社員の転職に際する営業秘密や守秘義務の扱い

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製造業で人事を行っております。
前にこちらで、社員の副業と転職に際する守秘義務の内容を見ましたが、社員の転職に際して、社内のノウハウがライバルの同業他社に流出することを懸念しています。
ところが、"営業秘密"の概念自体がどうもあいまいなようで、一般的な業界知識などまで秘密にしてしまいますと、かえって不利なようですし、緩くし過ぎますと今度はノウハウが流れてしまう、といった課題を抱え、社内でも結論が出ないままでいます。
今度は法改正によって、社員に課する転職などの際の営業秘密は、期間や対象を絞るようですが、具体的にはどのようなものになるのでしょうか?


回答


11月に施行されます、改正不正競争防止法では、退職者による営業秘密の漏洩が新たに刑事罰の対象になりますが、あいまいな契約を結んでいました場合には、営業秘密と認定されにくい場合もありますし、転職が制約されるなど、職業選択の自由に抵触する可能性のあることから、配慮されるようになりました。


具体的には簡単に申しますと、企業が従業員と営業秘密の保持契約を締結する際には、対象となる営業秘密を具体的に特定し、加えて守秘期間も限定することが求められるようになります。

営業秘密につきましても、例えば高度のノウハウなどは認められる場合もありますが、中には「業務上知りえたすべての情報」などとあいまいな表現ですと、「一般的な情報や新聞や業界紙に出ているものまで、全て秘密になるのか」といった神経質な争いとなってしまい、裁判など紛争が生じやすい環境となっていました。

そのために、不正競争防止法の改正によって、例えばハイテク製品の中核技術などといった社内の営業秘密を、漏らすことを前提に他社に転職し、実際に情報を漏らした場合には刑事罰の対象としていますが、営業秘密の認定にあたって、企業と従業員の秘密保持契約の内容や、営業秘密の管理のあり方を「営業秘密管理指針」といったガイドラインによって、内容などを規定するようになりました。

しかしながら、そのように致しますと、社員と雇用の際に契約する、営業秘密の概念があいまいだと、せっかく締結しても全く意味がなくなってしまいます。

会社と社員側で締結する秘密保持契約の内容が、単純に「退職後も営業秘密を漏らしてはならない。」とあいまいに記載してしまいますと、秘密として認められなくなる確率が高くなり、機密漏洩を防止する効果が薄れてしまいます。
また必要以上に厳しくして、「当社で知ったことは、すべて秘密」といった秘密保持契約ですと、こうした事例ですと、誰しもが知っている情報や一般的な業界情報なども触れてしまうことから、民法の公序良俗違反で無効になる判例が実際に生じているため、そもそも契約の効果がなくなってしまいます。

そのため、「営業秘密」を具体的に定義していくことや、管理についてですが、転職などを通じて競合している他社に漏洩することを禁止する情報や秘密を、具体的に従業員に示すようになりました。

例えば、通信販売の企業の場合には、一部ではありますが、
1)通信販売の顧客の個人情報そのもの。
2)通信販売で実際に購入した、顧客の購入傾向の分析結果。

などが、"営業秘密"に当てはまります。

こうした形で具体的に内容などを示したり、保存しているファイルやメディアなどの媒体で、示すことなどが必要となってきました。

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このページは、Takayoshi.Ishikawaが2011年4月29日 16:02に書いたブログ記事です。

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