ITシステムが組織に定着しない理由

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従業員150名ほどの製造業の会社で、部長をしております。
1-2年ほど前に、主要取引先から部品代などのコスト削減のあおりを受け、20%に及ぶ単価引き下げ要求を呑まされてから会社側より、全社員の給与を20%カットするか、社員を2割削減するか言われました。

最終的には昨今の景気回復の影響により、新規の取引先や販路が増えたおかげで、一時的に10%の給与カットと1割の社員の一時帰宅で済んだのですが、現在でも困っておりますのは、その折に創業者の2代目の専務が、危機の際に代表権を持ち、社内改革にいそしんだのですが、業務フローを全面的に見直した上で、生産管理システムの再構築を図ったことが、現場業務の混乱を招いてしまい、その収拾も付かないままに自ら一線を引いてしまって、再び高齢の創業者が経営をしている状況です。

現在は創業者自身の幅広い人脈によって、取引先を維持拡大して持っている状況ですが、もう高齢ですし、後の続く社内幹部も居ない、といった状況ですので、最終的な内部の整備が待ったなしで求められていますが、どうしたら良いのでしょうか?


回答


個人や家業の問題としましては、高齢の創業者のやりがいや働き場所という面では望ましいかもしれませんが、全体的に考えますと、集団指導体制に移行できるよう、指示待ちの多い内部の育成を図っていきながら、組織としての体制を整備していくことが望ましいでしょう。

また現場が混乱してしまった、とされる生産管理システムに関しましては、こうした経緯もありますと、ほとんどが機能していないものと思われますが、現場の中から使える昨日から段階的にステップアップしていくよう、部分改修をしながら力を蓄えていくことが肝要と考えます。


現場が、新規の生産システムの移行によって大混乱した、といった経緯については、人員削減の際に、コスト削減から管理部門を中心に解雇致しましたところ、人員を減らしても仕事のやり方は今まで通り、ということでしたら現場の戦力ダウンが避けられないということと、一時的なリストラ効果で縮小均衡となってしまうおそれから、情報システムを有効活用して、競争力を築いていくことが望ましいと判断するようになりました。

当時の専務は大手企業で海外勤務が長かったことから、自社の経営課題をあるべき姿を分析し、重複業務やムダな業務を1つ1つ洗い出して、業務フロー図を作りながら、コスト削減と生産性の向上に取り組みました。

結局は生産管理システムに合わせた形での、業務分析と改革案は出来たのですが、現場の部課長などの幹部は反応が鈍く、自分たちのやり方に固執しており、実際にほとんどすり合わせのないまま、見切り発車として新規システムに移行し、社内が大混乱となりました。

その結果、専務は自ら責任を取って相談役に退き、再び高齢の創業者が経営を行っていますが、生産管理システムは、古いままのシステムをそのまま動かしており、先々を考えるとそのままではいけない、という危機感は誰もが持っていますが、失敗や経緯もありましたことから、社内でタブーになっている面も否定できません。

一面では「これが理想の業務フローだ!」と押し付けても、うまく行く場合も中にはあると思います。しかし中小企業の場合ですと、業務が標準化されておらず、各個人のスキルや技に大きく依存していることから、必ずしも押し付けることが良い結果を生まない面も否定できません。

最新のビジネスモデルや、同業他社などで生産方法や仕組みなどを視察して、「これは素晴らしい。早速持ち帰って当社でも行おう。」と思っても、実際に出来るようになる企業は多くても1ー2割程度であり、ほとんどが実際に実行に移してもあまりうまく行かなかったり、中には途中であきらめるなどする企業がほとんど、というのが実情といえるでしょう。

実際にうまく行った企業でも、早くても数ヶ月・遅ければ1-2年ほどかけてようやく定着するような次第ですので、実際に他社や他のビジネスモデルなどを取り入れていくためには、内部の社員にとって、自分のやり方を急には変えられないことを前提に置きながら、企業風土や文化を徐々に変えていく、といったことを織り込んで行動していく必要があるでしょう。

こうした場合ポイントとなるのは、今後の会社の将来を背負っていく、中堅幹部たちを、今までのような指示待ちや受身にしていくのではなく、ある程度主体的に判断して動けるように、幹部研修を行ったり、実際に経営課題を与えてから、解決策などを自らに策定させ、解決の実践を図るといった色々な仕組みを設けることも、欠かせないことでしょう。
「始めに情報システムありき」といった考え方ですと、実際の業務から大きく乖離してしまう必要がありますことから、注意が必要です。

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このページは、Takayoshi.Ishikawaが2011年4月29日 16:08に書いたブログ記事です。

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