なものについては常時フロッピーなどに保管する習慣をつけ、その他のファイルはおおむね1週間ごとにバックアップを取ることを推奨します。

3)セキュリティポリシーの確立
セキュリティポリシーとは、安全確保を考える際の基本的なガイドラインです。外部からフロッピーなどファイルの持込を許可するかどうか、業務中もしくは社内のコンピュータでアクセスを禁止する内容は何か、リモートアクセスはどこまで許可するかなど、ルールを確立することが挙げられます。

LANを導入する場合、専門家がいないとうまく利用できないものでしょうか?

回答


LAN構築は外部の専門会社にお願いし、構築した時点のまま変更を加えない場合には、社内に専門家がいなくても問題はありません。
ただし、社内での引越し・模様替え・異動などで配線の変更やアクセス権を変更の場合、社内にネットワークの基本的な考え方を把握している管理者が必要になります。社内に適任者がいない場合、その都度LANの工事業者や電話工事業者に作業を依頼すると、さほど費用がかからずに変更することが可能となります。
仮に頻繁な変更のある場合、社内で管理した方が合理的ですので、社内のメンバーから管理者を選出し、外部のセミナーや技術書などで基本的なネットワークの知識を身につけることが必要となります。

現在LANでシステムが作られています。このままインターネットに接続できるのでしょうか?

回答


LAN上のパソコンは、単体のパソコンのTAやモデムへの接続と異なり、ルータ(通信回線の流れを制御する機器)を通じて接続することができます。
最近では法人/個人を問わず常時接続が前提ですので、LAN上で何気なくやり取りしている会社の貴重なデータやサーバーや各クライアントで共有しているデータが外部から見られてしまうのみならず、不正アクセスなどにより改ざん・破壊されてしまうリスクを持っております。

このような事態を防ぐためには、
1)最低限グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを分離する。
2)ファイルの共有などでアクセス権の制限やパスワードを設定しておく。
3)ハードウエアによるファイアウォールを設置するか、予算上難しい場合は各パソコンにパーソナルファイアウォールのソフトウエアを導入し、不正アクセスを防止する。
4)ウイルス検出ソフトによるチェックを定期的に行う。

という形で、さまざまなセキュリティを確保することが重要です。


出張先から会社のシステムに接続するのは可能でしょうか?


回答

1)リモートアクセスで直接接続するもの
社内システム・データベースなどは、直接社内にアクセスする必要性があります。直接アクセスするため、リモートアクセス用ソフトウェアなどを利用するなど、セキュリティ対策を取る必要があります。

2)インターネット経由で接続するもの
電子メールの送受信・スケジュール管理については、ブラウザから参照する方法がありますし、個人のファイルにアクセスして作業をする場合、FTPサーバー(ファイル転送プロトコル)をあらかじめ構築しておき、データを保管する方法があります。重要なのは、ID/パスワードを付与し、またパスワードは定期的に変更するなど不正アクセスの対策を実施することです。

上司から、現行の情報システムを、競争力の強化や社内の合理化などの観点から、見直しを行い、課題について報告するよう指示がありました。そのため、業者から幾つか提案を受け取って中間報告をまとめたのですが、あまりに現場の視点のみで視野が低いことで叱責を受け、再度やり直しが必要となり、途方にくれています。どのように方向を持っていけば良いのでしょうか。

 

回答

第一にまずは根本となるのは、全体の企業戦略のベクトルを確認のうえ、その方向に合致した情報化戦略を確立することです。こうした色合いが薄くなると、情報化投資の利点が薄れるのみならず、経営資源を分散させてしまい、足を引っ張ってしまうことになりかねません。

第二に上記の情報化戦略に基づいて、現状の課題(部門的な観点ではなく全社的な視点において)に焦点を置き、実行すべき項目を列挙し優先順位をつけていくことです。情報化において最も一般的に失敗する原因は、企業戦略を持たず「他がやっているから」「トレンドだから」ということで、やみくもに情報化をスタートさせてしまうことにあります。そのためには企業戦略とのベクトルを合わせた上で、情報化を考える必要があります。 企業戦略・理念の内容は各企業により異なりますが、おおむね以下の3種類に収斂されます。

1)外部からの評価を重んじるもの
顧客/取引先の評価を重視し、自社製品・サービスに反映するもの。
2)内部の評価に力点を置くもの
他社には存在しない自社のこだわりを重視し、ノウハウを蓄積していくもの。
3)結果を重んじるもの
ビジネスチャンスに応じて、有望な分野には多角化し、衰退分野には撤退していくもの。


そのためひとつの例ではありますが、情報化戦略としましては、外部評価型の場合には欠品を発生させないように物流・在庫管理システムを強化すること、内部評価型の場合はナレッジマネジメントやイントラネットといった形で、社内の情報共有化を強化すること、結果重視型は、色々な分野への参入/退出の可能性があるためASPやアウトソーシングを活用し、スピードと効率を高めること、などが考えられます。

 

 

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